牙狼〈GARO〉 大和の輝き   作:ザルバ

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 いきなり馬に乗って現れた金髪で髪の長い女性に皆どうしていいかわからず立っていた。

「多勢に無勢とは卑怯極まる!クリスティアーネ・フリードリヒ、義によって助太刀する!」

 そう言ってクリスはは馬から跳ぶ。

「とうっ!」

「おお~、見事な運動神経。」

 クリスは大和に拳を突くが大和はその拳を片手で受け止める。

「何ッ!?」

『!?』

 クリスも、百代たちも驚いた。

「なかなかいい突きだね。でもまだ腰の入りが足りないよ。」

「くっ!」

 クリスは距離を置く。

「おいおい、ちょっといいか?」

 猛竜が話し掛ける。

「なんか勘違いが起こっているようだな。少し説明させてもらうわ。」

 猛竜はクリスに自分達が何をしていたのか説明する。それを聞いたクリスは顔を紅くする。

「で・・・ではイジメではなく捕り物だったのか。自分は飛んだ早とちりを・・・・すまない。謝罪する。」

「いいよ。誰にでも間違いはあるし。今回のはまだ許される範囲だしな。」

 大和がそういいながらクリスの頭を撫でるとクリスはまた顔を赤らめる。

「お前って本当に無神経だな!」

「全くだ。」

 ・・・・・なんか俺しちゃいけないことした!?

(おい大和。)

(なんだよザルバ。)

(時間。)

「へ?」

 大和は腕時計を見ると時間的にかなりマズイ状況だった。

「あ~~~~~!!!!」

「どうした大和!」

「時間のことすっかり忘れてた!急ぐぞ!」

「普通に行ったら時間が無いぞ!どうする?」

 大和は辺りを見回す。

「上だ!」

「「わかった!」」

「おいおい大和。どうやって上に上るんだよ。」

「行くぞ!」

「無視かよ!」

 ガクトを無視して大和、猛竜、哀空吏は壁を連続して蹴り、屋上まで来ると川神学園まで屋上を足場に跳んでいった。

「・・・・・・・・なんだありゃ?」

「そ、そんなことより急ぐぞ!」

「あっ!忘れてた!」

 ガクト達は急いで走り出した。裏路地にはやました君と百代、そしてクリスだけが残った。

「な・・・・なんだ?」

「ボンジュ-ル!アイアムモモヨカワカーミ!ファイトウィズミー、寝技DE!」

「えっ!」

 裏路地に女性の叫びが響いた。

 

 川神学園二年Sクラス。そこは成績優秀な者のみが生き残れるクラスとして有名なクラスである。そんなクラスの窓際で一人の生徒が外を見ていた。

「どうしたのだ?外なんぞ見おって。」

「いえ、少し気になることがありまして。」

「なに!なんだそれは?」

「これです。」

 その生徒が指を指す方向にはSクラスの外壁に突き刺さっている矢があった。

「なんだこれは。」

「さっき刺さったんですがどうも紐を括り付けているそうで抜こうにも抜けない状況です。」

「ふむ。しかしどうやって・・・・・」

「どうしたんですか?」

「あ、アレを見よ!」

 その生徒が指差す方には紐の上を走っている三人の姿があった。

 

 大和、猛竜、哀空吏は着地する。

「何とか十分前に来れたな。」

「まさか初日でこんなことするとは思わなかったわ。」

「同感だ。」

 哀空吏は紐を引っ張り矢を回収する。

「目立ったかな?」

「いや、そんなことは無いと思うぞ。」

「早く行くか。」

 三人は職員室へと向かった。その光景を見ていたSクラスの生徒は微笑んだ。

 

