目の前で弾けとんだ怪人を見て、私も我が魔王もしばらく唖然としていたが、男が話しかけてきたことで正気を取り戻した。
サイタマ「あれ?お前はなんなの?」
黒ウォズ「はっ!そうだ!大丈夫か!?我が魔王!」
サイタマ「話聞けよ。」
急いで我が魔王のところまで駆け寄る。
ソウゴ「あぁ…いたた。うん、なんとか大丈夫。」
黒ウォズ「よかった。全く、肝を冷やしたよ。」
サイタマ「おい、無視すんなって…ん?そっちの奴はコスプレか?」
ソウゴ「いや、コスプレじゃないんだけどな…」
そう言いながらライドウォッチを外し、変身を解除する。
サイタマ「うお!服が変わった!何、今の?マジック?」
ソウゴ「あのさ、ちょっと聞きたいんだけど…ここどこ?」
サイタマ「え?何?もしかして迷子?ここはR市だよ。」
ソウゴ「R市…やっぱり知らないな。」
黒ウォズ「やはりここは私たちとは別の世界のようだね。我が魔王。」
サイタマ「よくわからないけど。俺もう帰るから。じゃあな。もう怪人が出てるとこでコスプレすんなよ。」
黒ウォズ「ちょっと待ってくれないか。」
咄嗟に去ろうとする男を呼び止める。
サイタマ「え?何?」
黒ウォズ「私たちはとても遠くから来たんだが、帰り方が分からない。すまないが…君の家まで連れていってもらえないだろうか?」
サイタマ「え?」
男は露骨に嫌そうな顔をする。
ソウゴ「ちょっと、黒ウォズ、どうしたのいきなり。」
状況が飲み込めない我が魔王を物陰に連れて行く。
黒ウォズ「いいかい?我が魔王。私たちはこの世界の情報を何一つもっていない。結局はこの世界の人間を頼りにしなければならないんだ。それに彼の強さを見ただろう。君が手も足も出なかった怪人を一撃で倒した。彼の家にいればまず間違いなく安全だ。」
ソウゴ「うーん、そうなのか…。」
サイタマ「何話してんだ?……弟子はとってねぇぞ。」
黒ウォズ「いや、そんなことは一言も話してないよ…。とりあえず君の家にいっていろいろ情報を手に入れたいんだ。」
サイタマ「ええ……交番でもいけよ、送ってってやるから。」
もっともな反応だ。
黒ウォズ「いや、交番はマズいんだ。なんとか頼む。この通りだ。」
男のまえに膝をつき、土下座をする。
サイタマ「ちょ、いやいや、そんなことされてもなぁ……」
男が困った顔をする。
サイタマ「…仕方ねぇな。帰り方がわかったらすぐ出てけよ。」
黒ウォズ「ありがとう。恩にきるよ。」
なんとか押し切れた。とりあえずこれで、しばらくの身の安全は保証された。
サイタマ「で、お前らの名前は?」
黒ウォズ「私はウォズ。そして彼が……。」
ソウゴ「常盤ソウゴ。よろしく。」
サイタマ「ウォッシュ?とソウゴか。俺はサイタマ。よろしく。」
黒ウォズ「ウォズだ。」
ソウゴ「よろしく。サイタマ。」
サイタマ「じゃあ勝手についてこいよ。今から家帰るから。」
無視されるとは。どうやら一筋縄ではいかないようだ。
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ソウゴ「ここがサイタマの家……だよね?」
サイタマ「ああ。」
黒ウォズ「人っ子1人いない……まさにゴーストタウンだね。」
私と我が魔王はサイタマの家があるというZ市までやってきたのだが……どうもZ市は誰も住んでいないゴーストタウンらしい。しかもここにくるまでに2体の怪人に会った。本当に大丈夫なのかと不安になってくる。
サイタマ「嫌なら帰ってもいいんだぞ?てか、帰ってほしい。」
ソウゴ「いやいや、全然大丈夫。おじゃましまーす。」
軋むドアを開けて家に入る。
サイタマ「ただいま。」
すると中から金髪で体が機械のようなもので出来ている男が現れた。
???「お帰りなさい。サイタマ先生……ん?そこにいるのは?」
サイタマ「迷子マフラーのウォッシュと、同じく迷子コスプレイヤーのソウゴ。なんか帰り道がわかんないんだと。」
黒ウォズ「ウォズだ。」
???「それでサイタマ先生の家に押しかけて来たんですか?なんて不躾な……。」
サイタマ「お前も人のこと言えないからな。」
話が飲み込めない我が魔王。
ソウゴ「えーっと…君は?」
