牙狼〈GARO〉 大和の輝き   作:ザルバ

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 静かな山であった。人が全く立ち寄らないようなところに山を登るには似合わないスーツ姿の女性がそこにいた。ジャージを着たヂュポアと共に。

「なあ姐さん、こんなところにあんのかよ?」

「ええ。確かここに過去に魔戒騎士が封印した魔竜が存在するはずよ。」

「しっかし、よく調べたな。え?」

「あんな量の資料、私には造作もないわ。」

「そーかい。」

そんなときヂュポアが古びた祠を見つけた。祠はカビが全体に生えていて誰も手入れをしていないようであった。

「おい、もしかしてこれか?」

「ん?ええ、そうよ。」

「へー。こんなもんの中に封印してあんのか。で?」

「?」

 ヂュポアの言葉に女性は疑問符を浮かべる。

「いやどうやったら封印解けるわけ!」

「ああそのこと。それならこれを壊したら良いわ。これでね。」

 女性はヂュポアに小型時限爆弾を渡す。

「何でこんな物を俺に?こんなもん使わなくても俺の力で壊しちまえばいいじゃねぇか。」

「アナタバカ?そんなことしたら私達に襲ってくるかもしれないでしょ。それに、この後私バーに行くから汚れたくないの。」

「おい!最後は私情が混じってんぞ!」

「別にいいでしょ。それに、いいものよ。一気に恐怖に落ちた瞬間の人間は。」

「俺はちょっと分からんな。女の満足した後に痛みと恐怖に堕ちてゆくほんの一瞬と一瞬の味が格別だ。」

「相手を篭絡させてから喰うの?悪趣味ね。でもそんな喰い方もいいかも。」

 そんな話をしながらヂュポンは祠に時限爆弾を仕掛け、その場から姿を消した。

 その日、一つの山が突如として崩れた。

 

〈次のニュースです。昨夜未明、川神北部で突如山崩れが発生しました。人為的な行為は見られないとし、警察は天災と見ています。〉

 島津寮でそのニュースを見ていた三人は着目した。

「なあ大和、この話どう思う?」

「どうって・・・・・一見すればただの天災だろ。」

「だな。猛竜、考えすぎじゃないか?」

 大和たちが話しているとまゆっちが大和たちに話しかけてくる。

「あ、あの!」

「ん?おおまゆっち。」

「お、おはようございます。大和さん、猛竜さん、哀空吏さん。」

『おはよう。』

「あの・・・・・えっと・・・・・これを渡してくれといわれました。」

 まゆっちは大和に指令書を渡す。

「ありがと、まゆっち。」

 大和はまゆっちの頭を撫でる。

「//////」

 まゆっちは耳まで紅くなる。

(コイツホント天然だな。)

(全く呆れるな。)

(符礼の奴、あっちの教育をしてなかったんだな。)

 三者三様に呆れた。

 

 人気のない山岳地帯に大和たち三人はいた。

 指令書にはこう書かれていた。

――古に封印されし魔竜が目覚め古の災いが再来したり。早急に封印せよ。

 天気は夕方から曇り始め、今にも雨が降りそうであった。

「大和、前に呼んでみた資料には書いてなかったのか?」

「いや、なかった。こっちまでの情報はアレには入ってなかった。」

 猛竜の質問に大和は答えた。

「ザルバ、何が封印されているか知っているか?」

「魔竜・・・・・もしや黒竜!」

『黒竜?』

「ああ。はるか昔、この国の天を泳ぎ、雷雨がある日には人を襲うホラーがいた。幾人もの魔戒騎士が立ち向かったが敗れ去った。だが、その犠牲で黒竜はある山に隠れた。その身に深手の傷を負ったがためにな。魔戒法師たちはその犠牲を無駄にしまいとその山に黒竜を封印した。」

