神道龍騎の暗殺教室   作:空はあんなに青いのに・・・

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サラッと再開です。


23.才能の時間

ーーー龍騎sideーーー

 

暗殺訓練が始まって4ヶ月目に入るが可能性のありそうな生徒が出てきた。

 

まずは磯貝悠馬と前原陽斗。

運動神経が良く2人掛かりなら俺にナイフを当てられる回数が増えてきた。

 

一見やる気のなさそうだが、強い悪戯心が宿っている赤羽カルマ。

 

女子では岡野ひなた。

体操部出身という事もあり、持ち前の身体能力で意表を突いた動きが出来る。

 

最後に男子顔負けのリーチと運動量を誇る片岡メグ。

 

この辺りがアタッカーとして期待が出来る。

そして…

 

桃花「えいっ!」

 

矢田桃花。

先の5人に比べると際立った力こそ無いが、彼女の中には誰にも負けたくないという気構えが感じられる。

 

そして殺せんせー…彼こそ俺の理想とする完璧な教師。

あんな教師を殺すなんて俺にはできn

 

烏間「人の思考を捏造するなターゲット!!

 

殺せんせー「ヌルフフフ、良いところだったのに」

 

龍騎「何してんだあの2人は?」

 

今日も変わらず暗殺の訓練が行われている。

皆日々の訓練の中で自分の成長を感じているようだ。

 

前原「いやぁ2人掛かりで1発当てるのが精一杯だな」

 

磯貝「でも徐々に烏間先生を追い詰めている感触は出始めている」

 

岡野「この調子だったら殺せんせーの暗殺だって夢じゃないよ!」

 

片岡「そう思えるのも私たちが成長しているっていう事よ」

 

口々に自身に漲った言葉を言う。

 

カルマ「でもさぁあれ(・・)と比べるとどうなんだろう?」

 

磯・前・岡・片「…うん、あれはほぼ人外(・・)だから」

 

烏間「ふんっ!

 

龍騎「はぁっ!

 

バキッ! ドコッ! ガシッ!

 

5人が見つめる先では烏間と龍騎は1対1で戦っている。

しかしその手にはナイフは握られておらず、拳と蹴りでの格闘が行われている。

さらに前回とは異なり、龍騎たっての希望により双方の攻撃が認められている。

 

龍騎「うりゃ!」

 

烏間「上手く身体を回転させたな…だが甘い!」

 

龍騎「痛っ!?」

 

龍騎は手痛いフックを浴びダウンする。

 

烏間「君の弱点は腋下だな。他の部分をガードしようとする余り疎かになっている。だが着実に弱点は無くなりつつある」

 

龍騎「イツツ…これで烏間先生が10勝、俺が7勝(・・)ですね。

また差をつけられましたよ」

 

全員「「「いや、7勝してる時点で充分だろ!?」」」

 

龍騎「何言ってんだよ?烏間先生に全勝(・・)出来なきゃあのタコは殺せねぇだろ」

 

前原「いやまぁそうなんだが…」

 

磯貝「何だが最近妙に気合入ってんな龍騎の奴」

 

岡野「何かあったのかな?」

 

片岡「桃花は何か知らない?」

 

片岡がそばに居た桃花に聞く。

 

桃花「さぁね。でも元気になったのなら私はそれで良いよ♪」

 

片岡「?」

 

桃花は龍騎を見ながら笑顔で答える。

 

龍騎「さてと、どうすりゃ烏間先生に勝てるかなぁ……!?

 

 

ドガンッ!

 

 

言い知れない"気配"を感じた後に聞こえた衝撃音。

振り返ると渚が押し倒されていた。

 

渚「痛たた…」

 

烏間「す、すまん。強く防ぎ過ぎた。大丈夫か?」

 

渚「あっはい、大丈夫です」

 

杉野「バッカでー、ちゃんと見てねぇからだよ」

 

〈ハハハッ〉

 

龍騎「…烏間先生」

 

俺は額に汗をかいた烏間先生に近づく。

 

龍騎「いま本気で(・・・)防ぎましたね?

…それにさっき感じた"気配"は一体…」

 

烏間「…俺にも分からん。だが()には自覚症状が無かったようだな」

 

龍騎「…そうですか。渚…お前は一体…」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

倉橋「烏間先生〜この後皆でお茶しようよ〜♪」

 

烏間「すまんがまだ仕事が残っていてな」

 

倉橋の誘いに社交辞令的な断りを入れる烏間先生。

俺にはあんなこと言ってたが、烏間先生も俺たちとの間に壁を作っているように思えるんだよなぁ。

 

?「よっ!烏間」

 

聞き慣れない声を方向を見るとそこに立つ大柄な男。

っていうかどんだけ荷物抱えてんだよ。

 

烏間「…鷹岡か」

 

どうやら烏間先生の知り合いみたいだな。

ということは防衛省の関係者か?

