崩壊3rd Sinister's sin   作:アーヴァレスト

29 / 30
それは課せられた定めの先にあるもの


反逆の十字架

「キアナが危ないわね」

 

消えていったスカルフェイスさんの姿は、爛れきったものではなく

そうなる前の姿と思われる、優しげな表情を浮かべた青年だった

その姿を目に焼き付け、私は彼の意志を継ぐのでなく、彼を超える事を選ぶ

かつて報復心で世界を壊そうとした彼だが、それは自己の破滅願望からくるものでもあった

だからこそ、今度はその先を目指す

 

「それがあなたを超えるという事ですからね・・・」

 

本当は彼女の協力なんてしたくない、羨ましく妬ましい

それでも、彼女の事も理解できるから・・・私は手伝う事にした

 

「さて、行きますか」

 

ライフルを即興で作った腰のホルスターにしまい、私は歩きだす

目的地は一つ、キアナのいる空間

 

「いま、行ってあげるわ」

 

そう言って、私は空間に潜行した

 

「それで、どう戦うというの?」

 

私・・・キアナ・カスラナはシーリンからの問いに答える

 

「簡単だよ、私達を囮にして現実世界に出現させる」

「なるほど・・・それで、そこからは?」

「ノープラン!!」

「あなたね・・・」

 

だが、やるしかない

そう、これは恐らく誰かの書いた筋書き通りの未来だ

だが・・・そこから先はどうにでも変えられる

それだけの力を、私達は持ってる

 

「じゃあ、戻るわよ」

「うん、行こう!!」

 

シーリンを先頭にして、私達は現実世界に帰る

私達のいるべき世界に

 

「終わったか?」

「このダメ親父はまだいるの?」

「てめぇ、キアナ!!」

「ちょ!?やめてよぉ!!」

 

帰り着いた瞬間に悪態をついたら、父さんは嬉しそうに私の頭を撫でてきた

というより揉んでいる、髪型変わるからやめてほしいんだけど!?

 

「・・・」

「シーリン」

 

カズマさん・・・先生の尊敬する人物も喜んでいた

 

「私は・・・」

「何も言うな」

 

そう言って、彼もシーリンの頭を撫でる

 

「さて、これで終わりとはいかなそうだな」

「うん、ここからが正念場・・・カズマさんもでしょ?」

「あぁ、俺はアイツを倒してくる」

「ボス、俺も」

「いや、お前は離脱しろ」

 

そう言って、カズマさんはダメ親父に何かを渡した

 

「コレを彼に渡せ、それがお前に与える最後のミッションだ」

「・・・分かった」

「なぁに、俺は死なんさ、簡単にはな」

 

そう言って去っていく背中には、不退転の決意が感じられた

 

「それじゃ俺達は行くとするか」

「あぁ、必ず渡してくれ」

 

ダメ親父とカズマさんが去っていく、見上げた空は割れ始めていた

 

「来る・・・!!」

 

そして割れた空から現れたのは・・・黒い人に近い獣・・・

崩壊の化身・・・人が生み出してしまった化け物だった

 

「何故・・・ワタシの意思に従わぬのだ・・・」

「私達が、人間だからよ!!」

 

そう答えた瞬間、腕と足を触手に捕らえられた

 

「ならば、その力を奪うまで!!」

「くっ・・・!!」

 

だけど、その触手はすぐに撃ち抜かれていた・・・第三者の介入で

 

「誰だ・・・!!」

「さぁ、名前なんてないわ・・・私には」

 

そう言って、その人は私とシーリンの前に降りてくる

黒いチェスターコートに黒スーツ、黒いテンガロンハット、黒い手袋、黒いブーツ

何もかも黒ずくめだけど、声はとても優しい

 

「でも、言わせてもらう事があるわ」

 

その優しさを裏返すように、武装はいかついレバーアクションライフルだけど

 

「あなたは、貴様だけは許さない!!」

 

嚇怒の絶叫が響く、同時に私とシーリンも立ち上がった

 

「邪魔をするか・・・人間ども!!」

 

レバーアクションライフルをスピンコックして次弾を装填しながら、その人は叫んだ

 

「行くわよ二人とも!!」

「うん!!」

「えぇ!!」

 

今、ここで最後の戦いが始まる

 

「死ぬがいい・・・!!」

「「「こんなところで死ねるか!!」」」

 

敵の発言に返す言葉は一致していた、そして・・・

 

「キアナ!!」

 

攻撃と回避の息までも完全にシンクロしている

 

「なんだ・・・その力は!!」

「アナタを倒すための、呪いだ!!」

 

