牙狼〈GARO〉 大和の輝き   作:ザルバ

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 洗濯物を干すには絶好の晴れ晴れとした空。そんな空の下まゆっちのクラスでは席替えをしていた。前までのまゆっちなら表情が硬くて少し避けられ気味であったがどういうわけか今は表情が柔らかい。それは朝の出来事に遡る。

 

「お~~~~~りゃぁあ!」

「ふっ!」

「はぁっ!」

 いつもどおり大和たちは島津寮の庭で朝稽古をしていた。まゆっちはその光景を自分の部屋から見ているだけで大和たちに声を掛けようとしないままである。

「大和さんたちどうしてあんなことするんでしょう?」

「さあな。だがおれっちはまゆっちの思い人がカッコイイと結構いいぜ。」

「ま、松風!」

 いつもどおり松風に話かけているまゆっち。まゆっちはふと模造刀と日本刀の入った刀袋を持ちお手洗いに向かおうと廊下に出るとワン子と出くわした。

「あっ!おはようまゆっち。」

「お、おはようございます。」

 相変わらずの硬い表情。だがワン子は気にしなかった。

「それよりさ!一緒に大和と修行しない?」

「へ?」

 まゆっちはワン子の言った発言に一瞬理解が出来なかった。

「昨日あいつに負けちゃって落ち込んでたところを大和に助けられてさ。それで今日たまたまいつもより早く起きたんだけど大和たちのあの動き見てたらいっしょに修行したくなって。」

「はぁ・・・・・で、なんで私まで?」

「だって川神戦役の時のあの斬撃、すごかったし百代お姉さまの拳を避けることができるんだからもっと強くなろうとは思わない?」

「ま・・・・・まあ思うことはありますが・・・・・」

「じゃあいこ!」

 ワン子はまゆっちの手を引っ張る。

 まゆっちとワン子は大和たちの下に駆け寄る。

「大和~~~~!」

「ん?おおワン子、おはよう。」

「おはよう。ねぇ、ちょっといい?」

「なんだ?」

「一緒に修行してもらってもいい?あたし大和が言ってくれた目標に近づいてみたいから!」

「大和、何を言ったんだ?」

 哀空吏が大和に聞く。

「ああ。百代姉さんを超えるって目標だよ。師範代だと百代姉さんの力になるには難しいからね。」

「な~るほど。で?」

「?」

「おいおい、大和。どっちを相手すんだよ。」

「う~ん・・・・・ワン子、今日は守りの型を哀空吏から教えてもらえ。哀空吏、すまないが訓練用の弓矢でワン子を攻撃してくれ。」

「大丈夫なのか?」 

「大丈夫だろ。ワン子、今回は薙刀の使用を一切禁止、手か足でその矢を防げ。」

「わかったわ。でも哀空吏君が飛ばしてくる方向って分かりきっているんじゃ・・・・・」

「見ていろ。」

 そう言うと哀空吏は的になる物に指を指しみんなに見るように言うと模造の弓(哀空吏が愛用している魔導弓と同じ形の弓)の弦を引き一矢放つと矢は的になる物の後ろから当たった。その光景にワン子とまゆっちは驚く。

「わかったか?」

「う・・・・うん!哀空吏君、よろしくお願いします。」

 ワン子と哀空吏は修行に入った。

「さて、まゆっち。」

「は、はい!」

「買った模造刀今もってる?」

「は、はい!今出します。」

 そう言うとまゆっちは刀袋から模造刀を取り出す。

「俺と一回勝負してみようか。ルールは簡単に相手の戦意喪失。と言っても剣先を急所に突きたてる程度でいいから。」

「わ、わかりました!」

 まゆっちは模造刀を抜刀、両手で持ち構える。大和も抜刀、鞘を持っている左手の甲に地肌を置く。

「はぁ!」

 大和はまゆっちに接近し剣を右上から振る。まゆっちはその攻撃を受け止めるも、距離を詰められ鞘でまゆっちの右肘に打撃を喰らわせる。

「っ!」

 大和に当てられたところは神経がほぼ表面に出ている箇所に当たり右手が痺れる。まゆっちは後ろに下がり体勢を立て直そうとするがそれを大和は許さない。大和は交互に救い上げるように剣を振りまゆっちの脇を空けてゆく。本来なら防げる攻撃も片腕では不可能に近い。

