牙狼〈GARO〉 大和の輝き   作:ザルバ

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 大和と百代は同時に接近すると同時に右脚蹴り、左足蹴りを交互に打ちながら徐々に上に上って行っていた。大和が左正拳突きをすると百代は右腕で防ぎ大和と距離を取った。

「やるな、大和!」

「姉さんこそ!」

 大和が左に走り始めると百代は大和を追いかける。百代は走りながら大和に近づき拳を何度も打つが大和は剣の地肌で防ぐ。

(ここまでやってくれるとはな。楽しませてもらうぞ!)

 百代は闘いと言う名の麻薬に浸かっていた。

 大和は左足を一気に踏み込み急ブレーキを掛けると右手の剣で百代に振るう。百代は左肘でその攻撃を止める。

「はっ!」

 百代は大和に至近距離で衝撃波を放った。大和は正面から受けるが一瞬早く後ろに動きダメージを軽減する。

「ぐっ!!」

 大和は空中で一回転をして着地する。

「ほう・・・・・まさか耐えるとはな。だが!」

 百代は大和に向かい跳び右脚蹴りを喰らわせる。大和は前転し回避すると後ろ反転し剣を振るう。百代は防御する暇も無く左脇腹に喰らう。

「ぐあっ!」

 百代は勢いよく弾き飛ばされる。百代は着地をすると大和に一気に距離を詰め右正拳突きを喰らわせる。大和は柄頭でその攻撃を受け止めるが拳の衝撃で後ろに跳ばされてしまう。

(やるなこのお嬢ちゃん。大和、気を抜いたらヤられるぞ。)

(わかってる。ザルバ、魔法衣の重りを外してくれ。)

(あいよ。)

 その瞬間大和の魔法衣に仕込まれていた何百もの重りが一気に堕ちる。

「ほぉ・・・・・・・まさかそんなものをコートの中に仕込んでいたのか。まだ本気ではなかったようだな。」

「こうしないといけなかったのはウォーミングアップのためってしといて。」

 大和は剣を二度、三度と振るうが百代は後ろに跳びながら回避をする。

(一回一回の振りは正確で隙がない。まさかあの頃かわいがっていた弟がここまで成長するとはな。昔言っていたあのことばを思い出す。)

 

 百代はあの日、大和が風間ファミリーと別れる少し前の日を思い出していた。その日は大和と一緒に夕焼けに染まる川辺を歩いていた。

「大和、お前はかわいい弟のようなものだ。私に付いて来い。」

「いや、俺にはそれは無理だよ。」

「むっ、何故だ。」

 百代がそう聞くと大和は夕焼けの方を向く。

「百代姉さん、日が沈んだら暗くなるよね。」

「当たり前だ。それがどうしたんだ。」

「この世にはね、姉さんの知らないことがたっくさんある。俺はその知らないことの一つでいつか太陽のように輝く希望になりたいと思っているんだ。」

「太陽のように輝く希望?」

 百代は大和の言葉に首を傾げる。

「うん。あるところでは太陽は希望の象徴だからね。俺はそんな希望になりたいって思ってるんだ。」

 

 百代はそのことを思い出すと笑った。

「ははは・・・・・まさかこんなに強くなるとは思わなかった。全力でいくぞ!」

 百代は両脚を踏み込むと地面を両脚で蹴り右拳を大和に突き出す。大和はその攻撃を正面から喰らい後ろに跳んでしまう。

「ぐぁっ!」

 大和は後ろに弾き飛ばされるが地面に剣を突き刺し体制を立て直す。

 

