出直して来ていいですか?   作:ブルーな雛菊

10 / 21
話の流れ的に少々無理矢理感があるかもしれません~
カルロスが病院を訪れるのは本来は10/1ですが、この物語では予定を少々早めています~
(後になってわかったのですがレオン達はウイルスの抗体持ちだったのですねw)


次話 バイオハザード2編
とりあえず警察署~下水道位までなら書けるかなと



閑話:自称コックは大抵チート

ゲーム・バイオハザードには、幾つか解明されていない謎がある。 例えるならアウトブレイクでは、プレーキャラクターは全員スタートの時点でウイルスに感染して、ウイルスの進行を遅らせる[坑ウイルス剤]を飲みながら脱出を目指すというゲームである。これはアウトブレイク以前、もしくは直後にウイルスで汚染された水を摂取した為と思われる。U.B.C.S.[アンブレラが雇用した傭兵部隊]のマーフィー・シーカーが良い例である[汚染水を飲みゾンビ化、仲間の手で射殺]。

ラクーンシティに入り1日で脱出したレオン・クレアは問題ないとして、アウトブレイク以前から滞在していたジルは、起こるかわからない生物災害に対して日頃から食料を選別していたのだろうかと…一度もウイルスに感染した生物からの攻撃を、受けることなく街から脱出出来たのかと……疑問が残る。

 

町中に不自然に放置されたドラム缶やガスボンベ。

また、Tウイルスのワクチンを作成間近で壊滅した、ラクーン総合病院の医師達は本当に己の力だけで、U.B.C.S.を壊滅に追い込んだB.O.Wを2体も生け捕りにすることが可能だったのか?という謎も残されている。

 

 

~ラクーンシティ総合病院 9/27~

[医師のレポート]

9/24夜

昨日の暴動の影響もあり、多くの負傷者が病院になだれ込んでいる。現在の時点で収容キャパを大きくオーバーしているため、周辺の医療機関に応援を依頼しているがとても間に合うとは思えない。一部の錯乱した重傷者が職員を襲うという案件が多発しているため、簡易的ではあるが病院の一区画を閉鎖し隔離している。私も患者を目撃したが、とても正気とは思えない。

気がかりなのは、患者と一瞬目が合ったが瞳孔が開いている様に見えた事だ…きっと私は疲れがたまっているのだろう。

 

9/25早朝

患者が暴徒化している。彼等は一様に目は白濁、瞳孔は開き、血液は凝固、中には腐敗臭が漂う者もいる。誰から見ても死人だ。

何らかの病が集団発生したと仮定して原因究明の為に研究チームを設立する。

 

9/25昼

未知のウイルスが確認された。抗体の作成を検討しているが、完全に暴徒化した患者からのサンプル採取はウイルスの影響か、腐敗の進行が激しいため断念する。負傷者の血液を媒体に通常の方法を試しているが状況は芳しくない。何より、時間が足りない。

 

9/26

付近の公園から逃げ延びて来た市民が、興味深い情報を持っていた。今まで見たこともない怪物が襲ってきた、助けに入った兵隊をあっという間に全滅させた…などだ。

恐らく、ウイルスによって変異した生物なのだろう。俊敏な動きをしていたと言う証言から、ウイルスの強い腐敗作用を抑える何らかの抗体の様な成分が確認出来るかもしれない。検体を確保する必要がある…化物に麻酔が効けばいいが…

 

9/26夜

このレポートもこれが最後だろう…多くの犠牲を払ったが検体の確保には至らなかった。我々の想像を遥かに上回る身体能力を発揮する怪物を前に、我々に出来たことと言えば逃げ惑う事のみ。怪物を振り切ってここに戻る頃には私一人しか生き残っていなかった。

……私達は間に合わなかった。抗体が完成した所で救える患者ももう居ない。願わくば、この研究が生き残った生存者の救いにならんことを…

 

 

今は亡き、名も知らない医師のレポートとを読みながら、ライバックは眉間に皺をよせていた。

[残念だけど間に合わなかった様ね。]

 

[我々が動く時は何時だって手遅れだ。]

国家が滅ぶ恐れのある最悪の事態に、エージェントは召集される。現場に着く時には大抵が多くの命が喪われた後だという不満を無線越しにオペレーターにぶつけた。

 

[犯罪者なら警察が、戦争なら軍隊が対応する。貴方達の任務は、政府ですら抑えきれない脅威に対応する事よ。些細なことでエージェントの命を喪う訳にはいかないし、エージェントの存在を知られ他国から脅威としてターゲットにされるわけにもいかない。]

 

[ああ…解ってはいるさ。ただ、納得しているかと聞かれれば…そうじゃない。]

 

[議論は帰ってから上として。今は任務に集中。]

 

[…ああ。]

 

レポートを読み終わり設備を見回す…培養設備、抗体ベース…様々な器具がところ狭しと陳列されていた。検体さえ確保出来れば、すぐに抗体を作成出来る様に整えられている。レポートの最後にはチームのだれが生き残ってもワクチンを作れるように、丁寧な作成手順が記されていた。

 

[医師のお陰でワクチン完成まてあと一歩ってところね。まずは…怪物の確保から。貴方、調合出来る?]

