牙狼〈GARO〉 大和の輝き   作:ザルバ

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川神学園のとある一室。そこでは最上位のクラスから最下位のクラスまでの生徒が集まっていた。

川神学園では生徒同士の問題は『決闘』が行われるが川神学園にはもう一つの特徴がある。依頼である。教師が生徒への依頼をする。その報酬として学食の食券が配給される。今その場に大和もいた。

「さすらえぞ 果たしてついぞ 姿無く 切なさに無く 愛しき者よ。」

 日本史担当の綾小路麻呂が一句詠むと何処か悲しそうな顔をする。

「今回の頼み料、学食の食券五十枚。」

 五十枚だけでも魅力はあるが誰一人として手を上げない。

「どうじゃ?誰かおらぬのか?四十九枚では?四十八枚では?」

 そんな中一人、大和が手を上げて発言する。

「百十枚で。」

「なぬ?」

「ウチは人数が多いので百十枚でお願いします。」

 その瞬間、衝撃が走った。

 

〈新しい政権は不要な事業や予算を削ることで予算削減の・・・・・〉

テレビを手にしていたクッキーはテレビを切って大和たちに関心した。

「へぇー、食券百十枚とは大盤振る舞いだね。」

「しばらく食費は困らねぇな。これから何を食うか迷っちまうぜ。」

 ガクトが思っていたことを口にする。

 金曜集会の秘密基地では風間ファミリー(キャップを覗く)と大和たちがいた。

「風間ファミリーと大和たちは全部で十一人だから全部で丁度十枚。」

「こんな時に限って肝心のキャップがいないんだよねー。」

 モロがキャップのことを言うとガクトが聞く。

「そういやキャップ今何処って?」

「名古屋で動けなくなってるって。」

 モロがケータイで確認する。

「そらチャリンコで名古屋まで行ったらクタクタで動けなくならぁ。」

「ううん。身体は元気だけど自転車がパンクしたんだって。」

(それでもすげぇよ。)

 大和、猛竜、哀空吏の三人は思った。そんな時ワン子が大和に質問をする。

「ねえねえ、キャップが来なかったらどうするの?」

「よく言うだろ。働かざる物食うべからずって。さて問題です。百十枚の食券を十人で割ったらなんぼだ?」

「えっ!?ええっと・・・・・・十一枚!」

「正解。ちゃんと勉強が役立っていて助かる。」

「まぁ・・・・ね。」

 ワン子は目を逸らす。心なしかクリスとまゆっちと京以外の風間ファミリーも目を逸らしていた。先日の期末試験の際に行われた勉強会が一種のトラウマになり自然と勉強をする気が出始めた。

