朝は好き。
まだ
都会の部屋にはまだ
少し
埃が陽射しに
窓を開けると、都会の少し油臭い風が舞い込んでくる。
油臭いけれど、
都会のルールは全然わからないけど、
私は、ここが好きになれそうな気がした。
「……そろそろかな。」
ガスの火はいつも使ってる
「うん、いい匂い。」
トースターからも小麦の焼けるいい
あとは冷蔵庫に入ってるマヨネーズと右上の
「あ…」
ミーナさんに教えてもらったコーヒーの
ホルンにいた
「パンディット、お願いしていい?」
スクリと立ち上がると、あの子はまるでお
その後を、彼の
「……」
寝起きの悪い彼でもパンディットが迎えに行くと
耳を
「リーザ、おはよう。」
「…おはよう、エルク。」
その間に私はテーブルクロスも朝食を
この
「いつもスマネエな。大事な客なのにこんなにしてもらってよ。」
ボサボサの頭を
「いいの。早起きは慣れてるし、家事も好きだから。」
「まったく、できたお嬢さんだぜ。」
苦笑いは
「よかったら教えようか?」
「…いいや、
「心配いらないわ。
「……ホント、上手に育てられたもんだぜ。」
彼はそんな風に言うけれど、こんなコーヒーみたいな苦味の
「そんでよ、今日、リーザはどっか行きたいとこってあるのかよ?」
今日は彼も仕事を休んで私の
エルクいわく、私に
だけど、パンディットも一緒にって訳にもいかないし、あの人たちに
本当は部屋でジッとしているのが当たり前なんだと思う。
だけどエルクは私を
だからこうやって、仕事の
本当はその気持ちだけで十分。
だけど…、
「うーん、とりあえずティファさんとエルクが行ったところは私も行ってみたいわ。」
「……それ、嫌味か?」
彼は大好きなベーコンエッグトーストをクチャクチャと
ティファさんはエルクの
…私よりもずっとエルクに近い女の人。
「半分はね。でも、残り半分は
「……」
「何をして笑ったのかとか。何をしてケンカをしたのかとか。…ダメ?」
「いや、別にダメじゃねえけど…。楽しくなんかねえと思うぜ?」
「そうかな?自分の昔話って
「…お前、冗談も過ぎるとただの悪口にしか聞こえないんだぜ?」
「……ゴメン。」
「別に、怒っちゃいねえけどよ。」
分かってる。『聞こえてる』んだもの。
でも、彼と一緒にいるとどうしても
そんな時、もしかしたらこの気持ちは私の一方通行なんじゃないのかって不安になったりするの。
「だから、怒ってねえってば。」
気にしいの彼は私が
彼の優しいところ。彼の弱いところ。
「うん、ごめんね。なんか私、すぐに調子に乗っちゃうから。」
「いいってば。リーザがいる毎日は俺も割と楽しんでる方だしよ。」
「ホント?…嬉しい。」
「だから、そういうのがいらねえんだってば。」
「…フフフ、うん。気を付ける。」
「ホント、頼むぜ…。」
コーヒーを
まだまだ私と彼の間にはお
私たちにはまだ「次の日」があるもの。
後ろめたく感じる時もあるけれど、ケンカして、仲直りする明日がある限り、私は彼と一緒にこんなぎこちない毎日を送っていたいの。
「ごめんね、いつもお
遊びに行くときは決まって彼の家に残る兄弟にお
「アイツ、ずっと
基本的に動物好きなエルクは私よりもパンディットのことを話題にすることの方が多い。
「夜中、とか人目のつかない時に出してあげるのはダメかな?」
でも、それも今の状況ならしょうがないかなって思うの。
私ばっかりいい思いをして。兄弟なのに、ズルいよねって思うから。
「うーん、夜は夜で活発な連中がいるしな。ソイツらにゃあんまり見つかりたくねえんだよな。」
「じゃあ、ヒエンを置いてるとこは?そこまではサックに入ってもらって…。」
ヒエンは彼が仕事で使ってる個人の飛行船。
その飛行船を
「まあ、あそこならアル中の中年しか来ねえだろうし、良いかもしれねえけどよ。アイツって、
「きちんと
「…まあ、たまにならいい食後の運動になるのかもな。」
「ごめんね、エルクにばっか私たちの
生まれ
今回の事件に巻き込まれてからというもの、いつの間にか「
そして、おそらく彼は謝ってばかりいる人があんまり好きじゃない気がする。
私を見る彼の顔が、ビビガさんに言い負かされた時みたいな表情をしていた。
「…まあ、毎日あのベーコンエッグが食えるなら、トントンってとこじゃねえの?」
「毎日?」
私が確認の意味を込めて
「たまには違うもんでもいいけどな。」
「任せて。絶対に今より5キロは太らせてみせるんだから。」
「…ハハ、なんだよ。急に元気になったじゃねえか。それってもしかして俺に賞金稼ぎを
「羊を追いかける毎日も結構楽しいよ?」
「それもいいかもな。だけど今は老後の楽しみにとっとくよ。」
ふと、彼の口から飛び出てきた言葉に私は
「老後…か。」
「…リーザは、どうしてるだろうな。」
「え?」
彼のその言葉はまるで腕の悪いパン職人みたいだった。
とても香ばしい匂いで私を
「……」
わかってるの。私の耳はキチンと彼の『
でも、それとこれとはなんだか違う気がした。
