IS/ガンダム00 crossing exceptioners 作:A.Tom
「さて、これでちゃんと戦えますわね」
アリーナの上、セシリアは腰に左手を当て満足といった様子で一夏達に告げる。
腰に当てていない右手には、彼女と彼女のIS『ブルー・ティアーズ』の得物であるスナイパーライフルが握られていた。
だがしかし、その
(
小鳥のIS『銀影』の肩にある出っ張りが開き、レンズ式センサーが露出する。
(機体名『
小鳥が意識の焦点を当てた部位の名称、
アリーナの直径は200メートル前後、超音速で空を駆けるISにとっては狭っ苦しくて仕方が無いが、それでもやるしかない。
「なんですの?そのIS、猿の乗り物らしくみすぼらしいなりをしていますわね」
入念にセシリアの戦力を見極める視線に気付いたのか、銀影の小ささを小馬鹿にしたように彼女は小鳥のISを
「悪いな。現状これで精一杯なんだ。・・・でも、
余裕の笑みでそれを
だが自分に有利な
「ふふっ、
「ん?何だ?」
だが、高飛車な語り口調は変わらない。
一夏も小鳥も
「このままやったとしても私が勝つのは
傾けていたのだが、突然小鳥が断った。その表情はセシリアとの
「戦いを始める前から
恐らく、小鳥は機嫌が悪い時にだけ出る
一夏としては、小鳥の煽り癖についてはもう色々と言うべき事があるのかもしれないが、それでも今の言い分には同調出来る。
「ああ、それに、やってみなきゃ解らないだろ?」
そう言って、一夏は不敵に笑った。
「ハッ、まさかまだ勝算があると思ってんだな一夏」
軽口を叩いて一夏をみやる小鳥。それは非難や意見の相違を嫌った物ではなかった。
「乗ってやるよ、まずはセシリアからだ。
どうやら小鳥も本格的に勝ちに行く事にしたらしい。
一夏は右手を前に出して大きく開き、小鳥は両手をバックパックに伸ばす。
そして、一夏は近接専用ブレート『
「そうですか・・・では、
そんな二人を前にして、残念そうにセシリアが戦闘開始を
背面の巨大なブロックが動くと同時に、セシリアはライフルを構えた。
「ッ・・・!避けろ一夏ッ!!」
ライフルは一夏の方を向き、ビットの砲口は両方に向いていた。
「うおッ!?」
間一髪、全速力で
「な、何とか
だが、攻撃は止まらない。
「うおっ、とぁっ、ぐぅっ!」
避ける度に
「んなろっ!!」
アイアスの
「
小鳥の邪魔を
「くッ・・・!流石に四門での射撃はキツいな!!」
彼女を中心として円形移動をしながら上下左右に避け続ける。
「小鳥!」
「気にしてる場合かッ!今のうちに、セシリアに近づけ!」
心配する一夏に向けて大声で指示を出す小鳥。それを聞いたセシリアは、一夏の方へと視線を戻す。
「やらせませんわ!」
再度ライフルでの射撃を再開させる。
「何で作戦バラしてるんだよ!」
撃たれ続ける一夏は白式の翼を広げ加速しながら回避を続ける。
(例えまた
そんな事をセシリアが考え、ビット二枚をシールドのように展開している最中。
(どうせ俺の命中率の悪さから大丈夫だと思っているんだろうな・・・。もう準備出来てんなら、俺の援護なんか要らねぇだろ、一夏!)
その後ろで小鳥はアイアスの背中を合わせ、一つの巨剣とした。
「ほっ、はっ、よっ!」
そして小鳥の思惑通り、一夏の回避の度に発する掛け声にも余裕が見える。
「もう!ちょこまかと!」
と、そんな現状に苛立ちを募らせたセシリアは更に一夏への攻撃を激しくする。
「らあ゛ぁ゛ぁ゛あ゛ッ!!」
その隙を見計らい、叫びを上げて小鳥が巨剣のアイアスを背負って突撃をかける。
「かかりましたわ♪」
だが、
「・・・ッ!?」
そのレスポンスに小鳥の頭は一瞬だけ真っ白になる。
かかった?知っていた?予測していた?罠?反撃?どうやって?刹那の間にいくつもの疑問が浮かぶが、その疑問の隙間から一つの発見が生まれる。
(ビットが・・・二つ?)