 一方その頃F軍はS軍を精神的に押していた。

「おらおらおらおら!押して押して押しまくれー!」

 誰もがS軍が優勢だと思い勝つと思っていたが違った。F軍の底知れぬ執念、諦めない覚悟がS軍を追い詰めていっているのである。

「く・・・・・技量・実力ではなく精神的に押され始めている・・・・・・!九鬼英雄!我が隊を盾に後退を!」

「いかせないわっ。九鬼くん待ちなさいっ!」

 ワン子が九鬼に向かい進撃する。

「見ろ。一子殿が我に一直線に迫ってくるぞ!我を呼び止めて一子殿が!」

「・・・・・・いいから退きなさい!」

 ワン子を見て興奮する英雄にマルギッテは呆れてた。

「退くことないよ。」

「!」

 突如聞こえてきた声にマルギッテは反応した。

「縦列隊形!押しこむ・・・・!!いや・・・下がれっ!」

 ゲンさんは何かを察したのか急遽指示を変え交代を支持する。その刹那、突如真上からいくつもの矢が降りかかってきた。F軍は被害を受ける。

「くっそ!体制の立て直しが早い!」

「コレも葵冬馬の指揮か!」

 猛竜と哀空吏は自分の武器で矢を払い落とす。そのすぐ後にS軍の伏兵部隊が奇襲に掛かってくる。

「伏兵!クソッたれが!」

「違う!裏切りだ!」

 哀空吏の見る先には見たことのある兵がいた。

「もしもしトーマ?言う通りにしたら間に合ったよー。」

 S軍本陣に小雪率いる増援部隊が来ていた。

「やほー。英雄―。」

「おお、ユキ!」

『ご苦労様ですユキ。あとは・・・・』

「うん。全部倒せばいいんだよねー。」

 小雪は鋭い目で微笑む

「榊原さん!?ようやく出てきたわね!」

「おい、一子!」

 小雪が出てきたことにワン子は興奮する。そんなワン子にゲンさんは声を掛ける。

「!!だ、ダイジョウブだよタッちゃん!榊原さんには借りがあるけどアタシはちゃんと「あいつと戦って来い。」へ?」

 突如聞こえてきた猛竜の言葉にワン子は間抜けな返事をしてしまう。

「大和からの指示でな。アイツが出てきたら真っ先にワン子に戦わせろって命令されてんだよ。」

「まぁ、因縁のある相手は本人が叩いた方がいいって話だ。行って来い!」

 その言葉を聞いてワン子は一瞬と惑ったがすぐにやる気を出す。

「了解!任せて!さぁ行くわよ榊原さんっ!」

 ワン子が行こうとした瞬間上から矢が降り注いでくる。

「って、ぎゃー!!」

 ワン子は何とか避けた。

「おい!あそこにいんの弓道部だぞ!」

「適材適所だな。」

 哀空吏は冷静に分析する。

「総大将には近づけさせないで候。そちらの都合には付き合わないで候。」

 表面では冷静に対処している弓道部主将の矢場だが内心では

(トーマくん、あたしがんばるよっ?)

 めっちゃ乙女である。

「もうF軍に長距離戦力は残ってないはず。次弾準備!」

 スパァン!

