神道龍騎の暗殺教室   作:空はあんなに青いのに・・・

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皆さま明けましておめでとうございます!!

はい、あけおめ言うの遅すぎだよと思ったそこの君!
後で粛清なm9(^Д^)プギャー

それはさておき、今年の冬は平年と比べて寒暖差が激しくなっていますね。
皆さまも体調管理には留意してください。

という訳で心が少しばかり暖かくなるかもしれないこんな話は如何でしょう?

では、スタートです!


24.ビジョンの時間

ーーー龍騎sideーーー

 

率直に言おう…地球溶けんぞコレ。

 

季節は夏本番。

真夏の日差しが照りつけ、目眩がしそうなほど暑かった。

それだけに留まらず近年、夏の異常気象が日本全体を覆い40度越えなどもはや当たり前となりつつある。

そんな猛暑日にE組は何をしているかと言うと…

 

杉野「暑っちー…何で裏山なんかに…」

 

夏の風物詩である蝉も鳴りを潜めてしまうほどの猛暑日にE組は夏草が生い茂る道無き道を歩いていた。

 

前原「なぁ殺せんせー。プールに行くんじゃなかったのか?

俺たちどう見ても本校舎とは逆方向に進んでるんだけど」

 

そう、俺たちはいま一応(・・)プールへと向かっている。

 

殺せんせー「ヌルフフフ、この先に小さな沢があったでしょう?

そこで涼もうと思いまして」

 

殺せんせーに言われて体操着の下には一応水着を着てはいるが、確かあの沢ってせいぜい足が浸かる程度だったよな?

そりゃ無いよりはマシだがこの暑さじゃ焼け石に水だろうな。

 

殺せんせー「ヌルフフフ、さぁ着きましたよ!どうぞご覧あれ!」

 

殺せんせーが生い茂った茂みを分かる。

するとそこには…

 

龍騎「…こりゃすげぇわ」

 

殺せんせー「先生特製のE組専用プールです!」

 

そこには以前見た小さな沢は綺麗に姿を消し、濃い群青の水面に様変わりしていた。

 

沢だったと思われる場所から湧いてくる群青色の水の流れ落ちる音が優しい呟きのように耳を癒す。

 

ふと見下ろすと水面は波と波紋が交錯し、雷を反射したかのように光り輝いている。

 

殺せんせー「景観選びから間取りまで自然を生かした緻密な設計。先生だからこそ成しえる匠の技です!」

 

律「凄いです!殺せんせー!」

 

殺せんせーは生き生きとした表情で胸をはる。

そしてそれを絶賛する律。

 

 

 

 

龍騎「…察するに律が協力したって所か?」

 

殺せんせー「ニュヤッッ!?何でバレたんですか!?」

 

…図星かよ。

まぁ普通に考えてこのタコにこんな美的感覚があるとは到底思えない。

っていうかこんな芸当出来るのクラスの中じゃ律しか考えられんしな。

 

律「はい♪殺せんせーの依頼で微力ながら協力させて頂きました!夏はご覧のようにプールに、冬は水量を調節して川魚の観察を出来る事を視野に入れて作りました!」

 

桃花「ありがとう律♪」

 

桃花は携帯に映るモバイル律にお礼を言う。

 

律「はい♪少しでも皆さんのお役に立てればと思い頑張りました!」

 

最初に会った時は衝撃的だったが、今ではすっかりE組の大切なクラスメイトだ。

 

殺せんせー「さぁさぁ皆さん!立ち話はこのくらいにしましょう。

今は勉強の事は忘れて大いに楽しみましょう!!」

 

全員「「「やっほーーーい!!」」」

 

上着を脱ぎ去ると次々に飛び込んでいく。

その綺麗な水はガラスよりも透き通り飛び込んだ生徒たちを水泡と共に包み込む。

 

桃花「龍騎くん、私たちも泳ごう!」

 

既に上着を脱ぎ水着姿となった桃花が誘う。

 

龍騎「そうだな。んじゃあ…」

 

龍騎は自分の上着の裾に手を掛け一気に捲り上げた。

すると…

 

桃花「なっ!?///」

 

龍騎「んっ?どうした?」

 

磯貝・前原「「こ、これは…」」

 

片岡・岡野「「す、凄い!」」

 

