夏!
川神学園の体育祭は夏季に行われ、その内容は三種類からランダムで選ばれる。今年の体育祭は――――
「水上体育祭ッだ―――――――――――――ッ!!!」
水着姿の百代が思いっきりジャンプをして配点ションではしゃぐ・
「水着だー!女子の!!スク水だー!!!いーやっほおおおおおおおっ!!!」
「姉さん、なんで男子以上に大喜びしているの?そしてなんで姉さんだけビキニなの?」
「んー?サービスだ。嬉しいだろ?」
百代が大和に色仕掛けをするが大和は首を傾げる。
「ていうかじじいに参加を制限されてつまらないから気分だけでも楽しくするんだ。」
百代は頬を膨らまし、はぶてる。
「まあ姉さんが出ると戦力的にチートだからね。」
「まあな。・・・・・それよりお前、結構鍛えているな。」
大和の姿は身体に無駄な筋肉をつけていない細マッチョ体型。何人もの女子が大和に視線を向ける。
一方別のところではガクトが双眼鏡越しに女子のスク水姿を観察していた。
「おぉい・・・・素晴らしい眺めだな、モロ。見ろ!チカリンとか結構スタイルいいぜ。」
「じろじろ見るのをやめなよガクト。」
「バカヤロウ!いいものはしっかり見ているのが礼儀ってもんだぜ!なあヨンパチ!」
「おうよ!俺は見るだけじゃなくて撮るけどな!」
モロに逆ギレして怒鳴るガクトのすぐ近くでヨンパチは堂々と撮影、もとい盗撮していた。
「・・・・・・」
モロは顔を紅くしながらも他の女子のスク水姿を見る。
「ま・・・まあ、ガクトの言うことも一理あるよね。見ないのも失礼だよね。だから、次双眼鏡貸してよ。」
へへへとモロは笑いながら学徒に双眼鏡を借りようとする。
「むっつりのモロが必死に自己弁護をしている・・・・・・」
「むっつりじゃないよ!・・・・・って。」
『おおおっ!』
皆が振り向く先には水着姿の京、クリス、ワン子の姿があった。結構レベルが高く、ジャンルも結構揃っている。
「これは我がファミリーながら・・・・・」
「レ・・・・・レベル高いよね。」
「でもあっちもレベル高いよね。」
ワン子が指差す方こうには大和と一緒に話している猛竜と哀空理の姿があった。
「確かにそうだな。」
「一部のそうでは薄い本のネタに使われているって話。」
「あいつらがモテてなんで俺はモテないんだ!」
ガクトの見苦しい言葉を放つと女子一同の冷たい声が刺さる。
「むさ苦しい。」
「暑苦しい。」
「キモイ。」
「ぐはぁあああああああああ!」
ガクトとはショックを受けて倒れる。
「まったく、男子は色めきたっちゃって・・・・・・ガキくさいわ。」
千花が呆れていると委員長が笑って納得する。
「あはは。そういうところがお姉さんからすれば可愛いですけどね。」
「ところで・・・・」
千花はキャップとゲンさんをチラッと見る。引き締まった肉体に結構イケメンなルックス。女子が引き寄せられる要因を兼ね備えている。
「風間も源とも引き締まってて眼福よね!エレガント・クワットロ(イケメン四天王)二入いるクラスって超ラッキーじゃない?」
「あたいは源派―!」
きらきらと目を輝かせ喜んでいる千花の後ろで黒子が自分に意見を主張する。
「千花ちゃんも色めきたってます・・・・・」
『きゃあ―――!』
女子の高い声が聞こえてきて皆がその声の方を向くとそこには2-Sの冬馬と小雪の姿があった。
「こんにちは、みなさん。水着姿の皆さんも素敵ですね。今日は一緒に楽しみましょう。」
「2-Sの蒼い君よー!」
「イケメン四天王筆頭!葵冬馬!!」
「学年一の秀才にして大病院の跡取り!」
女子たちが誰にでも判りやすい解説をしてくれる。ホント助かるな~。
「結構人気者だな。」
「ああ。2-Sの軍師と言っても過言ではないな。」
「側近の小雪って子もなかなか出来ると聞いている。」
冬馬のことを話している三人に気づいた冬馬は三人に近寄る。
「直江さん。」
「ん!珍しいですね。そちらから話しかけてくるなんて。」
「以前から話したかったんです。この前の決闘では準がお世話になりました。」
「あの人とお知り合いで?」
「準は私の身の回りの世話をしてもらっているので。それより大和君と呼んでもいいですか?」
「いいですけど・・・・・・・近すぎません?」
いつの間にか冬馬は大和に思いっきり詰め寄っていた。下手をすればキスをするほどの距離に。
「すみません。ワタシは女性も大好きですが男も好きなんですよ。フフフ。」
「?」
「大和君には好きな人はいないのですか?」
「好きな人?それだったらいるよ。」
『っ!!』
大和の言葉に風間ファミリーの女子全員が反応する。
「百代姉さんにクリスに京、ワン子にまゆっち。」
「五股ですか!」
「あとガクトにモロにキャップにゲンさんに哀空吏に猛竜にあと・・・・・」
『・・・・・』
「あれ?なんか変なこと言った?」
「いえ、なんでもないです。」
この瞬間、その場にいた誰もがこう思った。
(こいつ、純粋で恋は未経験だ!)