 まゆっちの脇が空くと大和は鞘を持ち直しまゆっちの右腕を押さえ、剣先をまゆっちの首に突きたてる。

「ま・・・・参りました。」

 まゆっちがそう言うと大和は剣を納める。

「うん。まゆっちは少し受身だね。カウンターで狙ってくるようだ。でも時々攻めてくる。」

「あ、当たっています!」

「でも剣筋は正直すぎて百代姉さんともし戦ったら確実に負けてしまうかもしれないね。」

「えっ!?」

「まゆっちは攻撃を受けた瞬間どう流すか一瞬考えてしまう。ほんのわずかな時間でも百代姉さんにとっては勝率が上がるんだ。」

「な、なるほど。じゃあ攻撃をすぐ受け流し次の攻撃に繋げる方法をすればいいんですね!」

「違う!」

「えっ!?」

「攻めだけでは全く敵には勝てない。まゆっちの型は守りが多い。攻めと護り、両方を瞬時に使えるほうがいい。その型の中に隠されている本来の力を引き出すのにね。」

「ご、ご指導ありがとうございます!」

 まゆっちは深々と頭を下げる。大和はまゆっちに近づくと頭を撫でた。

(ふ、ふわあああああああああああ~~~~~~~~~~!)

「そんなに硬くならなくていいから。じゃああっちで少し見てて。猛竜、今度は俺たちだ。」

「おお!」

 

 とまあこんなことがあったため今まゆっちは表情が柔らかい。同じクラスの生徒も今日のまゆっちの変化には気付く。

 まゆっちがふと左を向くと一人窓から景色を見て黄昏ている女子生徒に目がいった。女子生徒はまゆっちの視線に気付くと笑顔で軽いお辞儀をした。まゆっちの目に輝きが出る。いつもなら腹話術で松風と話すが今日は朝のことがあったため心の中で会話している。

(お、大和田感じいい人です!)

(よかったなまゆっち。このまま友達だ!)

 休憩時間になると彼女はウォークマンにイヤホンを繋いで何かを聞いていた。

「ああーっ、何してんのよもう!!」

 いきなり彼女は両手を机に叩きつけて立ち上がった。回りは彼女の行動に驚き視線が集まる。視線に気付くと彼女は顔を赤くする。

「はっ、いや、なんでも・・・・・ちょ・・・・・・ちょっとトイレ行ってきますっ!」

 大きな声でそう言うと彼女は教室を出て行った。

 

 まゆっちは学校帰りにある川辺で座っていると後ろから大和が話し掛けてきた。

「まゆっち。」

「や、大和さん!」

 大和はまゆっちの隣に座る。まゆっちの心臓は爆発寸前。

(ち、近いです大和さん!)

「どうしたの、こんな所で?」

「そ、その・・・・」

「待った。」

 そう言うと大和はまゆっちの頭に触れ、瞳を閉じる。

「う~ん・・・・・・友達が十人。十一人目になりそうな人が気になる。」

「あ、当たっていますっ!なんで分かったんですか!?」

「ああ。俺昔から物に触れると声が聞こえるんだ。その人の思っていたことや思い出、いろんなことが声になって聞こえる。」

「な、なるほど。」

「話を戻すけどまゆっちだったら大丈夫だよ。自信を持って。」

 そう言うと大和はまた頭を撫でる。まゆっちはまた顔を赤くした。

(な、なんか大和さんに頭を撫でられると力が抜けてしまいます///////)