「でも大和、よくそんな高値で競り落とせたね。」

 京が改めて大和を関心する。

「まあちゃんと理由を言ったからな。向こうも納得してくれたし。」

「大和は交渉上手だな。将来政治家なんてなれるのではないか?」

「いや、流石にやめとく。今の政治界は何かとうごめいてるから。」

 クリスの勧めを大和は断る。

「でもまぁ、たまには小遣い稼ぐくらいいいじゃない。まゆっちもそう思うでしょ?」

「え、えぇ!!め、滅相もありません。私なんかが生意気に意見をするなどとんでもない―――」

 ワン子の言葉にまゆっちは冷や汗を流しながら否定する。

「でも食券は欲しいでしょ?」

「んぉ、おれっち的には欲しいけど大和に手作り弁当作るチャンスが減りそうでハラハラドキドキ、and食券にジェラシーってとこじゃねー。」

「っ!な、なんてことを松風!私は決してそんなことは――――」

 自分の腹話術に驚くまゆっち。腹話術だと何かと本音を話してしまうのがまゆっちのクセである。

「ねえねえまゆっち、なんでいつも携帯ストラップと話してるの?」

「ええ!こ、これは松風と言ってストラップに憑依した付喪神なんです。」

 そう言ってまゆっちはワン子に松風を見せるとワン子は「そういう設定なんだ。」と言い納得する。

「おう。おいら付喪神の中でも由緒正しい決闘を継ぐサラブレッド級のサラブレッドなんだぜ。」

「まあ、付喪神っていろんなところにいるから。ワン子の薙刀やクリスのレイピア、まゆっちの剣とか。あと依頼は契約は成立してるし問題は無いよ。」

 すると百代が大和に絡んでくる。

「いいや大和、私は問題があるぞ。」

 そう言って百代は自分の胸に大和の後ろ頭を挟み両腕で大和の首を絞める。

「お前昨日の夜私が呼び出したのに来なかったな。」

「そら依頼が―――」

「寂しかったぞ大和。せっかくの姉の誘いをほったらかしにして。」

 百代は更に締める。心なしか百代は自分の胸に大和の顔を埋めようとしている。

「それで姉さん、呼び出しって?」

「決まってるだろ。暇だったからお前を呼び出して遊びたかったんだ!」

 百代は思いっきり締める。

「ぐぎゅ!姉さん苦しいから放して!」

「まだ早い。私を倒したからには象が踏んでも壊れないとか百人乗っても頑丈じゃないとな。」

「確かにモモ先輩がジャレつくと象が踏むくらいの破壊力があるな。」

「何処の筆箱と車庫!てか筆箱は人が乗ったときは壊れたから!」

『なんだと!』

 ガクトと百代は驚いた。

「あれって筆箱に掛かるNに対して面積が大きかったから壊れなかっただけで実際人の足を乗っけたら掛かるNの単位違うからね。」

「それは驚いたな。でもまあ合法的に暴れられる依頼を持って来てくれたんだ。許してやるか。」

「非合法だと思うよ。裏の仕事だから。」

 京が冷静にツッコミを入れる。

 百代は大和を解放する。

「大丈夫か大和?」

「大丈夫、猛竜。それと姉さん、誰が戦うって言った。」

「へ?」

 

「っ・・・・・・・!」

 街中で百代は依頼の内容を知ると額に血管を浮かべていた。

「依頼の内容が尋ね犬ってなんだよ!」

「仕方ないでしょ。逃げちゃったんだから。」

「これって歴史の麻呂の犬なんだよな。」

「個性的だな。特に服と眉が。」

 大和が手に持っている紙には歴史の麻呂の犬の写真が張られていた。

「どんな大事件かと思ったら公私混同だね。」

「緊急招集を掛けるほど大事にしているペットなんですよね。」

 京が呆れ、まゆっちが同情する。そんなときに大和に哀空吏と猛竜が大和に小声で声を掛ける。

「おい大和、なんでこんな依頼引き受けたんだよ。」

「一つは可哀想なのともう一つは動物が歩くところに何かとゲートが多いから。」

「相変わらずホラーの出現理由がわからないな。」

「三人とも何を話しているんだ?」

「いや、なんでもないよ。」

 クリスが話し掛けてくるが大和は上手く誤魔化す。

「とにかく今は情報収集が必用だから。モロとガクトにはネットでの情報と目撃情報を呼びかけてもらっているし。その間俺たちは足で探すってわけ。情報と行動をミックスさせて早期解決をする。」

「オッケー、ジャンジャンいきましょ。」

「しかしこれしかなかったのか、写真は?」

「ああ。これしかないから困っているんだ。」

 写真はピンボケをしていてよく分かりにくいが特徴だけははっきり分かっていた。

「でも流石にこの特徴の犬は世界中を探しても指で数えるほどしかいないだろ。」

『確かに。』

 大和の言葉に皆納得した。

「おい犬、お前なら犬同士何かわかるんじゃないのか?」

「失礼ね。いくらアタシだってこんな写真じゃわからないわよ。匂いだってしないし。」

 そう言ってワン子は紙の匂いを嗅ぐ。

「あれー?匂いでわかんのかよー。」

(ザルバ・・・・)

(すまん。さすがに波動が分からないから無理だ。)

