牙狼〈GARO〉 大和の輝き   作:ザルバ

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 深夜の川神の町で大和はホラーを追っていた。

「はぁっ!」

 大和は人間姿のホラーに向かい跳び魔戒剣を振り下ろすがホラーは跳び、回避する。

「へへへー、喰らうかよー。」

 ホラーは背中から翼を生やし空へと飛んで行った。

「くそっ!」

 大和は魔戒剣を納めその場を去ろうとしたときであった。突如何かが倒れる音が聞こえ大和はその方を向くとそこには一人の老婦が倒れていた。大和は急いで駆け寄った。

「大丈夫ですか!」

「うう・・・・・」

 大和は携帯電話を取り出すとすぐさま救急車を呼んだ。

 

 翌日、大和は老婦のお見舞いに病院に来ていた。

「こんにちは。」

「っ!君は昨日あたしを助けてくれた子かい。ありがとうね。」

「いいですよ。」

「でもアタシはもうそんなに長くないんだよ。」

「っ!」

「いきなりこんなこと言ってゴメンね。でもあんたは今なんで昨日あんな場所にいたのかって思ってんだろ?」

「・・・・・・はい。」

 老婦は勝手に進めるが大和は口を挟まなかった。

「実はね、こんな馬鹿みたいな話しなんだけどあそこで昔あたしの旦那が喰われたんだよ。

最も、こんな話し誰も信じちゃっくれないんだけどね。」

「・・・・・・その話し、詳しく聞かせてくれませんか?」

 

 十年前のあの場所で老夫婦は一緒に歩いていた。そこへ急に男が前に現れた。二人はどこから現れたやら分からなかった。男は老父に近づき胸ぐらをいきなり掴んできた。老父は抵抗したが男は全く放そうとはしなかった。男は背中に翼を生やし空を飛び、そして口を大きく開けた。しかしその口は三方向に分かれて開いていた。老父は悲鳴を上げる暇もなくそいつに食われた。そして男はその場から飛び去った。その際に男は老父が老婦に贈るはずだった簪を持去った。

 

「・・・・・」

 その話を聞いた大和はそれが昨日倒し損ねたホラーと確信した。

「馬鹿みたいだろ、こんな話。」

「・・・・・・・いいえ。俺は信じます。」

「そうかい?」

「ええ。スミマセンがその時身に付けていた物ってありますか?」

「これがあるさね。」

 そう言って老婦は指輪を大和に渡した。大和はそれを耳まで持って来て声を聞いた。人を喰らうときに聞こえたあの声が大和の耳に入った。大和は指輪を返した。

「おばあさん、おじいさんの仇取りますから。」

 大和はそう言うと一礼して病室から去った。

 

 深夜の変態の橋でホラーは口笛を吹いていた。そんなホラーに大和は声を掛けた。

「よお。」

「ん?なんだ魔戒騎士かよ。まさかリベンジってか?」

「そうだな。それもあるがそれよりおじいさんの敵討ちって所だ。」

「おじいさん?ああ、これの。」

 思い出したホラーはポケットの中から薄し塗りの簪を手に取った。

「なに?まさかこれだけのために戦うの?わっかんないなー。なんでたかが人間のためにそこまで戦うかな?どうせ後先短い老人の命一つくらいいいじゃない。」

「ふざけるな!」

「うおっ!」

 大和の激怒にホラーは驚き後ろに下がった。

「死んでいい命なんて無い!先が短いとわかっているからこそ人は一日一日を大事にしているんだ!」

「わっけわかんね。面倒なんだよお前!」

 ホラーは大和の方へ走ると右拳を振りかざす。大和はそれを左腕で受け止めると左手で腕を掴みそのまま下に下ろし、右拳でホラーの顔を強く殴りつけた。ホラーは後ろに反るが反動を利用して大和に頭突きをしようとする。しかし大和は魔戒剣の柄頭をホラーの鼻に当てると同時に左手を離した。ホラーは鼻を押さえながら後ろに下がった。

「いってー!なにすんだ!」

「ホラーのクセに生意気言うな!」

 大和は魔戒剣を左手に持ち直すと右手で抜刀し、走りながら鎧を召喚する。ホラーは背中から翼を生やしその場から飛び去ろうと空を飛ぶ。しかし牙狼の背中の小さな羽のような装飾が変態の橋の両端にある柱上部に向け発射されるとゴムパチンコのように大和は空に飛ばされる。

「げげっ!」

「貴様のその腐れきった陰我、俺が断ち切る!」

 牙狼は魔戒剣を構え左斜め上に振り上げる。ホラーは避ける暇も無く牙狼剣で真っ二つに斬られ、そして消滅した。牙狼が地面に着地すると鎧を解いた。大和の後ろで簪が落ちる。大和は急いでそれを拾うとある場所へ走って向かった。

 

 病院では老婦が峠を迎えていた。家族が見守る中老婦にはあの日の記憶だけが今頭の中にあった。そんな時廊下から誰かが走ってくる音が聞こえてきたと思ったら勢いよく扉が開いた。

「おばあちゃん!」

「君は・・・・」

「なんだね君は!帰りなさい!」

「いいんだよ。その子は私を助けてくれた子なんだ。もっと近くに寄ってくれないかい。」

 大和は老婦に歩み寄るとポケットの中からあるものを渡した。

「これを見つけたんです。」

「これ・・・・・」

 それは漆塗りの簪であった。それを大和は直接老婦の手に渡す。

「仇・・・・・・取りましたから。」

 その言葉を聞いた瞬間老婦の瞳から涙がこぼれ出た。老婦は涙を流しながら大和にこう言った。

「ありがとう。」

 その言葉を聞いた瞬間大和は嬉しかった。十年前に自分は未熟で救えなかったがその言葉を聞いた瞬間嬉しかった。

 そして老婦は幸せそうな顔で眠った。

 

 帰り道、大和はザルバに話し掛けた。

「なあ、ザルバ。」

「なんだ?」

「俺たちさ、人のために戦ってんだな。」

「ああ。こんな状況は始めてだが、確かにそう言えるな。」

「おじいさん、おばあさんの所にいけたかな?」

「あいつを倒したんだ。きっと行けるさ。」

「そうだよな。」

 二人は老婦が老父と再度めぐり合うと信じた。夜空に登る月を見ながら。

 

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