 

[問題ない。料理と一緒だ。]

 

[……………]

 

ライバックは材料調達の為に公園へ向かうことにした。培養は時間がかかるため、今回は直接化物を確保して成分を採取する方法をとる。

 

[ガーランドが警察署の端末と同期した為、此方からでも公園の監視カメラの映像を確認出来るようになったわ。レポートにあった怪物の映像が映ってるから、戦闘データを先に確認して。]

 

[警察は何をしていたんだ?]

 

[ガーランドが確認した書類などから推察するに、暴動の鎮圧や生存者の保護で手一杯だったようね。監視カメラまでは確認する余裕はなかったと思われる。]

 

コンタクトレンズを通して当時の映像が再生される。医師が10名ほど公園で待ち伏せし、群れから離れている個体に麻酔が入っていると思われる注射器を片手に襲いかかっている。麻酔銃でもあれば結果は少しはマシになっていたかもしれない。もっとも、麻酔銃なんて品物は法律上、医師免許をもつ者しか使用が認められておらず、実際に所有しているのは獣医師くらいなものだろう、都合よく手元にあるわけがない。それから起こった事は一方的な虐殺だった。ある者は刃物の様な鋭い水掻きで首を切断され、ある者は生きたまま丸呑みされていた。傭兵すら太刀打ち出来ない怪物に医師が挑むのはあまりにも無謀で解りきった結末だった。

 

[目は無い筈たけど、映像を見る限り甘く見ない方が良さそうね。確保出来そう?]

 

[問題ない]

確かに映像からは、瞬発力や筋力は相当なものだと判断できる。

(ならば、此方も相手に合わせた戦い方をするだけだ。)

 

 

~公園~

その怪物は公園内を徘徊していた。アンブレラコーポレーション・ヨーロッパ支部の作り上げたB.O.W[ハンターγ]だ。両生類の受精卵に人間の遺伝子を組み込んで製造されたハンター。まったく歯のない巨大な口に眼球のない顔など通常のハンターシリーズとは異なる様子をしている。また、知能は高く与えられた任務をこなす事も可能だ。今回の任務は[確認出来る全て生物の抹殺]という簡単なもの。

彼等にとっては、一般人の抹殺も傭兵部隊の殲滅もたいして変わらない難易度だった。正にハンターという名に相応しい能力、本当の意味で彼等にとって脅威となる存在には遭遇したことがない……彼に会うまでは……

 

黒い戦闘服、黒髪、鍛え上げられた肉体…ハンターγには目が無い為その姿を確認する事はないが、視力を補う感覚が目の前に立つ男は危険だと告げている。男は構える事なく平然と近寄りハンターにてをかざす…その時初めて、自身よりも優れた狩人の存在を怪物達は思いしる事となった。

 

 

~9/28~

『U.B.C.S.』……大企業アンブレラによって雇われた傭兵部隊。パンデミックで暴徒化した感染者から市民を救助するためにラクーンシティへ駆り出された。だが、それは表向きの口実。一部の隊員は本来の目的、自社が開発していたウイルス兵器の流出というアンブレラにとって不利になる情報の抹消や、真実を知る一部の人物の口封じなど、街の混乱に乗じて公に出来ない任務を行っている。また、絶好の実験場と化したラクーンシティで[実戦テスト]という名目で、開発していた数々の生物兵器を街に投下、現地の治安部隊や市民、何も知らないU.B.C.S.隊員と戦闘させてデータを記録したりとやりたい放題である。U.B.C.S.の中でもその様などす黒い任務を行っている一部の隊員を総じて[監視員]と読んでいる。

身長187cm・体重102kg、血液型はA型、年齢は35歳、元スペツナズ隊員、ニコライ・ジノビエフもその監視員の一人である。

 

「さぁ、武器を捨ててお前が持っている情報を全て渡して貰おうか。」

 

場所はラクーンシティ総合病院。向ける銃口の先には黒髪の男性。部屋にはハンターγの捕獲された大型のカプセルとウイルス研究の為に所狭しと器具が並べられている。

 

(この病院の医師には見えない。U.B.C.Sの隊員名簿にもこの男の顔写真は記載されていなかった。アンブレラ特殊部隊U.S.S.や合衆国の特殊部隊の線もあるが装備が明らかに違う。)

 