一同の視線が集まった先には、贅肉の姿はほとんど無く、すべての筋肉が念入りに鍛え上げられている龍騎の肉体があった。

 

前原「分かっちゃいたがこれは…」

 

磯貝「あぁ。いざ見てみるとあの身体能力の高さの理由がよく分かる」

 

龍騎「そうか?普通はこんなもんだろ?」

 

磯貝・前原「「いやいやいやいやいやいやいや!!」」

 

2人は全力で立てた手を横に振る。

いくら成長期の中学生とはいえ、龍騎の肉体美はそれを遥かに超えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

片岡「桃花…夏休みに入ったら神道くんをプールに誘うって計画、白紙に戻した方がいいんじゃ…

 

岡野「賛成。あれじゃあ良いムード作るどころか注目浴びすぎて収拾がつかなくなっちゃうよ

 

桃花「……くぅ」(T ^ T)

 

龍騎の知らない所で進められていた秘密計画が龍騎の知らない所で脆くも崩れ去ってしまった。

 

 

 

 

 

龍騎「おーい何してんだ?泳ぐんじゃないのか?」

 

桃花「むぅ……はいはい今行きますよ」

 

龍騎「…何か怒ってない?」

 

桃花「怒ってません!!

 

龍騎「?????」

 

 

 

 

 

 

 

ドンマイ桃花ちゃん!

次があるぞ!!

 

 

 

ーーー◇◇◇ーーー

 

 

 

桃花が何故か不機嫌になったのはさておき、俺たちは時間も勉強も忘れて小さい子どもに戻ったようにはしゃいでいた。

 

 

 

 

まぁはしゃいでいたまではいいんだが…

 

 

 

 

 

 

ピピーーーーーーーーッ!!

 

 

殺せんせー「木村くん!プールサイドを走ってはいけません!転んで怪我したらどうするんです!!」

 

龍騎「………」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ピピーーーーーーーーッ!!

 

殺せんせー「中村さんに原さん!水中遊びは程々に!溺れたかと心配になるじゃないですか!!」

 

龍騎「………」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ピピーーーーーーーーッ!!

 

殺せんせー「岡島くんのカメラも没収!!

 

 

菅谷くんのボディーアートは普通のプールなら入場禁止ですよ!!

 

 

狭間さんも本ばかり読んでないで泳ぎなさい!!」

 

龍騎(………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウルセェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェよ!!!

 

喧しいんだよピーピーピーピーさっきから!

松岡◯造でももうちょい大人しいぞ!!)

 

中村「いるよね〜自分が作ったフィールドで王様だと勘違いしちゃう人」

 

杉野「有り難いのに有り難みが薄れるよな」

 

おっしゃる通りだな全く。

 

倉橋「硬いこと言わないでよ殺せんせー。

水かけちゃえ♪」

 

 

パシャン!

 

 

すると、倉橋が足下の水を手にすくうと殺せんせーに浴びせた。

まぁそんなの効くわけ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

殺せんせー「きゃあぁん!?」(✖️▽✖️;)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………………………はっ?

 

なんだ今の気色悪い悲鳴………

 

ただ水掛けられた(・・・・・・)だけだろ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………まさか!?

 

龍騎「カルマ!」

 

カルマ「合点♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

殺せんせー「ぎゃあ!?カルマくん!!揺らさないで!!水に落ちる!!落ちますから!!頼んます!!堪忍してつかぁさい!!j#pam'jag"@jt…

 

カルマも同じ"結論"に至っていたためか名前を呼ぶなり即座に監視台の下に移動し足を掴んで揺らす。

次いで殺せんせーがカルマに気取られている間に俺は監視台の裏に回り込む。

そしてその場で大きくジャンプすると…

 

龍騎「余所見してんなよ!!

 

 

ドガンッ!!

 

 

殺せんせー「にゅぎあぁぁぁぁぁ!!??

 

殺せんせーの背中目掛けて回し蹴りを見舞う。

支えとなる監視台が安定せず、唐突に蹴りを食らった殺せんせーはロケットの如く水面へと飛ばされる。

 

殺せんせー「にゅ、にゅうおぉぉぉぉぉ!!

 

しかし間一髪!