 んで結果。

「あの子?」

「あ、はい。よく見つけられましたね。」

「まあね。頼りになる探索のプロがいるから。」

 大和は上着の中にいる蒼い魔戒竜の稚魚を見る。

「それはさておき・・・・・・・なんで皆いるの?」

 大和が後ろを振り向くと風間ファミリーと哀空吏と猛竜がいた。

「大和が現れるところに私はどこでも現れるッ!」

 わけが分からないことを言う京。

「まゆっちが無謀な挑戦をすると聞いて。」

 笑顔でひどいことを言うモロ。

「大和おごってくれると聞いて。」

「聞いて。」

 明らかにファミレスの飯を食いたい百代とキャップ。

「ドリンクバーって最高の文化よね。」

 ジュースを飲んでいるワン子。

「ぶっちゃけると野次馬だ!」

 同道と野次馬宣言しているガクト。

「自分は純粋に応援だ。野次馬ではないぞ、ほんとだぞ。」

 明らかに否定しているクリス。

「あ~、とりあえず風間ファミリーの皆は分かったけど哀空吏と猛竜は?」

「俺は百超えたから報告しようかと。」

「俺の場合は昨日の報告だ。で、あそこにいる子は?」

「ああ。ちょっとツテを使って調べたが大和田伊代。十月七日生まれでAB型。」

「AB!いっしょです。」

 まゆっちは嬉しそうに言う。

「両親とも健在でサイクリング好き。あと野球に興味があるそうだよ。」

「短時間でよくそこまで調べ上げられましたね。」

「まあ・・・・・・・・ハッキングのプロがいるから。」

 大和の言葉を聞いて風間ファミリーは疑問に思ったが哀空吏と猛竜はすぐに誰か分かった。

「ところでさっきから何かぶつぶつ言っているけど何しているのかな?」

 ワン子が彼女のことを気に掛ける。

「ちょっと近づいてみよっか。」

 そう言うと大和はまゆっちを連れてある程度聞こえる距離まで近づく。

『あせるなー。しっかりランナー返そう・・・』

(ランナー?・・・・あっ!)

『ゲッツー!?ああーもう、八回だってのになんで無援護なのよ・・・!三崎が投手で頑張っているんだから打たないと!』

「そっか。わかった。」

「なにがわかったんですか?」

「彼女は野球ファンなんだ。」

「野球ですか・・・・」

『次は石若・・・・・かっとばせ!石川―・・・』

 ラジオ越しに野球の応援をしている大和田の近くを陳腐らが通りかかろうとしていた。

『やったー!打ったー!!』

 大和田が喜びのあまり手を広げ立ち上がるとその手が戦闘にたっていたチンピラに当たった。

「えっ!?」

 大和田はチンピラを見て怯える。

「ねーちゃん“何”をしてくれてんだ?おぉ?」

「ひっ・・・!あ、あの・・・・・ごめんなさい。」

「ごめんですんだら“オマワリ”いらねえんだよ。アぁ!?」

「ヤバイ!」

「ぉ?何聞いてんだおめぇ?人と話すときは“イヤホン”外すんだ礼儀だべ?」

「あっ!」

 チンピラは大和田のイヤホンを強引に取り自分の耳に付ける。

「野球中継?七浜ベイかよ。だっっせぇ!」

「むっ。」

 彼女のプライドに触れる言葉が発せられた。

「おめぇ七浜ファン?あんな負けっぱなしの“チーム”応援してんの?」

「“ロッチ”に乗り換えろよ。」

 仲間のチンピラも侮辱する。だが彼女は勇気を出して彼らに言う。

「今日は勝てそうなんです。か・・・返してくださいっ!」

「まゆっち、行って来い!」

「へぇ!?」

 大和は強引にまゆっちの腕を引っ張り投げる形で大和田さんの前に無理やり立たせた。まゆっちはとっさに刀袋から真剣を取り出し柄頭をチンピラに突きたてチンピラの左手甲に当てる。チンピラは裏拳を防がれる。

