牙狼〈GARO〉 大和の輝き   作:ザルバ

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 いつもと変わらぬ朝、大和は哀空吏と朝の稽古をしていた。

「ふっ!」

 哀空吏は弓をヌンチャクのようにして大和の頭を狙い大和に左から振る。大和はバク転して回避する。宙を自由に舞う弓の半分は合い空吏の背中に回した右手で受け止めると同時に左手の弓の半分を離し大和の頭上から振ってくる。大和は左足を強く踏み込み哀空吏の懐に飛び込みながら右手を突き出した。突き出した拳は哀空吏の溝にクリーンヒットし、哀空吏は吹っ飛ばされる。

「ぐほっ!」

 哀空吏は腹を押さえる。

「・・・・・参った。まさか剣を使わずに勝つとは思っても見なかった。」

「何言ってんだ哀空吏、俺のも賭けだったんだぞ。もし弦に絡まったら俺の負けだったし。」

「いや、あの時俺は弓を槍の様に使ってお前に戦っていれば勝機はあったかも知れない。」「確かにな。だが俺も剣を使っていたらもっと早くに終わらせられたかもしれないぞ。」

 大和と哀空吏が話しているのを余所にワン子は猛竜に青龍刀で攻撃していた。猛竜は右手を盾の状態にしてワン子の攻撃を全て受けていた。

「おらおら、動きが単調すぎるぞ。」

 猛竜は右の盾でワン子を突く。ワン子は青龍刀で受け止めるが押し倒されてしまう。

「おいワン子、何度言ったら学ぶんだ?敵の攻撃を受ける際は斜めに避けるか後ろに跳ぶって教えているだろ。」

「う~ん・・・・・でも使い慣れていない武器を使って修行することに何の意味があるの?」

「普段使い慣れている武器だと油断しちまうことが多いんだよ。使い慣れない武器でその武器の特徴を理解し、自分が愛用している武器でどう攻めるか改めて学ぶ。それが修行の一つにもなるんだ。」

「なるほ~。」

「つーわけでもう一回な。」

 ワン子と猛竜は修行を再会する。

「よし。じゃあ次はまゆっちの番だな。哀空吏、出来るか?」

「無論だ。」

「よ、よろしくお願いします。」

 まゆっちは律儀にお辞儀をすると模造刀を抜刀する。哀空吏も弓を構える。

「では・・・・・・はじめ!」

 大和の合図と同時にまゆっちは前に足を踏み込み右斜め下から振り上げようと剣を振り上げるが哀空吏は上に跳び前転、まゆっちの攻撃を回避しまゆっちと距離を置いて後ろに立つ。まゆっちはすぐさま反転して防御体制に移る。それと同時に哀空吏は弦に矢を掛けすでに引いていた。哀空吏は矢を射る。まゆっちは矢を地肌で横に叩き落すと一気に哀空吏に接近し剣を突くが哀空吏は後ろに跳びながら弓を数回掬い上げる様に振りまゆっちの剣の威力を殺す。

(やはり強い。大和さんも猛竜さんもこれほどの実力を持っていながら何故表に出ようとしないのでしょう?)

「余計な考えは死を招くぞ。」

「っ!」

 哀空吏は後ろに跳び、バク転をしながら弦に矢を三本掛け引き、まゆっちに向け射る。三本ともまゆっちに向けて放たれているがまゆっちは姿勢を低くし回避する。しかし哀空吏はまゆっちに休む暇を与えない。連続して、第二、第三と三本同時二矢を射る。流石のまゆっちも一本矢を頬に掠める。

(連続して・・・・・!この人たちやはり只者じゃない!)