「って、えっ!?」

 突如矢場のとなりにいた弓道部員の頭に矢が当てられた。

「きゅ、弓兵!?いったいどこから・・・・!?」

「ごめんね先輩。でも、こっちの都合にも付き合ってもらうよ。」

 そういいつつ弓を構えているのは京であった。

「あの嬢ちゃんやるな。」

「だがあのユニは今の彼女には合わない物だ。そう長くは持たない。ここは任せたぞ!」

 そういうって哀空吏は京の下まで跳ぶ。

 京は一矢一矢正確に敵を射るが弓を握るその手は血が出ていた。

「くぅ・・・・・」

 京の指に激痛が走った。

「京。」

「哀空吏・・・・・」

「交代だ。」

「っ!私なら大丈夫。」

「馬鹿を言うな。その手だともう無理だ。それに大和はそんな無茶をする奴は嫌いだ。」

「・・・・・・」

「それとな、その怪我なら大和は手当てしてくれると思うぞ。」

「っ!?」

「わかったか?」

「・・・・・・・わかった。でもあそこまで届かないなら変わって。」

「ナメるな。」

 哀空吏は眼鏡を外し、懐に収めると服の袖から矢を三本手に取り、弦に掛け一気に放った。指定処理をされている矢は三人の弓兵に命中する。

「なっ・・・・・!」

 京はありえない光景を見ていた。普通に人には出来ない技である。

 哀空吏にしてみればこの距離は大したことではなかった。

「さっすが楠神流!」

 猛竜が哀空吏を褒めるがそこに潜んでいたもう一部隊の弓兵が現れた。

「哀空吏!狙えるか!」

「すまん、味方が入り乱れていて狙いづらい。猛竜、いけるか?」

「おうよ!」

 猛竜は左手に青龍刀を持つと右の手袋を口で咥え手袋を外し右手を盾に変形させる。

「うぉおおおおおおおおおおおおお!」

 猛竜は盾を前にして特攻する。

「なんだアイツ?」

「特攻か?」

「射落とせ!」

 猛竜に向け矢が集中砲火される。しかし猛竜は盾で矢を防ぎながら弓兵に向かい掛け走る。

「うおおおおおおおおおお!炎刃騎士の力、見せてやるぜ!」

 猛竜は炎のように荒々しく、力強い攻めをする。いくつもの矢が降りかかろうともその脚は止まることはなく、ただひたすらに敵を倒す。

 猛竜は敵の懐まで接近すると剣と盾を振るいながら敵をなぎ倒してゆく。

「ぬわぁ!」

「なんだこいつ!」

「ぎゃああああ!」

 哀空吏と猛竜はほぼ同時に弓兵を全て倒した。

「ワン子!やれ!」

「思いっきり勝ってこい!」

「う、うん!」

 ワン子は二人の言葉を聞いて元気ある返事をする。

「さあ勝負よ、榊原さん!」

「勝負?」

 

『いいですかユキ―――不死川軍の残存兵をまとめた後ですがまず川神さんと源さんの排除を優先してください。』

『?』

『一見すると白馬隊・黒龍隊が目立ちますし破壊力も桁違いです。しかし――私が見たところF軍の高い士気を生み出しているのは本体の川神さんと源さんのお二人です。彼らを除けば本体の勢いは大幅に落ちるはずです。

『ほー。』

『そして川神さんが一対一で望んでくるはずです・・・・・これを確実に倒してください。』

 

「いーよー、勝負。トーマにも言われてるし。それじゃさっそ―――」

 小雪がステップを踏んで攻め込もうとした瞬間ワン子は一瞬で懐に飛び込み右アッパースイングを喰らわせる。小雪はバク転を三回して後ろに下がる。

「やるねー。ぼくも本気でいくよ。」

 小雪の目が戦闘体勢に入った。小雪は一瞬にしてワン子の懐に飛び込もうと近づくが湾子が薙刀を突く。小雪はギリギリで回避をするが足場がジャリであるため脚を奪われる。

「はっ!」

 ワン子は右膝蹴りを叩き込む。小雪は左手で受け止めるがバランスが取れてないため左に転がってしまう。

「ぐぅ・・・・・強くなったね、川神さん。」

「一度負けてから自分の弱さを知り、百代お姉さまを超える勢いで鍛錬しているもの!大和たちがここまで鍛えてくれたんだから負けられない!」

 ワン子は一気に小雪に詰め寄ると薙刀の刃と石突を交互に細かく振りながら攻め入る。

(前と違って動きに無駄がなく付け入る隙がない。でも!)

 小雪は地面の石を思いっきり蹴り、ワン子の気を一瞬逸らすと右脚キックを連続して喰らわせる。しかし、ワン子は小雪の脚の踝に柄を当て蹴りを防ぐ。

「やぁ!」

 ワン子は石突を下から上へと振り上げる。その攻撃は小雪の顎を掠めた。小雪は後ろに跳び体勢を立て直そうとするが脳震盪を起こしてしまいフラついてしまう。人間の顎は強烈な一撃を喰らうと脳震盪を起こす。たとえそれが掠ったとしてもまともに立つことすら厳しい。

「はああああああああ!」

 ワン子は一気に詰め寄り横一線に力いっぱい薙刀を振るう。小雪は防ごうと左足蹴りをしようとするも上手く身体が動かず正面からその攻撃を喰らい、吹っ飛ばされ、転がり、そして倒れた。

 小雪は携帯電話を手に取ると冬馬に電話をする。

「もしもし、トーマ?」

『どうかしましたか、ユキ?』

「ゴメンね。負けちゃった。」

 小雪はそのまま意識を失った。

『・・・・・・・お疲れ様でした、ユキ。』

 冬馬は電話越しでそう言うと電話を切った。

 

 一方その頃大和は百代に苦戦していた。

「禁じ手・富士砕き!!」

「ぐぅっ!」

 大和は宙に浮いている状態で正面から受ける。大和は土煙を上げながら地面を転がる。

「はああああ!」

 百代は大和の下まで跳び両手を握り振り下ろす。大和は右膝を突き出しその攻撃を受け止める。

「やるな。だが!」

 百代は上に跳ぶと両手に気を溜める。

「川神流・星落とし!!」

「なんの!」

 大和は立ち上がると剣を下から上に振るい衝撃刃を飛ばし相殺する。

「はぁ・・・・・はぁ・・・・・はぁ・・・・。」

「大和、肩で息しているが大丈夫なのか?」

「姉さんこそ呼吸が少し乱れてきてるよ。」

 大和は剣を両手で持つ。

 

