IS/ガンダム00 crossing exceptioners   作:A.Tom

19 / 41





種明(たねあ)かしと挑戦(トライアル) 2/2

「━━━二組の代表が・・・」

 

「え?本当」

 

「うん、なんでも第三アリーナで・・・」

 

 第四アリーナで特訓(とっくん)に来ていた一夏とセシリア。(箒(ほうき)は例によって剣道部(けんどうぶ)に行(い)っている)

 アリーナのピットの入口(いりぐち)に手をかけようとしていた一夏の耳に、遠くから女子の話し声が聞こえた。

 

「二組の代表?鈴(りん)の事か?」

 

 どうやら鈴が隣(となり)のアリーナを使って模擬戦(もぎせん)を行(おこな)っているらしい。

 

「あら、気になりますの?」

 

「ああ、リーグマッチの一回戦の相手(あいて)は鈴だろ?・・・見に行った方が良いのかな?」

 

 鈴とは勝手(かって)知(し)ったる仲(なか)だが、IS乗りとしての鈴を一夏は知らない。

模擬戦をやっているのなら丁度良(ちょうどい)い、鈴がどんな力量(りきりょう)の持(も)ち主(ぬ)なのか、見に行くのも良いだろう。

 小鳥が最近特訓(さいきんとっくん)に付き合わないのも、鈴のISの情報を集めているかららしく。この二週間近く、晩飯以外で放課後(ほうかご)に小鳥の顔を見た覚えがない。

 多分(たぶん)に小鳥も居(い)るだろうが、やはり自分の目で見ておくのも重要だろう。

 

「うーん・・・。セシリアはどうした方が良いと思う?やっぱり、操縦の特訓した方が良いか?」

 

「え!?え~っと。そうですわね・・・。やはり敵情視察(てきじょうしさつ)は必要ですし一夏さんが見に行く必要があると思うのなら見に行くべきですわ」

 

「じゃあ見に行くか」

 

 特訓をやらないのは勿体無(もったいな)いと思うが、ここの所毎日が特訓である。息抜きに人の訓練をみるのも良いかもしれない。

 

 

・・・・・・・・・

 

 

 一夏とセシリアが第三アリーナに着いた時、その模擬戦はこれ以上に無いほど白熱(はくねつ)していた。

鈴は逃げ回る相手を追いかけながら目に見えない砲弾を放ち、アリーナのエネルギーシールドを揺らす。

 

「おわっ、・・・とと。何なんだアレ?」

 

 目に見えぬ砲撃の衝撃で足元を揺さぶられ、足元のおぼつかない一夏がセシリアに問う。

 

「あれは・・・。恐らく“衝撃砲(しょうげきほう)”ですわね」

 

「衝撃砲?」

 

「はい。空間その物に圧力をかけて砲身を生成(せいせい)、余剰(よじょう)で発生する衝撃それ自体(じたい)を砲弾(ほうだん)として撃ち出す。ブルー・ティアーズと同じ第三世代型兵器ですわ」

 

(・・・・・・ごめん、すごい丁寧(ていねい)に説明してもらってるのに何言ってるかさっぱり解らん)

 

 口では『ふーん』と解ったような相(あい)づちを打ってみせるが。専門用語(せんもんようご)・・・ではないにしても、仕組(しく)みだけを丁寧に説明(せつめい)されても全(まった)くと言って良いほど理解できず、首を傾(かし)げる他やることがない。

 と言うより、それよりも気になる事が一(ひと)つ。

 

「・・・・・・って、何で小鳥が戦っているんだ?」

 

 見れば対戦相手はクラス副代表小鳥(おどり) 遊(ゆう)であった。

 

「こらぁ待(ま)ちなさい!人を煽(あお)ったならちゃんと戦いなさい!」

 

「待てって言われて待つ奴(やつ)が居(い)るかよ・・・」

 

 経緯(けいい)は分からないが、怒(いか)り肩(がた)の鈴を見るにどうやら小鳥が煽り立てたようだ。

やれやれと言ったような表情で愚痴(ぐち)を溢(こぼ)す小鳥の片手(かたて)には、合体して一本の大剣となった“アイアス”が握(にぎ)られていた。

 

