すいません…何でもありません。
では、スタートです!
審判「プレイボール!」
試合前の一悶着も終わり、E組の先攻で試合が始まる。
1番バッターは
ここで遅ればせながらE組のスターティグラインナップをご紹介しておこう。
1番 サード 木村
2番 キャッチャー 渚
3番 ショート 磯貝
4番 ピッチャー 杉野
5番 センター 龍騎
6番 セカンド 前原
7番 ライト 岡島
8番 DH 千葉
9番 レフト カルマ
10番 ファースト 菅谷
※何でか知りませんが打順が10番まで有りました。
実況「さぁ一回表、E組の攻撃です。野球部のエース進藤君の前にどう足掻くのか?さっさと負けを認めた方がいいんじゃないかぁ?」
〈ハハハッ〉
実況付きとはえらく豪勢だな。
まぁ当然
バシッ!
審判「ストライク!」
ピッチャー進藤が投げた球がキャッチャーミットのど真ん中に収まる。
磯貝「流石にでかい口叩くだけあって速いな」
杉野「そりゃ140㎞出てるからな。中学生じゃ打つのは容易じゃないよ」
龍騎「確かにな…だがそれは
龍騎は不敵な笑みを浮かべる。
磯貝「だな。それに俺たちにはもっとでかい敵がいるんだ。
こんな所で躓いてちゃあの先生は殺さない。
俺たちは…俺たちの戦いをやろう!」
杉野「おぅよ。んで、そんな俺たちの敵の指示は何だ?」
殺せんせー「ヌルフフフ」
俺たちが殺監督を見ると、赤→紫→ピンクの順に変色する。
木村「りょーかい」
実況「さぁ見事な球を投げた進藤くん。バッター木村に対し第2球を投g!?」
コンッ
進藤「なっ…バント!?」
意表を突かれた野球部は初動の反応が遅れ木村は悠々セーフ。
進藤「くっ…小賢しい真似を」
磯貝「いいぞナイスバント!続けー渚!」
2番は渚。
ピッチャーの杉野とよくキャッチボールをしているということでマスクを被る。
そんな渚に対する殺監督の指示は…
コンッ
再びバントだった。
これも上手く決まりセーフ。
殺せんせー「ヌルフフフ。強豪と言えども中学生。
バント処理はプロ並みとはいかないでしょうね」
〈お、おいおい…なんか空気になってきたぞ…〉
試合を観戦していた本校舎生徒たちの間に動揺が広がる。
前原「へっ!こちとらあの
コンッ
そして3番磯貝による三度のバント攻め。
これもセーフとなり、無死満塁となる。
前原「よっしゃあ!続け杉野!!」
杉野「おうよ!」
4番はピッチャーの杉野。
何よりこの試合に勝ちたい気持ちは杉野は誰よりも強いからな。
進藤「な…何なんだコイツら」
動揺を隠しきれない進藤は杉野に対しボールを投げる。
杉野「確かに武力ではお前には敵わねぇ。けどたとえ弱者でも狙いすました一差しで巨大な敵にだって立ち向かう事が…
出来る!!」
カキーーーン!!
杉野の打った白球は右中間を深々と破り、走者一掃のタイムリースリーベースだ。
杉野「よし!頼んだぜ神道!!」
龍騎「任しとけ」
杉野に続くは5番バッターの龍騎。
その龍騎がバッターボックスに入ると…
?「あっ!男子勝ってるよ!」
何処からともなく聞こえた聞き覚えのある声。
見るとバスケの試合をしていた女子たちが集まっていた。
中村「おっ矢田ちゃん!ちょうど
なんか言ってやんなよ〜」
桃花「だ、旦那って///」
中村に押されて桃花が前に出てくる。
桃花「えっと…その…う…打って!!」
龍騎「あぁ…ドデカいの行くぞ」
女の子に応援されたとあっちゃ打たない訳にはいかないな。
進藤「くっ…くそぉぉ!!」
進藤は格下に見ていた杉野に打たれた事に苛立ちながら龍騎に怒りに任せた一投を放じる。
進藤「しまった!?」
杉野「危ねぇ!?」
怒りに任せたためか進藤の投げた悪球は龍騎目掛けて突き進む。
このままでは頭部への直撃は必至だ!
だが……
龍騎「ふんっ!」
ガキーーーーーーーン!!!
