「こっちだったな」
覚えのある廊下を俺は咲夜の手を引っ張り、そのまま進んでいった
「あ、ちょ、ちょっと!」
少し後ろから咲夜の非難声が聞こえた
「ん?あ、ごめん。つい、昔の癖で手引っ張って。痛かった?」
「・・・痛くはなかったですが・・・」
「・・・!?咲夜、ごめん!先に図書館に行った方がいいかも・・・」
何とも言えない魔力の波動を感じて、俺は図書館に走った
(・・・なんか、図書館の道が遠い。・・・空間がねじ曲げられている?)
なんだか、一種の結界の中にいるみたいだった
(・・・でも、この程度の操作なら・・・いや、無理に解くと術者に負担がかかるな。やめとこう。義姉さん、いつの間にこんな術式が仕使えるようになったんだろう・・・)
ねじ曲げられた空間を読み、最短で抜けるルートで図書館に行く
そして、扉を開けると、そこには仁王立ちしている義姉さんの姿
「柚月・・・?」
「あはは、義姉さん、ただいま」
「・・・。火符・アグニシャン」
「っと・・・。水符・ダイアモンドウェーブ」
いきなり、義姉さんが火の魔法を使う
燃えさかる炎の弾を感じた瞬間、僕も魔法を使う
同じ量の同じだけの水の塊を召還し、ぶつける
炎が水により、相殺され水蒸気となって消える
「
「・・・レミィの所に先に顔は出しといて、私には見せないのね。この・・・愚弟!」
「・・・悪かったよ。ごめん、義姉さん」
「・・・一体これは・・・」
少し遅れてやってきた咲夜が驚いている
・・・まぁ、水蒸気が漂っているから、確かに驚くかな
・・・それなら・・・
「光符・ステラライト」
水蒸気を利用して、そのまま幻想のような世界を作り上げる
宇宙に星をちりばめたかのような、世界
「あ・・・綺麗」
ぽつりと咲夜の口からこぼれる言葉
・・やっぱり記憶を無くしても、コレが好きなのか
「!!。パチュリー様、私は紅茶をお持ちしますね」
見とれていた咲夜はふと、我に返ってすぐに紅茶を入れに戻った
「・・・柚月」
「義姉さん、ありがとう」
「・・・わかってるならいいのよ。それで、魔力枯渇はどうなったの?」
「なんとか、魔界の魔素のおかげで元に戻ったよ。元々の相性がよかったって、神崎様が言っていた」
「そう、よかったわ。それにしても・・前よりもかなり魔力が増えているわね」
「まぁ、それはあっちで行った研究の副産物かな」
「そう・・・それで、あなたノーレッジの名を引き継ぐ気はあるのかしら?」
「・・・義姉さんの母上には感謝しているけど、俺はノーレッジの名を引き継ぐ気はないよ。僕は、男で、まだやり残したことがあるから」
「ふぅ。15年ぶりに返ってきて、こうも変わってないって、なんなのかしらね。この愚弟」
「愚弟だから仕方ないね」
肩を落としながら答えると、義姉さんもうっすらと笑った
「そうね。愚弟だから仕方ないわね」
「・・・ねぇ、一つ聞いても言い?紅魔館の内部いじったのは義姉さん?」
「違うわ」
「・・・レミィな訳ないしねぇ・・・」
「咲夜よ」
「え・・・?」
「咲夜よ。あの子、能力持ちだったの。ほら、柚月が昔咲夜にあげた時計・・・」
「あぁ、あれ?でもあの時計は・・・」
「そう。普通の時計。銀細工のただのね。でも、柚月の魔力が宿ってた
「もしかして・・・」
「そうよ、柚月の魔力に引きずられて、無意識に能力が開花したの。咲夜の能力は『時を操る程度の能力』よ」
「・・・それで、空間までいじれるのか・・・・・ん?」
「流石に私でも空間をいじろうとなんて思わないわよ」
「パチュリー様。紅茶お持ちしました」
一瞬の違和感と供に音もなく咲夜が紅茶を運んできた
「・・・義姉さん。今のが時を止めてたってやつかい?」
「そうよ」
「ねぇ、咲夜。ちょっと、時計見せてくれないか?メンテしてあげるから」
「え・・?時計ってコレの事ですか?」
咲夜が出したのは俺が咲夜にあげた銀時計
「うん。そう」
「でもこれは、誰もメンテナンスできなくて・・・」
「咲夜は覚えていないかもしれないけど、それ、作ったの俺だから、出来るよ?」
「そうですか・・・・それなら、お願いできますか?」
「ん。任せて」
咲夜から時計を預かり、見る
まずは、魔力の流れを確認
「そんなに魔力は流れていないんだけどなぁ。それじゃ、時の狂いを見てみるか・・・。義姉さん、ごめん。紙と書く物かして」
「はい」
「サンキュ」