「なるほど確かに、そうするのがあの人にとっては最適解(さいてきかい)ですわね」

 

「? どう言う事だ?」

 

 問われたセシリアは、真剣(しんけん)な眼差(まなざ)しで戦闘を見ながら、その問いに答える。

 

「銀影には、電子(でんし)、重力(じゅうりょく)、音波(おんぱ)、熱量(ねつりょう)等(など)のエネルギーの指向性(しこうせい)を拡散(かくさん)させるフィールドがあるようです。前にブルー・ティアーズのミサイルを受けた時に無傷(むきず)だったのも、爆発のエネルギーを拡散させたからですわね」

 

「・・・・・・それって、もしかして無敵(むてき)?」

 

 拡散フィールドを常(つね)に展開していれば、どんな武器もいなしてしまえそうな気がするが。

 

「どうでしょう、見たところフィールドの発生器官(はっせいきかん)は大剣状態の“アイアス”だけのようですし。それを除(のぞ)いても弱点が無いと言うのはありえないのでは?」

 

 確かに、千冬姉(ちふゆねえ)から『攻撃系(こうげきけい)最強(さいきょう)』のお墨付(すみつ)きをもらっている零落白夜(れいらくびゃくや)には『シールドエネルギーから優先的(ゆうせんてき)にエネルギーをぶんどる』と言う弱点(じゃくてん)、もとい欠陥(けっかん)がある。

 聞いた限り小鳥のフィールドも同じくらいの力があるようだし、代償(だいしょう)が無いとは思えない。

 

「おっ、反撃(はんげき)に移るみたいだぞ」

 

 そう言う一夏の視線の先には、急激な方向転換(ほうこうてんかん)で鈴に襲(おそ)い掛(か)かる小鳥が居た。

 

 

・・・・・・・・・

 

 

「こらぁ待ちなさい!人を煽(あお)ったならちゃんと戦いなさい!」

 

「待てって言われて待つ奴が居るかよ・・・」

 

 逃げる小鳥を追う鈴音(リンイン)、衝撃砲をバカスカと連射し、自らに詰め寄る鈴音の激昂(げきこう)に呆(あき)れたような声音(こわね)で答える小鳥。

 しかしその一方で、小鳥の心の内では悪巧(わるだく)みが渦巻(うずま)いていた。

 

(とは言え、釣(つ)れた事は釣(つ)れた訳(わけ)だ。後は仕掛(しか)けるタイミングだな)

 

 本当(ほんとう)は数分前から鈴音に対(たい)する策(さく)は考えついていたものの。その策に対して反撃を食らう事態(じたい)を避(さ)ける為(ため)、鈴音が近接戦(きんせつせん)を行(おこな)うまで回避(かいひ)に全力(ぜんりょく)を振(ふ)っていたのだ。

 

「おっと、危ない」

 

 横へスライドするように衝撃砲の砲弾(ほうだん)を躱す。相手を追いかけながらこれ程の射撃精度(しゃげきせいど)とは恐(おそ)れ入る。

 

(ったく・・・。どうしたもんかねぇ)

 

 四合(よんごう)ほど刃(やいば)を交(まじ)えた辺(あた)りでその実力(じつりょく)が己(おのれ)より上だと把握(はあく)していたつもりだが、中々(なかなか)どうして勝ちにくい。

 

「・・・・・・ん?」

 

 ふと、人の多くなって来た観客席(かんきゃくせき)に目をやると、そこに一夏とセシリアが居(い)た。

 

「一夏じゃん、何しに来てんだ?」

 

 二人は今日も特訓に行っている筈(はず)である。

その二人がここに来ている、と言うことはこの模擬戦が結構(けっこう)な噂(うわさ)になっているのだろう。

 まったく、女子の噂と言うのは風のごとく広がる物だ。

と、心の中で一人ごちていると、

 

「・・・・・・?」

 

 衝撃砲が来ない。

先ほどまでバカスカ撃ってきていた鈴音の衝撃砲が止んだ・・・・・・訳ではないが、明らかにその頻度(ひんど)が落ちてきている。

 

「━━━・・・・・・!(ニヤァ」

 

 チャァアンス!

