牙狼〈GARO〉 大和の輝き   作:ザルバ

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『・・・・・・・・・』

 島津寮の大和の部屋。大和たち三人は真剣な顔で困っていた。

「なぁ、大和・・・・・・」

「なんだ?」

「これどうやって見つけたらいい?」

「・・・・俺に言うな。」

「そうだぞ。第一、これは流石に・・・・・・」

 三人には元老院からの指令書が出ていた。

「『幼き霊獣が時の道を外れ人の中に紛れる。早急に見つけたり。』って言うけど・・・・」

『ぶっちゃけ難しいよな!』

 三人して白旗を挙げかけていた。霊獣の子供はきわめて小さい。ほんの拳ほどの大きさしかない毛玉のような姿をしている。そんな霊獣の子供を町の中から探し出すのは非常に困難である。

「ザルバ、探すことは可能か?」

「無茶言うな。霊獣の子供の気は小さすぎる。百代のような奴じゃないと無理だな。」

 大和たちは頭を抱える。

 そんな時大和のケータイに電話が掛かる。

「はいもしもし?」

『もしもし、大和君か?』

「揚羽さん!どうしたのですか?」

『実は折り入って大和君たちにしか聞き話がある。というより大和君たちにしか聞けない話といったほうが正しいな。』

「?」

 大和は揚羽の言いたいことが分からなかった。

『詳しい話は九鬼財閥の私の部屋で話すから明日九鬼財閥に来てくれないか?』

「分かりました。では明日の朝十時にそちらに窺わせていただきます。」

『わかった。では明日の十時に。』

 

 翌日、三人は九鬼財閥の前にまで来ていた。

「予定の時間より十分前に着いたな。」

「だがよ、それでいいんじゃね?」

「確かにな。礼儀としては間違っていない。」

 三人が九鬼財閥に入ろうとした瞬間突如三人に向け何かが飛んできた。

『っ!』

 三人はその場から跳び、投げられたものを見るとそれはクナイであった。

「おめぇらここに何の用だ?」

「事によっちゃ殺すぞ、ファック!」

「お早めにご用件を言ってください。」

 九鬼メイド部隊のあずみ、ステイシー、李の三人が小太刀を逆手で構えていた。

「―――――って!お前直江大和じゃなねぇか!」

「どうも。」

 大和は軽くお辞儀する。

「英雄様が名前で読んでいいやつだとしても関係ねぇ。いくぜ!」

 あずみは大和に接近し小太刀を振り上げる。大和は咄嗟に魔戒剣を左手に取り、鞘で受け止める。その光景にあずみたちは驚いていた。九鬼の中でも一位の実力を誇るあずみのたちを止められるのは中々いない。

「あ!間違えた。」

 大和は後ろに飛ぶと魔戒剣から模造刀へと持ち替える。

「中々やるようだな。おめえら、そっちのヤツらも相手してやりな!」

「イエッサー!」

「わかりました。」

 ステイシーは猛竜を、李は哀空吏を相手にする。

「やるっきゃねぇな。」

「この状況なら仕方ない。」

「やるぞ!」

 三人は武器を手に取る。

李は哀空吏に向かい小太刀を振るうが哀空吏は弓でその攻撃を受け止めると刃を下に下ろすと軽い裏拳を李の顎に喰らわせる。李はふらつき倒れそうになる。ステイシーは手裏剣を哀空吏に向け投げるが哀空吏は後ろに跳びながら手裏剣を地面に叩き落してゆく。

