夏休み登校日、大和たちはいつもの朝練を終え朝食を摂ろうと今に向かうと食事をしているゲンさんの姿があった。
『おはようございます、ゲンさん。』
「おお、おはよ。」
「もう皆行った?」
大和がそう聞くとゲンさんは答えた。
「ああ。・・・・あ、クリスの奴がまだ起きてないな。」
「じゃあ俺が起こしてくるよ。皆は先に行ってて。」
大和がそう言うと皆返事をした。
「クリスの奴、マルギッテさんがいるのに寝ているのか?」
大和はそう呟きながらクリスの部屋の前に立ちクリスに呼びかける。しかし返事は返ってこない。大和は部屋の襖を開けるとそこには可愛いぬいぐるみに囲まれながらはだけた寝間着で寝ているクリスの姿があった。大和は少し頬を赤くしてしまう。
「コイツは厄介だな。どうする、大和?」
「ザルバ、あまり喋るな。こういうときは・・・・・」
大和は息を大きく吸い、大声を上げる。
「クリスー、起きろー!」
「のわぁああああああ!」
クリスは飛び起きる。その際にはだけた寝巻きから見えるクリスの肌と胸を見て思わすクリスに背を向けてしまう。クリスは何故大和がそのような行動をとったか分からなかったが自分の今の服装を見るなりすぐに分かり耳まで赤くし悲鳴を上げると同時に大和の頭を何度も殴ったり叩いたりした。
「何で起こしに行ったのにこんな目に合うの、俺!」
「す、すまない。」
大和とクリスは急ぎ足で川神学園に向かっていた。が、正直言うと間に合う保証がほとんど無い。
「このままだと遅刻だな。」
「そ、それだけは困る!」
「それは俺も同じ考えだ。」
大和はしばらく黙り込むと急に立ち止まった。
「・・・・・大和・・・・?」
大和は反転しクリスをお姫様抱っこする。
「や、大和!」
「時間が内から屋上を走るよ。」
そう言うと大和は壁蹴りをして建物の屋上にまで登ると屋上から屋上へと飛んだ。その時クリスはただ大和にしがみ付いていた。
川神学園前に着くと大和はクリスを下ろした。その時のクリスの顔は赤くなっていた。
「じゃ、行こうか。」
「ま、待て大和!」
「ん?どうしたクリス?」
「どうしたではない!いきなりあんなことをされたら・・・・・・その・・・・・か、勘違いをしてしまったではないか!」
「あ~、ゴメンね。」
大和は右手を立てて謝る。
クリスと大和は廊下を歩きながら話す。
「大和、もしあの場をマルさんにでも見られていれば間違いなく半殺しに遭っていたかもしれないぞ。」
「そん時はそん時で何か考えでもして切り抜けるよ。」
「むっ!マルさんと戦いたいのか?」
「ん~・・・・訓練になるからね。あの人は確かに強い。それに、力をどう使うかって目的がある。」
「それがどうかしたのか?」
「そのために使う力はきっと間違った方向には向かないって俺は思うんだ。自己満足でもその力を己が正しいと思う道に使うって事はその人の正義に忠実だから。」
「ではその力のベクトルが一度折られ、曲がった方向に言ったら大和ならどうする?」
「その時は・・・・・元に戻す。最悪は心の芯を折る・・・・かな?」
「それが大和の下す決断なのか?」
「多分ね。俺はそうすること以外出気無いから。」
大和はクリスに向かい笑顔で言うがその顔はどこか悲しそうだった。
二人が教室に入るとガクトが地面に両手を付いて落ち込んできた。
「・・・・・・ナニがあった?」
大和の疑問にモロが答える。
「ガクトが昨日までにナンパして振られた人数が100人になったと発表したら猛竜と哀空吏が思いっきり失敗したことを当然のように言って心の芯を折ったからああなってるんだよ。」
その言葉に大和は納得した。
「まあ、当然の結果だな。」
「だよねー。」
放課後になると大和は人気の無い場所に行きザルバを壁にかざした。その瞬間壁に長方形状の空間が開き大和はその中に入った。
大和は魔戒道の中を歩いてゆき元老院にたどり着いた。大和は元老院の中を歩きある場所に向かっていた。大和が目的の場所に着くとそこには白を主体とし、黒と赤で装飾されている鞘に収められた魔戒剣がある墓だった。そこにはある騎士の名が刻まれていた。
尊士
大和はその墓の前に立つとそっと花束を置き、片膝を付いて手を合わせた。静けさだけがその場をめぐった。
大和はただ感謝を心に思った。
―――あなたがいなければ俺は強くなれなかった。
―――あなたがいなければ俺は黄金を取り戻せなかった。
―――あなたがいなければ俺は弱いままで死んでいた。
大和はただそう思った。
夜になり、大和は猛竜と町を巡回していた。
「大和、ここに伝わる牙狼に関する資料読めないのか?」
「百代姉さんに頼んで読ませてもらうようにしてもらっているよ。」
そんなことを話しながら二人は巡回していると後ろに殺気を感じ取った。二人はゆっくりと自身の武器に手を伸ばす。
上から何かが来る気配がして二人は横に飛ぶ。そのすぐ後に二人のいた場所に鉄球が落ちてきた。
二人はその鉄球の方を向くと先程殺気のあった場所を向いた。そこにはスーツ姿の女性ホラーがいた。
「あらら、意外と鋭いのね。」
「舐めてもらっちゃ困るぜ!」
「猛竜、用心しろ。」
「あいよ!」
二人は魔戒剣を抜刀する。
「ふん!」
ホラーは両手に大きな鉄球を作るとそれを細かく小さな鉄球に変え二人の飛ばしてくる。二人は走りながら避ける。ホラーは大きな鉄球を両手に作ると二人に向け飛ばしてくる。二人は魔戒剣で斬り、鉄球を真っ二つに斬る。ホラーは少しうろたえる。
ホラーが逃げようとしたときであった。黒いショートヘアーの学生服を着た女性がホラーを蹴り飛ばす。
「やああああああっ!」
「「燕さん!!」」
ホラーは燕に吹っ飛ばされ倒れる。
「二人とも、ちゃっちゃとやっつけちゃって!」
「だとさ、大和。」
「んジャ一気にいくぞ!」
「おっしゃ!」
大和は剣先を天に向け円を描き空間を裂く。描かれた空間から白き光が漏れ大和を照らし、牙狼の鎧を召喚する。
猛竜は魔戒剣を地面に叩きつけると自身を軸に円を描く。描かれた円から赤き光が猛竜を照らし、漸の鎧を召喚する。
ホラーは素体姿になり二人に無謀にも接近してくる。
漸が先にホラーに向かい先行し跳び、ホラーの上に位置しホラーの羽を斬る。ホラーは羽を失い下に落ちてゆく。牙狼は脚に力を入れ力強く踏み出し、ホラーに向かい跳び、横一線に牙狼剣を振るいホラーを二つに裂いた。牙狼が着地する頃には既にホラーはその場から消滅し魔戒剣に封印されていた。
二人は鎧を解くと燕に駆け寄る。
「すみません燕さん。」
「いいっていいって。それにしてもあんなヤツらと戦って怖くないの?」
燕の言葉に大和たちはしばらく黙り込み、そして答えた。
「確かに・・・・・怖い時もあります。」
「だけど・・・・・・それで救える命があるのなら、俺たちは戦います。そして全てのホラーを封印して平和を人々に届けるんです。」
その言葉を聞いた燕は微笑んだ。
「強いんだね、君たちは。」
『はい?』
「ううん、なんでもない。」
燕は敵わないと思った。