それでも良いと言う方のみご覧下さい。
では、スタートです!
《6月15日 2人目の「転校生」を投入決定。
満を持して投入する「本命」である。
事前の細かい打ち合わせは不要。
全て付添人の意向に従うべし。》
生徒達が皆帰った夕暮れ時、烏間は上司からのメールに目を通していた。
《了解した。》
6月15日。
この日は朝から生憎の雨。
梅雨入りしたとはいえ雨が降っていると、人の気持ちは冴えないものである。
だからツッコむ気力も削がれるものなのだが…
殺せんせー「はぃ、皆さぁんおはようございまぁすぅ。
前言撤回。
なんであんなパンパンに膨れてんだあのタコ…
龍騎の疑問の正体は、いま教卓の前に立っている殺せんせーにある。
何故だか不明だが、殺せんせーの顔は水風船の如く膨れている。
殺せんせー「先生湿度が高くなるとぉ水分を吸ってふやけるんですぅ」
皆が疑問に思うと、殺せんせーは顔を絞りながら答える。
っていうか生米か!
殺せんせー「それはともかくとして、烏間先生から転校生が来ると聞いてますね?」
前原「あーうん、ぶっちゃけ殺し屋だろうね」
殺せんせー「律さんの時は痛い目を見ましたからね。
先生も今回は油断しませんよ。
しかし、皆さんに仲間が増えるのは嬉しいことです」
殺せんせーはE組に新しい生徒が増えることを喜んでいた。
原「そーいや律は何か聞いてないの?」
律の前の席に座る原が問いかける。
律「はい、少しだけ。初期命令では私と彼は同時投入の予定でした。……ですがその命令は2つの理由でキャンセルされました」
龍騎「キャンセル?何で?」
龍騎が律に疑問を投げ掛ける。
普通に考えれば、政府が派遣する
律「1つは彼の調整に時間がかかったこと。
そして、もう1つは私が彼より暗殺者として
律の言葉に教室中が緊張感を増す。
少なくとも律は殺せんせーの指を飛ばしたE組きっての実力者。
その律が力不足と判断されるほどの力を持つ暗殺者とは一体……
ガラガラガラッ
突如として開いた教室の引き戸…
生徒達は振り返りドアの方に注目した…
………白装束?
入ってきたのは白装束に身をまとっていた性別不明の人物。
あれが転校生か?
すると、白装束の人物はスッと右手を前に出す。
ポンッ!
皆「「「うぉっ!?」」」
鳩が出てきた。
…いや何で?
シロ「ハハハ、驚かせたね。私は転校生ではなく保護者…まぁ白いしシロとでも呼んでくれ。」
シロと名乗った人物は自己紹介を始める。
ていうかなんで手品?
茅野「いきなり白装束で来て、手品やったらビビるよね」
渚「うん、殺せんせーでもなければ誰でもビビるよ」
龍騎「…でもないみたいだぞ、渚」
渚「どういう事?」
龍騎「あれ」
渚の疑問に答えるように龍騎は指を指す。
指された方向に皆が目をやると……
殺せんせー「…………」(・-・)
殺せんせーは天井の隅に避難していた。
っていうかはぐれ〇タル?
倒したら経験値凄い貰えるかな?
三村「ビビってんじゃねーよ殺せんせー!!」
岡島「奥の手の液体化まで使ってよ!!」
殺せんせー「いや、律さんがおっかない話するもので…」
だとしてもビビリすぎだろ。
っていうかあんな奥の手もあったのか。
ホントどんな身体してんだ。
殺せんせー「は、初めましてシロさん。それで肝心の転校生は?」
シロ「初めまして殺せんせー。色々特殊な子でね、私が直に紹介させてもらおうと思いましてね」
そう言うとシロはE組の生徒達を見渡す。
シロ「………」
見渡していたシロはある一点で目を止める。
…なんだ?
殺せんせー「なにか?」
シロ「いや、みんないい子そうですなぁ。これならあの子も馴染めやすそうだ。
では、紹介します。おーいイトナ、入っておいで…」
シロは自分が入ってきた引き戸に目をやる。
しかし、そこに人の気配はない……。
龍騎「……!?後ろだ!!」
ドガンッ!!!
後ろに気配を感じた龍騎が叫ぶと同時に壁がけたたましい音と共に崩壊し煙が舞う。
その煙の中から転校生と思しき少年が入ってくる。
そして何事もなかったかのようにすぐ近くの席に座る。
イトナ「俺は勝った。この教室の壁より強い事が証明された」
いやドアから入れっ!!
