残虐なシーンを多々含むので注意です。
ーー夢を見た。
まだ魔術師として未熟だった頃、いじめを受けた妹・真衣が家で首を吊って死んでいた。俺と妹は1歳差で、俺はその時13だった。
普段から家族には笑顔を振り撒いていた真衣、たった一人の妹を無くした俺はそこから崩れるように変わって行った。何事にも無関心になり何もかもがつまらない。
そんな日常の中、理不尽に会社の責任を押し付けられた親父も自殺。激怒した母は訴訟を起こしたが揉み消され、ショックの果てに家を出た。
一人になってから、寝ると度々妹の笑顔と首を吊った光景が浮かび上がり、その度にトラウマを掘り起こされた。
今の生活を始めたのはこの1ヵ月後だ。
親父は残した遺産の中にあった魔術の知識を頭に叩き込みこちらに来た訳だ。
目覚めてから支度を済ませて刀の手入れとM4の調整をしている。今日はとても目覚めが良い。
『おはよ…もう斬月と秋月の手入れしてるんだ…
あと屋内戦でM4は向かないよ』「…そうだな」
まさか寝起きの優魔にコーヒーを淹れながら指摘を喰らうとは思わなんだ。
斬月・秋月〈ざんげつ・しゅうげつ〉
それぞれが優魔のハンドメイドで、アキラの能力に合わせた調整が細部まで施されている。
高耐久で高い切れ味を持ちながら軽めで扱い安い。
斬月は右手用、秋月は左手用になっている。
「となると…こいつだな」
手に取ったのはP90、高性能のSMG。
『ん、良いSMGだね』「だろ?ってかもうすぐ出るから支度しろよ、もしぶっ壊れでもしたら頼れんのはお前だけなんだからよ…」
『そうだね、私がいなきゃアキラはダメだもんね~』
「おまっ…誘拐されたりしても助けてやんねえぞ…」
『現在進行形で誘拐されてるようにしか見えませんが?少なくとも周りの人からしたらね』
「他の人間なんて知った事じゃない、今話してるのは俺と優魔だけだよ。…さてと、行くか」『了解』
学園に着くと、着いて早々に沢村が勝負を仕掛けて来た。
この学園には揉め事や喧嘩の為のバトルスペースが設置されている。そこならば邪魔されずに1on1が出来る便利スペースだ。
丁度良い機会だ。奴等の鼻っ柱をへし折り、今までのツケを返して貰う事としよう。
『さあて始めようか、昨日のあいつの恨みを思い知りなゲス野郎!』
「いじめ筆頭のお前が言うか…ブーメランだし。…貸した物、しっかり返してもらうぜ!」
合図が鳴る。
(奴の魔術は水属性…強化するなら威力か)
属性
魔術に自動的に付与されるエネルギー。
水、火、風、土、雷の5元素の他に無属性も存在し、
それぞれ右に強く左に弱い。
水→火→風→土→雷→水のようになっている
ちなみにアキラの身体強化は無に該当する。
『水魔術、ストライクポンプ!』
早めの速度で飛んで来た水は、確かに当たれば人間を吹っ飛ばすレベルの力があるが…
『ステータスチェンジ、脚力』
直線に飛んで行くだけの攻撃など素人でもかわす事は簡単だ。
しかもこちらにはコードがある、一度も披露していない分かなりのアドバンテージだろう。
「ほらほら、もっと打って来いよ沢村。まさか俺より エリート のお前が最下位に魔術すら当てられない何て無いよなぁ?」
『沢村、最下位の頭吹っ飛ばせ!』
『あんな奴ぶっ殺しちまえ!』『そうだそうだ!』
『…お、おう!やってやんよ!…』
若干の声の震え。クラストップの実力を持ちながら意気揚々と勝負を仕掛けたにも関わらず、沢村は恐らく気付いている。
自分と相手のアドバンテージの差に。
自分は全て戦う前から手の内をさらけ出している状態、だが相手のコードは愚か魔術も解らない。
有意かどうかは一目瞭然だ。
『水魔術、トライデント!』
次の攻撃は左、右、正面からの水攻撃。
『アゲインチェンジ』
もう一度脚力を上げて天井まで飛ぶ、さあ…この茶番劇に終止符を打とう。
右手用の斬月を引き抜き、沢村の真後ろに着地する。
『く、来るんじゃねぇ最下位が…あんな根暗女の剣をエリートの俺に向けるんじゃね…ひっ!』
「…遺言程度は聞いてやるつもりだったが仕方ない。貴様は俺だけに留まらず、俺の友をも侮辱した…その拭い切れない罪、その死を持って放免としようか…沢村!」
『ま、待て…本気か?人が死ぬんだぞ?!殺人が怖く無いのかよ?!』「ああ、むしろ本望だ」
『く、狂ってる…そそ、そうだ!…お、俺以外の奴等全員殺して構わない、むしろ殺せ!俺も野次ばかり飛ばして来てうざかったんだ………え?』
この時程、人間という生物の本質に呆れ果てた事は無い。
「良い事を教えてやる、お前を斬った後にクラスの奴等全員切り刻んでやるつもりだよ。そして…」
『え?…や、いやだ…まだ死にたくな…』
「今まで醜く生きてくれてありがとう、さよなら。
…ステータスチェンジ、腕力」
別れを告げて、一刀両断する。強化した腕力と切れ味が相まって簡単に切れた。
さて、ここからは沢山こいつで遊べそうだぁw
狂気染みた目は向けられた者には死神の目にも見える。
そして、そこから2時間経ち、とても勝負とは言えぬ虐殺が続き、残すは最後の女子になった。
『やだ…いやだ…誰か、助けてよ…お願いします何でもします!何でもします!彼氏とも別れます、いくらでも謝ります!貴方様の奴隷でも何でも良いので命だけは!…ひっ!…』
少女は恐怖に耐えきれず失禁する。
足はすくみ、腰は抜けて立つ事すらままならない。
友達だった者達はなすすべ無く冷たい死体に変えられて行った。
ただ死にたくない、その感情が恐怖と混じってパニックを起こしている。一刻も速く楽になりたい。
奥から一人の女が歩いて来る。
『アキラ、ここ居心地悪いから先玄関で待ってるね。』
「ああ、後で斬月のメンテ頼んだ」『うん、任して』
斬月…刀の名前だろうか、だが何故あの女だけあんなに会話出来るのだろうか…
「よし、それじゃあ斬るけど…何か聞きたい事でもあるの?」
『な、何でこんな酷い事をするの…いじめられたからって…なにもここまでしなくても…』
「…これはいじめの報復じゃない。これは俺達家族を殺したお前ら人間への復讐なんだよ、どんなに薄汚くても、血濡れても、絶対に果たさないといけない使命」
男が何を言っているのか、少女は理解出来なかった。
そして男が落ちていたナイフを放り投げると、少女の胸の真ん中を貫いて、少女は意識を失った。
『やあ生徒諸君、ここで一つ報告だ。クラス3-Aの男子生徒一人を除いて39人の死亡が確認された。
生き残ったのは…最下位君?みたいだね。
それでは今日も共存を選ぶか、自由を選ぶか、選択の時間だよ!』
これで、一歩前進だ。
3-A 順位変更
トップ、沢村→最下位