「えっ!?」

 大和は微笑んでいた。

「な・・・・・なんだおめぇ?」

「黛さん!?」

「あ・・・・・謝ったのに乱暴はだめです・・・・・・。それに・・・・ひ・・・・人の大事なものを馬鹿にしたらいけません!」

「ま・・・・・黛さん・・・・!」

 よく言った、と大和は思った。

「おうゴルァ!」

「なんだぁおめえ!」

「“売って”んのか。ああん!?」

 チンピラが群がって威嚇してくる。

「おいおい、その辺にしていたほうがいいぜ。」

「そうだな。痛い目を見るよりいい。」

「哀空吏、猛竜。タイミング計るなよ。」

 大和たち三人の姿を見て先頭に立っていたチンピラが怯える。

「あれ?いわした君か。分かってるよね?あの時に・・・・・」

「くっ・・・・・」

「臆するな“船橋”ぃ!」

「こっちには“あの人”がいるっ!」

「ああ!そうだ、そうだったな!橘の姐御―!お願いしゃっす!」

「あねごー!」

『姐御?橘?』

「おーう。もう出番かえ?」

 ファミレスに入ってきたのはガクト二人文の背丈がある年老いた女性であった。

「デッカー。何食ったら大きくなんの?」

「だな。成長期に睡眠をとりすぎたんじゃないのか?」

「寝る子は育つか。それだとある意味病気だな。」

「三人とも着目するところが違うぜ!」

 呑気な大和たちに松風がツッコミを入れる。

「フフフ、どうよ?聞いて驚け・・・・このお人はかの武道四天王橘天衣!MOMOYOを倒すべく雇った用心棒よ!」

あまりの嘘に大和たちとまゆっち、そして百代は吹いた。

「じゃあここでケンカするのもなんだから川辺に行こうよ。」

「いいぜ。手間も“はぶけ”たからな。」

 大和の提案を“ちば”から来たチンピラは呑んだ。

 