 その時大和の魔法にビチビチと音がしたので大和は魔法衣の内側を覗くとそこには蒼い魔戒竜の稚魚がいた。魔戒竜の稚魚は身体で向いて欲しい方向を示す。

「ん?」

「どうしたの大和?」

ワン子の問いに大和はこう答えた。

「いた。」

『え?』

 大和が向く方向には麻呂の犬がいた。特注も服装も合致していた。

「ここは任せて。」

 そう言うと京は矢を弦に掛ける。

「おい!処理している矢でも危ないだろ!」

「お尋ね者は生死を問わず賞金!」

「生死を問うわ!」

「冗談だよ、大和。これ学園のレプリカだから当たっても気絶するだけ。凄く痛いけどね。」

 京のその言葉に恐怖したのか麻呂の犬は逃げ出す。

「あっ!逃げた!」

「追うぞ!」

 ワン子がありのまま起こったことを言い、大和は皆に指示を出す。

 麻呂の犬は街中、川神院前、商店街の中を逃走し裏路地に入ると角材で塞がれた道の隙間をくぐり抜ける。

「なんの!」

 大和、猛竜、哀空吏はその角材を飛び越える。

「相変わらずすごいジャンプ力だな。」

「私もアレくらい飛べたらいいなぁ~。」

「でもアレくらいならモモ先輩でも出来る気がする。」

「そんなことよりこれを超えないと進めないぞ。」

「下がってください。」

 まゆっちが四人の前に立ち、日本刀を横一線に振るい角材を斬る。

「でかしたまゆまゆ。」

「流石だな。」

 百代とクリスがまゆっちを褒める。

 その後大和たちは麻呂の犬を追いかけるも軽々と逃げていっていた。時にはビルとビルとの間を蹴って上に逃げていっていた。

「わぉ、すげぇな。」

「あれ絶対特殊訓練受けてっぞ。」

「誰もやろうとしなかった理由がこれなのか?」

 大和たちは麻呂の犬に感心していた。

 

 綾小路麻呂は自宅の縁側で正座をしながら茶を飲んでいた。

「さて、綾小路専属ブリーダーが育てた高貴なる犬、あやつらに連れ戻せるか、の。」

 

 大和たちは麻呂の犬を追いかけるがことごとく撒かれたり、店に入っては迷惑をかけさせられたりした。

 時刻は夕方となっても捕まえられず、麻呂の犬に上手く逃げられてしまっていた。時を同じくして川辺では顔に包帯を巻いた男が夕日を眺め、九鬼財閥の地下では揚羽があるものを見ていた。

「我が川上大戦を赴いた留守を狙って行動するとはな。その後の情報は?」

「今だ何も。詳細は調査中です。目下全力を挙げ、被験者の行方を全力で追っています。」

「無駄だ。ひとたび身を隠したキャツはそう易々と見つけることは出来ぬ。だが、狙いがあっての行動。今後、必ず何らかの動きがあるはず。網を張って警戒しろ。すぐに出られるよう部隊を待機だ。」

「はっ!」

 揚羽の言葉にあずみは答えた。揚げ羽が目を向けている先にはまるで殴られたかのような破損をしている戦車があった。上部の装甲がそれを物語っていた。

 

 島津寮の風呂。今の時間帯は女子が全員入っていた。

「もー、すばしっこいったらありゃしない。」

「犬の脚力と張り合うとは犬もなかなかやるな。犬にしておくには惜しいぞ犬!」

「何言ってんだかわかんねーよ。」

 ワン子は文句を言うとクリスは麻呂の犬を褒める。だがワン子のことも犬と言ってるのでどっちの犬を褒めているのか分からない。そんなクリスにアヒルに乗った松風がツッコミを入れる。

「うん、惜しいよね。」

「通じちゃったよ!」

「やっと苦労して見つけたのになぁ。」

「苦労はしてないんじゃねぇ。」

 松風は百代にツッコミを入れる。確かにすぐ見つかったから苦労はしていない。追いかける方に苦労をしていた。

「まんまと見失っちゃったね。今度はどうやって探そう?」

「おびき寄せるのはどうだろう?犬の好きなものはなんだ?」

 京の発言にクリスが案を出す。するとワン子が自分のことと思い意見をする。

「アタシ、骨付き肉。」

「和子さんじゃねーよー。」

「せっかく大和が食券落札してくれたんだもの。なんとか任務成功させたいよねー。」

「そうだな。大和の労にも報いるためにも捕まえないとな。」

「大和さんでも追いつけていませんでしたし。」

「捕まえたら大和、褒めてくれるかな?」

 百代以外の全員が大和のことを話していることに百代は気付き、発言する。

「なんだかお前ら大和のことばっかり話してないか?」

『っ・・・・・!』

 改めてそのことに気付き沈黙になるがそれはすぐになくなった。アヒルの下から麻呂の犬が姿を表した。

『え?』

 麻呂の犬は何事も無かったかのように浴槽から上がると身体を振るい水気を切る。百代たちはただそれを呆然と見ていた。麻呂の犬はいい物を見たかのような目をする。その瞬間一同我に返った。百代たちが悲鳴を上げると麻呂の犬は寮の中を逃げ回り始める。百代たちは麻呂の犬を一同追いかける。