シロ「堀部イトナだ。名前で呼んであげて下さい。」
……マトモな転校生居ないのか。
この教室の転校生俺以外ちゃんと登場した奴いないんじゃないか。
まぁそれはともかくとして…
カルマ「ねぇイトナ君。ちょっと気になった事があるんだけど今
カルマがイトナに質問する。
どうやらカルマも俺と
イトナは席を立ち、カルマの元へ歩み寄る。
イトナ「お前はこのクラスで2番目に強い。
けど安心しろ、俺より弱いから俺はお前を殺さない。それから…」
すると今度は俺の元へとやってきた。
イトナ「お前はこのクラスで1番強い。
だがそれでも俺には及ばない。だから殺さない」
龍騎「………」
イトナの挑発とも取れる発言に少しだけ苛立つ。
イトナは殺せんせーの元へ向かった。
イトナ「俺が殺したいのは俺よりも強いかもしれない奴、この教室では殺せんせー、あんただけだ」
殺せんせー「ヌルフフフ、力比べでは先生と同じ次元には立てませんよ」
殺せんせーは呑気に羊羹を食べながら答えた。
……だが次の瞬間、誰もが耳を疑った。
イトナ「立てるさ。だって俺たち血を分けた
全員「「「……き、き、き、兄弟ィィィ!!??」」」
イトナの言葉に誰もが驚きを隠さず叫んだ。
イトナ「負けた方が死亡な、兄さん…」
イトナはそのままシロと共に教室を後にした。
ともあれ兄弟とは驚いた。
しかしどう見ても本当の兄弟とは考えにくい……
それにさっきの壁の破壊……
まさか……
そして時間が過ぎ放課後。
机に囲まれた特設リングの中でイトナと殺せんせーは勝負の準備をしていた。
龍騎「……カルマ」
カルマ「んっ?」
2人の様子を見ていたカルマに話しかける。
龍騎「あのイトナって奴、タコと兄弟って言ってたがどう思う?」
カルマ「…さぁね。でも龍騎の方が分かってるんじゃないの?」
いつもの様に顎を突き上げてそう答える。
龍騎「相変わらず喰えない奴だな…まぁ
桃花「これ?」
俺とカルマの会話を隣で聞いていた桃花が言う。
そんななか、シロは殺せんせーに1つ提案した。
シロ「リングの外に足がついたら死刑というのはどうかな?」
殺せんせー「…いいでしょう。ですがイトナ君、観客に危害を与えた場合も負けですよ?」
殺せんせーの発言にイトナは無言で頷いた。
その様子を見ながら龍騎は話を続ける。
龍騎「今朝見ただろ?アイツに壊された壁を。
幾らボロい校舎とは言っても生身の身体であそこまでするのは無理がある。ところがアイツの身体には傷1つ付いていなかった。
それと雨。外から来たはずなのにアイツの身体は一滴も濡れていなかった。
さらに殺せんせーと兄弟。
この3点から導き出される結論は……」
シロ「暗殺…開始!!」
シュバッ!!
シロの合図と同時に、殺せんせーの触手の1本が切り落とされる。
しかし、生徒達の目は切り落とされた触手ではなく、
桃花「嘘!?」
龍騎「…アイツも殺せんせーと同じ"触手"を使う暗殺者だ」
驚愕する皆の目の前には殺せんせーと同じ触手を頭から生やしたイトナ。
カルマ「なるほどねぇ、殺せんせーと兄弟って言ってたのもこれで合点がいくね」
龍騎「あぁ、これで確定だ。流石のタコもビックリしてんじゃ…」
言葉を途中で切り上げた龍騎。
その視線の先では……
殺せんせー「…どこで手に入れた
……その触手をぉぉぉぉぉ!!」
殺せんせーの顔は、真っ黒に染まっていた。
初めて見たとしても分かる。
殺せんせーは激怒している。
……いや、激怒で済むレベルではないな。
シロ「君に言う義理はないね。しかしこれで君とイトナが兄弟という事が分かったろ?」
殺せんせー「…どうやらあなたには聞かなければならない事があるようだ」
殺せんせーの腕が、再生した。
シロ「聞けないよ……だって君は死ぬからね」
カッ!!!
