牙狼〈GARO〉 大和の輝き   作:ザルバ

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 翌日の朝のこと、川神学園の朝礼台には英雄があずみと共にいた。

「九鬼英雄であるっ!!!」

 英雄は学園に響かんばかりの声で叫ぶ。

「来る川神大戦に向け我がS組を選んだ賢明なる庶民どもの大儀である。皆の知っての通り我は覇道を行くものである。だが、同時に我は挫折を知るものである。その苦渋を知っている我であるからこそなお一層の勝利を!覇道を望む!故に我は戯れであろうと行事であろうと敗北する気は一切ない。貴様らもS軍に選んだからには勝利者であり続けたい者たちであろう。その渇望!我と共に必ずやかなえてやろう!軍師は我が友、葵冬馬。戦力差はおよそ二倍に達している。」

 冬馬が手を振って応えると女子の黄色い歓声が聞こえてくる。

「小細工など必要ない。圧倒的な実力差でF軍を打ち破る!繰り返す!我は覇道を征く者である!S軍を選んだ庶民・・・・・!いや―――――」

 次の瞬間英雄の訂正する言葉にそれを聴いていたものたちは驚く。

「我が『戦友』たちよ!」

『!!』

 英雄からのまさかの一言に皆心を打たれた。

「我とともに戦い!我とともに蹂躙し!我とともに勝利せよ!S軍大将九鬼英雄が命を下す!鬨の声を上げよ!」

 その瞬間S軍に付いていた者たちの鬨の声が学園全体を揺らさんばかりに響き渡った。

 

 同時刻の体育館ではその声を聞いてF軍に味方しているものたちの不安の声が大和の耳に聞こえてきた。

「・・・・な・・・・なえ、今の声S軍・・・・・・・?」「まじかよ。ガチっぽくねぇか?」「勝てんのかよコレ・・・・・」

「おうおう、不安が駄々漏れだな。」

「ザルバ、この状況なら誰でも不安になるよ。それより昨日燕さんに何話していたんだ?」

「なんだ意識があったのか?」

「うっすらとね。でも何の話を?」

「俺とお前の契約だ。と言っても、代償とホラーを察知するだけだがな。」

「ホラーについて教える話はしなかったんだ。」

「考えても見ろ。あのお嬢ちゃんたちなら自分の命を捨ててまでも情報を聞こうとするぜ。」

「確かにな。そこに関してはありがと。」

「こんくらい当たり前だ。それよりこの絶望をどう切り抜ける気だ?明らかにS軍に移ろうとする奴らが出ようとしてるぞ。」

「なんとかするよ。」

 そう言うと大和はF軍に味方をしてくれる者たちの前に、舞台姿を表した。

「皆、一旦落ち着いて。」

 大和はそう言うと手を二回叩き皆を静まらせる。

「F軍の直江大和だ。まずここに集めってくれたことに感謝している。今ここにいる皆は自身の思いの下に集まっていると思う。みんな個人個人こう考えている人が多いと俺は思う。『あいつを見返してやりたい。』『あいつが気にいらない。』そんな思いの下ここに集まっているのなら構わない。でも正直今の状況、さっきのS組の声で皆は恐怖し、勝てないと思っている人がいるのじゃないか?」

 大和がそう言った瞬間一斉にして皆が下を向き始めた。

「皆に聞こう。強い人とは何?」

 大和は舞台から降りて一人一人に聞いてみる。

「君は?」

「えっと・・・・・・力かな?」

「ふむ。あなたは?」

「頭がいいとか?」

「なるほど。俺が思う強さを皆に言うね。」

 大和がそんな答えを出すのか皆興味津々であった。

「自分の弱さを認めている人だ。」

『・・・・・・・は?』

「皆自分が弱くないって思う日はある?絶対あるはずだ。でもね、自分自身の弱さ、つまり陰を恐れてそこから目を逸らそうとしているんじゃないのか?」

 皆は言い返そうとしたが言い返せなかった。

「俺はある人に挑んだ日があった。でも負けた。それは自分が弱さを知らなかったからなんだ。自身の弱さを知り、それを認めることでそこから先に俺は進めた。皆自分の弱さを受け入れてみれば強くなれる。一人でそれを受け入れるのが無理ならここにいる皆で分かちあって理解しあえばいい。」

 大和のその言葉に皆は自然と心を動かされて。どうして彼の言葉を信じるのか彼らには正直わからなかった。だが、その言葉を聞いた瞬間下を向いていた顔は自然と上を向いていたた。

「今回の戦いは俺たちが勝つための戦いじゃない。個人個人が昨日までの自分と決別するための戦いなんだ。その希望に俺たちはなる。だから皆の力を俺に貸してくれ!」

 大和のその言葉を聞いた瞬間幻覚なのか大和が輝いてみえた。

「・・・・なんかいけそうな感じしてきた!」

「このままなら勝てるかも!」

「けど、S軍にガチでやるにはもうひと押し欲しいな。」

 周りが勝機を見出そうとしている中、二人だけが違う気を発していた。そんな二人に哀空吏と猛竜が声をかける。

「ちょっとお前ら。」

「外に行こうか。」

 二人はそいつらを外に連れ出し、そして〆た。

 一方体育館の方では大和が進行を促していた。

「次が委員長の演説だ。F組総大将、甘和真与!」

「はいっ!」

 大和に言われ委員長は返事をして舞台の上をとことこ歩く。が、足を躓き倒れてしまう。むくりと立ち上がりグズりながらマイクまで行くがマイクの位置が高すぎて自分ではどうしようにもならず千花に助けを求めた。千花にマイクの位置を自分に合わせてもらうとそれを見ていたものたちはホッとアンドを吐く。