 F軍本陣では激しい攻防戦が繰り広げられていた。だがそれは明らかに劣勢に近かった。そんな中F群の中に寝返り者が出始めた。

「はははは!どうやらF軍本陣はもうアブないようだな!これより小早隊はS軍につくぜ

ぇ―――――!くたばれ源――――!」

「てめぇッ!」

 ゲンさんに向かい小早隊が攻め込もうとした瞬間突如上空から何かが二つ舞い降りてきた。

『のぎゃあああああああああ!』

「なんだ!」

 ゲンさんが見ている先で土煙が晴れるとそこには九鬼揚羽と松永燕であった。

「姉上!」

「四天王が二人!」

 英雄とマルギッテは驚くがそこにまゆっちが駆けつけてくる。

「黛由紀江、遅れながら参上仕りました。」

 戦場に四天王三人が出揃った。

「揚羽さん、燕さん、まゆっち!」

「よく来てくれた。」

 猛竜と哀空吏が声を掛ける。

「大和君にマジで危険な時に出てって言われてね。」

「今がその時と思ってな。」

「私は李杏さんという人に行けと言われまして。あの人は一体誰ですか?」

「まゆっち、一人だけ気にするとこ違う。」

 猛竜が冷静にツッコミを入れる。

 そんなとき戦場の中に何かが激しい音を立てながら落ち、土煙を出しながら転がっていた。

 片腕には凍り、片腕には炎が纏わり付いていた。土煙が晴れた途端に風間ファミリー、哀空吏、猛竜、揚羽、燕はその人物の名を口にした。

『大和(くん・さん)!』

 ボロボロになり倒れている大和。すぐ側には模造刀が突き刺さっていた。

 すぐ側には瞬間回復で傷を癒している百代がいた。

「流石にここまでするとは思わなかった。だがここまでのようだな。今度は誰が相手になる?」

 百代がF軍の方を向く。揚羽、燕、まゆっちが前に出ようとしたときであった。

「来るな!」

 大和が大声でそう言った。その瞬間百代ですら一瞬うろたえた。大和は左手で地面を握り締めながら立ち上がる。

「姉さん・・・・・・・俺は・・・・・・・まだ負けてない。」

 大和は肩で息をしながら話す。

「そんな状態でか?もう無理だ、諦めろ。」

「生憎俺は・・・・・・諦めが悪いんでね。俺はあの時約束したんだよ。」

「約束。」

「ああ。皆の希望になるって約束を!」

 その瞬間であった。大和の羽織っている魔法衣の袖から変化が起こり始めた。だがそれに大和は気付いていなかった。大和の魔法衣は徐々に黒から白へと色が変わって言っていた。

(おいおい、こりゃまるであいつじゃねぇか。)

 ザルバにはこの姿に記憶があった。かつて白い魔法衣を身に纏い、赤みの鞘を手に戦う歴代の中で名高い魔戒騎士を。

 大和は剣と抜き、百代に剣先を向ける。

「俺は姉さんを、川神百代を倒す!」

 大和が宣言した瞬間に魔法衣は完全なる白になり、背中と両胸部辺りには牙狼の紋章が装飾されていた。

「大和・・・・・・そのコートはそんな面白い仕掛けがあるのか。」

「なんのことだ?」

 大和ですら知らなかったことを知ると百代はフッと笑った。

「まあいいか・・・・・・。来い、大和!」

「ああ!」

 大和は左足を踏み込み百代の下まで跳ぶ。百代はさっきまでと同じ対応で対処しようとした。しかし大和は先ほどとは違っていた。

(あれ・・・・・・?身体が軽い・・・・・・。)

 大和も先ほどまでと同じように百代に向かっていた。ただそれだけであったのだが先ほどとは段違いの速さと力が身に付いていた。

 大和は百代の左側に剣を振るう。百代は防ごうとするが勢いが強く百代が弾き飛ばされてしまう。

(なんだこの力は!)

(どうしたんだ、俺?)

 大和は自分の身に起きている状況が分からず自身の手を見た。その時自分の魔法衣が白くなっていることに気付く。

(ザルバ、これは!)

(それは後でいい。今は・・・・)

(ああ、そうだな!)

