先輩はるのん   作:ゼロ少佐

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28話

「陽乃には留学して貰います」

 

 

 

その言葉は俺たちの胸に強く突き刺さってきた

これからは、2人で楽しく生活出来ると思っていた。同じ時を共有できると思っていた。

 

だけれどそんな幻想はたった一言で塵となってしまった

 

陽乃「ちょっ、ちょっと待ってよ!!なんで急にそれも私に相談もしないで決めるの!」

 

勿論陽乃さんは否定しようとした…だが

 

「雪ノ下家の為です。この前に結婚の話…あれを断る事で雪ノ下家は多大の損額を出しています。今現在のみでは、そこまでですが、数年後数十年後のことを考えると この損額は中々に大きいものです」

 

「それでも、私は貴方の幸せを願いました。だから申し出は断りました。なら、次は貴方が雪ノ下家の為に尽くす番ではないでしょうか?次期当主として、海外で経験を積み、日本へ帰ってくる。」

 

陽乃「そんな、勝手に…」

 

「雪ノ下家だけではないのです。貴方には雪ノ下建設の従業員全員分の責任があるのです」

 

ままのんが言っていることはド正論だった。だから俺は何も口出しする事が出来なかった。理不尽ではない、ただ自分が受け持つ責任をしっかりこなせというものであった

 

「それに、長期休暇はこちらに帰ってきてもよし、今の時代海外にいても連絡が取れる時代…会えなくなるのは寂しいかもしれませんが、それくらい我慢しなさい。それとあなたの実力なら3年あれば帰って来れるでしょ?」

 

それはままのんからの挑戦のようにも聞こえた

陽乃さんの火をつけるため、成長させるために

 

陽乃「…分かった でも2年よ…絶対に2年で帰ってくるわ!」

 

そう言い陽乃さんは部屋を出ていった

客間に残された俺とままのん

少し気まづいふんいきで、動くことが出来なかった

 

「八幡さん、ごめんなさいね…私にはこういうやり方しか出来ませんから」

 

口を1番に開いたのはままのんだった

その表情はどこか柔らかく

いつものあの雰囲気からでは想像しにくい姿であった

 

八幡「いえ、俺は待っているだけなので」

 

「案外1番辛いのは、ただ待つことしか出来ない事なんですよ…」

 

それはよく知っている…役に立つことも出来ずに、ただ事柄がすむまで何もせずに待つのは意外と辛いものだ

 

以前の結婚の件でそれはよく分かった

 

「残りの数ヶ月、陽乃と悔いのないように二人の時間を大切に過ごして下さい」

 

八幡「……はい」

 

そう返事をし俺は部屋を出ていった

食事中に席を立って部屋を出る行為は

世間一般的に礼儀が悪いと言われるものなのだが、今の俺は陽乃さんと一分一秒長く一緒に過ごしたかった

 

 

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