全員「「「はっ!!??」」」∑(゚Д゚)
自分の頭目掛けて突き進むボール。
それを龍騎はまるで
そしてボールは
龍騎「おぉー飛んだ飛んだ♪
んで杉野?さっき何か言わなかったか?」
杉野「…いや、何でもねぇ」
磯貝「ほ…ホームランだ!!」
全員「「「よっしゃあーーー!!」」
進藤「ば…馬鹿な」
失投とはいえ自分の球を有り得ない打ち方で、しかも有り得ない距離まで飛ばされた進藤はマウンドに崩れ落ちる。
そんな進藤を気に止める事もなく悠々とダイヤモンドを一周し、ベンチへと戻ってきた。
杉野「んだよ、俺の良いとこ全部持ってくんじゃねぇよ」
龍騎「えっ?だってお前「頼んだぜ」って言ってたじゃねぇか」
杉野「そういう事じゃねぇよ…まぁいいわ。
ナイスホームラン神道!」
龍騎「お前もナイスタイムリー杉野!」
バチンッ!!
2人はハイタッチを交わす。
一方、所変わってこちらは女子陣。
桃花「……カッコいい」
桃花はベンチに帰ってきた龍騎を見つめる。
中村「こりゃ更に惚れちゃうねぇ〜………
……矢田ちゃん?」
桃花「………」(*´∇`*)
片岡「……聞こえてないわよ莉桜」
中村「……こりゃ重症だわ」
そんなやり取りがあったとかなかったとか…
磯貝「ともかくこれで5-0だ!これだったら行けるぞ!」
磯貝たちが盛り上がっていると…
カルマ「…ねぇ龍騎」
龍騎「…あぁ分かってる」
盛り上がる一同を他所に2人の視線は相手ベンチに釘付けになっていた。
龍騎「早くも出てきたな…
2人の視線が指すもの。
それは学園の創始者でE組にとっての天敵でもある理事長であった。
カルマ「まぁ理事長が出てきたとしても5-0。
何とか逃げ切れるんじゃない?」
龍騎「…だといいがな」
その後、野球部監督が病気(?)であると分かり、理事長が代理監督を務めることとなり、今はマウンド上で円を組んでいる。
そして円を解くと、野球部の面々の顔は目に見えて"変わっていた"。
そう…理事長の手によって"変えられた"のだ。
進藤「ぬうぅん!!」
バシーーーン!!
先程とはうって変わり、進藤の球威は明らかに上がっていた。
岡島「やっべぇな。アイツまじで来てんぞ」
龍騎「あぁ。しかもそれだけじゃない」
先程のE組の執拗なバント攻撃に対抗してか、野手が全員前進守備を敷いている。
そう、
磯貝「流石に見抜かれてるな」
岡島「でも駄目だろ、あんな至近距離で!」
カルマ「ルール上ではフェアゾーンならどこ守っても自由だよ。
ま、審判が注意すれば話は別だけど…」
龍騎「当然審判も
到底期待できないな」
前原「クソッ!どうすんだよ殺監督?」
頼みの殺監督はというと…
白(・_・)→白…(-.-:)→白……(~_~|||)
打つ手なしかよっ!!
その後、完全に復活した進藤の前にE組打線は完全に沈黙し攻撃を終えた。
しかしE組とて負けてはいない。
エース杉野の見事な変化球に野球部打線のバットが次々と空を切る。
龍騎「いいぞ。これなら何とか最終回まで持ちそうだな…んっ?」
センターを守る龍騎はふとレフトを守るカルマの方を見る。
その足元には殺監督がひょっ◯りはん宜しく顔を出している。
龍騎「何してんだあの2人?」
この回杉野は野球部打線を三者凡退に抑えて打席には9番のカルマが入る。
カルマ「ねぇこれってずるくない?」
バッターボックスに入る前にカルマが何やら抗議する。
理事長「…何がだね?」
カルマ「こんだけ邪魔な守備してんのに審判も何も注意しないなんてさぁ皆も変だと思わない?
あーそっかぁ、
ブチッ!
グラウンド周辺の彼方此方からそのような音が聞こえたような気がした。
そして…
〈小せえ事でガタガタ言うなE組!!〉
〈文句あんなら勝ってから言え馬鹿が!!〉
何してんだアイツは……
いや……なるほどな……
進藤「はぁぁぁっっっ!!!」
グワラキーーーーーン!!!