ステイシーは猛竜に右に放物線を描く形で接近すると右キックを喰らわせる。しかし猛竜はバク宙して回避し柄頭を顎に向け突く。

「くっ!ファック!」

 ステイシーは順手に小太刀を持ち直すと猛竜に向け突くが猛竜は右手でそれを捉えるとそのまま小太刀を折った。

「ファック!」

「そらっ!」

 猛竜はステイシーに脚払いをする。ステイシーは前宙して回避する。ステイシーは懐に隠していた機関銃を取り出すと猛竜に向ける。

「ちょぉ~~~~~い!」

「ロックンロール!」

 ステイシーはフルオートで猛竜に向け機関銃を放った。煙がステイシーの視界を遮る。ステイシーはしばらく打つとトリガーから指を離した。

「ゴム弾だが結構喰らったろ、ロック!」

 ステイシーがそう思った瞬間であった。ステイシーの見る世界が斜めになり、ステイシーは倒れた。ステイシーは後頭部を打つ。

「っ~~~~~!なんっ!」

 ステイシーが続きを言おうとしたときステイシーには模造刀が突きつけられていた。

「おめぇ、もちっと武器考えて使えよ。」

 肝が冷えた猛竜はステイシーにそう告げた。右手は防御のため盾に変形していた。

「おらぁ!」

 あずみは大和に向け両手に持った小太刀を連続して振るう。大和は剣と鞘を使い防ぐ。

「どうしたどうした!川神百代を倒したお前にしちゃ攻めてこねえじゃねぇか!」

「・・・・・・・」

 大和は鞘と剣であずみの小太刀を押さえ込むと右脚を蹴り上げながらバク宙をする。

「ちぃっ!」

 あずみは身体を後ろに反らし回避するが大和は着地をすると左手に持った鞘を振り上げる。あずみはバク転をして大和と距離を取ると小太刀を順手に持ち直すと大和まで一気に飛び両手の小太刀を大和に突きつける。大和は左手の鞘を離し両手で剣を持つと一気に振り上げる。大和の斬撃波があずみを襲いあずみは宙に浮いている状態で押し返す。

(なんて技出しやがる!川神百代もこんな攻撃を喰らったのか!)

 あずみは着地するも大和の攻撃の勢いによりバランスを崩す。

(しまっ・・・・!)

 あずみが倒れそうなところを大和は一気にあずみに詰め寄り支える。

「っ!お前なんで!」

「なんでって・・・・・・・・・倒れそうだったからですよ。」

 大和がそう答えるとあずみは呆れた。

「全く、お前みたいな餓鬼にここまでされるとは思わなかったよ。アタシの負けだ。」

 あずみはあっさりと自分の負けを認めた。大和はあずみを立たせる。猛竜も哀空理もステイシーと李を立たせた。

「そろそろ出てきては、揚羽さん。」

「バレていたか。」

 物陰から揚羽が姿を表した。

「どうだったかな、ウチの者は?」

「中々強いです。油断をして無ければ俺の知り合いと互角に渡り合えていたと思います。」

「そうか。わざわざ手合わせをこんなやり方でやらせてしまってすまない。」

「いえいえ。」

「マシンガンはちょっと驚いたけど。」

「慣れてますから大丈夫です。」

 三者三様に答えると揚羽はクスリと笑った。

「そうか。ではこちらに来てくれ。」

「はい。あっ!」

「どうしたのかね?」

「この服で入るのは少し場違いですね。」

 大和たちの魔法衣姿は会社に入るには本人達も思うほど場違いである。

「ちょっとそっち向いてもらっていいですか?」

 大和の言葉に従い揚羽とあずみは大和の指差す方向を向く。そしてすぐに

「いいですよ。」

 大和の言葉で向きなおすとそこには白いスーツを着た大和と紅いシャツに黒いスーツ姿の猛竜、蒼いスーツ姿の哀空吏がいた。

『っ・・・・・・・・』

 四人とも何も言えない状況である。

「どうしましたか?」

「いや・・・・・・そんな芸がそれにあるとは思わなくてな。・・・・まあいい、入ってくれ。」

『失礼します。』

 三人は揚羽に丁寧にお辞儀をして入った。

 取り残された三人はただそこで立っていた。そんな時李があずみに尋ねた。

「メイド長、あの直江大和と戦ってどうでしたか?」

「・・・・・・正直に言うとあいつは本気を出さず、値と同じ力量で応戦していた。」

『っ!?』

「だがアイツの剣には殺気を全く感じなかった。簡単に言うとあいつの剣は優しさと覚悟で戦っている剣だ。川神百代を倒したのも納得できる。」

 あずみでさえ大和の実力を認めた。

 