 

鷹岡「よっ!お前らがE組の生徒か。

俺は鷹岡ってもんだ。今日から烏間の補佐になったからよろしくな!

あとこれは土産な!」

 

そういうと鷹岡は大きな荷物を下ろす。

すると中にはデザートが山の様に入っていた。

 

磯貝「い、良いんですか?こんなにいっぱい」

 

鷹岡「おう食え食え!俺の財布を食うつもりでな」

 

渚「そういえば烏間先生の補佐って言ってましたけど体育の授業ですか?」

 

鷹岡「まぁ烏間の負担軽減って言ったところか。

明日からビシバシ行くから覚悟しろよ!

だが今日は懇親会だ。好きなだけ食って俺を破産させてみろ!

あと、俺の事は"父ちゃん"って呼んでくれ!」

 

全員「「「いただきまーす!!」」」

 

鷹岡の人間性に警戒心を解いた皆がデザートに齧り付く。

特に磯貝と原が……

 

龍騎「………」

 

その様子を遠巻きに眺める。

 

桃花「龍騎くんどうしたの?食べないの?」

 

そんな俺に気づいたのが桃花は話しかけてくる。

 

龍騎「いや俺はいい」

 

桃花「……何かあった?」

 

桃花は憂わしげな表情を浮かべる。

 

龍騎「…心配すんな、桃花は食べてこいよ。美味そうだぞ」

 

桃花「…じゃあ私もいい。

龍騎くんが行かないんなら私も行かない。

それに…龍騎くんが居ないと甘いデザートも美味しくないしね♪」

 

艶やかな微笑みを俺に向ける。

 

龍騎「…ったく、それじゃ行かねぇ訳にはいかないだろ。

…んじゃ行くか!」

 

桃花「うん、行こ行こ♪」

 

龍騎「ちょ、おいこら!引っ張んなって!」

 

俺たちは皆の輪の中へ走り出す。

 

 

 

しかしなんだ…

 

 

 

この言い知れない予感は…

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

その日の深夜。

龍騎は自室のベッドで考えに老けこんでいた。

 

龍騎「……くそっ、やっぱり考えてるだけじゃ埒が開かねぇな……律」

 

律「はい♪」

 

俺は自分の携帯を取り出し律の名前を呼ぶ。

すると、真っ黒に染まったディスプレイから律が現れた。

 

律が自分がもっと皆の役に立てる様にと造った携帯型アプリ、名付けて『モバイル律』

便利な時代になったもんだな。

 

龍騎「あの鷹岡という男の情報。

出来る限りでいい、集めてくれ」

 

律「分かりました!

しかし彼は防衛省所属。情報となると防衛省のネットワークにハッキングしなければならないためすぐにという訳には…」

 

龍騎「構わない。多少時間が掛かっても見つけ出してくれ。

俺の勘違いだったらそれでいい。

少しでも可能性があるのなら徹底的にやりたい」

 

律「分かりました!ではこの事を皆さんにも知らせt「いや、それはいい」どうしてです?」

 

律の提案を龍騎は拒否する。

 

龍騎「まだ何の確証もない状況で皆に知らせたら余計な不安を与える。これは俺とお前だけの秘密だ」

 

律「…分かりました」

 

律はやや不満そうな表情を浮かべながら、龍騎の意見にも一理あると考え同意する。

 

龍騎「さてと…んじゃ俺もやりますかねぇ。

こういうのは苦手だがやらないよりはマシだろ」

 

そういうと机に置かれたパソコンのスイッチを入れ、指を鳴らした。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

気がつくと暗黒に染まっていた空は白みが増し、太陽が1日の始まりをとうの昔に告げていた。

ふと時計を見ると時刻は朝9時に差しかかろうとしており、この時点で遅刻は確定していた。

 

龍騎「もうこんな時間か。

やっぱ何にも出てこねぇな」

 

ここまでくると頼りになるのは律だが、あれから何の音沙汰もない…

 

龍騎「ま、今日の所はしょうがない。

遅刻確定だが行くとするか。

ふぁ〜寝む…」

 

両手を大きく突き上げ、席を立とうとした時であった…

 

律「龍騎さん!遅くなりました!!」

 

真っ暗に染まっていた携帯のディスプレイが律を映し出す。

待ってたぞ!