 まゆっちは体勢を立て直すと左足を強く踏み込み右斜め上に剣を振り上げる。哀空吏は後ろにバク転をしながら靴で剣の地肌に足をつけ、宙に舞い上げる。

「っ!」

 哀空吏が上から弓を振り下ろそうとするとまゆっちは右膝を下に下ろし体を極限まで後ろに反らし剣先で哀空吏の弓を受ける。しかし剣先に掛かる負荷ははんぱない。

「むぅうううあっ!」

 まゆっちは渾身の力を込め哀空吏を弾き飛ばす。哀空吏は片膝を付いて着地をすると足を強く踏み込みまゆっちに急接近する。まゆっち後ろに後転して体勢を立て直し、剣先を右斜め下に向け地肌を哀空吏に向ける。哀空吏は弓を右斜め上に振り上げ、まゆっちから剣を放させる。剣は宙を舞いまゆっちから1m右に離れたところに刺さる。

「・・・・・・参りました。」

 まゆっちは負けを認めた。まゆっちに哀空吏は手を差し伸べるとまゆっちはその手を取り立ち上がる。大和は地面に刺さっている剣を抜くと土の付いた部分を自分の服で拭き、まゆっちに渡す。

「はい。」

「ありがとうございます。あっ!」

「ん?」

「大和さん、服が・・・・・・」

「ああこれ?いいよ。それに汗掻いているから丁度洗うところだし。」

 大和はそう言うとワン子と猛竜の方を向き声を掛ける。

「おーい、二人ともー。」

「ん?」

「なに?」

「朝稽古は終了。」

「「はーい。」」

 朝稽古が終わり彼らは島津寮に戻った。

 

とある一室に三人の人間がいる。一人は椅子に座り、二人は立っていた。

「どうだ、総理の方は?」

「問題なく着々と準備を進めています。後少し材料が揃えば後は貴方がこの国を・・・・」

「でもその前にやらなきゃいけないのがあるよね。あの魔戒騎士たち・・・・・」

 その男がそう言うと椅子に座っている男は微笑みこう言った。

「もし、私と戦うことになるのなら・・・・・・・・それはそれで楽しみ甲斐があるな。」

 その男は黒い微笑みであった。

 

「おーい、やーまとー!」

「百代姉さん。」

 島津寮の今で椅子に座っていると百代が後ろから抱き着いて来た。

「どうしたの?借金返しに来てくれたの?」

「いや・・・・その・・・・・」

「・・・・・・バイトの金は?」

「・・・・・・自分のために使いました。」

 大和は百代の方を向くと百代の頬を無言で引っ張る。

「ひゃまほ、いひゃいいひゃい!(大和、イタイイタイ)」

「あんたは本当にマダオか!」

 大和はそう言い終えると百代の頬から手を離した。

「百代姉さん、決闘ばかり強くてもそれじゃあ生きていくのが大変だよ。」

「大丈夫、お前がいる。」

「・・・・・・そうやって堂々と言える姉さんを見ると目頭が熱くなってくるよ。」

「いや~、それほどでも☆」

「褒めてないから!」

 大和は百代にあきれて溜息を吐く。

「ところで大和、今朝の稽古を少し見たが何故お前は表に出そうとしないのだ?」

 百代の発した言葉に大和は顔には出さないが驚いた。

「・・・・・姉さんは、戦いに飢えているから決闘をしているんだよね?」

「ん?まあそうだな。戦えば戦うほど私の心は満たされてくる。戦いが長引けば長引くほど充実感を味わえるんだ。」

「・・・・・そっか。姉さん、俺が前に言ったこと覚えてる?」

「たしか・・・・力や強さの意味を履き違えたら倒す、だったか?」

「うん。姉さんにとって、戦いは自分の強さを出すための舞台と思ってる。」

「ああ。力で最強を証明する。それのどこがおかしいのだ?」

「・・・・・・俺は、そんな姉さんを強いとは思えない。」

「ほう・・・・・・それはどうしてだ?」

「俺の知っている人で、こんな人がいるんだ。と言っても俺が聞いた話なんだけど。」

「どんな人物だ?」

「自ら死に等しい契約を交わし、多くの命を救った人がいるんだ。その人は、過去に父親を殺された。そして姉さんのように力を強さと思い戦っていた。でもある日、一人の女性と出会った。彼は名目上その人を利用する形で生かしていた。でも本心はその人を生かしたいと願っていたんだ。」