ニコライの静止を聞かず未だ作業を続ける男を観察するが、装備からはその正体を推察する事は出来なかった。銃器だけは3丁と普通の兵士よりは多い…外観から解る情報はその程度だけであった。ただ、B.O.Wが確保されているこの施設にいる以上何らかの情報を持っていることは確実だ。

 

「まぁ、まて。忙しいんだ。」

 

銃口を向けられているにも関わらず、男は動じない。ニコライは、いっそこのまま撃ち殺して自身で情報を集めるか迷うが、時間と労力を考えると、あまり得策とは思えない。苛立ちを抑えながら待つこと数分、作業が終わったのかやっと男は此方を振り返る。

 

「確か、武器を捨てろ。だったか?」

男は、自身の身を守る命綱と言っていいほどの銃を、部屋の隅に投げ捨てる様に簡単に手放した。例え、脅されている状況でも其があるだけで抑止力と成りうる銃をだ。とても正気とは思えない。

 

「それと、抗体の研究データも寄越せ…だったか?」

 

男は余裕のある態度を崩すことはない。ニコライは自身が圧倒的有利にも関わらず、まるで自身が追い込まれている様な錯覚に陥る。

 

「これは、医師達が命懸けで設計し私が育てたプロジェクトだ。其れをポッと出のお前さんに渡せと言うのだな?…………いいだろう。」

 

わざわざデータの重要さをアピールしたあとに、両手を広げまるで歓迎するような仕草で承諾する。

 

「このバッグの中に、今までのデータが入っている。ほら、受け取れ。」

 

男はニコライの方へバッグを投げ寄越す。バッグはニコライから4m手前で落ち、その衝撃でバッグの横に付いていたハンドボール大の球体が外れてニコライの方へ転がって来た。否、転がるという表現は正しくはない。その速度は異常に早く、まるで球体が自走しているかのようだった。

 

「ツッ……!?」

 

特殊部隊に長年勤めた感か、ニコライは球体の異常性に即座に気付き回避行動をとる。バックステップ後、背後の机上に並べてある器具を薙ぎ倒しながら机の裏に隠れるのと、ニコライが先程いた場所で球体がピタリと止まり、顔の高さまで球体が飛翔したのは同時だった。

球体は空中で炸裂し周囲一帯に鋭い金属片を撒き散らす。

自走マイン・エアバースト……エージェントの指定した座標に文字通り自走し炸裂する爆弾だ。主に先制攻撃や銃撃戦で物陰に隠れる敵を炙り出す時に使用されるガジェットだ。なかでも、エアバーストは空中で炸裂することで広範囲に散らばり敵に負傷させることを目的に作られた物で、ニコライがあのまま回避行動をとらずに至近距離で炸裂を浴びていたなら間違いなく死亡していただろう。

 

ニコライは自身が有利な状況にも関わらず、先手をうたれた事に若干のショックを感じていたが、即座に切り替え反撃を行う。

 

「馬鹿な!?」

反撃のため机から身を乗り出し銃を構えるが、いつの間にか至近距離に接近した男がその銃身を握っている。

 

マインが炸裂した直後にニコライは反撃を行った。にもかかわらず男がこの場所に居るということは、爆発で兵士達を殺傷する数多の金属片が飛び交う中、この男は真っ直ぐに、この場所まで移動していた事になる。ニコライは男の外傷を探すが、目立った外傷はなく唯一あるのは、頬に付いた傷と言うには烏滸がましい程度のかすり傷のみだった。

 

「化物め!」

 

男はニコライのライフルを奪い取り、強烈な前蹴りを放つ。その威力は体重100kgオーバーのニコライを軽々と吹き飛ばし、背後の薬品棚を盛大に巻き込みながら壁へ激突した。

 

「もう、辞めにしないか?こんなことをしても無駄なだけだ。」

男は奪ったライフルを部屋の隅に投げ捨てながらニコライに言い捨てる。その銃でニコライを撃てたにも関わらずにだ。

 

「無駄だと?貴様が死ねば全て丸く収まる」

立ち上がったニコライはナイフを抜きながら男に襲いかかるが……

ナイフを持つ手を捻り上げられ、ナイフを落とす。そのまま高速で胸部に2連打。首に手刀を行い、掌を反し指先を曲げニコライの顎の骨を掴む様な形で抉る様に引き抜く。(今回は肉を千切るような事はしていないが、彼がその気になればスプラッターな打撃も可能だっただろう)ダメージを受け千鳥足のニコライにトドメと言わんばかりに盛大な一撃を見舞う。……両手をまるで太極拳の様に大きく円を描きながら腰辺りで力を溜め相手へ打ち出す様に力を解放する。その動作はまるでゲームのキャラクターが行う波動拳のようであった。

 

ニコライの身体はまるで重力を無視するように吹き飛び、4階の窓を突き破り、外へ転落する。数刻後、衝撃音と車の防犯アラームがけたたましく鳴り響いた。運が良ければ車がクッションになり、まだ生きているかもしれない。

 

「だから、その努力自体が無駄だといったんだ。」

男は誰も居なくなった部屋で一人呟いた。

 

~~

 

 

[お疲れ様、ライバック。無事に抗体を作成出来たようね。ウイルスのデータとその抗体を持って街から脱出して。]

 

[了解。途中でお嬢ちゃんを拾ってから脱出する。ところで、先程襲撃を受けたが…この施設はどうする?]