「み、皆さんこんにちは!総大将の甘和真与です!クラス同士のいざこざがこんなに大きく発展してしまいまって大変恐縮です。」

 委員長はしゅんと落ち込む。

「ですが、こうなってしまった以上全力でぶつかっていこうと思います!S軍の人たちを驚かせてあげましょう!私も精一杯がんばりますので大船に乗ったつもりでいてくだちゃひっ。」

 しばらくの沈黙の後委員長は口を開いた。

「かみまひた。」

 その瞬間場の空気が明るくなった。

「大船に乗ったつもりでいてくださいっ!よろしくお願いしますっ!!」

 笑顔で言われて心を動かされなかったものはいなかった。

「『もうひと押し』きたな。」

「だね。」

「よーし!いっちょやってやろぜ!」

「こんなかわいい総大将泣かせるわけにはいかないもんね。」

「まかせて甘和さんっ!」

「S軍に吠え面かかせてやる!!」

「皆さん・・・・・・ありがとうございます!がんばりましょうっ!」

 委員長のその言葉に皆は答えた。

 

 数日後のグラウンドではゲンさんの指揮の下、戦闘訓練が行われていた。

「おら!第二班!隊列乱すな。前衛が引いたら即崩壊するぞ!根性見せろ!」

「ゲンさん。」

 大和がゲンさんに声をかける。

「お疲れさん。苦労してるみたいだね。」

「他人事みてぇに言ってんじゃねぇ。おまえが俺にF軍本体の指揮をとれって言うから、めんどくせーけど参加しているじゃねーか。」

「ゲンさんは一番頼りになるし信頼も高いからね。それにワン子を副将につけて上手くやってるみたいだし。」

 大和はワン子の方を向く。

「さー!いくわよっ!」

 ワン子を先頭に進軍していた。

「元気だぞ。前とは違って突っ走っているばっかじゃねえ。」

 先頭のワン子は後ろからの気配を察知し姿勢を低くするとそのまま右足払いを仕掛ける。仕掛けた相手は後ろに跳び距離を取った。

「クリ!」

「なかなかやるな、犬。」

 ワン子は石突でクリスに攻撃する。クリスは左右に身体を反らしながら回避を続ける。ワン子は槍を下から上に一気に振り上げるとクリスのレイピアを持っていた手が上に上げられる。ワン子は左手を柄から離し拳を握ると左正拳突きをクリスに喰らわそうとする。クリスはもう一方の手でその攻撃を受け止めるが勢いが強く後ろに飛ばされる。

「くっ・・・・・・!なかなかやるな、犬!」

「そっちこそ!」

 しばらくして訓練は終わった。

「クリスに預けた女子部隊はもう仕上がってるね。」

「自分は軍人の家系だからな。本戦までにはもっと精強にして見せるぞ。」

「チッ!比べて本体はまだ体力面でヌルいな・・・・」

「走りこみでもする?」

「ああ、まずはそこからだ。」

 クリスの隊とは違い本体の方は弱かった。

「そうだ大和。重要な!凄く重要な話だあるんだ。」

「え?なに?」

「自分の隊の名前だ。」

「ああ。で、何か思いついたのか?」

「うん。ホワイトペガサスとかどうだ!」

「う~ん、連絡するときに名前が長いと困るし・・・・・・白馬隊ってのはどうかな?」

「はくば?」

「ああ、字で書くとこうね。」

「・・・・・確かにコレならいいな。キャップたちの方はどうするつもりだ?」

「黒龍隊かな。あっちは水筒とナイフだけで遠征に言ってるけど大丈夫だろ。」

 大和は腰に手を当ててキャップがいるであろう方角を見る。

「なんだか大和の背中を見ていると安心するな。」

「ん?」

「いや、こっちの話だ。」

 そんな二人に委員長たちが声をかけてきた。

「ねー!みんなー!」

「見てみて!」

「「じゃ――――ん!」」

 千花と黒子がF組印の旗を見せる。それを見てワン子は興奮する。

「わわっ!すごい!カッコイーじゃない!」

「でしょ?やるぞーって気になるでしょ?」

「アタイの情熱込めすぎてやっべ濡れる!」

「わたしたちは戦力になんないけどバックアップはするからね!」

「負けんじゃねーぞ!」

 大和はその光景を見て微笑んだ。

「じゃあ俺はちょっと用事あるから行くわ。」

「どこに行くのだ?」

「ん。内緒。」

 大和はそう言うと掛け走り始めた。

 

 九鬼財閥のある一室で揚羽と大和は対面していた。

「つまり私に川神大戦に参加し、君の抜けた穴を埋めてくれと?」

「はい。」

「ふむ・・・・・・・・では百代は誰が倒すんだ?」

「俺です。」

 すぐさま答えたことに揚羽は目を丸くした後、笑った。

「はっはっは、まさか君からそんな言葉が出てくるとは思わなかったよ。百代に引導を渡すのか?」

「いえ、俺はモモヨ姉さんの陰我を断ち切るために戦うんです。」

「百代は戦いに飢えているからか?」

「ええ。昔の俺のように取り返しのつかない事になってしまう。それだけは回避したいんです。」

 大和は重い表情になった。

「・・・・・・・わかった。私も参加することにしよう。それに、英雄の成長振りも見たいしな。」

「ありがとうございます。」

 そして時は過ぎ去ってゆき、

 

 

 

 

 ――――――――――決戦の日来る!

 

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