2回の攻撃を無得点に終わったE組は次の野球部先頭打者の進藤が放った打球はセンターを守る俺の頭上を
っていうかなんつぅ打撃音だよ。
どっかの葉っぱ咥えた関西弁バッターじゃあるまいし。
これで火がついたのかこの回野球部は一挙3点を奪った。
次の回でももはやプロでも打てないんじゃないかと思われる豪速球で杉野以下のバッターを捩じ伏せる。
そして迎えた野球部最後の攻撃。
だが、ここでバッティング以外の
コンッ
杉野「あっ!?」
素人に対してまさかのバント攻撃を仕掛けた。
野球部ですら手こずっていたバント処理。それを野球素人が捌ける訳もなく悠々セーフとなる。
まぁコッチが先にやった手だ。向こうは大手を振って使えるって訳だ。
その後も先程の仕返しとばかりに執拗にバント攻撃をする野球部。
一死満塁の一打サヨナラの場面で打席には…
進藤「踏み潰してやる…杉野…神道ォォォ!!」
そこにはもはや鬼と化した進藤。
っていうか理事長の洗脳教育ってあそこまでなるのか?
なんかヤバイ薬とか使ってねぇよな?
ここで一度E組ナインがマウンドに集まる。
杉野「どうする?やっぱり進藤は敬遠するか?」
磯貝「押し出しで1点差にはなるが背に腹はかえられないな…」
龍騎「いや、その必要はない」
敬遠で固まりかけた皆を龍騎が止める。
前原「とは言ってもよぉあんな鬼みたいな奴どうすんだよ?」
龍騎「その鬼を退治するために
俺はマウンドの外で立っていたカルマに聞く。
カルマ「殺監督の指示でね」
磯貝「それでどうするんだ?」
カルマ「それはねぇ…」
実況「さぁ試合再開です。打席には進藤くん!
E組の悪巧みもここまでかぁ!?
………あ?……な、何だこの前進守備は!?」
実況が驚くのも無理はない。
進藤の文字通り目の前には本来居るはずのない外野手の龍騎とカルマの姿があった。
野球部の前進守備を今度はE組がやり返した形だ。
カルマ「明らかにバッターの集中を乱す位置にいるけど…」
龍騎「さっき
龍騎・カルマ「「文句はないな(ないよね)理事長?」」
俺とカルマは挑発するように理事長に指を立てる。
理事長「ご自由に…選ばれた者はこれしきで乱れない」
まぁあの理事長なら当然の反応だな。
龍騎「んじゃあお言葉に甘えるか?」
カルマ「そうだね」
その位置で試合再開するかと思いきや2人は更に近づいた。
いやもはやゼロ距離だ。
バットを振れば確実に骨を折れる位置に2人は立った。
カルマ「気にせず打てよスーパースター」
龍騎「俺たちは鬼退治に来た桃太郎一行だ。
あと杉野の球は邪魔しないから安心しろ」
カルマ「桃太郎一行って事は俺が桃太郎で龍騎は猿ってところ?」
龍騎「猿は岡島だろ?"エロ猿"ってよく言うだろ?」
カルマ「なるほどねぇ、んじゃあ猿は岡島って事で♪」
進藤「………」( ゚д゚)
先程の鬼の形相は何処へやら。
目の前に悠々と立ち、おまけに意味不明の会話をする2人。
もはや思考停止に近かった。
理事長「下らないハッタリだ、構わず振りなさい。
当たっても打撃妨害を取られるのはE組だ」
進藤「ぐっ…」
杉野の放った1球目をワザと大振りして空振りする。
俺たちをビビらす為だろうな。
だが…
龍騎・カルマ「「遅いな(ね)」」
ヒュッ
これを難なく交わして見せる。
殺せんせー「あの2人はE組でもトップクラスの運動神経と動体視力を持っている、あと度胸もね。
バットを交わすくらいなら造作もないでしょう」
カルマ「駄目だよそんな遅いスイングじゃ…」
龍騎「俺たちにはカスリもしねぇぞ。
次は…本気で
進藤「ひぃ……」
この時点で進藤の身体は理事長の戦術に付いていける状態ではなくなった。
そして…
進藤「う…うわぁーーー!!!」
コツンッ
杉野の放った2球目を辛うじてバットに当てる。
カルマ「よっと…渚くん!」
それをカルマがキャッチすると渚に渡しワンアウト。
磯貝「三塁!」
渚からサードの木村に渡りツーアウト。
杉野「一塁だ!ランナー走ってねぇからゆっくりでいいぞ!」
本来一塁へ走らなければならない進藤は腰が抜けたのかその場で尻餅を着いていた。
木村「りょーかい!」
サードの木村の投げたボールはワンバウンド、ツーバウントしファーストの菅谷のグラブに収まりスリーアウト。
審判「ア、アウト!ゲームセット!!」
全員「「「やったーーー!!!」」」
劇的な(?)トリプルプレーで幕切れとなったエキシビションマッチ。
勝利したE組は喜びを爆発させる。
進藤「………」
杉野「進藤」
しゃがみ込んだまま動かない進藤に杉野が声を掛ける。
杉野「ゴメンな、滅茶苦茶な試合しちまって。
でもこれでお前に勝ったなんて思ってねぇからよ」
進藤「…だったら何でここまでして勝ちに来た?