・・・・・・
セシリアのISであるブルー・ティアーズのビット『ブルー・ティアーズ』は
内二つは腰に
そして今、二つのビットを防御の為に展開している。
ならもう二つは?
「不味いッ!!!!」
「猪突猛進も嫌いじゃないですが、
勝ち誇ったセシリアの声が小鳥の耳に届く。
上下がら挟むように設置されていたビットが、
誰もがその着弾を確信する中、小鳥は銀影に命令する。
(お前が俺のISだってんなら・・・全力を
ビームが銀影の装甲へと進む。距離は五十メートル、人間ならば避けるのはおろか反応することさえ難しいだろう、ISを着けていた所で被弾は必須だ。
だが、そうはならなかった。
「グゥッ・・・!!あぁぁあッ!!!」
「嘘!?」
「ぐっへぇ・・・流石に、今の動きじゃ
驚くセシリアを他所に、小鳥は気の抜けた台詞を吐きながら
「くっ・・・次は外しません!!」
それを好機と見たセシリアは小鳥に手を向け標準を合わせる。
だが、小鳥は動かない、むしろ余裕の笑みさえ見せている。それを
「『外さない』か・・・そいつは結構だが、俺を見てる暇はあるのかな?」
その台詞にハッとしたセシリアは後ろに振り返る。
そこには、彼女に向かって突貫を仕掛ける一夏の姿があった。一瞬
「うぉぉおッ!!」
「くっ・・・『インターセプター』!!」
ガギィンッと、二つの近接武器がぶつかり火花を散らす。しかし、突貫の勢いが付いた白式の力に
「ッ・・・!」
「逃がさない・・・ッ!!」
一夏の気迫もあって、雪片弐型の
(今だッ!)
その瞬間、一夏は切り札を使おうと刀を握る手に力を
「『
「ん?・・・“雪片弐型”に“零落白夜”・・・?まさか、これって・・・!?」
小鳥が覚悟を決めている頃、コンソールパネルを
「織斑先生、もしかしてこれって・・・」
左に立つ
一夏にはその文章の羅列に覚えがあった。
『雪片弐型』『零落白夜』その二つの名は、千冬が現役のIS乗りとして『
彼女が現役時代に乗り回していたIS『
『零落白夜』に至っては暮桜の
「ほう・・・そう来たか」
感慨深く呟く千冬、その呟きには僅かながら確信が見える。
「えっと・・・雪片弐型については何となく分かるけど、零落白夜って一体何なんですか?」
その呟きを聞いて疑問を感じた一夏は、千冬にその概要を問う。
それを受けて、千冬もその疑問に答える。
「あぁ、それはワンオフアビリティーだ」
「いや、それは知ってますけど・・・」
「わ、ワンオフアビリティーだと!?まだ
信じられないと言った様子で
そうしていると、説明を始めようとしていた千冬が顔を
「
とは言え、私のものを発現するとはな。と何処か誇らしげに呟くが、その緩んだ表情はすぐに治まり一夏への説明を再開させる。
「『零落白夜』は攻撃特化のワンオフアビリティーだ、これを発動させれば、ほぼ無条件で接触したISのエネルギーを対消滅させる特殊エネルギーを発生させる・・・。
急に話を振られた箒は、戸惑いながらも応える。
「ISの
そうだ、と箒の答えが正答であることを
「私がブリュンヒルデの地位に居られたのは、このアビリティーによる所が大きいな。・・・だが、気を付けろ。大きな力にはそれに見合う
そう言った千冬の視線は、不機嫌な小鳥の鋭さに匹敵する物があった。
その目付きに
「それを発動している間は、どれだけ
「━━━はい?」
今のは聞き違いだろうか、自分のシールドエネルギーが減少すると言うことは、何もしなくてもダメージが入っている事と何も変わらない。敵にダメージを与えるのに、自分にもダメージ受けさせるというのは一体どう言う事なのだろう。
そんな一夏の疑問を
「考えてもみろ、対消滅エネルギーだなんて物どこから持ってくるんだ、精製するにしても相当エネルギーを
「あー・・・」
その言葉に
つまりは対消滅エネルギーの精製の為にシールドエネルギーまで使わないと間に合わないのだ。
「大きな力とは常に
(その使い所は・・・ここだぁッ!!!)