水面ギリギリで体勢を整えた殺せんせーはマッハ20で対岸に飛び付く。

 

龍騎「くそっ!逃げやがったか」

 

殺せんせー「はぁはぁ…い、今のはヤバかったです…」

 

桃花「殺せんせー…まさか…」

 

龍騎「あぁ、そのまさかだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アイツ泳げねぇぞ」

 

暗殺が始まって3ヶ月余り。

これまでで最大の弱点が露見した瞬間であった。

 

そして、その様子を荒れた気分で見ている男が1人。

 

寺坂「……ちっ!」

 

 

 

ーーー◇◇◇ーーー

 

 

 

居心地悪りぃ……

 

彼はいま抱いている感情である。

幼い頃より自分より弱い者を支配するのが彼のやり方であった。

これが普通でこれが当たり前なんだと彼は思っていた。

 

…しかし彼の考えはここ(椚ヶ丘)では通用しなかった。

どんなに腕っぷしが強かろうがどんなにひ弱な同級生を虐めようがここでは成績が全て(勝利者)

そういう面では彼は学校の誰よりも敗北者であった。

 

その敗北者である彼がE組行きを宣告されたのは必然とも言える。

自分が持っていた"強み"はここでは何の役にも立たない。

しかも永遠に使う機会はないだろう、と彼は悟った。

 

だから彼は開き直った。

彼と同じように彼と同じような境遇の中なら楽に過ごせる、と。

そう思っていた彼の考えは突如として崩れ去る。

モンスターが現れたせいで…

 

でかい目標が彼にとって居心地の良かったクラスを変えてしまった。

取り残された彼は敗北者へと逆戻りしてしまった。

 

寺坂「…くそっ!」

 

彼は乱雑に教室の扉を開いた。

 

吉田「マジかよ殺せんせー!まるで本物じゃねぇか!」

 

寺坂「?」

 

教室に入ると後ろの方で吉田の何やら興奮気味に喋っている声が聞こえる。

その横では木彫りで出来たレーサーレプリカにレーザースーツを着た殺せんせーが跨っていた。

 

寺坂「…何してんだよ?」

 

寺坂は苛立ちを露わに吉田に話しかける。

 

吉田「あっ寺坂…こ、この前コイツとバイクの話で盛り上がっちまったてよぉ。ほら、この学校こういうの趣味の奴居ないからさ」

 

殺せんせー「ヌルフフフ、先生は漢字の漢と書いて漢の中の漢。

この手の趣味も一通り齧っています。

しかもこのバイク時速300㎞も出るらしいじゃないですか?

一度乗ってみたいものですねぇ」

 

吉田「アホか!自分で飛んだ方が速いだろうが」

 

〈ハハハッ〉

 

寺坂「………」

 

 

 

 

 

 

 

ドガンっ!

 

 

殺せんせー「にゅやーーーーーっっ!?

 

荒れた気分が最高潮に達した寺坂はバイクを蹴り倒した。

倒されたバイクはあっけなく砕け散る。

 

吉田「なんて事するんだよ寺坂!?」

 

中村「誤ってやんなよ!漢字の漢と書いて漢の中の漢の殺せんせーが泣いてるよ!」

 

不破「そーだそーだ!」

 

寺坂「テメェら虫みたいに五月蝿えな…

駆除してやんよ!」

 

語気を強めて自分を非難する生徒たち。

そんな彼らにとった行動は…

 

 

ブシューーーッ!

 

 

〈うわっ、何だこれ!?〉

 

〈殺虫剤!?〉

 

事もあろうに寺坂は机に入っていたアルミ缶を地面に叩きつける。

叩きつけられた衝撃でアルミ缶は暴発し、辺り一面は真っ白い霧に覆われる。

 

殺せんせー「寺坂くん!ヤンチャするにも限度というものが…」

 

寺坂「触んじゃねぇよ、モンスター」

 

真っ赤に染まった殺せんせーの触手を虫でも追い払うかのように払い除ける。

 

カルマ「何がそんなに気にくわないのかねぇ?

気に入らないなら殺せばいいじゃん?

せっかくそれが許可されているのに」

 

先程まで黙って事の成り行きを見ていたカルマが挑発するように寺坂に言う。

 

寺坂「テメェ…喧嘩売ってんのか?

だいたいテメェは最初っから気に入らねぇん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

ガシッ!