「「「失礼します。」」」

 三人は職員室に入る。制服は魔法衣を変形させ川神の制服にしている。

「ん!お前たちが転校する三人か?」

「「「はい。」」」

「そうか。私はお前たちの2年Fクラスを担当している小島梅子だ。よろしく頼む。」

「はい。俺の名は直江大和です。」

「俺は楠神哀空吏です。」

「俺は蛇崩猛竜です。」

「うむ。あと一人来るはずなんだが・・・・おっ、来たか。」

 三人は梅子先生のむいている方向を見るとそこにはクリスの姿があった。隣には軍服を着た年老いた男性がいる。

『あっ!あの時の!』

「ん?あっ、お前たちは!」

「なんだクリス、知っているのか?」

「はい。先程話した三人です。お前たちはどこクラスなんだ?」

「Fクラスだよ。」

「お前たちもか!」

「その言葉を聞くと・・・・・・えっと・・・・・クリスティアーネ・フリードリヒだったっけ?」

「ああ。気軽にクリスと言っても構わない。」

「じゃあクリス、よろしく。」

 そう言って大和はお辞儀をする。

「こちらもよろしく頼む。」

「ではそろそろ移動するぞ。」

 梅子先生がそう言うと皆は返事をし、梅子先生について行った。

 

「少しいいか?」

「なんだ、クリス。」

「その・・・だな・・・・お前たちは日本の何処から来たんだ?」

 クリスが顔を少し赤らめながら聞いてくる。

「南から来た。」

「西から来た。」

「ある教会から来た。」

 大和、猛竜、哀空吏の順に話す。

「ちょ、ちょっと待ってくれ!なんでそういう表現をするんだ?」

「ああ。俺たちはちょっとワケありな仕事をしているんだ。もちろん法には触れないが住所が定まらなくて・・・・・」

「なんていうか・・・・・・旅みたいなもんだな。」

「だからこんな表現になるんだ。」

「そ、そうか。日本にはそんな職業があるのだな。」

 クリスは少し納得する。

「お前たち、ここだ。」

 梅子先生はFクラスの前で立ち止まった。

「少しここで待っていてくれ。私が呼んだら入るように。」

『はい。』

 そう言って梅子先生はFクラスに入る。

「しっかしどんなクラスなんだろうな?」

「Sクラスよりはましなクラスだと聞いているぞ。」

 猛竜が聞くと哀空吏が答える。

「どういうことだ?」

「なんでもSクラスは成績優秀な者のみが生き残れるクラスだと聞いている。」

「そらまたすごいな。で?俺たちはそんなクラスに入れないと。」

「いや。そうじゃなく元老院が動きやすいようにとの考えでしたそうだ。」

「ふ~ん。」

『お前たち、入って来い。』

 教室から梅子先生の言葉が聞こえてきて四人はFクラスに入る。

「名前を書いたら自己紹介をするように。」

『はい。』

 三人は教室を見渡すとワン子、ガクト、京、モロの姿が目に入った。

(同じクラスだったのか。驚いた。)

 四人は黒板に名前を書く。

「レディーファーストでどうぞ。」

「そうか。ではお言葉に甘えて。では、クリスティアーネ・フリードリヒ、ドイツルーベックより推参!本日よりこの寺子屋で世話になる。よろしく!」

「うぉおおおおおお!金髪少女!!」

「ウェルカム2-F!」

「うわっ色白っ!負けたかも。」

「静かにしろ。次、自己紹介をしろ。」

「じゃあ俺から。蛇崩猛竜です。よろしく。」

「結構強そうな感じだな。」

「ワイルド。」

「俺は楠神哀空吏。特技は弓矢とヌンチャク。よろしく。」

「京、同じ趣味があるって。」

「興味ない。」

「直江大和です。よろしくお願いします。」

「なんか三人とは違って優しそうだな。」

「でもなんであの指輪してんだ?」

 Fクラスの生徒がそれぞれの反応をする。

(なるほど、クラスメイトだったのか・・・・)

