「金曜集会?」
金曜日、Fクラスで大和が哀空吏に金曜集会について話していた。
「ああ。お前が巡回に行っていて話を俺が伝えるようになってたんだ。それで今日行くことだそうだ。」
「何処なんだそこは?」
「ん?さあ。」
「さあって・・・・おい。」
「放課後にガクトたちと一緒に行くんだ。」
「はあ。で、そこはどんなところなんだ?」
「現地で説明するそうだぞ。」
「そうか。猛竜は行きたがってるのか?」
「ああ。なんか秘密基地みたいな響きだと言ってたしな。」
「秘密基地・・・・・・か。」
「ああ。あの頃を思い出すな。」
「そうだな。」
そして放課後、風間ファミリーに連れられてクリス、黛、大和、猛竜、哀空吏は人気の無いビルにつれてこられた。ちなみにキャップは今寿司屋のバイト
「ここは?」
「ああ、一見すればただの廃ビルだが。」
百代に案内されある一室に付くとそこには見事に内装が施された部屋があった。
「私達の秘密基地になっているんだ!」
「わぁ!」
「本当は管理のバイトなのだがオーナー不在の内にイロイロと物を持ち込んできてこうなった。」
この説明を聞いていると三人はあの頃を思い出していた。
かつて、ボルシティで五人一緒に過ごしたあの場所を。そこがあったからこそ、今まで亡くなっていたと言い聞かされていた母に会うことができたあの場所を。
「すまないが・・・・・ここに来る意味はあるのか?」
クリスが唐突に聞いてきた。その言葉に皆は驚く。
「これは少なくとも建設的な行為ではない。第一危険だ。率直に言わせて貰うとさっさと取り壊すべきだ。」
クリスがそう言うと京がドンッと握りこぶしを机に叩きつける。
「お前・・・・・死ねよ!」
京がクリスを殴ろうする。百代が止めようとしたその時であった。大和が京の前に出て京を抱きしめる。
「・・・・・っ!」
「落ち着け。ここを侮辱された気持ちはわかる。でも殴ったらいけないんだ。」
(温かい・・・・・・・・)
京の心にうごめいていた怒りが徐々に浄化されていく感じがした。
「な、なんなのだ?」
「クリス、今のはお前が悪い。」
「どういうことだ猛竜!」
「俺が説明する。確かにお前の発言は正しい。だがこいつらにとってここは大切な場所だ。お前にも父からもらったものがあるだろう?それと同じなんだ。」
「あ、あの・・・・私如きが「黛!」は、はい!」
「私如きがなんていうなよ。仲間なんだから。」
「・・・・・・・すまない。」
クリスは頭を下げる。三人はクリスは少し大人になったと思った。
と、そこへ・・・・
「おいーすっ!風間寿司でーす。タマゴばっかで悪いけど食いねぇ食いねぇ!ってアレ?なんだこの空気。」
「キャップ、ナイスタイミング。」
大和の言葉にキャップは首を傾げた。
「な~るほど。そういうことか。」
キャップは皆と寿司(タマゴばっかり)を食いながら大和から一部始終を聞いた。
「一回くいらこういうのあるもんだ。問題ねえ。」
「おお!いい判断だな。」
「ありがとよ、猛竜。」
そんな光景を黛とクリスはじっと見ていると互いに見合った。
「今日はお互いに叱られてしまったな。」
「はい。次は同じことをしないように頑張りましょう。」
二人はクスリと笑う。その光景を見ていた大和は安心した。
黛がお茶を入れようと席を立つと写真立てに飾ってある写真が目に入った。
「・・・・・あれ?この写真、みなさんの小さい頃の写真ですか?」
「おー、七人そろっているだろ。」
大和の言う通り風間ファミリーと大和が高い花を背に写っていた。
「おお。皆面影があるな。大和以外は。」
「背の高い花ですね。」
「ふふん。リュウゼツランって言うのよ。」
ワン子が胸を張って言う。
「ワン子が知っているということはよほど大事な話でもあるのかこの花には・・・・・・」
「武士道礼儀うんねん言うわりにちょいちょい失礼よね。アンタ。でもまあ教えてあげるよ!それはね――――」
遡ること大和がまだ九歳だった頃。
「リュウゼツ・・・・・・ラン?」
「ああ、そうさ。こんなレアな植物がこんな空き地にねえ。」
若かりし頃の寮長が小さかった頃の風間ファミリーと大和に空き地に生えているリュウゼツランについて語っていた。
「レアものか。すげーな!」