「コラー!」

「逃がさないわよ!」

「待ちなさい!」

「狩る!容赦しない!」

 京は矢を射る。麻呂の犬はそれを走りながらきりもみ回転で回避する。二矢、三矢と射るが同じように避けられる。

「出来る。まさか武道の心得が!」

「面白い!武道に手を染めた者なら犬だろうと手加減無しだ!」

 麻呂の犬は通路に沿って左に曲がる。

「しめた!そっちは行き止まりだ。」

 麻呂が空いている部屋に入ると女子一同麻呂の犬に跳びついて捕まえる。

「確保!」

「やった!捕まえたわよ!」

 ワン子は喜ぶがあることに気付いた。この部屋のことである。部屋の家主の姿を見るとそこには分厚い本を手にしている大和の姿があった。

 

 数分前、この日大和は巡回の番ではないためガデラについて調べていた。振るいホラーの図鑑を手にガデラの従者ホラーをどう倒すか検討していた。

「どうにも載ってないな。」

「おそらく記憶に無いほど激しい戦闘だったんだろう。無理もないな。」

「でも少しくらい覚えて欲しいよね。」

「だな。」

 すると廊下の方からドタバタと音がしてきた。大和は図鑑を閉じ、魔導筆で鍵を賭け、魔導筆を納める。その直後麻呂の犬と百代たちが入ってきたのであった。

 

 大和は口を開けたまま、ありのままの光景を整理した。捕まえられている麻呂の犬、そして風間ファミリーの女子一同の裸姿。それに気付いた女子一同悲鳴を上げながら大和に攻撃をした。大和はその時理不尽と思った。そして麻呂の犬は逃げた。

 大和はボコボコになりながらも麻呂の犬を百代たちと共に追いかけて行っていた。

 麻呂の犬は人気のない廃校場に逃げ込んで行った。

「ここに逃げ込んだか。」

「廃工場みたいだね。」

「手間取ったな。捕まえたらお仕置きしてやる!」

 百代はそう言いながら指を鳴らす。そんなときに大和は「百代姉さんが犬にそんなことしたら普通に死ぬから。」と思った。

「おらぁ!」

 百代は廃工場の扉を殴り、無理やりこじ開けた。その時黒い全身タイツにみを包んでいる集団がいたが気付かなかった。

 廃工場内は物置のようにされていて死角だらけであった。

「ここから探し出すのは厄介だな。」

「なに、それなら向こうから出てくるように炙り出せばいい。」

 そう言うと百代は工場内を暴れる。

「そらそら!出て来い!」

 百代によって残骸へと変えられた物がある場所に落ちると麻呂の犬が姿を表した。

「いた!」

 それにクリスが気付き京が矢を数本射る。矢は麻呂の犬の動きを封じるように壁に刺さった。麻呂の犬には当たっていない。

「逃げても次は当てる。」

「でかしたぞ、京!」

「これで一件落着だな。」

「やった!食券ゲット!」

 大和が京を褒め、クリスが事件解決を言うとワン子は喜んだ。大和は麻呂の犬に近づこうとした瞬間足元にあったものを見つけた。それと同時にザルバが念話で大和に話し掛ける。

(大和、まずいぞ!ここは・・・・)

(わかってる。折角構えたけど致し方ない。)