次の瞬間、シロの手元が光る。
殺せんせー「にゅっ!?」
皆「!?」
シロ「この光を近距離で浴びたら、君の身体は一瞬硬直する。
身体が動かなくなる……戦いの場でそれが意味する事……わかるよね?」
それに呼応するかのようにイトナの触手攻撃が、殺せんせーの体を貫く。
村松「殺ったか?」
龍騎「…いや、上だ」
龍騎の言葉に皆が視線を上に向けると、殺せんせーは天井へ回避していた。
イトナが攻撃していた場所には脱皮した抜け殻のみが残る。
シロ「なるほど脱皮か。そんな手もあったな。
……でもその脱皮には弱点があるんだよ」
イトナの触手攻撃は、まだまだ続く。
シロ「脱皮と腕の再生直後では、相当なエネルギーを消費する。
この時点での身体的パフォーマンスはほぼ互角。
そして触手を破壊された事による精神的負担。
どちらが優位かは一目瞭然」
殺せんせー「くっ………」
殺せんせーは辛うじて攻撃は防ぐが、再びシロの服から圧力光線によって、殺せんせーが一瞬硬直する。
すかさずイトナが殺せんせーに触手のラッシュを加える。
イトナの猛攻に殺せんせーの触手が2本3本と斬られている。
シロ「さて、触手が再生したところで、そろそろ死んでもらうよ……殺せんせー」
なんでだろう……
殺せば地球が救われる…
俺たちにとってはそれが1番のはず…
なのに…
なのに何でこんなに悔しいんだ…
後出しジャンケンみたいに来た奴に殺させたくない…
しかし、これは2人が合意した上での戦い…
横入りする事は許されない…
龍騎は自分の無力さに拳を握りしめる。
シロ「殺れ、イトナ!」
さっきとは段違いに威力のあるイトナの攻撃が、殺せんせーを襲う。
しかし……
やられたのはイトナだった。
殺せんせーを攻撃した触手は溶解液をかけたかの様に溶けていた。
そして、床には緑色のナイフが散らばっている。
殺せんせー「おや?こんな所に落し物がありますねぇ」
桃花「あれ?あれは……えっ、無い!?」
桃花は制服のポケットに入っているはずのナイフを探すが、何処にも無い。
他の者も同様のようだ。
龍騎「対殺せんせー用ナイフ……そうか!」
桃花「どうしたの?」
龍騎「どういう経緯かは知らないが、
同じ細胞を持っているんなら…弱点も同じのはずだ!」
イトナ「ぐっ………」
まさか触手が破壊されるとは思っていなかったイトナは目に分かるぐらい動揺している。
……ついでにテンパる所も同じだな。
次いで殺せんせーは自分が脱いだ抜け殻でイトナを包む。
そして……
殺せんせー「これで、終わりです」
イトナは窓をぶち割り、外へ放り出された。
しかし抜け殻に包まれているためダメージはなさそうだ。
殺せんせー「先生の勝ちです。ルールに従えば、イトナ君は死刑です。もう先生を殺せませんねぇ。
生き返りたいのなら、このクラスで皆と一緒に学びなさい
この教室で学ばなければ君は私には勝てませんよ」
イトナ「勝てない……俺が……弱い…………
ぐあああああああああ!!!」
敗北したことに腹が立ったのか、触手が暴走する。
イトナの目は真っ赤に染まり、触手は黒色へと変化する。
龍騎「……ちっ」
イトナ「がああ!!!」
イトナが狂気の出で立ちで殺せんせーへ向かう……
ドガンッッッ!!!
イトナ「ぐぁ!?」
殺せんせー「にゅ!?龍騎くん!?」
龍騎「……残念だがここまでだ」
かに見えたが、窓から教室内へ戻ってきた所で龍騎により取り押さえられ、乗し掛られるようにうつ伏せになっている。
イトナ「ぐっ……!!」
必死の抵抗を見せようとするも、寝技で押さえ込まれている。
柔道のルールに則るならば相手に背中をつけさせなければならないがそうも言ってられない。
龍騎「悪いとは思ったが横入りさせて貰ったよ。
お前の気持ちは分かるがルールに則り負けたんだ。
第一、いまのお前はどう見てもまともに戦える状態ではない。
その証拠に俺に簡単に抑え込まれてるし、触手も制御出来ていない。
このまま戦っても結果は同じ……大人しく認めろ
それに、今のままで戦われちゃ皆を傷つけちまう」
桃花「………」
殺せんせー・烏間「………」
イトナ「ぐっ……ぐあああ!!」
龍騎の言葉が聞こえていないのか、なおも足掻こうとするイトナ。
龍騎「さてと、シロさんでしたっけ?
早くコイツをなんとかして下さい。
そう長くは持たないですよ」
シロ「……分かってるよ」
プシュ!