彼が口にした言葉と、私の耳が聞き取る『言葉』は全く別物のように感じるの。
「いや、何でもねえよ。」
「……うん。」
エルクも私も普段着で出かけた。
ミーナさんが
前回みたいに1、2時間だけただお
それでいい気がした。
…お喋りだって
「じゃあ、とりあえず行くか。」
…なんだか今日は特別な日になる気がしてたんだけどな。
「うん。」
午前10時頃に家を出てから
もちろんエルクは私の
「…な、ツマんねえだろ?」
わざわざ私のために時間を
「そんなことないよ。」
「…悪かったよ。」
「え?」
「いや、何がって言われると俺もよく分かってねえんだけどさ。それでも俺、あの時は変なこと言っちまったなって
エルクは何も間違ったことは言ってないよ。
これからずっと…、ううん。
来年だって私たちが一緒にいるなんて私にだってわからないし、想像もつかない。
「だけどね…」
「あ?」
「ウソでも良かったんだ。私、できることならいつまでもこうやってエルクと一緒に歩いていたいから。」
「……」
エルクの目が私を
とってもキレイだけど、ほんの少し
「
「頑張ってお前を護ってやるよ」っていう意味で彼は言っていた。
だけど、それも私が欲しかった言葉とは少し違ってる。
でも、今の彼にそれ以上を
少なくとも私は彼の『悪夢』を知ってる。
そんな私が彼にそれを求めること自体がどうかしてるんだ。
私の方こそ、彼を理解してあげようとしていない。
だからもしも私が彼を想うのなら、彼に想ってもらいたいのなら私は、
「ありがとう。」
そう言ってあげるべきなんだ。
「……」
だけど、彼も人を見ることに
それでも彼はそんな
「…
「う、うん!」
彼は私のために、私の知らないところでそれとなく下調べをしてくれていた。
警察の
「…エルク、ありがとう。」
「あ?何が?」
「お仕事大変なのに色々してくれて。」
同じようなことを今朝言ったばかりだけど、今度は「ごめんなさい」とは言わなかった。
「こんなこと
彼も、今度は眉間に皺を寄せたりはしなかった。
ボサボサ頭をガシガシと掻きながら少しハニカんで、「…よかったな」とだけ。
本当はもっと彼を
だけど、私もやっぱりまだ他人が
私が『声』を掛けることで彼の『何か』が変わってしまうかもしれないって思うと、あまり
「こっから見る飛行船がキレイなんだと。」
海に近いところに
そこから
立ち並ぶコンクリートの建物たちに抱かれる町の人々。
町と空港に
羽を
町の景色にも
だけど、こうして
「魔女」でもないもっと
でも―――、
「俺もわざわざビルを登ったりはしねえからな。見慣れねえ分、自分の町じゃねえような気がしてくるよ。」
「…多分、どれだけ時間をかけてもこの
「それは
「ううん、それくらいキレイだもの。」
それは、彼の町だから。
「…夕方になると、夕日がまた違った演出をしてくれるんだってよ。」
「へぇ…。」
だけど、
「……また、連れてきてやろうか?」
「ホント!?」
こんなにもハッキリと彼の声を聞いたのは今日一日を通して初めてなんじゃないかと思う。
それくらい、魅力的な言葉だった。
「あ、ああ。いつかは約束できねえけど。俺の手が
彼はまた、頭を掻いて景色を見るフリをしながら言った。
「……ありがとう。」
それは、本当に自然に出てきた彼への想いだった。
これから、彼は沢山の戦いに
そこに、私もいたい。
たとえこの背中に羽が
アナタの
そしてまた、この風に乗ってここに帰ってくるの。
今日一日じゃ、この「ありがとう」は満たせないから――――
※ティファニー・エヴァンス(ティファは愛称)
シュウに拾われ、プロディアスで生活している際にできたエルクの親友。
※サック
「リュックサック」の略称。イメージ的には「明日○ジョー」が持ってるような、サンドバックみたいな形のものです。
※エルク二人分
エルクの公式体重は50㎏です。
ちなみに、僕の書く「アーク」の中でのパンディットのプロフィールは
オスの15歳(人間でいう30代だけど、キラードックの中ではまだまだ若者)。
体長175㎝、体重98㎏
みたいな感じです。
作中では結構大げさに書いていますが、現実の狼と身体的特徴はあまり変わりません。
ただし、身体的能力の面では、狼10匹でも相手にならないくらいの力を持ち合せています。
※エルクの髪形(つんつんヘアー?ヤンキーヘアー?怒髪天?もしくは……)
……あれはセットしてるの?それともただの寝癖?(笑)
「ゲーム」のキャラクター上(特徴を持たせるため)、「ああいう髪形なんだぜ!」って設定なのかもしれないけど、
「ストーリー」の登場人物としてきちんと説明しようとすると、どうしても「ああいう髪形なんだぜ!」って言いきれるほどマメにセットするエルクにしなきゃいけなくなるです。
でも、私のイメージではエルクはガサツだし、毎朝きちんと起きてセットするというより安定の寝坊助さんでいる方がしっくりきます♪
だからあれは…、寝癖です!!