雪片弐型が刃の根本からガパリと開き、対消滅エネルギーの刃が形成され、刀のリーチが更に伸びる。
「ッ!?これは・・・!?あぁっ!?」
「いぃぃけぇぇぇ!!!」
シールドエネルギーが消滅を始める。千冬の言った通り自分のシールドエネルギーも消費され減少を始めるが、それは
(この距離なら、外さない!)
ほぼ零距離で発動した零落白夜なら、必ず絶対防御を発動させられる。
「ぐぅッ・・・!」
果たして絶対防御が発生し、ブルーティアーズのシールドエネルギーがとてつもない勢いで減少する。
「こ・・・のッ!」
これ以上接近を続けては
「ぐあぁッ!?」
それは狙いを違わず一夏に着弾し、その身体を引き剥がし、更にライフルでの射撃で
「はいストーップ」
高い攻撃力に驚いた拍子で過剰に反応したセシリアだが、その後ろには小鳥が居た。
制止の声を聞いてからビットの砲口が向くが、剣を構え、その背中に突き付けているその顔は凄まじく誇らしげであった。
「この反応の遅さ・・・やっぱり、お前ビットとライフルでの同時使用は出来ないな?その上、切り替える時に若干のタイムラグが有る」
そう言って
セシリアのISブルーティアーズのビットは計六機、内四つをこれまでセシリアは使って来たが、どの使用タイミングでも同時使用はしてこなかった。
「一回目、試合開始のあの時はライフルを構えたが、引き金を引くことは無く、ビットだけの射撃だった。
二回目、俺の援護を嫌がって行った牽制でも、ビット四機を使っていたが、ライフルは使わなかった。
三回目、俺を罠に
セシリアも一夏もその仮説に耳を傾け清澄する。
それに気付いている小鳥は、仮説の結論を提示した。
「・・・それらから考えられる可能性は一つ。
お前は
「ええ、ですがそれを補う手をもってないとでも?」
小鳥の推測に苦い顔をするが、それでも
小鳥を罠にかけた方法、上下からのクロスファイアもその一つだ。
「あぁ、知ってるさ。
やってみろよ、と
挑発に乗ってセシリアは上下のビットから光線を放つ。小鳥はそれを予測し後退するが、クロスファイアの交点から僅かに離れた程度で、まだ避けたとは言い難い。
ゴウンッと、その口振りとは裏腹に、あっさりと光弾を食らう小鳥。煙が上がり、
「小鳥ッ!」
「口からの
そんな
だが、その失望を裏切る様に、小鳥が
「━━━
剣の
「よお、ご期待通りなんの支障も無く帰って来てやったぜ?」
黒と銀が包むその機体の中で小鳥は不敵に笑い、そんな彼に向かって一夏が疑問を投げ掛ける。
「シールドの無い機体でどうやって・・・!?」
小鳥の機体は中々装甲が厚く見えるが、しかしその身体には
「シールドが無い?どこに目ぇ付けてんだよ、目の前に有るだろうが、おっきいのが」
ほれ、と右手にある物を掲げる。
逆手に持って
「名前が『
笑って二人に見せつける、その笑顔はこれまでに無い程
「さぁーて、いつまでも
目付きの悪い顔が
そして、それを持ち上げた小鳥が
「今度は外さない」
そう呟いた次の瞬間。二振りの時よりも強い一撃が放たれた。
「は・・・?」
ドガァンッ!!と
「ふぅ・・・やっぱり、狙って撃つってのは難しいもんだな」
(ビットを・・・撃墜した!?狙いを着けられないように常に動かしていたと言うのに!)
