島津寮の屋上で猛竜は身体を伸ばしていた。今日は休日で見回りは大和と哀空吏が行っている。本人は指令書が来るか来ないか待っているのである。
そんな猛竜の隣にいきなり執事姿の男が現れた。
「よお。相変わらずだな。」
「恐れ入ります。」
執事姿の男は軽くお辞儀をする。猛竜は立ち上がり男の方を向く。男は丁寧に赤い封筒を猛竜に渡す。
「さってと。どんなホラーを倒すことやら。」
猛竜は右手につけている指輪から魔導火を出し手紙を燃やす。封筒からは魔戒文字が現れ空中に表示される。
「鈴の音を闇夜で鳴らしし闇を狩れ・・・・・・か。」
猛竜は依頼内容を読んだ。
「で、どんな奴なんだ?」
「そのホラーの名はベベル、鈴の音で相手を惑わし自分の懐まで近づけるホラーです。」
「ふーん。ま、なんにせよホラー狩りをしろってことだな。」
「はい。では私はこれにて。」
そう言うと男はその場から煙の如く姿を消した。
深夜の人気の無い川辺。ジョギングをしている男性がその川辺を通っているとふと何処か心を奪われるような鈴の音が聞こえてきた。男はその鈴の音に心を奪われ自然とジョギングを止め鈴の音の方へと脚を進める。
「・・・・・なんだ?」
気が突くと男は橋の下にまで来ていた。月光でも照らされないくらい闇の中に男が入ろうとした瞬間男の方を突如後ろから誰かが掴んできた。男は驚き後ろを振り向くとそこには猛竜がいた。
「何してんだこんなとこで?」
「え?・・・・・あれ?なんで俺こんなところに?」
「何かしてたんじゃないのか?」
「え?・・・・・・・・・・あっ!ジョギングの途中だったんだ!」
男は自分のしようとしていた事を思い出すとすぐさま川辺に戻りジョギングを再会した。
「さって・・・・・・出てきたらどうだ。え?ほらーさんよ。」
猛竜が影の方を向くと影の中からボンテージ姿の女性が出てくる。
「うお!まさか逃げられないための対策もかねてたのか?最近のホラーは侮れねーな。」
猛竜が感心している隙を狙ってかホラーは鞭を猛竜に振るってくる。
「うおっと!」
猛竜は後ろに跳び回避すると左手で魔戒剣を抜刀し肩に担ぐ。
「うっしゃ行くか!」
猛竜はホラーに接近すると右拳をホラーの顔に振るう。ホラーはバク転し回避するが猛竜は左ローキックをホラーに喰らわせホラーを倒すと魔戒剣を振り下ろす。ホラーは鞭を両手で引っ張り魔戒剣を受け止める。ホラーは魔戒剣を押し返すと身体を浮かし起き上がる。ホラーは鞭を左右に力任せに振るうが猛竜は後ろに下がりながら魔戒剣とソウルメタルの右手で相殺する。
「しゃらくせぇっ!」
猛竜は脇が空いた瞬間を狙いホラーの懐にまで飛ぶと右膝をホラーの顔面に食らわせる。ホラーは後ろに強く飛ばされる。ホラーは怒り、本来の姿を猛竜に見せる。
袖の長い着物を思わせるような皮膚を持ち、両手には先端に毒々しさを思わせる紫のトゲのある鞭を持っていた。
このホラーの本来の姿、誘惑ホラー・ベベルである。
ベベルが鞭を地面に向け思いっきり振るうと足元に陣が描かれ蛇のようなホラーが姿を表した。ベベルは蛇ホラーに指示を出し猛竜に狙いを定め喰らいついてゆく。猛竜は上に跳ぶと魔戒剣を自分の上にかざし円を描く。炎からは紅い光が漏れ漸の鎧が召喚される。
蛇ホラーは下で漸が落ちてくるのを口を開けて待っていた。漸は叫んだ。
「竜漸!」
その瞬間空中の陣から雄叫びを上げながら漸の魔導馬・竜漸が姿を表す。竜漸は漸を乗せ蛇ホラーからは距離を置く。
「はっ!」
漸は流膳の胴を蹴る。竜漸はそれに従いベベルと蛇ホラーに向かい走り出す。蛇ホラーは口から毒を吐くが竜漸はそれを横に回避しながら掛け走る。
「行くぞ!竜漸!」
その言葉に答えるかのように竜漸は雄叫びを上げると漸と共に全身を魔導火で纏う武装、烈火炎装を使いベベルと蛇ホラーに立ち向かう。漸は剣を上にかざし蛇ホラーの口からベベルごと魔戒剣と魔導火で斬る。ベベルは避ける暇もなく魔導火で燃やされた。猛竜は鎧と流漸を召還する。猛竜は地面に落ちている鞭の一部を拾った。
「なんでこんなに出んだよ・・・・・・・・・全く減らないぜ。」
猛竜はそう呟くとその場から姿を消した。