「だが何時までも嘘は吐き通せないだろ。」

「うん。その人にそのことがわかるとその人は一時その日とから離れた。その時その人は気付いたんだ。何のために強くなりたかったのか、とね。そして気付いたんだよ。いつか自分の前にいる護りたい人の笑顔を、喜ぶ顔を護りたいって。」

「ここまでの話を聞くかぎりだと己の力を誰かを護るために使うのが正しい選択だと言いたいのか?」

 百代がそう言うと大和は頷いて応えた。

「俺はその人の様にはなれないけど、俺はその人以上になりたいと思っているよ。」

「だがそれは容易ではないことだな。」

「ワン子が武を極められないほどに?」

「っ!気付いていたのか?」

「まあね。でも、ワン子には別の目標を持たせてるよ。」

「なんだそれは?」

「姉さんを超えるって目標だよ。」

「っ!」

 その言葉を聞いた瞬間百代の口元が緩んだ。

「それは・・・・・本気か?」

「ああ。百代姉さんを超えるほどの勢いじゃなきゃ姉さんの力になるには難しいからね。」

「なるほど。で?お前の目標はなんだ?」

「・・・・・・この目に人々の多くの希望を写すこと。」

「・・・・・・そうか。大和、いつか私と戦う日を楽しみにしているぞ。」

 百代はそう言うとそこから去った。

「大和、あの嬢ちゃん力に溺れているな。」

「ザルバ、百代姉さんは昔から武に長けていた。だがそれは同時に自分の弱さを知らない。」

「そうだな。お前の話していたあいつも、最初は自分は強い、最強だとな。」

「そっか。」

「でもな、カオルと出会ってからあいつは少しずつ変わったんだ。だからあの嬢ちゃんも、いつか分かる日が来ると思うぜ。」

「・・・・・・・その日が早く来て欲しいよ。」

「そうだな。ところで寮の前に番犬所からの使いが来ているぞ。でて受け取ってきたらどうだ?」

「そうするよ。」

 そう言って大和は椅子から立ち上がり島津寮前に出た。

 

 夜になり、大和たちは力と一緒に人払いの札を張った公園にいた。

「北の公園にてホラーが集い、夜な夜な人々を喰らいけり。一刻も早く殲滅されし・・・・と、お前たちにも届いたのだな?」

 力がそう聞くと大和たちはそれぞれ答えた。

「でも師匠、おかしいと思いませんか?」

「猛竜も気付いていたか。」

「はい。ここは人目に付きやすいです。ホラーが狙うにしてはおかしすぎます。」

「そしてここはテレビでもよく取り上げられる場所、まさに・・・・・・」

「ハメるには丁度いいな。」

 大和の言葉に皆頷いた。

「揚羽さんにここを飛ぶ報道機関を抑えてもらいました。他にも工事中という名目で交通機関も抑えてもらいましたし。」

「すごいコネを持っているようだな・・・・・君たちは。」

「ええ、まあ。」

 猛竜が苦笑いをしながら答えた。そのときザルバが四人に語りかける。

「おい、坊主ども。お客さんがお出ましだぞ。」

 その言葉を聞いた瞬間、四人己の武器を手にし、抜刀する。

 暗闇の中から、一人、また一人と次から次にホラーが出てくる。だがどれも同じ顔で同じ服装、同じ武器であった。

「おいおい、なんだよこりゃ!」

「どうやら、厄介なホラーのようだな。」

「各自独断でホラーを倒した方がいいな。」

「わかった。」

 そう言うと力は斧の柄を地面に叩きつけ地面を変形させホラーを大きく二手に分かれさせる。

「俺と大和君が左、猛竜、哀空吏君は右を。」

「わかりました。」

「よっしゃ、派手に暴れるぜ!」

 哀空吏と猛竜は右に分けられたホラーへと向かう。

「大和君。」

「はい。」

 大和と力は左へ走り出す。

 大和が先頭を走りきりもみ回転をしながらホラーの大群を切ると後ろから力が斧を力いっぱい地面に振り下ろしホラーを蹴散らす。ホラーは両手に持った短剣を手に大和と力kに襲い掛かってくる。大和は蹴り、殴りをしてホラーを押さえ、そして魔戒剣で斬る。