 

律「気づかれないよう慎重にハッキングしていたので時間が掛かってしまいました。申し訳ありません」

 

龍騎「大丈夫だ。それで何か出てきたか?」

 

律「はい、まずはこちらの写真をご覧下さい」

 

そういい律が1枚の写真をアップする。

 

龍騎「…見たところ鷹岡が教官で周りに写ってるのが訓練生と言ったところか?でもこれだと良い師弟関係みたいに見えるな。

…やっぱり俺の思い過ごしか?」

 

律「確かにこの写真だとそう思われると思います。

でもそれは1枚目(・・・)の話。…問題は2枚目(・・・)です」

 

そういうと律が2枚目の写真をアップした。

 

龍騎「2枚目?………ヤバイッ!?

 

写真を見るや龍騎は猛ダッシュで家を飛び出した。

2枚目の写真には恐らく鷹岡が訓練生に行ったであろう"教育“の跡が生々しく記録されていた…

 

 

 

クソッ!

 

 

 

やっぱり勘違いなんかじゃなかった…

 

 

 

何でもっと早く気づかなかったんだ!

 

 

 

頼む…

 

 

 

間に合え…

 

 

 

間に合ってくれ!

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

ーーー桃花sideーーー

 

『10時間目まで訓練』

 

『夜9時まで訓練』

 

これが私たちに課せられた鷹岡先生からの訓練内容だった。

誰がどう見ても常軌を逸している。

鷹岡先生に意見を言おうとした前原くんや、訓練を拒否した神崎さんは鷹岡先生の教育(暴力)の名の下殴られた。

"恐怖が支配する授業"といっても過言じゃない。

そんな鷹岡先生を殺せんせーや烏間先生が放っとく訳もなく止めようとしたけど、"教育方針の違い"という言葉に引かざるを得なかった。

 

鷹岡「ほら頑張れ!頑張ればまた美味いデザート食わしてやるからな」

 

岡島「ス、スクワット300回なんて…死んじまうよ」

 

そして現在、私たちは鷹岡先生の指示でスクワットをやらされている。

 

 

 

本当にこんなのが暗殺の役に立つの…?

 

 

 

そう思っても鷹岡先生が怖くて誰も口が出せない…

 

 

 

せめて龍騎くんが居てくれれば…

 

 

 

駄目…

 

 

 

それじゃあ以前の私と一緒…

 

 

 

私は決めたの…

 

 

 

強くなりたいって…

 

 

 

倉橋「か、烏間先生〜」

 

桃花「陽菜ちゃん頑張って!」

 

鷹岡「おい、烏間は俺たちの家族(・・)じゃないぞ」

 

桃花・倉橋「!?」

 

私が陽菜ちゃんを励ますと目の前には狂気の顔をした鷹岡先生ぎ立っていた。

 

倉橋「あっ…あっ…」

 

鷹岡「父ちゃんを頼れない子には…お仕置きが必要だな」

 

鷹岡先生の拳がゆっくり上に上がる。

 

桃花「待って!」

 

鷹岡「あっ?」

 

私は鷹岡先生と陽菜ちゃんの間に割って入る。

 

桃花「お願いします!

陽菜ちゃんや皆をこれ以上殴らないで下さい!

訓練はちゃんとやり遂げてみせます!

だからお願いします…鷹岡先生(・・)!!」

 

鷹岡「………」

 

私は両手を広げて鷹岡先生の前に立つ。

 

 

 

力では絶対に敵わない私が出来るのはこれぐらいしかない…

 

 

 

私は決めたんだ…

 

 

 

強くなりたいって…

 

 

 

そして大切な人を守れるようになりたいって…

 

 

 

だからE組の皆も守れないと…

 

 

 

鷹岡「…どうやらお前にもお仕置き(・・・・)が必要みたいだな」

 

桃花「…えっ?」

 

鷹岡から発せられた"お仕置き"という言葉に桃花は反応する。

 

鷹岡「言っただろ、これは暴力じゃなくて教育だって。

それに俺の事は……"父ちゃん"って言えって言っただろ!」

 

鷹岡先生の拳は躊躇なく私目掛けて飛んでくる。

 

 

 

駄目…

 

 

 

やっぱり私じゃどうすることも…

 

 

 

ゴメンね皆…

 

 

 

ゴメンね…

 

 

 

龍騎くん…

 

 

 

 

迫る拳に桃花は瞳を強く閉じた。

 

 

ガシッ!!