ジェノス「俺はジェノス。サイタマ先生の弟子だ。」
サイタマ「俺の家にずっと住み着いてる。」
ソウゴ「そっか、よろしくジェノス。」
ジェノス「先生、もしかしてこいつらも…」
サイタマ「うちに住む。」
ジェノス「なっ……!」
ジェノス君の顔に驚きの色が浮かぶ。
ジェノス「どういうことですか、先生!?まさかこいつらも先生の弟子になったんですか!?」
サイタマ「バカ言え。これ以上負担が増えてたまるか。」
ジェノス「そもそも帰り道がわからないなら交番でもなんでもいけばいいじゃないですか!」
ど正論だ。
サイタマ「俺に言うなよ。なんか交番には行きたくないんだと。」
ジェノス「なんですって…まさか貴様ら犯罪者じゃあるまいな。」
ソウゴ「いやいや、違う違う!そんなんじゃないって!」
サイタマ「とりあえず俺もう出かけるから。飯とかは勝手に食えよ。」
ソウゴ「ん?どっか出かけるの?」
ジェノス「サイタマ先生は武術大会に参加されるんだ。」
ソウゴ「武術大会?」
サイタマ「ああ、強い奴と戦ってみたいんだ。なんか人間怪人とかいうのも暴れまわってるらしいし。」
ソウゴ「人間怪人って何?」
ジェノス「ガロウという、怪人を名乗っている人間だ。ヒーロー狩りをおこなっているらしい。先日、協会からタンクトップマスターがやられたという報告がはいっている。」
ソウゴ「えっと、ヒーローって何なの?なんかさっき戦ってた怪人もS級がどうとかいってたけど。」
全く状況が飲み込めない。わからないことが多すぎる。
ジェノス「知らないのか?ヒーローというのは…」
ジェノスがヒーローのことについてあらかた教えてくれた。
ヒーロー協会のこと、怪人のこと、ヒーローのランクのことそしてサイタマの話……
ソウゴ「へー全然知らなかった。」
ジェノス「本当に何も知らないんだな。ますます怪しいな……」
ソウゴ「ねぇ、もしかしてサイタマとジェノスもヒーローなの?」
ジェノス「ああ。」
ソウゴ「へー。ランクは?」
ジェノス「S級14位…まぁ、ランクにそこまで意味は無いが。」
ソウゴ「へー、すごいじゃん!サイタマは?」
その瞬間、サイタマが一瞬硬直する。
サイタマ「……B級」
ソウゴ「え?なんて?」
サイタマ「B!級!だ!」
ソウゴ「あっああ、そうなんだ……。」
ジェノス「サイタマ先生はランクが実力に見合っていないんだ。正当な評価がなされていない。サイタマ先生は俺が今まで会ったヒーローの中で一番強い。」
サイタマ「ジェノス、別にフォローしなくていいから。」
ジェノス「しかし、先生。」
サイタマ「もう俺出かけるから。行ってきます。」
ジェノス「! 俺も行きます!」
ソウゴ「え?俺たちはどうすれば……」
ジェノス「皿を洗うか、散歩でもしていろ!」
ソウゴ「えっ、ちょ…」
ガチャン!
サイタマ君とジェノス君が出かけ、私とジェノス君だけが取り残された。
ソウゴ「どうしようか?黒ウォズ。」
黒ウォズ「とりあえず町に出てみよう。まだまだ情報が足りないからね。」
ソウゴ「うん、わかった。」
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Z市から出て、色々町を見回ってみて、1時間程経過した。
私たちの世界と比べて大きな違いは無いようだ。
ソウゴ「それにしてもびっくりしたねー。まさか普通の人間が怪人と戦ってるなんて……。」
黒ウォズ「ああ、ここは仮面ライダーの世界では無いのか…?」
???「うわああああああああ!」
突然、どこからか悲鳴が聞こえてくる。
ソウゴ「何だ!?」
市民1「か、怪人だああああああ!」
市民2「こ、こっちにも!」
市民3「ええ!?私も向こうで怪人が出てきたからこっちに逃げてきたのに!」
ソウゴ「黒ウォズ。これって……」
黒ウォズ「ああ……」
どうやら突然、怪人が同時発生したようだ。
ソウゴ「とりあえず、他の人たちを逃がさないと……ん?」
我が魔王が何かに気付く。
黒ウォズ「どうしたんだい?我が魔王。」
ソウゴ「あれって、まさか……」
黒ウォズ「……!ああ……」
次の瞬間、私もその存在に気付く。
黒ウォズ「アナザーライダーだ。」
『キバ』
続く