 クリスはガクトたちを見て納得する。

「さて、質問があればしてもいいぞ。」

「はいっ!」

「委員長。」

 手を上げて背の低いピンクの髪の甘粕真与が質問をする。

「ええっとですね・・・・委員長として聞かざるを得ないのですが・・・・・・その・・・・・お隣にいる方はどなたでしょう?」

「む?」

 皆が注目しているのはクリスの隣に立っているクリスのお父さんのことであった。

「失礼。紹介がまだでしたな。クリスの父です。ドイツで軍人をやっております。」

 おっ!日本語上手いな。

「クリスの乳!」

「ヨンパチ、字が違う。」

 福本育郎にモロが冷静なツッコミを入れる。

「はいはいはい!俺様も質問!くりすてぃあーね?」

「おお、朝会ったな。クリスでいい。」

「ではクリス!彼氏はいたりすんのかな?」

「彼氏??それは・・・」

「そんな者いないに決まっておろうガッ!!」

 クリスの父は拳銃を取り出す。

「クリスにちょっかいを出すものは我が軍が殲滅する!」

 拳銃の引き金を引こうとするが手ごたえが無いことに気付いた。拳銃には大和手が覆いかぶさっていた。

「日本で拳銃を抜くと銃刀法違反になりますよ。まして貴方は軍人です。下手をすれば国際問題に発展しかねないのでご了承ください。」

「す、すまないな。ところで・・・・・」

「なんですか?」

「弾とマグを返してくれないか?」

「すみません。」

 大和は手に握っていた一発の銃弾とマグをクリスの父に渡した。

(この男、見たでは隙を作っているように見えるが全く隙が無い。他の二人にも言えるが只者では無いな。)

「質問の答えは今、父様が言った通りだ。父様は任務に私情を持ち込まない軍人なので厳しいのだ。」

 クリスがそう言うとクリスの父は頷いた。

(思いっきり持ち込んでるよ・・・・・・・・・・)

 クラスの誰もがそう思った。

「ふふふ。」

「なんだか機嫌よさそうだね。」

「ああ・・・大好きな日本にようやく来られたからな。特に武士道精神の鮮烈な美しさが好きなんだ!」

「武士道?」

 大和は疑問を抱く。

「そうだ!日本ではボクサーでさえ負ければ腹を切るという。なんと誇り高い!」

 クリスは目に涙を浮かべながら拳を握って言っている。

「それは一部の演出だけだぞ。」

「立ち寄った京都では時代劇そのものの暮らしを続けていたのにも感動した!伝統を重んじる素晴らしい国だ。」

「なあ哀空吏、それって・・・・」

「映画村だな。」

「しかし、そのわりに私と同じよう騎馬通学の生徒はいなかったな。リューベリックの日本人友達はみんな馬で通学するといっていたのに。ちなみに私の馬は浜千鳥と言う。」

「いい友達をもってんな。ホント!」

 ここまでのクリスの様子を見て皆が思ったことが一つだけあった。

(「日本をカンチガイしている外人さん」だ!)

「ともかく、これからよろしく頼む!日本での生活を楽しみにしている!」

 少し不安を抱えながらも始まった新学期。これからどうなるか少し不安だ。

 

 放課後になり三人はクリスと一緒に行動することになった。本来は京とキャップが案内するはずだったのだが二人とも都合が悪くなって無理だそうだ。審議の結果、大和がうろ覚えではあるが川神を案内することになった。

「すまないな、大和。」

「気にしなくていいよ。それに俺たちも少し観光してから島津寮に行こうと思ってたしな。」

 大和が言ったことは嘘ではない。しかし、目的あくまでゲートに札を貼り、ホラーの出現を抑えることである。本来はそうする予定であったが急遽変更。夜に行うことにした。

「改めて直江大和だ。大和で構わない。」

「俺も猛竜でいいぜ。」

「楠神は言いづらそうだから哀空吏で構わない。」

「そうか。そういえば『大和丸夢日記』の主人公と同じ名前だ。」

「そういえば向こうでもそう言われていたな。」

「そうか。しかしあれは面白い!自分はDVD全部を持っている!あの強さもすごいがなんといっても義に厚く・・・」

 クリスが熱烈に進めてくる。三人は一つわかったことがあった。

(微妙な日本かぶれはこのせいか・・・)