 間違い無い、衝撃砲を撃つ為のエネルギーが残り少ないのだ。

となれば話は早(はや)い、心を落ち着かせ、身体とスラスターの制御に集中する。

 

(スラスター、PIC系統は俺の随意下(ずいいか)に置き、制御(せいぎょ)を半手動(セミマニュアル)で行う!出来ねぇとは言わせねぇぞ!)

 

 バイザーに映(うつ)される情報を整理しつつ、手動(マニュアル)で調整(ちょうせい)を始める。

 

「軌道修正(きどうしゅうせい)、速度同調(そくどどうちょう)、事象予測(じしょうよそく)ヨシ、保護機能(ほごきのう)カット、PIC出力(しゅつりょく)ベクトル巡行(じゅんこう)から全逆転(ぜんぎゃくてん)・・・タイミング、今!」

 

 走り幅跳(はばと)びの着地(ちゃくち)のような姿勢(しせい)で足のスラスターを全力(ぜんりょく)で吹(ふ)かし、ブレーキをかけ、姿勢を反転させる。

 

「んががががががが・・・!」

 

 セシリアのビットを回避したあの時より、遥(はる)かに強いG(ジー)を受け、慣性(かんせい)の圧力に悶(もだ)える。

 

「瞬時加速(イグニッションブースト)ッ!」

 

 しかし、その苦悶(くもん)を乗り越え、大剣を前に突き出して打突を繰り出した。

 

「ッ、嘘でしょ!?」

 

 全速力からの急激(きゅうげき)な180°反転でさえ無茶(むちゃ)な挙動(きょどう)だと言うのに、その上で瞬時加速(イグニッションブースト)を行うと言う無茶の重(かさ)ね塗(ぬ)りである。下手をすれば骨の一つや二つにヒビが入りかねない行為(こうい)だ。

 

「うオオオオ!」

 

「でもね!」

 

 小鳥の無茶な動きに驚いた鈴音ではあるが、反射的(はんしゃてき)に速度を緩(ゆる)め、小鳥に標準(ひょうじゅん)を合わせる。

 確かに、小鳥の予想通(よそうどお)り衝撃砲に使えるエネルギーはの残量(ざんりょう)は僅(わず)かしかないが、それでも全く使えない訳ではなく。最大出力(さいだいしゅつりょく)五発分(ごはつぶん)は残っている。

 

(それくらい対応できなきゃ候補生なんてなれないの、よっ!)

 

 エネルギーは既に装填(そうてん)している。後はそれを解放(かいほう)するだけで、小鳥のシールドエネルギーは底を突くだろう。

 

「喰らえッ!」

 

「・・・・・・!」

 

 放たれた衝撃砲は、一直線に小鳥の銀影へ向かい、炸裂(さくれつ)・・・

 

 

 

「あれ!?」

 

 してない、確かにこのタイミングなら小鳥に着弾する筈なのに。

 

「喰らえやァ!」

 

 勢いそのままに突き出す小鳥。

対処が間に合わず、鈴音はその刃をモロに受け入れるしかない。

 

「ぐぅ・・・!」

 

 絶対防御があると言えども、衝撃を完全に殺す事までは叶わない。鳩尾(みぞおち)に牙突(がとつ)を受け軽くえずき、後退した鈴音は小鳥を睨(にら)む。

 

「アンタ、一体何を・・・!」

 

 信じられなかった、あの衝撃砲は間違いなく直撃コースだった。だと言うのに小鳥には何のダメージも無く、カウンターを食らっているのは鈴音の方だった。

 

「さーて、何をしたんでしょうかねぇ?」

 

 そう言う小鳥の後ろ側、グラウンドの土が二つの地点で舞い上がっていた。

 恐らくは先の衝撃砲がグラウンドに着弾したのだろう。

 

(・・・・・・着弾点が、二(・)つ(・)?)