元気ではしゃぐキャップ。その隣で大和はその花について少し語る。
「センチュリープラント。数十年に一度しか咲かない花。」
「大和ちゃん、よく知ってるね。」
「うん。前に川神おじいちゃんの部屋にあった分厚い本を読んだ時に載ってた。」
「それって写真があるや使い?」
「うんうん、全部英語。」
「あんたほんとに小学生かい!」
「英語って結構言葉の組み合わせがパズルみたいで面白いよ。」
「小学生でそんなこという子あたしゃ初めてだよ!」
そこへ百代が駆けつけてくる。
「おーい。ウチのじじいに確認してきたぞ。前に咲いたのは五十年前だってさ。で、あさってぐらいには咲きそうだ。」
「明後日かぁ。楽しみよね楽しみよねー!」
「皆で写真撮ろうよ。」
「いいな!」
そんな光景を陰で京が見ていた。それに気付いた大和は大きな声で京に話掛ける。
「お~い、椎名ちゃ~ん!」
大和が声を掛けると京は怯えたようにそこから去って行く。
「・・・・・・・・あれ?」
「なんだぁ?」
「きっとシャイなんだろうね。」
「シャイ?」
その日の夜、大和はテレビを見て台風が近づいていることを知る。この頃大和はほとんど一人で暮らしていた。正確には二人で生活しているのだが親代わりの人は事情があって遠くにいる。
「少し・・・・・・・でようか。」
大和は動きやすい服装の上にレインコートを着て雨の中出て行った。
リュウゼツランのある空き地に行くとそこには京が雷の音に怯えながらそこにいた。
「椎名ちゃん!」
「あ・・・ああ・・・・」
大和は何も言わずに椎名にレインコートを着せる。
「一緒に花見たいんだよね?」
「え・・・・・」
「明後日、一緒に見ようよ。」
「・・・・・・・・うん。」
その後風間ファミリーが来て百代がリュウゼツランを保護し終えると皆は解散した。
そして二日後。大和は京の手を引っ張ってリュウゼツランを風間ファミリーと一緒に見ていた。
「咲いた・・・」
「わーわー。これが五十年に一度咲くのねっ。」
「うーん・・・・正直あまり待たせるわりには綺麗な花でもなんでもないな。」
「そうかな?他にも喜んでいる者たちもいるよ。」
百代がそう言うと大和が花を見ながら言う。その時の大和はどこか微笑んでいた。
「ほら。写真撮るんだろう。並びな並びな!」
寮母の島津さんが促す。写真を撮ろうとしている時に京の顔が笑っていないことに気づいた大和は京の頭を撫でる。
「はいチーズ!」
「・・・・ということがあったんだ。」
「なるほど。そういう経緯の写真なわけだ。」
百代がいい終えるとクリスは感心する。
「その後しばらくして京は風間ファミリーになったけどすぐに大和はいなくなっちゃったよね。」
「まあな。」
「とにかく、また五十年後に一緒に見ようって話になったんだ。」
「!まだその空き地に花があるんですか?」
黛がガクトに聞くとガクトとはこう返答した。
「残念ながら空き地はなくなってんだ。」
「そうなのか!てことは・・・・」
皆はビルの隅に設けられている場所に向かうとそこには花の葉があった。
「アタシたちでこのビルの草地に花の子供を移したのよね。」
「根がしっかりしてて大変だったよ。」
クリスと黛は納得する。
「なるほど。この場所が大事なわけだ。」
「五十年後か・・・・何やらいい話です。」
「壮大だな!」
「おい、まゆっち!クリス!」
キャップが二人に声を掛け二人は振り返る。
「この花、次はお前らも一緒に見るんだぜ。四十何年か後だけどな。」
キャップのその言葉に二人は笑みを浮かべる。
「ああ!」
「今から楽しみですっ!」
島津寮の帰り道、猛竜と哀空吏は大和に唐突な諮問をした。
「そういや大和、お前あの時微笑んで経ってあの話で言ってたよな。」
「ん?ああ。」
「どうして微笑んでたんだ。花になんか移ってたのか?」
「ああ。実はあの日五感が鋭くなる薬を飲んでてな。」
「それがどうかしたのか?」
「実はあの時少し見えたんだ。霊獣が。」
「はぁ!」
「大和、流石に無理がある。霊獣は俺達と時間が違うんだぞ。」
「普通はな。でもなんでか知らないが昔からその気になればそこいらにいる精霊とか見えるんだよ。」
「どんなチート能力だ!」
「でも霊獣は見えないんだがな。」