「そう。自分は大和が好きなんだ。」

『・・・・・・・・』

「なあクリス。」

「なんだ、猛竜?」

「もっかい言ってみ。」

 猛竜は笑いながら言う。

「自分は大和が・・・・あっ!」

 目の前にいる大和を見て顔を紅くする。

「いや!今のは時代劇の・・・・・!」

「あはは。わかってるわかってる。」

「おい大和。」

「なんだ哀空吏?」

「ここの廊下はやけに張り紙が多いがなんでだ?」

「?ふむ、確かに。」

「なあ大和、どうしてだ?」

 クリス、哀空吏、猛竜が張られている張り紙を見る。

「バイトの募集。」

「助っ人募集。」

「茶飲み友達の募集?はは!いろいろあって面白いな!」

「っ!おいこれて見てみろよ。」

 猛竜が何かを見つけたようで張り紙を見てみる。

「物騒な内容の物が多いな。勝負ごとの張り紙が多いな。」

「ああ。それはこの学校の伝統で競争を推奨する校風があるんだ。さっき生徒手帳を見たけど川神学園には『決闘』っという儀式があるんだそうだ。」

「決闘!そういうのもあるのか!」

「学生服にワッペンが付いているだろ?それを出すんだ。相手はそれに応じるのなら自分のワッペンを出す。これでみんなの前で堂々と決着を着けるわけだ。言ってみれば学校公認のケンカ。肉弾戦も許可されている。」