「なるほど。過去歴代の魔戒騎士でも倒せなかったんだな。」

「そうだ、大和。今回の敵は一筋縄じゃいかないぞ。」

 ザルバは真剣に大和たちに語り掛けた。

「だけど、俺たちがやらなかったら誰かが傷つく。」

「そうなるくらいなら俺たちが倒すってんだ。」

「それに、ここまで来てはい帰りますなんて思うか?」

 三人の決意を聞いてザルバは拭いた。

「フッ・・・・・・そこまでの覚悟なら大丈夫だな。いいな、お前ら!」

『ああ!』

 ぽつぽつと雨が降り始め、次第に豪雨になり始めると同時に地中から魔竜・黒竜が現れた。

「最初から本気でいくぞ!」

『応!』

 三人は鎧と魔導馬を召喚する。

 牙狼と漸は魔導馬を走らせ黒竜の身体の上を走りながら黒竜の身体を切る。牙射は魔導弓で矢を射る。

〈愚かな魔戒騎士共が!この我に敵うとでも思っているのか!〉

 黒竜は身体を揺らし二人を落とす。

「ぬあああああ!」

「くっそおおおおお!」

 黒竜は尻尾を二人に振るい魔導馬から離す。魔導馬が先に地面に落ちる。

「大和!猛竜!」

 牙射は二本の矢を牙狼と漸に放った。しかしそれは攻撃のためではない。矢は黒竜に刺さると矢じりに紐が結び付けられていた。その矢を放った牙射の手には二本の紐が握られていた。牙射は紐を力強く引っ張る。牙狼と漸はその紐を掴むと紐に反動をつけて黒竜に向かい跳ぶ。

「「はああああああ!」」

 二人は黒竜の頭部に向け飛ぶが黒竜は口から火炎を吐き二人を落とす。

「轟天!」

「竜漸!」

 二人魔自身の魔導馬を呼ぶと雄叫びを上げながら魔導馬は主人の元へと駈け付け、それぞれの主人をキャッチする。牙狼は轟天を使い黒竜の身体の上に着地すると濃く竜の体を伝い黒竜の頭部に向け走る。それを追いかけるように牙射、漸も黒竜の体を伝い頭部を目指す。

〈何故諦めぬ!何がお前たちをそこまで駆り立てる!〉

「俺たちはお前らホラーを封印する!それが大事な人との約束だからだ!」

〈こざかしい!〉

 黒竜は体中の鱗を鋭く尖らせ三人を叩き落す。叩き落された三人は落馬すると同時に鎧が強制解除される。

「うう・・・・」

「くっ・・・・・そ!」

「むう・・・・・・」

〈気が変わった。貴様らは最後に殺してやる。まずはあそこの町の人間を喰らうとしよう。〉

 黒竜が向いた方向は川神であった。

雷が雲の中で発生し雷鳴が響く豪雨の中、黒竜は大和たちを気にもくれず天に登り川神を目指す。

 大和の記憶にはあの記憶が反映された。

――助けられなかった家族

――助けられなかった人々

――助けられなかった友

――助けられなかった母

 その記憶が大和を刺激する。

「そんなこと・・・・・・・・・・・・させるか――――――!!!」

 大和の本心からの叫びが牙狼の鎧に応えたのか、はたまた過去の英霊達が応えたのか。

 大和の牙狼剣が黄金に輝きだした。

「なっ!」

「これは!」

 その光景を見ていた猛竜と哀空吏は驚いた。大和はそれに気付かぬまま剣先を天に向け円を描き、そして円を突いた。眩い光が溢れ出し、牙狼の鎧と轟天が召喚された。牙狼は轟天を走らせる。

 その時、牙狼剣から出る黄金の光が轟天に影響し、轟天に翼を生やした。

 これこそ、轟天が天を舞う姿、轟天・天馬飛翔であった。

 轟天は雄叫びを上げながら天に登り、雷雲の中を飛び抜けた。雲の上は雨もなく、ただ見えるのは満天の星と月、そして魔竜黒竜だけであった。

〈むっ!まだ諦めないのか!〉

「俺は諦めない!この身が朽ちるまで、俺は最後まで戦う!」

〈ならば望みどおり貴様の身体ごと朽ちさせてくれるわ!〉

 黒竜は画廊のほうに向かい飛んでくる。

「轟天!」

 牙狼が叫ぶと号店は雄叫びを上げる。その瞬間、牙狼剣が牙狼斬馬剣へと形を変える。

「はあああああ!」

 人の目の届かない雲の上で黒竜と牙狼が二重螺旋を描くようにぶつかり合う。雷雨の中にいようとも双方の攻撃は止むことはない。しかし、黒竜は徐々に身体を傷つけられていた。