 

 

 

寺坂「!?

 

 

突っかかってきた寺坂をカルマは顔面を鷲掴みすることによって封じ込める。

 

カルマ「ダメだよ寺坂。喧嘩すんなら口より先に手を動かさなくちゃ」

 

寺坂「ぐっ…」

 

 

 

 

 

 

龍騎「その辺にしといてやれカルマ」

 

するとカルマと同じく黙って見ていた龍騎がカルマに手を離すよう促す。

 

龍騎「大丈夫か寺坂?」

 

寺坂「神道…何だいきなり気持ち悪りぃ奴だな」

 

龍騎「気持ち悪いとは辛辣だな。

俺はお前の気持ちを分かってるつもりなんだぞ。

いきなり自分のテリトリーを訳の分からないモンスターに侵されちゃ怒るのも無理はない。

 

だからお前は気にせずにお前の道を進めばいい。

例えそれがクラスの皆の迷惑になろうともな。

 

だが、俺たちはお前が映画版になると誰よりも頼もしく優しくなることを知っている。

その時が来るまで俺たちはお前を信じて待っている」

 

寺坂「神道…やっぱりお前だけは分かっt……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

んっ?映画版(・・・)?」

 

寺坂の頭に?マークが浮かぶ。

 

龍騎「あぁ。『映画版での法則』とか『映画でのたった1日の活躍で残り364日の暴挙が許される』とか世間で言われているそうじゃないか。

そんなお前を皆楽しみにしてるんだ。

期待を裏切るなよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聞き間違いではない…

 

それにどうやら話が噛み合ってない…

 

寺坂「………何の話だ?」

 

龍騎「えっ?不破から聞いたぞ。

お前がかの有名なジャイa……」

 

寺坂「ジャイ◯ンじゃねぇぇぇよ!?

っていうかジャイ◯ンって誰だぁ!!??」

 

寺坂の全力の否定が狭い教室に木霊する。

 

龍騎「違うのか!?

何だよ、話が違うじゃないか」

 

不破「おっかしぃな〜。

中の人(声優さん)が一緒だからテッキリ同一人物だと思ってたのに…」

 

渚「2人とも何の話してんの!?」

 

寺坂「くそっ!放せよ!!」

 

掴んでいたカルマの手を乱暴に払い除けると教室を出て行ってしまった。

 

前原「何なんだよアイツ…」

 

磯貝「一緒に平和的にやれないものかなぁ…」

 

皆一様に口々に苦言を呈する。

 

 

 

ーーー◇◇◇ーーー

 

 

 

その翌日の昼休み。

俺は桃花やビッチ先生、磯貝たちと席を囲んで昼食をとっていた。

一見すると和やかな雰囲気なのだが…

 

殺せんせー「ぐすっ…ぐすっ…」

 

何故か殺せんせーは泣いていた。

それも気持ち悪い液体を流しながら…

 

イリーナ「何よさっきから涙流して」

 

殺せんせー「いいえ、鼻なのでこれ鼻水です。目はその隣です」

 

イリーナ「紛らわしいっ!」

 

そのダラダラ流れてるの鼻水だったのか。

っていうか余計に気持ち悪いわ!

 

龍騎「まぁ涙でも鼻水でもどっちでもいいが何でそんなんになってんだ?」

 

殺せんせー「どうも昨日から身体の調子が変なんです。

理由はわかりませんが…」

 

昨日…ねぇ……

 

殺せんせー「おぉ!寺坂くん!!」

 

殺せんせーの声に後ろを向くと、今日は欠席していたはずの寺坂が教室に入ってくるのが見えた。

 

殺せんせー「今日は登校しないかと心配してましたよ!!」

 

持ち前のスピードを生かして寺坂の元へ赴くと、鼻水を撒き散らしながら寺坂に心配の声をかける。

 

 

 

うわぁ……

 

 

 

寺坂「…おい、タコ。そろそろ本気でぶっ殺してやんよ。

放課後プールへ来い。テメェらも手伝えよ!」

 

顔についた鼻水を拭き取ると寺坂は殺せんせー暗殺を宣言した。

思えばアイツから暗殺って言葉聞くのは初めてだな。

だが…

 

前原「あのさぁ寺坂。俺たちが暗殺に躍起になってる時に一切協力しなかったよな?