その上小鳥の射撃センスは、先の
「そらそら!一夏、お前も手伝え!こいつのビット全部落とすぞ!」
「解った!!」
そんなセシリアの衝撃も露知らず、小鳥は一夏と
そうはさせまいとビットでの牽制射撃が降り注ぐが、特殊フィールドを発生させたアイアスを前に
「くッ・・・!
しかし、彼等が素人と言うのならセシリアはその道を長いこと歩いてきたのだ。頭を回し二人に対して対抗策を練る。
(ビットは残り三基・・・!ビットを
ビットの高度を上げ、小鳥では防ぎ切れない角度で一夏を狙う。
(ッ・・・そう来たか)
狙われている当の本人よりも先に気付いた小鳥。
肩に装備されているセンサーからは、動くもの全てを
(零落白夜にシールドエネルギーを使う以上、
先程見た一夏とセシリアのセッションで、一夏が『零落白夜』を使える事、それを発動した瞬間からシールドエネルギーが減少すること、この二つを銀影の目から
シールドエネルギーを消費して振るわれる『零落白夜』が最大の攻め手である以上、一夏が下手に被弾すればセシリアに
かといってこのまま突撃を止めなければビットからの射撃が一夏を襲う。逆に止まってしまえば、セシリアが距離を取って
小鳥自身にブルー・ティアーズを倒せるかと言われると、恐らく可能だろう。だが、一夏と
単純だが、これ
「
一か八か、加速したのだ。
「ちょッ・・・!小鳥!?」
それも一夏を置いてけぼりにする速度で。
「なっ・・・!」
だが、これは思ったよりも効果的らしい。
小鳥のシルエットが大きくなれば、その影に一夏が隠れセシリアから見えなくなる。そうすれば彼女は一夏に狙いを定められなくなる。現に一夏はビットからの攻撃を受けていない。
「
何者も寄せ付けぬ瞬時加速での加速、これはほぼ全てのISに搭載されている機能だ。
大剣を構えて高速で突貫する小鳥は必勝を確信する。
しかし、セシリアの驚いた顔はすぐさま元の
「残念ですが、ティアーズは六基ございましてよ?」
腰部に装備されたビットが起動している、だがそのビットには砲口が無い。
(・・・不味いッ!)
そこから考えれる可能性はただ一つ。誘導ミサイルとしての運用を
直線的なビーム兵器であれば身体一つ分動けば躱せる、だが誘導ミサイルであれば話は別だ。
無論、銀影の機動性であれば回避も
(
だからと言って防御したとしても、もうチャンスは
「ここだあァァッ!!」
「嘘・・・!?」
一夏が小鳥の背後から飛び出したのだ。
驚いて小鳥へのロックを外してしまったセシリアだが、驚いているのは何も彼女だけではない。
「何ィ!?」
小鳥も驚いていた。
それもその筈、今この場に居るのは、一夏をビットから隠す為に
それは作戦ではなく突発的な思い付きだった。実際一夏を置き去りにしたし、追い付かれるなどとは思わなかった。
「うおォォッ!!」
もうこの距離なら
二つの標的を同時に打ち落とせる程セシリアは器用ではない。そもそもそんなことが出来ていたのなら、ここまで追い込まれはしまい。
「くうぅッ!!」
「「もらったァッ!!!!!!」」
加速した一夏と小鳥は速度を保ったまま巨剣と刀で切り
万能ダブルブレード『アイアス』防御形態について
銀影の主武装『アイアス』は、
この状態の『アイアス』は、盾としての機能が使用可能となる。
この機能こそが銀影が第三世代機である
銀影の仕様、『エネルギー拡散フィールド』は質量を除くエネルギーを
その能力値は、戦艦のビーム砲程度なら拡散し防ぎきる程の防御力を誇る。
また、エネルギーを拡散させる性質から、ハイパーセンサーが感知する特殊な周波数のエネルギー波も拡散させる為、対ハイパーセンサー用の短距離ジャマーとしての運用も可能である。