 

[その様ね…ウイルス兵器は大抵ワクチンと1セットで販売される。それは、己が撒いたウイルスに自身が感染するのを防ぐ為です。どちらか一方が欠けるだけで兵器としては成り立たなくなります。この街の現状を推察するに、アンブレラはウイルスを抑制するワクチンを開発していないと見受けられます。この抗体のデータが彼等に渡るのは大変危険です。この施設を破壊し、ウイルスが完全な兵器として世に出回るのを阻止して下さい。]

 

[了解。]

 

 

~~

「ジル……間に合ってくれ…すぐにワクチンを見つけてくるから。」

U.B.C.S.隊員、カルロスは焦っていた。彼は監視員とは違い、純粋に街の市民の救助を目的としてこの街にいた。ジルと出会い自身の雇い主がこの地獄の元凶と知ったのはつい先日。その後、彼女とは歪み合い、助け合いながらもこの街を脱出するために協力しあっていた。

何とかたどり着いた時計塔。アクシデントがあり彼女とはぐれていたが、ジルが力なく倒れているという最悪の現場で2人は再開を果たした。傷口には紫色の液体……どお見ても感染は免れない。カルロスは唯一の可能性を信じて総合病院に入っていった。

 

 

 

[病院爆破準備完了。5分後に爆破する]

 

[お疲れ様、すぐにその場を離れて。……ライバック?どうかしたの?]

 

病院のロビーを見渡すライバック。

[いや…扉にもたれ掛かっていた死体の位置が変わってるように見えただけだ……きっと気のせいだろう。]

 

[そう…仮に、襲撃者がまたデータを取りに戻ったとしてもその時間での情報の収集は不可能よ。捨て置いて撤収しましょう。]

 

[ああ…]

 

~~

爆破炎上する病院、カルロスは奇跡的に無事だった。マップが解らないにも関わらず、実験室を奇跡的に見つけ出し、既に作成準備が出来ている設備を動かし抗体を作成した。そして、作成中にジルが心配になり急いで病院を後にしたことが効をなした。

「一体何だっていうんだ!チクショーメ!」

 

彼等が無事に脱出するのは、まだ先の話である。

 

 

 




~警察署~
[ねぇ、ルナ?先程、ライバックのオペレーターから公園の監視カメラのデータを寄越すように連絡があったわ。]
ルナの専属オペレーター、エマから無線が入る。

[映像を確認したけど、怪物が公園内に複数いるわ。今から彼、公園に行くみたいだけど大丈夫かしら?]

[そうね…普通だったら危険でしょうね…怪物は人間との戦闘を主として開発されているから……だけど、私以外の隊員は皆、人間辞めてるから大丈夫よ。]

ルナは石像のダイヤルを回しながら無線に答える。

[前から気になってたけど、彼等とは知り合い?]

[いいえ。会ったのは初めて。だけど彼等は有名よ……
隊長を辞典風に言うなら、霊長類ヒト科セガール目。英名:ケイシー・ライバック。地上最強の生物の一角として君臨している。まず、例えミニミやM60で銃撃されようが、その銃弾は彼に当たることはない。例え運良く当たったとしても、「銃弾は貫通しているから当たったうちに入らない」と言うタフさ。(実際に作戦行動に支障はない)オリンピック級の狙撃の腕前を持ち、あらゆる武器を使いこなす。格闘戦では無敗。敵にあわせてナイフや銃など持つことがあるが、それは敵の見せ場を作るためのハンディキャップでしかない。控え目に言って化物よ。もし私が彼の敵だとしたら、彼の姿が見えた時点で泣いて命乞いするわね。]

[なにそれ、怖い…]
これまでマルチロックオンや未来予知と言っても過言ではない偏差射撃を披露したルナだが、その異常さについ最近養成学校を卒業しオペレーターになったばかりのエマは気付かない。

[ところでエマちゃん、絵柄は弓と鳥、水瓶……好きな組み合わせある?]
ひたすら絵柄を合わせていくルナ…

[(私の担当の人はまともそうで良かった~)]
心のなかで安堵するエマだが…その安心が取消されるのは、ルナが疲労と眠気でキレるまでの数時間だけだったとさ……
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