なのにいきなり手伝えって言われて手伝うと思うか?」

 

寺坂「だったらいいぜ来なくて。そんときゃ100億は全部俺の物(・・・)だ」

 

前原の当然の言い分にも寺坂は聞く耳を持たない。

 

不破「なるほど…つまり『お前の物は俺の物、俺の物も俺の物』って言うこと?」

 

寺坂「あぁその通りだ…っていつまでその話続いてんだよ!?」

 

不破に華麗なノリツッコミをいれると教室から出て行く。

 

吉田「何なんだよアイツ…」

 

村松「もう付き合いきれねぇよ」

 

いつもつるんでいる2人でさえ呆れているようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…んっ?

 

殺せんせー「皆行きましょうよぉ〜」

 

全員「「「うぉっ!何じゃこりゃ!?」」」

 

腑抜けた声に皆我に返ると殺せんせーから分泌された粘液が教室中に広がっていた。

 

殺せんせー「せっかく寺坂くんがヤル気になってくれたんです。

皆で一緒に暗殺して気持ちよく仲直りでふ…」

 

まずお前が気持ち悪いわ!

ところで俺はどうしてたかと言うと…

 

磯貝「危なかった」

 

片岡「神道くんが先に気付いてくれてなかったら粘液で固められるところだったわ」

 

岡野「間一髪だったね」

 

倉橋「助かったよ〜♪」

 

桃花「ありがとう龍騎くん♪」

 

殺せんせーの粘液が教室中に広がるのを察知した龍騎は周りに机の上に避難するよう呼びかけていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イリーナ・前原「「……あの…私(俺)は?」」

 

 

 

 

 

 

 

念のため言っておこう。

周りとは言ったが、周りの皆(ここ重要!)とは言っていない。

 

 

 

 

 

 

龍騎「……にしても寺坂の奴。一体どんな暗殺するつもりだ?」

 

イリーナ・前原「「無視すんなっっ!!」

 

 

 

ーーー◇◇◇ーーー

 

 

 

寺坂「よーし、そんな感じで散らばっとけ!」

 

殺せんせーの必死の嘆願(?)に折れ、俺たちはいま寺坂の指示でプールに浸かっている。

 

竹林「君に他人を動かす器量があるか僕には甚だ疑問だね」

 

寺坂「ゴチャゴチャ言ってないでお前も入れ!」

 

竹林「ふぎゃっ!?

 

プールに入らず不快感を露わにした竹林は寺坂に後ろから蹴られ腹からプールに落ちる。

あれって意外と痛いんだよなぁ…

 

桃花「寺坂くん、私たちをプールに入れてどうやって殺せんせーを殺すんだろ?」

 

前原「恐らくアイツをプールに落としてから俺たちにやらせるってところだろうが…」

 

磯貝「そんな上手くはいかないだろうな。

なぁ、龍騎だったらどうする?」

 

磯貝が俺に問いかける。

 

龍騎「…例えばコレがアイツ1人の暗殺じゃなかったらどうする?」

 

磯貝「どう言う意味だ?」

 

龍騎「…アイツにはどこか自信の無さが感じられる。

まるで誰かに操られるがままに動いているマリオネットみたいに…

俺にはそう見えて仕方がない…」

 

 

スチャ…

 

 

寺坂は手に持つの拳銃を殺せんせーに突きつける。

 

寺坂「…俺はテメェがずっと嫌いだった。

 

 

だからここで引導を渡してやる…

 

 

さぁ来い…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イトナ(・・・)!!

 

殺せんせー・龍騎「!?

 

 

ドガンッッッ!!!