「それはそうと、S組から提案があるのですが。」
葵の言葉に大和は首を傾げる。
「総合順位とは別にS組からF組に“川神戦役”を申し入れます。」
『か・・・・・・川神戦役だってーッ!』
「って何それ?」
ワン子一人だけがその意味をわからなかった。
「それはS組委員長である我が説明しよう。」
九鬼秀雄が仁王立ちをして現れる。揚羽さんの弟だっけ。額の傷と頭髪が似てる。
「川神戦役とは5つのテーマごとに抽選で競技を決め、総合力を競うシステムである!勝利するごとに相手クラスから人材を1名奪えることになっており、敵戦力の要を自軍に引き入れることが出来るのだ!」
わかりやすい説明ありがとうございます。
「我のクラスとF組は普段からいさかいが耐えぬゆえ、一度決着を付けたいお申し出があってな。」
秀雄が視線を向ける方向にはニヤニヤといやな笑いをしているS組がいた。先頭には不死川が立っている。
(くっくっく・・・・・個人では不覚を取るもあるやもしれんが川神戦役は総合戦力。S組が遅れを取るなどありえんのじゃ・・・・!)
不死川が内心で勝機を確信していた。
「どうする委員長?」
「お姉さんはそういうのは・・・・・・負けたら誰か取られてしまいますし。」
「ですよね!ホラおめーら!F組委員長が嫌がってる!散れ!!」
「そなた、どっちのクラスじゃ・・・・・」
準が委員長を庇う。流石ロリコンノータッチ主義、犯罪ギリギリのところで止まっているな。
「ま、確かに負けて編入させられたらあっちじゃ奴隷みたいな扱いされるだろうね。」
モロがネガティブ発言をすると千花が変な妄想をする。
「!・・・・・じゃあきっと私を指名するわ!」
「アタイ肉奴隷にされちまうよ!」
千花の言葉に連れられて黒子も妄想をする。だがそんな発言をする中ワン子だけがポジティブ発言をする。
「勝てば何も問題ないわっ。アタシはS組と勝負したいわね!ぜひとも!」
「よく言ったワン子!俺もやるぜ。相当キツそーだが面白ぇ!大勝負だ!」
ワン子の言葉に感心したキャップは思い切った発言をする。
「俺も賛成だ。勝てばS組の美女をGETだぜ!」
「はーい!榊原小雪が欲しいでーす!」
「ちょっ、ここは冬馬くんでしょ!」
ガクト言葉にヨンパチも連れられるが千花は葵の方を選ぶ。
「みんなやるっていってるけど・・・・・・・・」
「うう・・・・・・うちの子たちは好戦的なのです。」
委員長はどんよりと暗い顔をする。委員長は溜息を吐きながらも「仕方がありません。」と言うとこう続けた。
「川神戦役を・・・・・お受けしますっ!」
委員長のその言葉にS組一同はニヤっと口元を緩めた。
「では2-F対2-Sの川神戦役を認可する。存分に争うがいい。」
(児島先生の水着・・・・・)
水着姿で鞭を持っている児島先生が承諾する近くで2-S担当宇佐美巨人(独身)が子島先生の水着姿に見とれていた。
というわかで開催された川神戦役。学園長と百代姉さんが実況を勤めている。
「実況は私、川神百代と。」
「学園長、川神☆ラブリー☆鉄心がお送りするぞい。」
「勝負は五回!果たして何人がクラス替えを余儀なくされてしまうのか!」
百代は実況の役でありながらも結構楽しみ、盛り上がっている。
「注目の川神戦役、一回戦のテーマは『身体能力』!決闘方法は・・・・・」
百代は内容が書かれた紙をボックスの中から一枚引く。
「ビィィーチバレェエーッ!」
海辺に設置されたビーチバレーコートでS組から小雪とあずみ、F組からはワン子とクリスが出場。途中まで良かったのだが、後ろに行ったボールがどちらのなのか決めておらず結果・・・・・・
「S組完勝―!」
あまりの優勢の状況から劣勢に変わり、あっけなく負けた。
「クリ&カズをあしらうとはやるじゃねえか!倒し甲斐があるってもんだぜ!」
「気楽なこと言ってる場合じゃないぞ。負ければ一人S組に取られるのだぞ。」
「あ!」
哀空吏がキャップに言うと気楽に笑っていた表情と一変する。