 

 

その拳は桃花を捉えることはなかった。

その代わりに響く何かの衝撃音。

桃花は不思議に思い強く閉じた瞳をゆっくりと開く…

 

 

 

 

 

 

 

龍騎「…それ以上はさせない」

 

 

 

ーーー龍騎sideーーー

 

 

 

龍騎「…それ以上はさせない」

 

間一髪とはまさにこの事。

桃花を殴りつけそうだった鷹岡の拳をギリギリで止める。

 

鷹岡「おぉ神道か!随分と遅かったじゃないか。今日は来ないかと父ちゃん心配してt「黙れ…」?」

 

額に血管を走らせた龍騎が鷹岡を睨みつける。

 

龍騎「俺はお前の事を父ちゃんなんて思ってねぇ。俺にとっての父ちゃんは親父1人で十分だ。

…それに皆に手をあげるお前を先生とすら思わねぇよ」

 

龍騎は掴んでいる鷹岡の腕を力強く握る。

 

鷹岡「…お前の事は理事長から聞いてるよ。

『彼には十分気をつけたまえ』ってな。

……それで、どうしたいんだ?」

 

鷹岡は掴んでくる龍騎の手を無理やり払いのける。

 

龍騎「簡単な事だ…今すぐ俺たちの前から消えろ。

さもなくば…」

 

鷹岡「さもなくば…何だ?」

 

龍騎「力尽くでも出てってもらう!!」

 

鷹岡「上等だ…やってみろよ!!」

 

鷹岡の強靭な拳が龍騎に襲いかかる。

 

 

ガンッ!

 

 

しかしこれを腕をクロスしてガードする。

 

鷹岡「逃げてちゃ俺に拳を当たらんねぇぞ!」

 

鷹岡が再び拳を繰り出す。

 

 

 

やっぱり図体がデカいだけあってパワーがあるな…

 

 

 

力だけなら俺や烏間先生よりも上か…

 

 

 

だったら…

 

 

 

パワー対決では不利と判断した龍騎は持ち前のスピードと反射神経で鷹岡の攻撃をかわしていく。

 

鷹岡「おらおらどうした?そんなんじゃいつまで経っても俺には勝てねぇぞ!」

 

鷹岡の怒涛のラッシュに防戦一方となる龍騎。

ここで鷹岡は何か(・・)に気づいたようだ。

 

鷹岡「んっ?お前……なるほど、どうやらお前にも"弱点"があるようだな」

 

龍騎「………」

 

曲がりなりにも格闘のエキスパートって訳か。

あの間にそれに気付くなんてな。

…しゃーねぇな。

 

鷹岡「そこだろ……お前の弱点は!!」

 

 

ドコンッ!!

 

 

龍騎「ごはっ!?

 

桃花「龍騎くん!

 

鷹岡の強烈なパンチが龍騎の左腋下を捉える。

あまりの衝撃に龍騎が短い悲鳴をあげる。

 

鷹岡「なんだ案外あっけないものだな。

さてと、さっさとケリをつけて……んっ?」

 

鷹岡は自分の右腕に違和感を感じ目をやる。

すると右腕は龍騎の左腕と胴体でガッチリ固定されビクともしない。

 

鷹岡「くっ…おい何してんだ?」

 

龍騎「何って決まってんだろ?」

 

龍騎は空いていた右腕を構える。

 

鷹岡「!?…おい待て!」

 

龍騎「お前に"お仕置き"するに決まってんだろぉがぁぁ!!

 

 

バキンッ!!

 

 

龍騎の放った右アッパーは鷹岡の顎にクリーンヒットする。

そのまま鷹岡は後頭部から地面へと沈み込んだ。

 

鷹岡「ぐっ…このガキぁぁ!!」

 

流石にあんなに密着した状態じゃイマイチ力は出ないか。

さて、次はどうする?