 大和は百代の方に身体を向け、空間を蹴り百代に近づく。

「はあああああああ!」

大和は右キックを喰らわせる。百代は左腕で受け止めるが大和はそこから更に交互にキックを喰らわせる。百代は何とか攻撃を受け止めるが一撃一撃が重く、鋭かった。百代の瞬間回復ですら追いつけない。

「はぁっ!」

 大和は反時計回りに回転し左裏拳を喰らわせる。百代は後ろに跳び回避する。

「ほう、大和はつくづく面白い男だな。」

「おいおい!こっちのこと忘れてねえか!」

「むっ!」

 英雄が大和に着目しているうちにキャップが英雄の前に現れた。

「しまッ・・・・とっぱされ・・・・はっ!」

 マルギッテが油断をした隙をクリスは見逃さず渾身の一撃を入れる。しばらくの沈黙そしてマルギッテは倒れる最中言った。

「お嬢様・・・・・・お見事。」

 クリスは一呼吸突くと大きな声で指示を出した。

「敵将マルギッテを討ち取った!!白馬隊!源隊!風間翔一の邪魔をさせるな!ここで決着をつける!」

 一方英雄は台から下り、服を脱ぎ腹巻とふんどし姿になっていた。

「フハハハ!ついに我にたどり着いたか風間翔一!だが我はヒーロー!ヒーローは負けぬのだ!」

「そうかよ!だが、俺もヒーローの看板しょってんでな。負けねぇよ!」

 キャップと英雄はただの殴り合いをして戦った。蹴りなど一切無いシンプルな戦い。ただ拳で語り、ただ拳で理解する戦いである。

「かぁざぁまぁあああああああ!」

「おおおおおおおおおおおおっ!」

 一方大和と百代は互いにぶつかり合っていた。

 大和に向け百代は衝撃刃を放つが大和は剣でそれの軌道を逸らす。

「なにっ!」

「うおおおおおおおおお!」

 大和は百代に向け一直線に走り右から剣を振るう。百代は十字に腕を組み防ごうとするが大和が狙っているのは胸部ではなく腹部であった。大和の剣の刃が百代の腹部に入り、そして大和は斬った。

 武器は本物ではない。模造刀である。しかし百代は何かを斬られた。何を斬られたのか百代自身分からなかった。しかし大和とザルバは分かっていた。百代に纏わり付いていた陰我を、大和は断ち斬ったのである。

「見事だ・・・・・・・大・・・・・・・和――――」

 沿い言い残して百代は倒れるかに見えた。しかしそんな百代を暖かい手が支えた。百代はその手の主を見ると大和であった。それと同時に花火が上がった。

「―――――おの・・・・れぇ・・・・・この・・・・我が・・・・・」

 英雄はそう言うと仰向けに倒れた。キャップは息を荒くして立っていた。そして確信を言った。

「く・・・・九鬼英雄討ち取ったぜぇぇぇぇぇっ!!」

 キャップのその言葉に歓声が湧いた。

「うむ、確認したぞい。では、これにて川神大戦、終了おぉぉ――――――!!!」

 こうして川神大戦は幕を閉じた。

 雨降って地固まる。そんな言葉のように戦いが終わった後では両軍とも敵であったことを忘れ交友していた。F軍では委員長がどあげされたいた。

「あっ!大和!」

 ワン子が気付き、視線を向けるとその先には百代に肩を貸し、共に歩いている大和の姿があった。

「おいおいあれ・・・・・・」

「まさかホントに・・・・・」

「モモ先輩に・・・・・」

「勝った・・・・」

 風間ファミリーの誰もが驚きを隠せなかった。四天王最強といわれた川神百代がたった一人の男に負けた。風間ファミリーは大和と百代に駆け寄る。哀空吏と猛竜も歩きながら大和に近づく。百代をワン子が支えると大和は力が抜けたのか前のめりに倒れそうになった。

「全く、最後に倒れたら様にならないでしょ。」

 そう言って李杏が支える。

「うぉおおおおおおお!美人キタ―――!」

 五月蝿いガクトを放っておいて大和は李杏に気付く。

「李杏・・・・・・ありがと。」

「別にいいわよ。それより早く休みなさいよね。」

 そう言って李杏は大和を仰向けに寝かせると大和たちに別れを言ってその場から姿を消した。

 仰向けの大和の目の前に広がっていたのは綺麗な、雲ひとつ無い青空であった。大和は自然と笑った。ただ、空を見ながら笑った。

 

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