「なかなか過激だが悪くは無いな。大和とも決着をつけたい。」

「あはは、それは少し無理だな。」

「どうしてだ?」

「人間と女性と戦うのは少し手加減をしてしまうんだ。」

「人間の女性?」

「あっ!な、なんでもない!そ、それより観光しよ!」

「お、おい!」

 大和はクリスの背中を押して無理やり話を切る。

「つい癖って出ちまうよな。」

「まあな。あいつは純粋だからそう言ってしまう癖がある。」

 四人は川神学園を出て川神を思いつくがままに観光する。立ち寄ったりするところが多かったがクリスも楽しんでいて何よりだ。そしてメインの・・・・

「川神院だ。」

「おお!これが伝説の拳法寺!日本の最終兵器!」

「どういう経緯でいったらそうなるんだろうな?」

「わかんねえ。」

「理解不能だ。」

「ん!あれは確か・・・・武神で・・・・・」

 クリスが仁王像を見て思い出そうとしている。

「ラオウ!」

『おしい!字が違う!』

「ふえっ!」

 三人のツッコミにクリスは驚く。

「で、ではなんというのだ?」

「正解は仁王だ。」

「む、日本には似たような名前が多いのだな。」

「間違う人は少ないと思うぞ!」

 大和たちが話しているとワン子が話し掛けてくる。

「あっ!大和たちじゃん。」

「おっ!ワン子ちゃんだったっけ?」

「うん!えっと・・・・蛇崩君だっけ?」

「ああ。普通に猛竜って言ってくれ。」

「俺も哀空吏で構わない。」

「そっか。それよりどう!川神院は壮大でしょ!」

「ああ、見事だ。日本に来てよかったと実感している。」

「クリもそう思う!」

「ああ。ところで、その『クリ』と言うのはなんだ・・・?」

「クリスだからクリ!あたしが付けたい愛称!」

「ぐぐ・・・・なんだか馬鹿にされている気がするぞ。」

「気にしなくてもいいと思うぞ。ところで一子ちゃん。」

「何、哀空吏?」

「朝少し服装を見たがトレーニングでもしているのか?」

「うん!百代姉さんのように強くなりたいから!」

「・・・・・・強く、か。」

 大和がそう呟くとクリスとワン子は頭に疑問符を浮かべる。状況を変えるために猛竜がワン子に話掛ける。

「と、ところでどっか行く予定じゃなかったのか?」

「あっ!いけない!今から東京まで走ってくるから!じゃあ寮でね!」

 ワン子はそう言って走り出した。

「東京まで走るって・・・・・・鍛え方間違っているな。」

「アレならマラソン選手の鍛え方だぞ。」

「だな。」

 哀空吏がそう言うとクリスが納得する。

「じゃあそろそろお菓子でも食べに行ってみるか。」

『賛成。』

 四人は茶店で久寿餅を頼んだ。

「大和、これ美味いな。」

「ああ。昔食べてたことがある餅でとりわけ美味しかったからな。」

「お前の味覚は相変わらず正確だな。」

「すまないな、大和。お代を払わせてくれ。」

「いいって。五百円だし。」

「だが・・・」

「クリス、諦めろ。」

「哀空吏。」

「そうそう。こいつは一度言ったことを曲げないんだ。そこがいいところで厄介なところなんだがな。」

「・・・・ではお言葉に甘えさせてもらう。なんだか三人が正義のヒーローに見えるぞ。」

 クリスじゃ笑顔でそういうが三人は少し暗い表情になる。

「なあクリス。ちょっと変なこと聞いてみてもいいか?」

「なんだ大和?」

「クリスにとって、正義をすることは皆が認めてくれると思うか?」

「ん?何を変なこと言うのだ。」

「現実にイジメを告発した人が上層部から解雇処分を受けた海軍の人もいる。」

「それはおかしいではないか!正しいことをしたのに何故その人に非があるようなことになっている!」

「確かに、誰もがそれを聞けば正しいと思う。だがな、それだけが現実じゃないんだ。時に人から恨みを買う。それでもその人たちは自分がしたことを正しいと信じ、その道を進む。正義ってのは定義が付けられない。」

「確かにそうだが・・・・・」

「軍人での英雄も一変すれば殺人鬼だ。たとえ命令で殺したとはいえその人には罪悪の意識がある。クリスのお父さんも先の戦争でのことを話さなかったか?」

「・・・・・・・・確かに聞いたことがある。自分の罪を死ぬまで背負ってゆくと。」

「だろ。だから皆にもいえるが自分の思う正義を曲げないでくれ。」

 魔戒騎士として斬るのはホラー。だが元は人間。身体自体は人間ではないが残された魂は人間のもの。魔戒騎士にとってホラーを斬ることは人を斬るのに等しい。だが彼らは斬るのはホラーだと、そう自分に言い聞かせてきた。しかし二年前のあの出来事から彼らは知った。

 自分たちが斬っているのはホラーであり、人でもあるのだと。

 

 島津寮。そこは三河学園に通う学生のためにある寮で男女混合の寮である。具体的に一階が男子寮、二階が女子寮といった感じである。風呂は一階にあり、男子風呂と女子風呂に別れている。