イトナの首筋をレーザーのような物が貫く。
その瞬間、イトナは足掻くのをやめ意識を失う。
シロ「すいませんね殺せんせー。どうやらこの子は登校できる精神状態でないようだ
転校初日に申し訳ないが、休学させて貰うよ
それと君、迷惑をかけたね」
シロが近付くと、龍騎はイトナの拘束を解き、引き渡す。
殺せんせー「待ちなさい!担任としてその生徒を放っておけません
それに貴方にも聞きたい事が山ほどあります」
破壊された触手を再生した殺せんせーがシロに詰め寄り、立ち去ろうとするシロの肩を掴む。
ジュッ!
殺せんせー「にゅっ!?」
その瞬間、殺せんせーの触手は先程のイトナ同様溶解液をかけたかのように溶ける。
シロ「嫌だね帰るよ。それに心配せずともすぐ復学させるよ。
私が責任持って家庭教師を務めてね」
そう言い残し、シロはイトナを担いで去っていった。
シロが去ってしばらくして、生徒たちはリング代わりにしていた机や椅子を元の位置に戻していた。
龍騎「ふー、こんな所かな」
渚「だね、それよりも龍騎くん大丈夫なの?
イトナくんを押さえ込んでいたけど」
龍騎「まぁな、制御出来ていないとはいえ力は尋常じゃなかったから正直やばかったけど………
それよりも
渚「あぁ…あれねぇ……」
龍騎と渚が呆れた目で見る先には…
殺せんせー「恥ずかしい、恥ずかしい……」
教卓の前で顔を覆った赤面顔の殺せんせーがいた。
龍騎「なんであんな状態になってんだ?」
岡野「なんか掴み所のない天然キャラで売っていたのにシリアスな展開にしてしまったのが恥ずかしいんだって」
さっきまで殺せんせーの近くの机を直していた岡野が教えてくれた。
っていうか自分で天然キャラとかいってんじゃねぇよ、腹立つな。
龍騎「まぁ天然だのシリアスだのはさておき……
アンタ…一体何なんだ?」
龍騎が問いかけると、教室が静まり返る。
殺せんせーと初めて対面して以来、クラスの全員が思っていた疑問だろう。
静まり返った教室に聞こえるのは、外で降っている雨の音のみ。
殺せんせー「……仕方ない。実は先生…
人工的に造られた生物なんです!!!」
全員「「「………でしょうね………で?」」」
衝撃の事実とばかりに発表した殺せんせーを他所に、クラス全員の反応は薄い。
まぁそりゃそうなるわな。
殺せんせー「反応薄っ!?これは衝撃的な告白じゃないですか!?」
龍騎「俺たちが知りたいのはアンタが何の目的で生まれて、なんでここに居るのかだよ」
埒があかなくなったのか、龍騎がクラス全員の真の疑問を投げ掛ける。
殺せんせー「……残念ですが、ここで話したところで何の意味もありません。
地球を殺れば何にもなくなりますし、あなた達が私を殺せば私の過去を知ることなんていくらでもできる」
龍騎「…何が言いたい」
生徒たちの沈黙を破るように龍騎が聞く。
殺せんせー「わかるでしょう……私を殺してみなさい。
暗殺者とターゲット、それが先生と君達を結びつける"絆"です。
答えを知りたいのなら……君達は殺して知るしかないのです!」
龍騎「………」
龍騎「烏間先生」
烏間「ん、どうした?」
放課後、1人でいた烏間の元に龍騎が訪れる。
龍騎「お願いがあります……俺に稽古をつけてくれませんか?」
烏間「……理由を聞こうか」
龍騎「…このクラスに編入してから1ヶ月あまり経ちました。
でもその間、俺はこの環境に浸かり過ぎていたのかもしれません。
もちろん悪い意味ではありませんが。
…そして今日、アイツらが現れて思い出したんです。
俺たちは先生を殺す"暗殺者"なんだって…
しかし、アイツを殺すには俺はまだまだ弱い。
実際今日もイトナを押さえつける事は出来ましたが、アイツが万全の状態だったらやられていたのは俺でした。
だから強くなりたいんです。
そして…
"皆を守れる"…そんな人間に俺はなりたいんです」
龍騎のいつにない真剣な眼差しが烏間に突き刺さる。
烏間「…編入してからの君を見ていて思っていた事がある。
今、君は"皆を守れる"と言ったな?