「きっとアタシが指名されるわ・・・・・・お別れね、マヨ。」
「はい・・・私が指名されてしまうんですね。」
ドラマッチックな展開を勝手にしている委員長と千花を見ているヨンパチとモロはこう思った。
(なんだろう。この100%な安全感・・・・・・・・)
言うまでも無く委員長は準が欲しがるだろうが危うく犯罪に走ることをさせないためにS組に入れないのは当然である。
「では予定通りでいいですね、秀雄?」
「よかろう。まかせる。」
秀雄は冬馬にゆだねた。
「私達が欲しいのは・・・・・・」
冬馬はゆっくりと右人差し指を立てながら腕を上げ、指名する。
「直江大和君です。」
「!」
冬馬の氏名に大和は驚く。
「ぉおーと!S組はなんと大和を指名!」
「まーあやつはS組レベルの学力を持っておるからのう。妥当じゃ。後余計じゃが哀空吏と猛竜も大和に近いレベルじゃ。」
「・・・・・ま、ルールだし仕方ないか。」
大和は素直に受け入れる。
「大和安心して。私も実力でSに行くから。」
京が涙目で大和を見る。
「せめて取り戻すと言ってくれよ。」
「フフフ、ようこそ大和君。」
* ハートマークが打ちのパソコンでは出せないのでご了承ください。
冬馬が大和に好意のある目で見てくる。だが大和は首を傾げる。
「おい!なんとしても大和を取り戻さないとヤバイぞ!」
猛竜の言葉に皆頷いた。そんな中ワン子がそわそわしていた。
「おい、ワン子が飼い主を失って落ち着かなくなっているぞ。」
「なんとしても取り返さないとね・・・・・・・・」
ガクトとモロがワン子を見て改めて思った。
「さあ次の種目に移りましょう!」
百代が次の種目を始めようと促す。
「二回戦、テーマは『可憐』!注目の種目は・・・・・・・・・水着コンテストぁぁぁぁぁぁっ!」
「うぉおおおおおおおおおおおおっ!」
百代は男子と一緒に盛り上がるが、再度百代は紙を見直すとそこには衝撃の内容が書かれていた。
「ただし女装で・・・・・・・なんだコレ?」
「
『ふざけんなぁぁぁぁっ!!!』
男子一同激怒する。女の水着姿なら嬉しいも男子の女装なんか見たくも無い。
S組側
「女装なら葵君が似合いそうですね☆」
「私は女性も男性も好きですが女性になりたい願望はないのです。」
あずみが葵を出そうと促すが葵は拒む。
「誰も女装なんざしたかねえだろ。くじ引きでもすればいいんじゃないの?」
「だねー。」
準の言葉に小雪は賛成する。
F組側
「うわぁ、女装とかきついなぁ。」
ガクトたちがモロを推薦すると女子たちがピンと来る。
「うちからは誰が出るんだろうね?」
モロがガクトたちを見ていない時に勝手に推薦を集める。
「ん?」
なにやら邪気を感じ取ったモロは後ろを振り向くと女子たちが女装グッズを持って構えていた。その後モロの悲鳴が海に消えていった。
「さあ各陣営選手が決まった模様!誰が出てくるのかはお楽しみ!」
浜辺に設置されたステージに両陣の選手がスタンバイされ、百代が実況する。
「では変身を待つ間アトラクションとして言霊部・京極君のトークをお楽しみください!」
京極のトークが始まり、観客はその声を聞くに連れて魂が抜けていった、
しばらくして・・・・・
「さあここでタイムアップ!おまちかねの女装の時間だ!ご苦労、京極さがっていいぞ!」
「む、まだ言霊が足りないのだが・・・・・」
「サガレ!」
京極はしぶしぶ下がる。
「ではまずS組から!出てこいカワイコちゃ――――ん!」
百代が促しS組から出てきたのは・・・・
「出たー!S組からは井上準!意外とノリノリだー!」
あまりの絵に表現しようが無いほどにショックを受け会場は興醒めになる。
「だがしかし!会場のリアクションは低温だ!」
「だれじゃ、こんな企画した奴は!」
「・・・・・」
解除にいる誰もが「おめえだよ!」と思ったに違いない。
「精一杯にやったんですがこれが限界でしたね。」
「元の素材がイマイチだしな。磨いても光らん。」
(こ・・・・・これがアタシ・・・・・・?)