「ここが島津寮か。」

「結構和風だな。」

「住みやすいな。」

「私の部屋は和室なのか?」

 そんなことを話しながら寮の玄関に入ると黒髪で綺麗な日本女子を思わせる女の子が玄関にいた。

「こ、こんにちは。」

 硬い表情で挨拶をしてくる女性に少し苦笑いになる。

「そんなに硬くならなくていいよ。俺たち今日からここで住むことになった者だから。ちなみに俺は直江大和。二年Fクラスの生徒。大和で構わない。」

「同じクラスの蛇崩猛竜だ。気軽に猛竜でいいから。よろしく。」

「俺も同じ楠神哀空吏だ。哀空吏で構わない。」

「私も同じクラスのクリスティアーネ・フリードリヒだ。クリスで構わない。」

「は、はい。私の名は黛由紀江です。一年生です。よろしくお願いします。」

 まだ硬い表情で自己紹介してる黛に大和は頭に手を置き、撫でる。

「そんなに硬くならなくていいから。気軽でいいよ。」

 大和は笑顔で言うと黛は顔を耳まで紅くする。

「は・・・は・・・はわわわわ~~~~~!!!」

 黛は自分の部屋に駆け込んだ。

「・・・・・・・なんだ?」

「大和、お前って本当にいい奴だな(皮肉)。」

「だな。」

「こいつはいつもこうなのか?」

「「ああ、いつもだ。」」

 クリスが聞くと哀空吏と猛竜は答えた。

「じゃあ寮母さんに挨拶しようよ。」

「そうだな。」

 四人は寮に上がり挨拶しようと靴を脱いで寮に上がり、寮母さんに挨拶しに行く。

「すみません。寮母の島津さんはいますか?」

「ん?アタシだけど・・・・・アンタ達かい?ここに今日から世話になるって言う・・・」

「はい。直江大和です。」

「楠神哀空吏です。」

「蛇崩猛竜です。」

「クリスティアーネ・フリードリヒです。」

『よろしくお願いします。』

 四人は丁寧にお辞儀をする。

「あらご丁寧にどうも。後もしかしてあなた昔うちのこと一緒にいた大和君かい?」

「はい。昔お世話になった大和です。」

「そうかい。昔のあたしを知っているなら少しは驚くだろう。」

「いえ、見た目よりも中身は昔と相変わらず肝が据わっているので安心しています。」

「あんた昔からそういうところあるよね。まあいい。アンタ達の部屋の鍵だよ。」

 島津さんから四人は部屋の鍵を貰う。その時源忠勝が四人の目の前に現れた。

「ん!お前ら新人か?」

「はい。」

 四人は自己紹介をする。流石に何回も自己紹介シーンを書くと疲れますので。

「ふーん。まあ怪我しないように学校生活を遅れよ。」

 そう言い残して忠勝はその場から去る。

「なんだか恐そうな顔の人だな。」

「クリスちゃん、あいつは結構優しいんだよ。何かと皆に気を使ってくれてね。皆からは『ゲンさん』って愛称で呼ばれているんだよ。」

「結構優しいんだな。」

「ああいう人が日本中にいたら嬉しい。」

 大和の言葉に皆は頷く。

 

 大和は自分の部屋の鍵を開け、中に入ると既に生活に最低限度必要なものが入っているダンボールを見つける。

 元々大和は符礼法師のはからいで野宿でも生活できるように無人島で生活をしていた。最低限度の生活必需品は一般よりも少ない。

「さて、これを上手く隠しておかないとな。なんてったて川神だし。」

 一つのダンボールを開けるとそこに入ってたのは数冊の魔戒書である。ホラーに関することから儀式に関することまで載っている。彼らには今回魔戒法師がいない。そのため呪術的撃退方法や結界に関することは資料がなければ見回り範囲が広すぎてとても三人ではカバー出来無い。

「とりあえず、こうしてと。」

 大和は工夫して隠す。

「こんなんで大丈夫なのか?」

「まあなんとなかるよ。それよりザルバ、下手に喋るなよ。はたから見れば変人のように見えるから。」

「わかってる。まあなんだ。あんなにヒヨッコだったお前も今じゃ誰もが認める黄金騎士だからな。」

「まだまだだよ。俺はもっと自分の手を伸ばしたいと思ってる。みんなの力を借りてね。」

「ふっ、まあいい。それより風呂に入らないのか?」

「ああ、それなんだが今女子用になっているんだ。」

「なに?男女別に分かれているんじゃないのか?」

「それがさっき張り紙を見たんだが女子風呂壊れたらしいぞ。」

「そうか。なら少し地図を出せ。管轄範囲の確認だ。」

「となると三人で行動したほうがいいな。」

「だな。」

 