「ふんっ」

 力は前転をしてホラーの中に入ると一体を真っ二つに斬り裂くと続けて右に回転してホラーを斬る。

「うらぁあああ!」

 猛竜は盾に変化させた右腕をホラーに向けて殴る。ホラーは倒れる。後ろから猛竜を襲おうとホラーが短剣を振りかざしてくるが猛竜の後ろを哀空吏の矢がホラーに突き刺さる。

哀空吏にホラーは襲い掛かってくるが哀空吏は弓をやりのように振り、ホラーを斬る。

「キリが無いぞ!」

「てかさっきより増えてないか?」

 ホラーが大和の腹部に蹴りを入れる。大和はその攻撃を喰らい前のめりになるがその痛みを堪え、ホラーの脚を掴み、振り上げ地面に叩きつけると魔戒剣を突き刺す。

「大和君、さっきから気になっているのだが増えていないか?」

「増えてる?・・・・・・・・・・そうか!儀流さん、こいつら全員を一ヶ所に集めてください。」

「一箇所?・・・・・・そうか!」

 力は大和の考えに気付き斧の柄を地面に叩きつける。二つに分断していた壁を地面に戻し、ホラーたちを囲うように壁を作る。

「おい大和、これはどういうつもりだ?」

「こいつらは複数で一つなんだ。斬れば斬るほど増える。」

「なるほどな。」

 哀空理は大和の考えを理解した。元は一体が時間を掛けて増えた。ならぼと大和は考えた。大和たちは壁の上まで跳ぶと武器を下に向ける。

「師匠、お願いします!」

「ああ!」

 力は再び斧の柄を叩きつける。するとホラーたちを覆っていた壁は徐々にその範囲を狭めてゆき、やがて半径1mの大きさとなった。ホラーは範囲が狭まれて行くにつれ一体、また一体と一つになっていった。それと同時にホラーの力も強まり、やがて巨大なホラーへと姿を変えた。

「多重魂一ホラー・レディオン、聖書に出てくるレギオンのように大勢で一つの存在だ。」

「ザルバ、こいつら破片からでも再生するか?」

「大きさによりけりだが・・・・・・一気に倒すのをおすすめする。」

「わかった。皆!」

 大和の言葉を合図に四人は一斉に地面に着地すると大和派遣先を天に向け、哀空吏は弓を自身の体の前に構え、猛竜は剣の刃を地面に叩きつけ、儀流は柄頭を地面に向け、四人それぞれの鎧召喚の円を描いてゆく。描かれた円から牙狼、漸、牙射、戯牙の鎧が召喚される。

「一気に燃やすぞ!」

『応!』

 四人は烈火炎装をし上に跳び、己の武器を同時に振り下ろす。

『はああああああああああああああああ!』

 四人一斉にレディオンを焼き斬った。レディオンは斬られた場所から魔導火が一気に身体を回りレディオンを燃やし尽くす。

 レディオンは断末魔の悲鳴を上げるながら燃えていった。大和たちはレディオンが燃え尽きるまでその姿を鎧を着て見続けた。

 

〈昨夜川神北○×区の公園で大きなクレーターが発見されました。警察はなんらかのテロの疑いがあると見て操作をしています。〉

「・・・・・・昨日、儀流さんに頼むの忘れてたな。」

「・・・・・・次、気をつけよっか。」

「・・・・・・ああ。」

 

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