 揚羽に招かれ大和たちはある一室に入った。そこには監視カメラも無かった。

「安心してくれ。ここには監視カメラが無い。少しワケがあって外してもらっている。」

「そのワケとは?」

「これを見てくれ。」

 大和の質問に揚羽は行動で答えた。揚羽は机の引き出しの広い部分に入れていた何かを両手ですくうように持つと大和たちに見せる。それを見た瞬間大和たちは驚愕した。

「昨日家の庭で見つけたんだ。邪気はなさそうに見えたが見たことの無い生き物故にウチのものには頼めなくてな。君たちであれば知っているのかもしれないかと思って呼んだのだが・・・・・・・・知っているか?」

「揚羽さん・・・・」

「なんだ、大和君?」

『ありがとうございます。』

 大和たちは揚羽にお辞儀をする。

「・・・・・・・・・・・は?」

「実はそれ、今俺たちが探している霊獣の子供なんです。」

「霊獣の子供?」

「はい。」

「その霊獣について教えてくれないか?」

 大和は揚羽の問いに答える。

「霊獣というのは神聖な生き物でまず一般の人間に見る機会はないんです。俺でも一回しか見たことがありません。」

「そんな生き物がどうして?」

「霊獣の子供は本来親の霊獣と共に行動しているのですが今回はたまたま離れてしまったんです。霊獣の毛は魔戒法師の武器にも使われています。」

「では君たちは必要であれば狩るのか?」

「いいえ。霊獣は先ほども言った通り神聖な生き物。勝手に狩ることはいけません。」

「そうか。ところでこの子をどうするのだ?」

「霊獣の元に返してます。」

「そうか・・・・・・・・一つだけわがままを聞いてもらってもいいか?」

「何でしょう?」

「その霊獣に私も会わせてもらえないか?」

 大和は一時考えたがすぐに承諾した。

 

 大和は揚羽に五感が鋭くなる薬を渡す。

「これは?」

「霊獣を見えるようになるために必用な五感が鋭くなる薬です。効果は一日限りなのでご安心を。」

「そうか。」

 大和と揚羽は五感が鋭くなる薬を飲んだ。薬を飲んだ揚羽は自分の身に起きた変化を飲んですぐに実感した。今まで目には見えなかった小さな気の塊、遠くから聞こえてくる声や音が聞き取れる。

 大和と揚羽は歩きながら話をする。

「その子を見ていると昔を思い出すな。」

「昔ですか?」

「ああ。あれは屋敷の庭の池で一人でいたときのことだった。突然周りの時間がと待ったかと思ったら目の前に羽と角を生やした白馬が私の前に突然現れた。なんとも奇妙な話だがな。」

「・・・・・・・・」

「どうかしたかな?」

「多分それ霊獣だと思いますよ。」

「なに!」

 揚羽は自分が過去に会っていたのが霊獣ということに驚きを隠せなかった。

「そんなことがあるのか!」

「ごくまれにある場合があるのですが・・・・・・・それでもすごいです。」

「そんなにか?」

「ええ。霊獣は一般の人には見る機会がありません。それを見れるのはかなり幸運がある人だけですっよ。」

「そうなのか。いやはや、改めて聞くと自分の身に起こった事に驚かされるよ。」

「そうですか。」

 

 しばらくして二人は霊獣の現れる場所のたどり着いた。揚げ羽の手には霊獣の子供が大事に手の上に乗せられていた。

「来た!」

 周りの時間が止まり霊獣が姿を表した。

「・・・・・」

 揚羽は霊獣の姿に見惚れてしまった。かつて見たときはただ綺麗と思っていたが今はちがった。何処までも羽ばたいてゆくような翼、曇りが一点も無い毛並、まさに美しいと揚羽は思った。

「揚羽さん。」

「あ、ああ・・・・」

 揚げ羽は霊獣に霊獣の子供を差し出す。霊獣の子供は親の元へと飛んでゆく。

――――――――ありがとう。

『っ!?』

 ふとそんな声が二人に聞こえてきた。そして霊獣はその場から姿を消した。

「・・・・・・・・・行ってしまったか。」

「ええ・・・・・・・ちょっと寂しいですけど、霊獣の子供にとって親といる方がいいでしょうね。」

「それは君の経験からか?」

「はい。」

「聞かせてくれないか、君の母の事を。」

「ええ、いいですよ。」

 二人はゆっくりと帰り道を歩きながら話した。

 

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