 そして川辺。百代と大和たちは笑いを抑えていた。

「流石に・・・・・・もう我慢できん・・・・・」

「そうだね百代姉さん。お前ら、いいこと教えてあげるよ。そいつは偽者。」

『なっ!』

 大和の言葉に皆驚く。

「追加で言うと橘さんって人はそんなに身体は大きくない。百代さんたちと同じ体格だ。」

「そして橘さんはどこぞの誰かに負けていると聞く。つまりそいつは偽者というわけだ。」

 猛竜と哀空吏の言葉が決定的となった。

『はあぁあああっ!?』

 流石の“ちば”の奴らは驚きを隠せなかった。

「ちょっと姐さん!聞いてないっすよ!」

「あんたニセモノかYO!」

「ええい黙れ!強さは本物じゃき、コイツを倒せばいいんじゃろうが!」

 流石に乱れが生じているな。

 大和はまゆっちに近づき耳元で語り掛ける。

「まゆっち、この勝負を受けて強さを示して。」

「ええっ!」

「まゆっち、“まゆっちが倒した強敵”の名を借り、その人を侮辱した奴を正念ごとまゆっちの刃で斬れ。大和田さんのために、橘さんのために。」

「は・・・・・はい!」

 まゆっちは百代に近づき自分から言った。

「その勝負、私に受けさせてください!」

 まゆっちの真剣な眼差しに百代は微笑み、承諾する。

「いいだろう、やってみろ。」

「ま、黛さん!危ないよ!」

「大丈夫だよ大和田さん。今の彼女は負けないから。」

 大和は笑顔で言う。

 大和には分かっていた。護るために戦うことがどれほどの力を与えるのかを。

「そういうわけで・・・・・川神学園一年C組、黛由紀江、お相手します!」

 まゆっちは刀袋から真剣を取り出し抜刀する。

「はぁ?俺らは“川神”に用があるんだよ!誰だおめえ!」

「黙れ!」

 大和の言葉に“ちば”の奴らは怯える。

「大和、そんなに殺気を出すな。ならこれでどうだ?このまゆまゆに勝てば私に勝ったとしてかまわない。どうだ?」

 百代の提案に“ちば”の奴らは驚いた。

「えっ?」

「こ、これはチャンスだべ!」

「いくらなんでもあのトロそうなのが“川神”より強いわけがね。」

「ラッキーじゃねーか。」

「い、いいべ。その言葉“忘れ”んじゃねえぞ!」

「そいつに勝ったら世界最強の看板は橘(偽)姐さんのもんだ。」

「交渉成立だな。立会人は私自ら務めよう。それでは―――――――いざ・・・・尋常に・・・・・・はじめ!」

「けぇ~い!」

 百代の合図と同時に橘(偽)がまゆっちに接近すると身体から暗器を出しまゆっちに攻撃する。その威力で土煙が舞う。

「黛さん!」

「大丈夫。まゆっちがあの程度で負けたりしないから。」

 大和は安心しきっている。

「はははー!そんなもんじゃーい!・・・・って、お?」

土煙からまゆっちの姿が徐々に見えてくる。

「威力は十分ですが・・・・・・暗器を使うときは殺気を隠さなければ無意味ですよ。」

土煙が晴れるとまつっちの周りには地面に突き刺さっている暗器があった。

「流石だ。」

 哀空吏は感心する。

「ふん!なにもあたしゃ暗器だけじゃないんだよ!死ねぇ!」

 橘(偽)の左拳がまゆっちにむけた振り下ろされる。その拳は地面にめり込む。

「どうだい!これは取っただろ・・・・・うっ!腕をっ!・」

 誰もが驚いた。橘(偽)の腕を伝い目と鼻の先まで接近する。

「斬れ!まゆっち!」

「せいっ!」

「へげぇっ!!」

 まゆっちの峰打ちが橘(偽)の顎にクリーンヒットし、橘(偽)は空高く打ち上げられ、そして・・・・・

「ブゲラ!」

 見事に地面に落ちた。

「そこまで!勝負あり!」

「にせ橘の姐さ~~~~ん!!」

「ちきしょー!やられ役っぽいとおもったんだ!」

「ナイス、まゆっち!」

「見事な一撃だぜ。」

「さて、後は俺らが相手をするか。」

 大和と猛竜は懐から模造刀を取り出し抜刀、哀空吏は弦を張る。

「ま、待ってくれよ!」

「お、俺たち観光・・・・・」

『んなの許すか!』

『ひぃい!』

 大和たちに“ちば”の奴らは怯える。

「いくぞ!」

「「おう!」」

 大和の合図と同時に哀空吏が先行する。

「お~~~~~~・・りゃあ!」

 猛竜は青龍刀を振り下ろすしチンピラを蹴散らす。

『な、舐めんな――――!』

 自棄になったチンピラが武器を手に攻めてくる。

「はっ!」

 大和は剣の地肌を左手の甲にあて接近、チンピラ達とすれ違う。その瞬間チンピラたちが倒れる。

「ふっ!」

 哀空吏は上に跳ぶと弦を引き無数の矢を一斉に放つ。放たれた矢は一発も外すことなくチンピラ共に当たる。

「相変わらず正確だな。」

「こっちも負けてられねぇぜ!」

 猛竜は右の手袋を外しソウルメタルを立てに変形させチンピラを吹っ飛ばす。

「おらおらおらぁああああああ!!!!!!」

「はああああああああ!!!!!!」

大和は片足を踏み込み跳び、周りに集まってくるチンピラを人けりで気絶させる。

 哀空吏は弓矢を二つに分けヌンチャクにしチンピラどもを一掃する。

 そして数十秒後、“ちば”の奴らは山積みにされていた。

「終わった終わった。」

「こんだけすりゃもう懲りただろ。」

「だな。で、まゆっち。」

「は、はい!」

「まだ残した仕事があるぞ。」

「へ?」

 まゆっちは分かっていないようだと分かった大和はまゆっちの両肩を掴むと大和田さんの方に向ける。まゆっちと大和の視線の先にはただその場に立ってその光景を見ている大和田の姿があった。

「準備はもう整ったから後はまゆっちが踏み出すんだよっと!」

「うわぁ!」

 大和はまゆっちの背中を押し大和田に近づけさせる。

「え、ええ、えっと・・・・お、大和田さん!大丈夫でしたか?」

「う、うんすごいね黛さん。驚いちゃった。」

「えと・・・・・それでですね・・・・・・」

 まゆっちは勇気を出して言う。

「や・・・・」

「や?」

「野球っ!お好きなんですねっ!!」

「えっ!?」

 大和田はいきなり言われて何を言うかと思ったがすぐに分かり顔から湯気を出す。

「・・・・・あ・・・・あぁやっぱり聞かれてたんだ・・・・・・はずかしい。変だよね?女の子なのプロ野球大好きでしかもベイファン。」

「いえ!」

 しゃがんで恥ずかしがっている大和田に対してまゆっちは思いっきり自分の思っていることを言う。

「わ、私もこんな剣とかやっていますし!おかしくないです!むしろ友達になりたい感じで!」

「お友達・・・・」

 その言葉を言ったまゆっちは顔を赤くし少し困った表情をするが大和田はクスリと笑う。

「あははっ、黛さんいい人なんだね。きっかけはこんなんだけど話せてうれしいな。」

 大和田は笑顔であった。その笑顔を見て大和おは少し微笑む。

「よかったらこれかたもお話してもらえるかな?お友達として。」

「!!!!!!」

 まゆっちにとってその言葉は一生の宝に等しいものだった。

「は・・・・・はい!」

 まゆっちは笑顔で喜んでいた。

 大和たちはまゆっちの希望に満ちた顔を見て嬉しかった。

 自分たちはこの笑顔を護るために、人々の希望を護るために戦っているのだと。

 

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