精一杯頑張ったあずみとマルギッテを余所に準は目覚めてはいけない何かを開花させつつあった。
「なんかもう次見るまでもない気もするな・・・・・・」
百代は女装種目に嫌気が指していた。
「では気を取り直してF組!カワイコちゃんカモーンッ!」
シーン
「んん?恥ずかしがっているのかな?」
「うう・・・・・やっぱり出なきゃダメかな?はずかしいなぁ。」
「おお!?どうやらF組はモロ!師岡卓也!」
モロは羞恥心から出ようとしない。
「ええい、臆するなモロ!」
「男ならガツンと行きなさいっ!」
「う、うわっ!」
モロはクリストワン子に背中を押され、ステージに飛び出す。
「あっ。やっと出てき・・・・・・・たっ!?」
会場に衝撃が走った。可憐に可愛い顔立ち、スク水から見える肩甲骨、はみ出しそうなお尻、恥ずかしさ故に赤らめている顔。誰が見てもその姿は・・・・・可愛い。
「キタ――――――――――ッ!F組文句なしの圧勝ッッ!!」
会場が歓喜に満ちる。
「白い肌!華奢なカラダ!憂いの瞳!まさに可憐!なんで男に生まれた師岡卓也!」
「ぼ・・・・・僕が・・・・勝ったの?」
「よっしゃー!大和返せオラー!」
圧倒的勝利に不死川も納得する。が、準だけは納得しなかった。
「まぁなんだ。負けるべくして負けた勝負じゃな。」
「納得いかないわっ!アタシのどこがあの子に劣ってると言うのっ!」
大和は無視して別れの挨拶をする。
「じゃあ戻りますので。ありがとうございました。」
「またきてねー。」
小雪がノーテンキに手を振る。
「大和―。」
大和はモロの声がしてモロの方を振り向くと勝者の証の花の首飾りを掛けた女装姿のモロの姿があった。
「見てた?僕やったよ!役に立ったよね!」
「ああ。ところで着替えなくていいのか?」
「へっ?」
「水上体育祭はこれよりお昼休みに入ります――――」
アナウンスが流れ川神の生徒一同は海の家に行く。キャップとワン子も例外ではない。
「あーっ!腹減ったなー!」
「海の家行きましょ!」
「―――が、2-Sと2-Fは川神戦役三回戦を同時に行います。」
「おっ?」
「三回戦のテーマは『知力』。各クラス代表者一名を選抜してください。」
「知恵比べですか。ようやく私の出番ですね。」
S組からは冬馬が出てくる。
「どうする?」
「俺が何とかする。」
「頼むぜ哀空吏。」
F組からは哀空吏が出る。
「次の競技まで時間がありますので少々お待ちください。」
大和はその言葉を聞くと森のほうに向かい歩いてゆく。
「おい!どうしたんだ大和?」
「悪い、キャップ。少しここら辺でしたいことがあるからちょっと。」
「あ~・・・・わかった。」
大和は森の中を歩き、見晴らしのいいところを見つける。
「ここならいいか。」
大和は周りにある石を手当たりしだい集める。
「何をしているんですか?」
声を掛けられたほうを向くとそこにはまゆっちの姿があった。
「まゆっち!どうしたのこんな所で?」
「ええっと・・・・何と言いましょうか・・・・」
「まゆっちが向こうにいてもボッチだから気分転換にここに来たんだよ。」
「ま、松風!」
「そっか。丁度いいや。手伝ってくれない?」
「へ?」
「そこらへんにある石をこっちに運んでくれない?後はこっちでするから。」
「はあ・・・・・」
まゆっちは大和に言われた通りに石を集める。大きい石から小さい石、とにかく集めた。
しばらくすると集めた石は小さな山になった。大和は一本の長い棒を石の山に挿し、十字に組み合わせた薄い木の板を棒にくくりつけると回りに落ちている枝でドリームキャッチャーを作り、それを十字に組んだ木に固定する。
「なんですか、それ?」
「これ?母さんの墓だよ。」
「っ!すみません!ぶしつけな質問をして!」
まゆっちは頭を下げる。
「いいよ。それにこれは本当の墓じゃないし。」
「え・・・・・・・・・・」
「これは昔から作ってるんだ。ちゃんとした墓はあるんだけど母さんの魂はそこで眠っているだろ?だから俺は母さんの墓をたくさん作ってもっと世界を広く見てもらいたくて作ったんだ。」
「大和さん・・・・」
大和は両膝を突くと手を合わせた。まゆっちもその光景を見て大和と一緒に手を合わせる。