 大和は袖から魔法筆を取り出すと麻呂の犬の動きを封じている矢を術で折る。屋の拘束から解放された麻呂の犬は再度逃走を始める。

「あっ!逃げた!」

「折角捕まえたと思ったのに!」

 百代たちは麻呂の犬を追いかけるが大和はそこで立ちつくしていた。大和はしゃがみこむと足元に落ちていた弾を拾う。

「・・・・・・・間違いない。」

 そこへ哀空吏と猛竜が来た。

「おい大和、なにやってんだ?」

「今日はお前の番じゃないだろ。」

「二人とも、丁度よかった。これを見てくれ。」

 大和は拾った弾を二人に見せる。

「それは?」

「7.62mmNATO弾。」

「実弾か?」

「ああ。」

「じゃあこれは?」

 猛竜は手榴弾を手に取る。

「MK3A2手榴弾だ。」

「これは・・・・・たしかM60軽機関銃だったか?」

「ああ。M134ミニガンまである。」

「おい待て。それって・・・・・・」

 猛竜が思ったことを言おうとした瞬間、三人は咄嗟に模造刀を手に取る。その刹那、何人もの黒いスーツ姿の男たちが大和たちを取り囲んでいた。

「こいつら人間か?」

「ああ。あいつ等なら不意打ちを狙ってくる。」

「どう対処する?」

「無力化。軽く怪我してもらうぞ。」

「あいよ!」

「仕方ないな。」

 男たちは大和に向け拳銃を向け発砲をする。しかし三人は前転して回避すると各々的の懐に入り応戦する。

「ふっ!はぁっ!」

 大和は的の一人を脚払いで倒すと立ち上がりながら前に跳び、もう一人の敵の拳銃を手にしている手を狙い剣を振るう。手に一撃を受けた敵は銃を放してしまう。

「お~りゃぁ!」

  猛竜は敵に向かい走ると力任せに模造刀を振るう。敵は腕で防ごうとするが予想以上の威力に弾き飛ばされ自分の仲間を巻き込んでしまう。猛竜の後ろから敵が銃を発砲するが猛竜は後ろに反転をしながら模造刀を振るい銃弾を弾き返す。弾き返された銃弾は敵の

銃口に綺麗に入った。その瞬間を猛竜は見逃さず一気に距離を詰め膝蹴りを喰らわせる。

「ふっ!」

 哀空吏は弓を槍の様に振るい敵の肩を叩く。後ろから敵が銃を撃とうとするが哀空吏は弓を分離させヌンチャクの様にし、後ろに振るう。弓は敵の手に当たると会い空吏の手に戻り、哀空吏は再び弓に戻すと上に跳び、空中で逆さまになると矢を三本弦に掛け、射る。三矢は敵三体に見事に当たる。哀空吏は空中に浮いている間に連続して矢を三本射る。

「大和!」

「おお!」

 猛竜は模造刀を右手に持つと大和に左手を伸ばす。大和はその手を取り猛竜を右に振り回し、投げる。猛竜は遠心力と自身のきりもみ回転を利用し敵を倒す。

「哀空吏!」

「分かっている!」

 哀空吏は矢を天井に向け放つ。放たれた矢からは一本のロープが吊るされていた。大和はその走りながら掴むと敵を次々と踏み、手を離し敵の一人を踏み台に跳び、地面をスライディングをしながら敵に攻撃を喰らわせる。

「猛竜!」

「あいよ!」

 猛竜は模造刀を左手に持ち直すと右腕をラリアットでもするかの様に構える。会い空吏はその腕に向かい跳び、腕に着地すると猛竜は哀空吏を放る。

「おーりゃぁ!!」

 飛ばされた哀空吏は弓を左足に掛けると右手を弓弦の左端から右端まで一気に矢を十数本掛け、敵に向かい放った。放たれた矢は全て的に命中する。哀空吏が着地すると全ての敵は無力化されていた。

「ふぅ・・・・終わった。」

「だな。」

「結構弱かったな。」

「てか猛竜、お前の右手で殴んな。」

「なんだ殴ってたのか。やられた奴が可哀想だな。」

「仕方ねえだろ。銃口向けられたんだから。」

 三人が話している隙を狙ってか三人の黒い全身タイツとマスクをした三人が襲い掛かってきた。

『っ!』

 大和たちは己の武器で防ぐ。

「まだお客さんがいたようだな。」

「相手するぞ。」

「女性だからあまり怪我させたくは無いがな。」

 三人は目の前の敵に武器を向ける。大和は青い髪、猛竜はオレンジ色の髪、哀空吏はワインレッドの髪の女性を相手する。

 青い髪の女性は大和に鉄パイプを振るうが大和は模造刀で受けると一気に鉄パイプを下に下ろし腹部を手押しする。女性は後ろに弾き飛ばされるが再度大和に接近してくる。

 オレンジの髪の女性は猛竜に向かいゴルフクラブを振りかざすが猛竜は右手のソウルメタルを盾に変形させるとゴルフクラブの攻撃を受け、盾を使いタックルをする。

 ワインレッドの髪の女性は哀空吏に鞭を振るってくるが哀空吏は弓をトンファーに変形させ弦で受けると接近し女性の腕に弦を絡ませて投げる。女性は空中で体勢を立て直し着地する。