 

烏間「そこまでだ!」

 

ここで漸く烏間が間に入り止める。

 

鷹岡「烏間…そろそろ横やりを入れてくる頃だと思ったよ。

だが止めんじゃねぇ。このガキをぶっ飛ばさなきゃ俺の気が治らなねぇ!」

 

烏間「駄目だ。これ以上暴れたいんなら俺が相手をしてやる」

 

烏間は鷹岡と一戦交わるべく上着を脱ぎ捨てる。

 

龍騎「力を貸しますよ烏間先生」

 

龍騎も体勢を整え烏間の横に立つ。

 

烏間「大丈夫なのか?」

 

龍騎「あれぐらいじゃビクともしませんよ。

なんてったって俺は烏間先生の"生徒"なんですから」

 

烏間「…そうか」

 

"師弟関係"とも言える2人が鷹岡に対して構える。

 

鷹岡「…いや、お前とやり合うつもりはねぇよ、烏間。

という事でこういうのはどうだ?お前が今まで育てた中で1番の"生徒"を選べ。そいつが俺に一度でもナイフを当てられたら、素直に敗北を認めてここを出てってやる。」

 

そういうと鷹岡は自分の荷物を引っ掻き始める。

 

鷹岡「ただし使うのは…これだ(・・・)

 

鷹岡の手には対殺せんせー用のオモチャのようなナイフではなく"正真正銘"のナイフであった。

 

鷹岡「さぁ選べ烏間。嫌なら俺に服従しろ」

 

烏間「………」

 

鷹岡から投げられたナイフを取った烏間先生は俺たちを眺める。

そして…

 

烏間「渚くん……出来るか?」

 

全員「「「えっ!?」」」

 

思いもしない烏間先生の選択に動揺が広がる。

 

磯貝「な、何で渚なんですか?」

 

前原「そうだぜ危険すぎる!それにやるなら龍騎の方がまだ可能性がa「いや、それでいい」…龍騎!?」

 

前原の言葉を俺は遮った。

 

龍騎「そうでしょう烏間先生?」

 

正直言うと烏間先生が俺を選ばなかったのは悔しいがこの条件なら(・・・・・・)俺より渚の方が良いだろう…

 

烏間「…俺は君たちに暗殺の依頼をした以上、君たちとはプロ同士だと思っている。

だが君たちは中学生。このナイフは無理に受け取る必要はない」

 

渚「……やります」

 

暫くの沈黙の後、渚は烏間先生からナイフを受け取った。

 

鷹岡「烏間、お前も目が曇ったな。

てっきりあのガキ(龍騎)を選ぶと思ったんだがなぁ。

そしたら改めて八つ裂きにしてやったのに残念だ」

 

桃花「………」

 

桃花の目は鷹岡を今にも殺しそうなほど怒りの色に染まる。

 

龍騎「言わせておけばいい」

 

桃花「で、でもこのままじゃ渚が…」

 

龍騎「大丈夫だ。根拠があるわけじゃないが…渚なら」

 

桃花「渚なら?」

 

龍騎「いいから見てろ…始まるぞ」

 

話しているうちに渚と鷹岡の準備は既に完了していた。

 

龍騎「渚なら…きっと殺れる」

 

 

スタッ…スタッ…スタッ…

 

 

渚は歩いていた…

 

ナイフの手に持って…

 

それも笑顔で…

 

まるでいつもの通学路を歩くように…

 

そして鷹岡の身体に渚の身体が静かにぶつかる…

 

次の瞬間…

 

 

シュッ!

 

 

鷹岡「!?」

 

ここで鷹岡は気づいた…

 

自分が殺されかけている事に…

 

しかし全てが遅かった…

 

重心が後ろに下がり鷹岡は転がる…

 

…そして仕留められる

 

渚「…捕まえた」

 

龍騎「……やっぱりか」

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

殺せんせー「勝負ありですね…烏間先生。

しかし、渚くんが怪我でもしたらどうするんです?」

 

烏間「怪我しそうならマッハで助けに入っただろうが?」

 

殺せんせー「ヌルフフフ、確かに」

 

磯貝「凄いじゃないか渚!」

 

渚「いやぁ烏間先生に言われた通りやっただけだよ」

 

鷹岡「このガキ…」

 

全員「「「!?」」」

 

声のする方を見るとさっきまで地面に転がっていた鷹岡が立っていた。

 

鷹岡「よくも父ちゃんに恥をかかせたな…

マグレの勝ちがそんなに嬉しいかぁ!?

こうなったら心も身体も全部へし折ってやる!」

 

それも完全にキテイル(・・・・)顔で…

 

渚「…次やったら間違いなく僕が負けます。

でもはっきりしたことがあります。

僕らの担任は殺せんせーで教官は烏間先生です。

本気で僕らを強くしてくれようとしたことは感謝しています。

でもごめんなさい…出て行ってください」

 

渚は鷹岡に深々と頭を下げる。

さてと…んじゃあ仕上げ(フィナーレ)だ。

 

鷹岡「黙って聞いてりゃガキの分際で…

ぐあああああっっ!!!

