先輩はるのん   作:ゼロ少佐

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23話

泣き疲れた私は比企谷君の胸の中で眠ってしまった。その間彼は私を膝枕し、ずっと頭を撫でていてくれた。

私はこんなにも優しくて大好きな彼に迷惑をかけてしまった。

それなのに、彼は「気にすんな、俺がやりたいからしただけだ」と笑顔で応えてくれた

それだけで私の胸の中は温かくなった

また泣きそうになった。それ程までに嬉しかった

 

でも彼はあくまで私の事を妹扱いしかしてくれなかった。それがどうしようもなく辛かった

 

そうして、顔を上げると

彼がいつも座っている席に姉さんが座っていた

 

陽乃「ごめんね、私全部聞いてたんだ…

部屋に入ろうとしたけど、入れる雰囲気じゃなかったから」

 

八幡「その、なんだ…本人も悪気がある訳じゃないから」

 

そこで比企谷君の言葉を遮った

 

雪乃「別にいいわよ、聞かれても…絶対に姉さんから比企谷君を奪ってみせるから!」

 

陽乃「ふふっ、強くなったね雪乃ちゃん

でも八幡は絶対に上げないから」

 

雪乃「私だって比企谷君を振り向かせて見れるから」

 

そう言い雪ノ下は隣に座っている俺の顔をがしっと両手で押さえつけ、唇を奪ってきた

 

陽乃「なっ!?」

 

八幡「」ポ-

 

雪乃「それじゃ、私は帰るから…またね、八幡♪」

 

八幡「っ……」

 

雪ノ下が居なくなった部室は静寂に包まれた

その間俺は無意識にずっと唇を触っていた

 

陽乃以外の人とした初めてのキス

物凄く柔らかくて心地よかった

 

陽乃「八幡は…私と雪乃ちゃん…どっちの方が好き?」

 

突然陽乃がそんな事を聞いてきた

 

八幡「陽乃に決まってんだろ…」

 

陽乃「なら、なんでいつまでも唇を触ってるの?」

 

八幡「っ…それは」

 

本当に無意識だった

あの感触が忘れられなかった

 

陽乃「八幡、帰ろっか」

 

職員室に鍵を返し

俺と陽乃は学校を出た

 

帰り道

 

陽乃「今日、八幡の家に泊まりいくから」

 

彼女は突然そんな事を言い出した

 

八幡「は?」

 

陽乃「いいよね?」

 

この有無を言わさない感じ久しぶりだな

やっぱ怒ってるのかな

 

八幡「あぁ」

 

 

 

家に帰り、小町に陽乃が泊まりに来ることを伝え部屋に戻った まぁ、明日は土曜日だし別にいっか…

 

そんな事を考えてると陽乃がやってきた

随分早いな…車で来たのか?

 

陽乃「おじゃまします」

 

いつもと違う雰囲気の陽乃に圧倒されながらも部屋に招き入れることができた

 

つーか、怖すぎるよ…小町なんて挨拶したらすぐ逃げ出しちゃったよ

 

 

 

荷物の入ったバックを部屋の隅に置き

ベッドの上に座った

 

陽乃「八幡、キスして」

 

こっちを向いてきたと思ったら

いきなりキスを要求された

 

八幡「あぁ…」

 

陽乃の隣に座り軽くキスをした

 

陽乃「ふふっ」

 

八幡「?」

 

陽乃「ごめんね、八幡…私こんなにも独占欲が強いだなんて知らなかった」

 

キスをした後陽乃は微笑み

謝りだした

 

八幡「謝るのは俺の方だ…不安にさせて悪かった」

 

彼女は一瞬驚いたような表情をした

そして1度瞬きをする間にいつもの笑顔に戻っていた

 

陽乃「えへへ」

 

隣に座る俺を抱きしめて布団の上で横になった

 

八幡「……」

 

陽乃「こうやって、抱きしめてるとすごく落ち着くの…だからもうちょっと我慢してて」

 

顔に豊満な胸を押し付けられていた

だけど、欲情したりはしなかった

心臓の音がバクバク聞こえ

そして、物凄く心地がよかった

 

 

 

 

 

アザレアを咲かせて〜

 

しばらくすると、携帯に電話がかかってきた

 

陽乃「いいよ、出て」

 

俺が行動を起こす前に陽乃が俺を解放し

電話に出る許可をいただいた

 

八幡「…知らない番号だ」

 

ピッ

 

一応知らない番号だったが、念の為出ることにした

 

「もしもし、比企谷君の携帯であってるかしら」

 

八幡「はい、その声は雪ノ下か?」

 

電話がかかってきた相手は雪ノ下であった

 

雪乃「えぇ、そうよ……あの、比企谷君」

 

八幡「なんだ?」

 

雪乃「今日は本当にごめんなさい…いきなりキスしたりして…貴方には姉さんが居るのに もし私のせいで貴方が傷つく事になったら…」

 

八幡「…あんま気にすんな、俺もお前の気持ちに気づいてやれなかったしな」

 

いや、前に雪ノ下の父親から聞いていた…

だけど、俺は何も出来なかった

 

雪乃「…貴方らしいわね そういう所」

八幡「そうか」

 

雪乃「えぇ」

 

八幡「まぁ、あんまり気にするな…俺だって気にしてないから」

 

嘘だ…あの時の感触はまだ覚えている

思い出すだけで体が熱くなる

雪乃「…少しは気にして欲しいのだけれど…一応私のファーストキスだったのだし」

 

ビクッと体が震えた

姿は見えないが とても恥ずかしそうにしている姿が容易に想像出来てしまったから

 

八幡「も、もうその話は終わりにしようぜ…」

 

雪乃「そ、そうね、ではまた来週会いましょう」

八幡「あぁ…」

ピッと電話の切れる音がした

 

陽乃「雪乃ちゃんから?」

 

ベッドの上に座っている陽乃さんが

通話を終えたの確認し、こちらに話しかけてきた

 

八幡「あぁ、いきなりキスしてごめんなさいって」

 

陽乃「雪乃ちゃんがした事はセクハラで訴えられてもおかしくはないからねー」

 

確かにそうだ…相手の合意もなく唇を奪うだなんて

それも付き合ってもないのに

 

八幡「そうっすね、でも俺はあいつに怒ったり何が言うつもりは無いので」

 

陽乃「それは役得だから?」

 

んぐっ!?確かに少しそう思ってたけど

なんでバレた!?

 

陽乃「本当にそう思ってるんだ……最低」

 

八幡「思わない方が失礼ですよ…こんな美少女姉妹に囲まれたら」

 

雪ノ下も陽乃さんも物凄く美人で

ひとつひとつの仕種に見惚れる位だ

 

陽乃「そうかもだけどー 八幡ってもしかして雪乃ちゃんみたいな子がタイプ?」

 

八幡「タイプだけで言うとそうですね、どストライクです。あの守ってあげたい感が半端ないので」

 

陽乃「私は?」

 

八幡「一緒にいて楽しい」

 

陽乃「あー!!私のことは遊びなんだ!」

 

八幡「なんでそうなるんですか!?」

 

陽乃「ぷぷっ.....あはははは!」

 

八幡「なんですか…いきなり笑って」

 

陽乃「ごめんねー、今の必死な顔が面白くて…」

 

はぁ…全くこの人は…

だけどこうやって笑ってもらえるのは嬉しいな

 

 

 

その後飯を食べ、俺、陽乃さんの順で風呂に入り同じ布団で抱き合いながら眠った

 

 


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