〈何故だ!何故我が貴様に劣っているのだ!過去に何人もの魔戒騎士を葬り去ったこの我が何故だ!〉

「お前にわかってたまるか!俺のこの剣には、この手には過去の英霊達の希望が託されている!お前なんかが勝てると思うな!」

 牙狼の言葉に応えるかのように轟天は雄叫びを上げる。

 牙狼は黒竜の正面に位置すると轟天を走らせる。黒竜は口を開け牙狼を喰らおうとする。しかし、牙狼はそん口から、黒竜を斬る。

「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」

〈ぬああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!〉

 黒竜は二つに斬られ、そして空の上で消滅した。その衝撃で空には突如大きな穴が開いた。

 雷雨が降りしきる中、天に明いた大穴から見えたのは綺麗な月と黄金に輝く翼を生やした馬であった。

 

 牙狼は轟天と共に哀空吏と猛竜の下に戻ると鎧を解いた。

「あ・・・・・」

「おい!」

「っ!」

 二人は倒れそうな大和を支えた。

「すまねぇ・・・・」

「何言ってんだよ。」

「そうだ。お前は奴を倒した。それで十分だ。」

「・・・・・そうだな。」

 豪雨の中を三人は魔戒道を通って島津寮に戻った。

 

 大和たちが島津寮に戻ると寮母の島津さんが大和たちにタオルを渡してくれて。島津さんに「何をしてたんだい?」と聞かれると大和たちは「バイト帰りで傘が壊れて濡れてしまったんです。」と上手くごまかした。島津さんにはすぐ風呂に入るように促され三人は風呂に入り、各々の服を魔導火で乾かし部屋に戻った。ただ、大和の部屋は別であった。

 

「・・・・・・・どうして皆してここに?」

 大和が部屋に戻ると島津寮の女子皆が寝巻き姿で大和の部屋にいた。皆して身を寄せ合いながら。

「か、雷が怖くて・・・・・」

「大和の側にいたら安心かなと思って・・・・」

 まゆっちと京が説明する。

「・・・・・・他の男子は?」

「大和以外思いつかなかった。ガクトはムサイし、モロは弱そうだし・・・・」

「キャップはどこかに旅出てるし、ゲンさんには迷惑だと思うから。」

 ワン子とクリスが補足説明をする。

「・・・・・あいつらは?」

『あ・・・・』

 忘れられていた猛竜と哀空吏。

 と、その時大きな雷が鳴った。

『キャアアアアアアアアア!』

「のわ!」

 雷に恐怖してか女子一同大和に抱きついてきた。

「こ、怖かった・・・・」

「あれ?大和は?」

 ワン子の言葉に皆が大和を探す。

「むー!むー!」

「へ?」

 まゆっちが下を見ると自分の胸に埋もれている大和の姿があった。まゆっちは耳まで顔を赤くして大和から離れる。

「ぶはっ!死ぬかと思った!」

「ゴ、ゴメンナサイ!」

「ああ、悪意がないなら大丈夫だよ。で、話は元に戻すけど要するに雷が怖いからここにいたい、と?」

 大和がそう聞くと皆して上目遣いで「だめ?」と聞いてきた。大和は折れたのか溜息を吐き、「いいよ。」と言った。その言葉を聞いて皆は表情が明るくなった。

 大和と一緒に寝ることになって誰が大和のすぐ側で寝るかジャンケンが始まった結果、大和の側がワン子とクリス、外側がまゆっちと京になった。二人は少々不服だったが大和と一緒に寝れる事もあってあまり文句は言わなかった。

 翌日、大和が寝相の悪さで四人を腕で抱きしめてしまい騒ぎになったのは別の話である。

 

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