大和が川神の街に着く少し前のこと、大和は山道を歩いていた。
「大和、どんな心境だ?久しぶりに故郷に戻る感じは?」
「正直嫌だな。こんな形で帰るのは。」
「まあ、魔戒騎士なんだから仕方ねぇな。」
「出来れば引退した頃に戻りたかったよ。」
ザルバと会話しながら道を歩いていると突然周りの時間がと止まり、灰色になった。
「ザルバ!」
「ああ、どうもこれはホラーの仕業のようだな。気をつけろ大和。」
大和は魔法衣から魔戒剣を取り出し抜刀。何処から来るか分からない敵に対し警戒する。
「貴様が現代の黄金騎士か?」
大和は突然後ろから声をかけられ後ろを振り向くとそこにはザジがいた。
「大和、コイツは厄介な相手だ。」
「どういうことだ?」
「こいつは今まで黄金騎士に封印されたホラーの恨みの集合体。」
「つまり怨念か。厄介だな。」
大和は剣先をザジに向ける。
「黄金騎士、今ここで葬り去ってくれる!」
ザジは片手に自身の能力で作り出した剣を手に取り大和に接近、剣を振り下ろす。大和は後ろに跳び反転、走り始める。
「逃がすか!」
大和は山道を走る。ザジは大和に徐々に追いつき、剣を振るう。大和は走りながら前宙、魔戒剣を振るいザジに傷を付けると再度走り始める。
「ぐぅ・・・・・・・・・・!」
ザジは斬られたところを手で押さえ足を止めるが再び大和を追いかける。
大和が立ち止まるとそこは木々が円陣を作っている場所であった。
「ここなら思う存分戦える。」
「なるほど。道では何かと不利な点があるためここに来たのか。だが黄金騎士よ、これは私にも有利であるということとは思わないのか?」
「いいや、そうは思わないね。」
そう言うと大和はザジに向かい跳び、魔戒剣を右に振り上げる。ザジは左の爪で受け止めると右手の剣で大和を突く。大和は身体を左に反らし回避すると左足を回し蹴りしザジから剣を手放させ、その勢いを利用しザジの左手を魔戒剣で回し、転倒させる。ザジは落とした剣を術で右手に引き寄せると大和の足元を突く。
「おっと!」
大和はすぐさま後ろに跳び、ザジと距離を置く。
「あっぶねー。今のはガチで危なかった。」
「気を抜くなよ。コイツはアイツですら手こずった相手だ。」
「でも倒したんだろ?だったら俺もあの人に恥じぬように頑張るだけだ!」
ザジは大和に接近、剣を振るう。大和は魔戒剣で相殺するがザジの一振り一振りは強く、鋭い。大和は押されてゆく。
(こうなったら!)
大和はしゃがむと魔戒剣を地面に向けきりもみ回転をし、落ち葉を宙に上げ目くらましをする。
「くっ!」
ザジは顔を手で覆い隠す。手をどけた時には大和の姿はなかった。
「くそっ!どこに行った!」
ザジは辺りを見回す。しかし大和の姿は見えない。
「・・・・・・」
大和は気配を殺し木から木へと移り跳んでいた。大和はザジの後ろの木に付くとザジに向かい跳び、背後からザジを斬る。
「ぐぁっ!」
背中を斬られたザジは悲鳴を上げる。ザジは反転し剣を横に振るうが大和は後ろにバク転し回避する。
「はっ!」
大和は身体を捻りながらザジの上を跳び、頭部の角を魔戒剣で斬る。
「ぐぅぅ・・・・・黄金騎士が!」
ザジは大和に向け剣を突く。大和は地肌で突きを受ける。
「ぐっ!」
大和は突きを正面から喰らい後ろに弾き飛ばされるが体勢を立て直す。
「黄金騎士よ、本気で掛かって来い!我も本気で応えよう!」
ザジは牙狼に敬意を表し、鎧が召喚されるのを待つ。