先程といい修学旅行の時もそうであったが、君は過剰すぎるほど誰かを或いは何かを守ろうと必死になっているように思える。
しかし、俺にはそれが"正義感"から来るものでなく、君が自分自身の
……君の"根底"にあるものはいったい何だ?」
烏間の鋭い視線が龍騎に突き刺さる。
龍騎「………」
烏間の質問に珍しく口をこもらす。
烏間「…まぁいい、稽古の件は了解した。
強さを求めるのは何も悪い事ではないからな。
しかし、何れは君の方から話してくれるのを待っている」
龍騎「…ありがとうございます」
烏間に一礼してその場を立ち去ろうとした時、
磯貝「龍騎」
龍騎「んっ、磯貝…それに皆も」
龍騎は自身の名を呼ぶ声の方を向くと、そこには磯貝や桃花たちの姿があった。
龍騎「どうしたんだ、大勢集まって?」
倉橋「なんか龍騎くんが真剣な表情で教室を出て行ったのを見て心配で付いてきたんだよねぇ桃花ちゃん?」
桃花「ひ、陽菜ちゃん!それ言わない約束でしょ///」
慌てて倉橋の口を防ごうとする。
龍騎「……さっきの話聞いていたのか?」
前原「んっ?いや、烏間先生となんか話してんのは見えたが、会話までは聞こえなかったぜ。何の話してたんだ?」
どうやらさっきの話は皆は聞いていなかったようだな。
龍騎「そうか。ならいい」
磯貝「いや良くはないだろ。ちゃんと話せよ」
龍騎「あぁそうだな。悪い悪い」
龍騎は先程までの烏間との話を皆にする。
最後の部分を伏せて…
磯貝「…なるほどな。どうやら考える事は
龍騎「同じ…って事は」
すると磯貝が俺の横を通り過ぎて烏間先生の前に立つ。
磯貝「烏間先生。俺たちにも教えてくれませんか。
暗殺の技術を…」
前原「今日のイトナを見て思ったんだ。
他の誰でもない…
俺たちの手で殺りたいんだって…」
片岡「だから限られた時間で殺れる限り殺りたいんです。
私たちの担任を…」
磯貝、前原、片岡と続き桃花も口を開く。
桃花「今まで暗殺しろとか言われても何処か他人事だったんです。
どうせ誰かがやるんだろうって…
でも、今日で全て変わりました。
殺せんせーを殺してまだ何も見えない答えを見つけたいって…
それに私強くなりたいんです。
誰かに守って貰うだけでなく……
"大切な人を守れる"…そんな人間に私はなりたいんです!」
龍騎「………」
磯貝「だからもっと教えてください。暗殺の技術を!!」
E組生徒たちの熱い視線が烏間に突き刺さる。
烏間「……意識が変わったな。
いいだろう、放課後希望者を対象に追加で訓練を行う!」
全員「「「はいっ!!」」」
◇ ◇
前原「よっしゃ気合が入るぜぇ!!」
龍騎「………」
そんな皆を龍騎はひどく落ち着かない気分で見つめる。
桃花「龍騎くん」
龍騎「…何だ?」
そんな龍騎の横から桃花が前触れもなく話し始める。
桃花「実はね皆の前であんな事言ったけど、私が殺せんせーを殺せないのは私自身が1番分かってるの。
だからあれは嘘になっちゃうのかな?
でも、最後に言ったのは私の本当の気持ちだよ。
龍騎くんに初めて会った時から今日まで事あるごとに私を守ってくれて本当に嬉しかった。
けど……それじゃ駄目なんだって気付いたんだ。
大切な"誰かさん"に守られるだけでなく、私も大切な"誰かさん"を守ってあげたい……
それが今私の出来る精一杯の事なんだと思うんだ♪」
そう言い満足そうに顔をほころばせる。
桃花「そ、そういう訳だから私も本当に頑張るからね!
ほ、本当に本当に頑張っちゃうんだからね!!///」
そのまま突風の如く走り出し遥か彼方へと消え失せる。
龍騎「…守られるだけでなく守ってあげたい…か」
烏間「君はどう思った?」
話を聞いていたのか烏間先生が俺に話しかける。
龍騎「……どうなんですかね」
烏間「……皆変わろうとしているんだ。
君も"変わらなければならない"んじゃないのか?」
それだけ言い残し烏間先生は去っていった。
変わらなければならない…か…
何なんだろうな…
龍騎は雲の合間から顔を覗かせる青い空を見上げた。
いやぁイトナの転校といい、殺せんせーの正体といい、E組生徒の意識の変化といい選り取りみどりとはなっている筈なのに、話がめちゃくちゃになってしまいました。
読者の皆さんどうもすいません!!
しかし、龍騎の考えは立派に思えるけど、ある意味では自己を顧みたい非常に危険な考え方ではありますよね。
ほんのちょっぴり心配…
でも彼を動かしているものとは何なのか…
次回もお楽しみに!
次回:球技大会の時間