即席の魔方陣を書き上げ、その上に調整具を乗せる
呪文を詠唱し、魔法を発動させる
淡い紫色の光が出現し、調整器具を包み込んだ
「・・・へぇ、柚月。それをあっちで学んできたの?」
「そうだね。その1つかな。魔方陣なくても出来るけど、精度が違うから」
「柚月様、それは・・・何の魔法ですか?」
「柚月でいいよ。それと、敬語も。咲夜に敬語なんて使われてるの少し寂しいから」
「・・・わかり・・・わかったわ」
「今のは、
「へぇ。魔法っていろんなことが出来るのね‥」
「で、今からは蓋を開けて中のネジとかの確認‥かな?」
そう言いつつ、手を動かす
「すごい‥」
「まぁ、俺は昔から手先は器用な方だから」
「それで、柚月?一人称は何で俺に変わったの?僕じゃなかったかしら?」
「うっ‥‥。まぁ、うん、あっちで、なんとなく、からかわれたんだよ・・・」
あれは思い出したくもない思い出
魔力枯渇で研究していた当時「僕」は軽いイジメにあっていた。強がる為にも、「僕」ではなく、「俺」が必要になった
まぁ、後で個人的に仕返しをしたから、気にしてはないが
「こっちでは、素に戻したら?」
「・・・義姉さんがそういうなら、それでもいいなって思うけど。咲夜はどう思う?」
「私は・・・柚月の事を覚えていないから、あまり深くは言わないけど、なんだか「俺」って言うの無理をしているように思えるわ」
「んー。そっか。なら、僕に戻そう」
こういう会話をしていても、そのまま、手は動かす
中心部分までメンテをしつつ、解析していると、回路が変わっていることに気がついた
「あれ?なんか昔組んだ回路と違ってる」
「・・・どういう事?」
「僕、この時計を作ったとき、上質な魔力を蓄えている石を使ったんだ。それも、外から魔力を吸収して、勝手に魔力を補充できるやつ。
「・・ごめんなさい。ちょっと、私にはわからないわ。パチュリー様はどうですか?」
「私はなんとなくわかるわ。魔女ですもの。それで、柚月。回路はどうなってるの?」
「うん。そこなんだけど、一本だった回路が2つに回路が増えているんだ」
「え?」
「えーっとね、一本の川があって、その川が途中で同じ大きさの二股に別れたけど、別々の方向に行かずに、また一本の川に戻るっていう感じかな」
「あ、それならわかるわ」
「・・・それは、咲夜の手によって変わった?ということかしら」
「この様子をみると、そうだね。一本は僕が作った回路、もう一本は魔力が咲夜のに近い。多分、能力が開花したと同時に回路が新しく組み込まれたんだね。咲夜。多分、この時計は君が時を停止しても動いているだろう?」
「そうね。この時計だけが、止まった時の中で唯一私以外に動く物・・・ね」
「うん。それじゃ、そうだ。はい、咲夜。歯車とか一応綺麗にしておいたから。あと、時計。大切に使ってくれてありがとう」
「・・・昔からずっと持ってたもので、唯一時間が止まらないから、愛着があるの。・・・今は、23時20分・・・。パチュリー様」
「わかってるわ。食堂でしょう?」
「はい。ええと、柚月。あなたも食事・・・」
「いる。咲夜が作ったのでしょ?食べる」
「わかったわ。それじゃ、あとでパチュリー様と来て」
「ありがとう咲夜」
「いえ、礼はお嬢様に言って」
咲夜はそういうと図書館から出て行った
「・・・さっぱり寂しいなぁ」
「咲夜の記憶?」
「もちろん」
「戻るといいわね」
「きっと、いつか戻ってくれるさ。戻らなくても、今から、また、新しい記憶を作ればいいしね。それにしても、さっちゃん・・・可愛くなったな」
「・・・それ、咲夜の前で言ってみたら?」
「またの機会にするよ」
どうも、和菓子屋蜜柑です
リア友さんの「はんpen」さんに柚月のキャラデザを書いてもらいました
【挿絵表示】
カラーのイメージがまだ決まってないのですよね・・・
柚月のイメージは、猫ですかね
「自由気まま」「一度興味を持ち出すと止まらない」などでしょうかね
それよりも、うまく話が進まない
・・・次で一気に進めてもいいかな・・・?
早く咲夜が真っ赤になっている所を見たいんだ!
そして、これで、一度、月咲想の更新がかなり遅くなります
いい加減、麗霊想と緑妖想の続きを書きます
冬休みに入ると少しだけ、更新が早くなるとイイナーなんて
来週、乗り切ったら、まぁ、冬休みなんで、期待しないで待っててください