 

 

ドグッ!!

 

 

鷹岡「ぐはっ!?

 

龍騎「今のお前は俺の敵じゃねぇよ」

 

鷹岡の鳩尾に龍騎の強烈なエルボーが炸裂し、鷹岡はその場で蹲る。

 

龍騎「渚の言った通りここにはお前の居場所はない。

俺たちにはエロタコと人外教官とハレンチ教師がいれば十分だ。

んで、烏間先生はどうしたいんです?」

 

龍騎は烏間先生に視線を向ける。

 

烏間「…身内が迷惑をかけて申し訳ない。

今まで通り教官を務められるよう上と掛け合う」

 

全員「「「やったーーー!!」」」

 

烏間先生の言葉に一様に喜び合う。

 

鷹岡「や、やらせるか…俺が先に掛け合って…」

 

龍騎「それなんだけどもう手遅れみたいだぞ?」

 

龍騎の指差す方向。

そこにはこの学園の支配者である理事長の姿があった。

 

理事長「…率直に言って貴方の授業はつまらなかった。

教育に恐怖は必要です。

が、暴力でしか恐怖を与えられない教師は3流以下(・・・・)だ」

 

そう言うと鷹岡の口に『解雇通告書』をねじ込む。

っていうかやっぱアイツが1番容赦ねぇな。

 

理事長「貴方はクビです。

私の理想とする教育に貴方の席は有りません」

 

鷹岡「くっ…くそっ…くそくそくそくそ…くそっ!!!

 

鷹岡は自分の荷物を持つや逃げるように飛び出して行った。

車に轢かれるなよ〜。

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

その後烏間先生の教官復帰が正式に決まると、烏間のために頑張ったという名目で"臨時報酬"(烏間先生の財布)が出された。

因みに殺せんせーは碌に活躍しなかったという事でボッシュート(テッレッテレッテー♪)らしい。

ザマァみろ。

 

桃花「大丈夫?」

 

龍騎「あぁ骨は折れてねぇから大丈夫だよ」

 

そんな様子を見ながら俺はベンチに凭れながら鷹岡に殴られた腋下を摩る。その横では桃花が腰を下ろしている。

 

桃花「あんまり無茶しないでよね」

 

龍騎「いや、倉橋の盾になったお前が言えるのか?」

 

桃花「それはそうだけど…」

 

龍騎「ま、誰も大怪我しなかったんだ。結果オーライって事で」

 

桃花「なーんかはぐらかされた気分」

 

龍騎「でも鷹岡の前に立っていた時の桃花逞しかったぞ」

 

桃花「ちょっと!女の子に逞しいなんて言っちゃダメ!」

 

龍騎「んじゃ何て言えばいいんだよ?」

 

桃花「…それより何で今日遅刻したの?」

 

龍騎「見事にスルーしたな。まぁちょっとした野暮用でな」

 

桃花「ふーん…」

 

そこからは特に会話もなく臨時報酬(烏間先生の財布)に群がる皆を見ていた。

 

そして暫くの沈黙の後……

 

桃花「…私、大切な誰かを守れるようになりたいって前に言ったじゃない?」

 

龍騎「うん」

 

桃花「だからそのためにはもっともっと強くならないといけないって思ったんだ」

 

龍騎「…うん」

 

桃花「今日鷹岡先生に立ち向かった時、初めて自分に"自信"がついたような感じがしたんだ。

まぁ結果的にはまた龍騎くんに助けられちゃったんだけど」

 

龍騎「……うん」

 

桃花「だからその"自信"を今ここで見せてみる」

 

龍騎「………」

 

桃花は大きく息を吸い、ゆっくりと吐き出した。

 

桃花「私…ずっと…ずっと龍騎くんの事……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

が…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

龍騎「スーッ…スーッ…」(_ _)zzz

 

桃花「……えっ?」

 

龍騎は今まさに何かを言おうとした桃花の横で静かに寝息を立てていた。

なんてこったい!!

 

桃花「寝てる………えっ!?寝てる!?

ちょ、ちょっと待ってよ!何でよりによってこんな時に……もう!!」

 

龍騎「スーッ…スーッ…」(_ _)zzz

 

桃花「……ふふっ、まぁ龍騎くんらしくて良いけどね。

 

 

 

 

お疲れ様、龍騎くん……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大好きだよ」

 

桃花は隣で呑気に寝ている龍騎の髪を優しく撫でた。




そしてサラッと居なくなります。

纏まったら投稿します。

では、次回もお楽しみに!
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