俺より強いと思わせたかったんじゃなかったのか?」
龍騎「それはちょっと違うな」
進藤「神道…」
龍騎「話の途中だが邪魔するぞ。
進藤。試合前に俺がお前の事を『井の中の蛙大海を知らず』って言ったの覚えているか?」
進藤「…それがどうした?」
龍騎「実はあれには後に続きが作られていてな…
『井の中の蛙大海を知らず…されど空の深さを知る』って続くんだ。狭い世界にいたとしても、空が雄大だと知ることができるって意味だ。
まさに
進藤「…どう言う意味だ?」
龍騎「俺たちはあのオンボロ校舎の隔離された空間でしか世界を知らなかった。
だが今日のため各々練習を積み重ねたんだ。
杉野は変化球を磨き、
渚はそれを捕れるように、
磯貝たちはお前の球をバント出来るよう頑張った。
まぁ途中からは手も足も出なかったがな。
しかし今日勝った事でそれが無駄じゃなかったということが証明された。
お前のお陰で今までのE組では味わう事が出来なかった"勝つ"という世界を知ることが出来た。
だから蛙のエースなんて言って悪かったよ。
ま、要するに野球センスなら俺よりお前の方が圧倒的に上って事だ」
進藤「…フッ。俺から特大の…しかもあんなフォームでホームラン打った奴に言われても嫌味にしか聞こえねぇよ。
…次やる時は覚悟しろよ。絶対俺が勝つからな!」
龍騎・杉野「おぅ(あぁ)!」
桃花「もぅ〜どこ行ったの?」
エキシビションマッチが終了し静けさを取り戻した本校舎で桃花は誰かを探していた。
桃花「せっかく今日の祝勝会をしようと思ってたのに……あっいた!おーい龍騎k…」
殺せんせー「ヌルフフフ、お疲れ様でした。」
やっと見つけた龍騎に声をかけようとした桃花は殺せんせーが居ることに気付きサッと身を隠す。
桃花「龍騎くんと殺せんせー?何してるんだろ?」
龍騎「そっちもお疲れさん殺監督。
んで、今日の結果はどうだったんだ?」
殺せんせー「それを言う前にまず君の感想から聞きましょうか?」
龍騎「…正直悪くはなかったよ。
カルマや杉野、磯貝たちが居なけりゃ絶対に勝てなかった。
まだ胸の靄は取れてねぇけどな。
…でもいつかこの靄が取れると信じてるよ」
殺せんせー「ヌルフフフ、宜しい!
君への"特別課題"は合格としましょう。
しかし満点にはまだまだ程遠い。
君のこれからを期待して見せて頂きますよ!」
龍騎「手厳しいこったな。
お手柔らかに頼むぜタコ」
殺せんせー「ニュヤ!龍騎くん!!
先生はタコではありませんよ!!」
龍騎「俺にはどっからどう見てもタコにしか見えない」
桃花「ふふっ。何だが良く分かんないけど元気になったみたいで良かった♪」
しかしこれより後。
そんな龍騎を"変えてしまう"事が起こるなど今は誰も知る由がない………
いやぁ終わりましたねぇ球技大会。
もうちょっと短く纏まるかと思っていましたが、大雑把に書くことも出来ず少々長くなってしまいました。
あと補足ですが、龍騎がスタメンに入った事により作者の敬愛する"キノコディレクター"こと三村くんにはベンチに入ってもらいました。
哀れ三村、永遠に眠r…
三村「だから死んでねぇって!!」
では次回もお楽しみに!
次回:才能の時間