 学校帰りの通学路。ガクト、モロ、キャップは一緒に帰っていた。

「しっかし大和があんなに変わってるとは思わなかったよな。」

「ああ。確かにあいつ変わったな。」

「でも何があったんだろ?もう大和がいなくなって何年になるっけ?」

「確か八年だったか?」

「もうそんなに経つんだね。」

 モロはあの頃の大和を思い出す。あの頃の彼は父の顔も知らず、母は死んでいるものだとある人から聞かされていた。彼は昔から誰もが認める騎士になると口癖のように言っていた。

「あいつの言っていた騎士って・・・・なんなんだろうな?」

 キャップがふと疑問に思った。

「知らね。なんかにはまってたんじゃねんのか?」

「そうかな?」

「お前は少し考えすぎなんだよ。モロ。」

「早く帰ろうぜ。」

 

「と、いうわけで今日は歓迎会を行う。」

 学生寮の衝動で百代が司会を取り仕切り歓迎会が始まった。

「改めて自己紹介をする。ああ、大和はしなくていいからな。もう皆知っている。」

「だよね。」

「まず私からだ。私は川神百代だ。好きなように呼んでも構わない。」

「次は俺だな。俺は島津岳斗人。皆からはガクトって呼ばれてる。」

「次は私だね。私の名前は川神一子。目標は百代姉さんの様に強くなること。」

「私は椎名京。弓矢なら誰にも負けない自身がある。後、辛口派。」

「次は俺だな。俺の名は風間翔一。皆からキャップって呼ばれてる。よろしくな。」

「次は僕だね。僕は師岡卓也。皆からモロって呼ばれてる。」

「わ、私の名は黛由紀江です。よ・・・・・よろしくお願いします。」

「源忠勝だ。家庭系はある程度得意だ。」

「まあ私達は風間ファミリーだ。ゲンさんはファミリーではないがな。」

 風間ファミリーの自己紹介が終わると今度は三人の自己紹介が始まる。

「俺の名は蛇崩猛竜。猛竜って呼んでくれ。」

「俺は楠神哀空吏。哀空吏で構わない。」

「私の名はクリスティアーネ・フリードリヒだ。クリスで構わない。」

「まあつもり話はここまでにして、や~ま~と~。な~に鍛えているんだ?」

 百代がそう言うと風間ファミリーの皆が詰め寄ってくる。

「本当にどうやったらそんなに鍛えられるの?」

「だよな!」

「どうしてあんなこと出来たんだ?」

「どうやったらそんなに跳べるの?」

 しばらく質問攻めにあったが何とか乗り切った。

 

 時間は過ぎて大和、哀空吏、猛竜は風呂に入っていた。猛竜は右手のソウルメタルを外して入っている。

「疲れた。」

「ああ。まさかあそこまで質問攻めにさせられるとはな。」

「だよな。てかお前ここにいた頃どんな性格だったんだよ。」

「あ~・・・・・控えめな性格だったな。でも誰かが傷つきそうになったときとか自分のことなんか二の次だったな。」

「変わんねえな。」

「まあ、それがあるから今のお前があるんだな。」

「お前たち、浮かれるのはそのくらいにして今日の巡回について話すぞ。」

 ザルバがそう言うと三人は気を引き締める。

「今日の巡回だが三人出回るぞ。退魔の札を持ってゲートになりそうな場所があったらそこに貼る。まあ、お前たちの守る範囲を把握しておくこともかねてだ。」

『わかった。』

 その日の夜、三人はあるビルの屋上から川神の町を見下ろしていた。

「この町を守るのが俺たちの指名だよな。」

「ああ。だが同時に俺たちにはもう一つの指名もある。」

「この町で起ころうとしている強大な陰我、俺たちが止めるぞ!」

 三人は決意を堅め、ビルから飛び降りる。

 

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