 

 

全員「「「うわぁーーー!?」」」

 

寺坂が拳銃の引き金を引くと、水を堰き止めていた堤防が爆発し、龍騎たちは河口へと流されていく。

 

 

 

確かこの先には滝があったはず…

 

 

 

このままじゃ…

 

 

 

龍騎「殺せんせー!!アンタは滝の方へ流されていった奴を、

俺は手前に居る奴を助ける!」

 

殺せんせー「し、承知しました!!」

 

俺の声を聞くや殺せんせーは滝の方へと飛んでいった。

 

 

 

 

 

龍騎「桃花っ!!」

 

龍騎は何とか岩場にしがみ付いていた桃花を上へと持ち上げる。

 

桃花「はぁ、はぁ、ありがとう…」

 

龍騎「俺は他の奴らを助けるから、お前は引き揚げた奴らの介抱を頼む!」

 

桃花「わ、わかった!」

 

そう言い残すと再び激流の中へと身を投じた。

 

 

 

 

 

1人…2人…3人と次々と救助していくがとても手が足りない。

 

 

 

 

 

 

龍騎「くそっ!とてもじゃないが俺だけじゃ…」

 

 

 

 

 

 

?「きゃーーーっ!」

 

龍騎「悲鳴?……あそこか!」

 

発見した悲鳴の主に目掛けて一心不乱に泳いでいく。

 

?「た、助け……て…」

 

しかし力尽きたのか水中へとその姿を沈めていく。

 

龍騎「!?くそっ!」

 

沈んだ姿を追って龍騎も水中に自らの姿を没する。

 

 

 

させない…

 

 

 

俺の目の前では…

 

 

 

絶対に誰も…

 

 

 

 

今度は(・・・)絶対に…

 

 

 

 

死なせない!

 

 

 

 

激しく揺れ動く水流に抗いながら龍騎の右手が先に沈んだ者の腕を掴み水面へと再びその姿を現わす。

 

龍騎「はぁ、はぁ、もう少しだ!頑張れ!!」

 

?「はぁ…はぁ…」

 

そして何とか岩場に引き揚げると2人して倒れ込んだ。

 

龍騎「はぁ…はぁ…さ、流石に無理しすぎた…」

 

驚異的な身体能力を誇る龍騎でも応えたのか仰向けになったまま動かない。

 

?「ゲホッ、ゲホッ…」

 

多少水を飲んでいるみたいだが大丈夫のようだ。

 

龍騎「大丈夫そうで良かった。

 

それにどうやらお前が最後みたいだな。

 

先の方に流された奴らはアイツが何とかしてんだろうが、心配だから俺…も…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

龍騎の言葉はここで遮られた。

 

?「………」

 

何故なら龍騎の腕に隣で震える身体がしがみ付いていたからだ。

少女は初めて"水の恐怖"を思い知らされた。

 

 

 

 

 

 

桃花「龍騎くん!こっちは大丈夫だ…よ…」

 

龍騎「……怖かったのか?」

 

?「………」

 

少女は震える身体で首を縦に降る。

 

龍騎「……震えが止まるまでだぞ」

 

?「………」

 

少女は首を再び縦に振る。

 

桃花「………」

 

桃花はその様子を寂寞に堪えない表情で見つめるしかなかった…。

 

 

 

ーーー◇◇◇ーーー

 

 

 

俺が殺せんせーのもとへ行った時には全てが終わっていた。

 

 

今回の件の首謀者は、寺坂の発言から分かる通りシロであった。

 

まず堤防を破壊する。

 

次に生徒の救出に混乱する殺せんせーを弱点である水場に誘い出す。

 

最後にイトナがトドメを刺す。

 

っといった算段だったのだが、皆もやられっ放しでは腹の虫が収まらない。

 

知っての通りイトナの触手は殺せんせーと同じものである。

 

途中で合流したカルマの指示で寺坂たちがイトナに水を浴びせた。

粘液により防げた水も大量ともなると話は別だ。

分が悪いと判断したシロは憤るイトナを連れて退いた。

 

 

 

 

 

 

というのが俺がいない間に起きた簡単な流れだ。

お分りいただけたかな?

 

 

 

んで、今の状況はというと…

 

龍騎「ったく、カルマに良いとこ持ってかれたな」

 

カルマ「修学旅行の時の仕返しだよ♪」

 

龍騎「あの時のことまだ根に持ってたのかよ。まったく…」

 

制服姿のカルマはびしょ濡れの姿だ。そしてその中には寺坂の姿もあった。

…どうやら仲直り出来たみたいだな。

 

3年E組はようやく『暗殺教室』として纏まった。




お待たせいたしました。
お待たせし過ぎたのかもしれません。(全○監督風)

本当は更新スピード上げたいのは山々なのですが、
いかんせん物語構成に苦心しておりまして…

今後も気長に待って頂けると幸いです。

では、次回もお楽しみに!

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