大和は魔戒剣の刃をザルバに擦り付けると剣先を天に向け空間を裂き、円を描く。描かれた円からは金色の光が漏れ、大和を照らす。描かれた円から黄金の甲冑が現れ大和の回りを跳び、大和に装着される。
その姿は古来より受け継がれし魔戒騎士最強の称号。闇に生まれ、闇に忍び、闇を斬り裂く希望。
その名は黄金騎士・牙狼。牙狼の背中には金の装飾がされたマントが羽織られていた。
「はぁあああああああああ!」
ザジは牙狼に向かい飛び、剣を振り下ろす。牙狼は右に転がり回避をすると牙狼を抜刀しザジに斬りかかる。ザジは左の爪で受け止めると牙狼に向かい剣を突く。しかし牙狼はその剣を左手で受け止める。
「やるな。」
「あんたもね。」
二人は同時に距離を取ると互いに剣を構え走り出す。
「「はぁあああああああああ!」」
二人はすれ違い様に剣を振るい、互いの剣をぶつけ合う。二人は同時に反転し何度も剣を交える。
「黄金騎士!何故貴様は人間を助ける!人間は強欲で自分のためあらば他人をも犠牲にし、私利私欲を求める愚かな生き物だぞ!それならば我らホラーが全ての人間を喰らい、平和な世の中にするのが妥当ではないのか!」
「違う!人間が全て強欲ではじゃない!人間の中には優しい人もいる!お前たちホラーなんかにそんな人たちを喰わせるわけにはいかない!」
「ならば聞こう!何故人間は互いにいがみ合うのだ?」
「それは個人が他人を知ろうとしないからだ!他人は違うという事を分からなければ争いが生まれるのは当然だ!だが人間はそれを歴史の中で繰り返す!だが、俺はこの歴史の中に互いに理解しあえる日が来ると信じている!だから俺は、俺たち魔戒騎士はお前たちホラーを狩るんだ!」
牙狼はザジを押し、そしてザジの剣を斬り裂く。
「なにぃいいいいいいい!」
ザジは驚きを隠せなかった。その一瞬の隙を牙狼は逃しはしない。
「はぁ!」
牙朗は牙狼剣をザジの腹部に向け突く。
「ぐはぁ!」
ザジの腹部を牙狼剣が貫いた。
「ふっ!」
牙狼は足を強く踏み込むと後ろを振り向き、そのまま剣を横に振るう。
「ぐはぁ!」
ザジは悲鳴を上げる。
「黄金騎士よ・・・・・・・・この先、貴様が・・・・・・・・・ホラーを狩るかぎり・・・・・・・・我々は・・・・・・・・何度でも・・・・・・・蘇えるぞ・・・・・・」
牙狼はサジの方を向き顔の部分だけを召喚する。
「たとえお前が何度蘇えろうとも俺はホラーを封印し続ける。それが魔戒騎士としての氏名だ!」
「貴様は・・・・・・・何者だ?」
大和はザジに向かい宣言する。
「わが名は牙狼!黄金騎士だ!」
その瞬間、牙狼の後ろに魔戒文字によって描かれた円が現れ牙狼を照らす。
ザジは大和が今まで倒したホラーの邪気を放ちながら消滅した。大和は鎧を召還すし、剣を鞘に収めた。そして再び時間は動き始める。
「終わったな。」
「ああ。だが大和、ここから咲きザジのような強敵がいてもおかしくは無いぞ。川神は人外の町なんだろ?そんな場所でのうのうと生きて生けるのは並大抵の敵じゃないぞ。気を引き締めろ。」
「わかってるよ。でも俺は死ぬつもりも無いし負けるつもりも無い。生きて、誰かの笑顔を救い、次の笑顔を救う。それが俺のやるべきことだろ?」
「ああ、そうだ。」
大和は足を進める。
これから何が起こるか彼はまだ知らない。だが彼には過去から託された願い、未来への希望がある。心強い味方がいる。例え敵わないと思う強敵が現れてもきっとい切り抜けるはずである。
彼の名は直江やまと。
彼が受け継いだ称号、その名は黄金騎士・牙狼。