複数に分かれた影がキアナの装備の弾丸を切れる一歩手前で供給している

同時に、シーリンの装備が破損しそうなときにも同じ事をしていた

それを可能とするのは、実行している本人の能力と素養

キアナと同じDNAから作られた事を考えれば造作もない事と言える

欠点はキアナほど完成させられていない事になるが、その程度は誤差にしかなりえない

 

「ならば・・・!!」

 

そうならば、と狙おうとしても、影を捕まえる事は出来ない

そしてそれは敵にとって失策だった

 

「な、にぃ!?」

 

影を奪われる、自分の感覚を

 

「これが私の呪いだ、仲間に加護を与え、敵には体感覚をなくさせる呪い!!」

「人間・・・がぁ!!」

「私達を・・・人間をなめるな!!」

 

その一撃が正確に体を撃ち貫いた

そこから敵の身体は崩壊していく

 

「傲慢だな・・・それが人間を間違わせるものだろう・・・」

「えぇ、そうよ。私は()()()()()()()からやった、後悔はない・・・こんな世界とはいえ、私は自分の()()()()()()を歩いていたい、ただそれだけ!!」

「ならば、その先で待っていよう・・・期待しているぞ」

 

人型の獣はその言葉を残して消滅した、私達の宿縁はこれで断ち切れた・・・あとは

 

「急いで離脱するよ二人とも、ここは長く持たない!!」

 

キアナとシーリンを連れて離脱するだけ

他の所・・・恐らくカズマさんと大主教の戦闘余波で研究施設が持たない

 

「うわわわッ!?」

「危ないわねぇ!!」

「喋る暇があればさっさと動け!!」

 

私はそう言ってレバーアクションライフルで落ちてくる瓦礫を打ち壊し、同時に影から次の弾丸を取り出した

 

「行くよ!!」

「どうやって!?」

「こうやってよ」

 

その瞬間、私はキアナを蹴り飛ばした

 

「痛いんだけど!?」

 

蹴り飛ばした先はちょうど反対側の階下にあるスロープ型の階段

そこは比較的広く作られているため着地しやすい

 

「ナイス着地」

「ろくなのがいないわね・・・」

 

シーリンがそう言ってキアナに続いて飛ぶ

私もそれを見て飛び、階下に降りた

 

「まさかこれを繰り返すつもり?」

「そのまさかよ、ロープじゃ途中で切れるもの」

「呆れた、貴女も無策なのね」

「・・・」

 

ぐうの音も出ない・・・!!

 

「途中で離脱するためのいいものがあるわ」

「何よ」

「恐らくだけど」

 

そして、途中で別の道にそれて向かったのは・・・

 

「戦闘機!?」

「爆撃機よ、しかもB-1ランサー・・・最高ね」

「操縦できるの?」

「マニュアル読んでる暇なんてあると思う?」

「冗談じゃないわよ・・・」

 

それでもテキパキと操作していく

何故か全てが上手くいっていた

 

「さて、エンジンも無事に始動できたわ・・・行くわよ!!」

 

スロットルを全開にして離陸する

B-1ランサーはいとも簡単に離陸した

だが・・・

 

「近くの空港に行けるほどの燃料もないの!?」

「んな!?」

「ちょっとぉ!?」

 

それに今更気が付いた・・・だけど

 

「でも、この機体の特徴は・・・」

 

大型爆撃機でありながら、この機体は可変翼を採用している

近くの大きい目標を探したら・・・

 

「あった」

 

レーダーに示された名前は、アウターヘイブン・・・

 

「ドラッグシュートを利用すれば・・・使えればいいけど」

 

ドラッグシュートを利用した緊急減速・・・それに頼るしかない

 

「止まれぇぇぇぇぇ!!」

 

叫んでドラッグシュートを展開、同時にスラストリバースとブレーキも全開にする

 

「・・・」

「生きてる?」

「これで死んでるって返すのが無礼でしょ・・・」

 

何とか成功した・・・だけど

 

「あぁー、ヤバいわね」

「自重で落ちかけてるわ・・・離脱するわよ!!」

 

最初から最後までしまらない最終決戦後の離脱だった

でも、キアナにとって大切な人達の元に彼女を返せただけでも良しとしよう

それを見届けて私はその場を後にした




最終話に続く

これからのルートはどちらがいいですか?

  • 死ねよ貴様ら、塵屑だろうが!!
  • ごめんなさい、ごめんなさい
  • 勝利とはなんだ?
  • 勝つのは己だ
  • いいや、まだだ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。