「大和!こいつら川神流の技つかってっぞ!」

「何故か分かるか大和!」

「考えられるのは二つあるけど一方は最悪だ。どっちがいい?」

「「最悪の方で!」」

「言うと思ったよ。」

 大和は攻撃を受けながら仮説を言う。

「おそらく元川神院の誰かが自分で弟子をとって教えたってとこだな。」

「「そら最悪だ。」」

「だろ。ん!」

 大和はあることに気付いた。先程まで倒れていた黒服の男達の姿が無かった。更に大和は廃工場から最後の黒服の男性を担いでいる全身タイツの男がいた。

『しまった!』

 大和たちが声を上げた瞬間、女性三人はその場から離脱すると同時にMK3A2手榴弾が安全ピンを外された状態で大和たちの元に放り込まれた。爆発する瞬間大和と猛竜は魔戒剣を、哀空吏は魔戒弓を手に持つと鎧を召喚し、爆発に耐える。爆発が止み、煙が充満している間に三人は鎧を召還した。煙が晴れるとそこには誰もいなくなっていた。

「逃げられたか。」

「仕方ない。だがさっきのヤツらといい武器といい、どうなってんだよ。」

「さあな。最悪陰我が生まれそうだよ。」

 三人はそう話しながら廃工場を後にした。

 

 大和は二人と別れ一人島津寮に戻ろうとした時であった。

『大和(さん)!』

「ん?」

 大和は後ろから声をかけられたので後ろを振り向くとそこには百代たちがいた。

(・・・・・・・・・・さっきまで忘れてた。)

(まあ仕方ないな。)

 大和はさっきまでの戦いですっかり忘れていた。

「どうだったの百代姉さん?」

「ダメだ。あの犬なかなかの機動力を手にしているからこっちが上手く撒かれてしまった。」

「ゴメンね大和。」

「役立たずでゴメン。」

「すまない。自分も精一杯頑張ったんだが・・・・・」

「ごめんなさい!」

 五人とも大和に謝る。

「別に怒ってないよ。それに案外キャップが捕まえてたりしてっかもよ。」

「あはは、それは無いよ。」

 ワン子が大和の冗談を否定したすぐ後だった。

「おー、よしよしいい子だー。お前、歴史の麻呂にそっくりだなー。」

 麻呂の犬に餌を与えているキャップの姿があった。威嚇には前輪がパンクした自転車が転がっていた。

「おっ!?皆、今帰りか?いやー、参ったぜー。パンク修理しようとしたら接着剤がチューブの中で騒いじゃってさー。しょうがないから自転車担いで帰ってきちゃったぜー。」

 そんな光景に百代たちは開いた口が塞がらなかった。

「あれ?みんなどうしたの?」

 そんな中、大和は気がかりなことがもう一つあった。それは、一瞬だけではあったが小さなオブジェが置かれていたことであった。

(もしかして・・・・・・・・・・・いや、一般人がこっちのことを知っているはずがない。)

 そんな大和の思いを余所に月は輝いていた。

 

 大和たちが去った廃工場では一人の男が7.62mmNATO弾を手にしていた。

「全く、あのガキ共が取引現場に来るなんてついてねぇ。お前ら、ご苦労だったな。お目―もよく回収したな。」

 男は後ろにいる女性三人と男に礼を言う。

「だが注文にはまだちょっと足りねぇな。もちっと仕入れてきますか、お客さん?」

 男の言葉に陰で微笑む者がいた。

 

 川辺を三人の女性と二人の男が歩いていた。

「ふー、これから忙しくなっぞ、おめえら。」

 そう言って釈迦堂形部は後ろの四人の方を向く。

「師匠、わかってっけどあの三人何なの?」

板垣亜巳の言葉に板垣天使が頷く。

「だよね!アタシが相手した奴右手をなんか変形させてたよ!」

「僕の相手してた白い男の子も凄かったよー。」

 板垣辰子も相槌を打つ。

「俺が知るかよ。だが辰子、お前の相手した奴のコートの胸の部分にあった紋章、どんなんか憶えてっか?」

「え~と~・・・・・・三角!」

「そうだ。あの三角どっかで見た憶えあんだよなー。」

「だがよ師匠、何でそんなこと気にすんだ?」

 板垣竜兵が尋ねると釈迦堂は口を開いた。

「あの紋章、昔どっかで見た憶えあんだ。それもかなり古い資料にあるはずのヤツなんだが・・・・・・・・あ゛-思い出せねー。」

「ししょー。としー?」

 辰子の言葉に釈迦堂は心の傷を受ける。

「辰子、あんた言っちゃいけないこと言ってっから。」

「へ?」

 亜巳をわかっていない辰子であった。

 

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