 

 そこで気付いた。鈴音が放った衝撃砲は一発、着弾点が二つと言うのは可笑(おか)しい。

 

「アンタ、まさか衝撃砲の砲弾を・・・叩(・)き(・)切(・)っ(・)た(・)っ(・)て(・)言(・)う(・)の(・)!?」

 

「へえ、察しが良いな。その通りだ凰(ファン) 鈴音(リンイン)」

 

 小鳥は笑うが、鈴音は信じられないと言った表情を見せる。

衝撃砲は確かに実体弾(じったいだん)ではないが、強力な兵器なのは違いない。よしんば仮(かり)に剣を当てられたとしても、接触(しゅんかん)した瞬間に砲弾は空間圧(くうかんあつ)の歪(ゆが)みにより炸裂(さくれつ)する、両断(りょうだん)など到底(とうてい)考えられない事だ。

 驚愕(きょうがく)に瞳(ひとみ)を揺(ゆ)らす鈴音を前にして小鳥は上機嫌(じょうきげん)だ。

 

「俺の銀影はこれでも第三世代機でなぁ」

 

 誇らしげに大剣を掲げ、笑いながら話し始める小鳥。

 

「単一仕様(ワンオフアビリティー)は『エネルギーの拡散(かくさん)』質量を除くほぼ全てのエネルギーの方向性(ベクトル)を拡散させる能力。つまり、お前の衝撃砲やビーム兵器は俺にとっては格好(かっこう)の餌食(えじき)なんだよ」

 

 右肩(みぎかた)に剣を預(あず)け、得意気に語る小鳥。

 衝撃砲の捌(さば)き方と言うのは、とーっても簡単。

1.まず大剣状態のアイアスを用意します。

 

2.次に衝撃砲の砲弾とアイアスを接触させます。

→ここでワンポイント『相手は必ずこちらを狙って撃ってきますが、失敗した時のダメージは恐れずにアイアスを振るいましょう』

 

3.後はアイアスのエネルギー拡散フィールドが勝手に砲弾を切り裂(さ)いてくれます。

→衝撃砲の炸裂を不安に思うかもしれませんがご安心を。拡散フィールドは自動制御(オートマティック)なら全ての方向へ均一に散(ち)らすので、空間圧縮(くうかんあっしゅく)のバランスを乱すことが無く、お任せでスパッと切れるのです。

 

 

「ま、そんな訳で。こっからは一方的な展開は期待するなよ!」

 

 言うが早いか、大剣を上段に構えた小鳥は、再度(さいど)瞬間加速(イグニッションブースト)で接近(せっきん)する。

両刃(りょうば)の偃月刀(えんげつとう)で防いだ鈴音は、受けた刃とは逆の刃を小鳥に振り下ろす。

小鳥も即座に大剣を横にずらし、偃月刀を受け止める。

偃月刀を受け止められた鈴音は、続けざまに右足の蹴りを繰り出すが、瞬間的にPICをカットした小鳥が下方(かほう)に身を置く事でそれを躱(かわ)す。

 下に転位(てんい)した小鳥に向けて衝撃砲をマシンガンのように連射(れんしゃ)モードで撃(う)ち込(こ)むが、それもまたアイアスに防がれる。

 

「はぁあ!」

 

「無駄だと言ったのが解(わか)んねえのか!」

 

しかし、防御に回って身動きの取れない事を利用し、鈴音は距離を詰め己(おの)が得物(えもの)を振るう。

 

「ちッ!」

 

「あたしの武器は衝撃砲だけじゃ無いってぇ、の!」

 

 甲龍のマニュピレーターが高速回転を始め、捕まれた偃月刀(えんげつとう)もまた高速回転を始める。

小鳥に向けて換気扇(かんきせん)のように回転する刃が迫(せま)る。

モロに受ける訳にはいかない。大剣を振り上げ刃(やいば)と刃(やいば)を重ねるが、刃(は)の形状(けいじょう)と運動(うんどう)の方向性(ほうこうせい)が相(あい)まって、小鳥の剣は上にかち上げられる。

 

「ぐゥっ!」

 

「まだまだ行くわよ!」

 

 繰(く)り返し振り下ろされる高速の刃(やいば)、苦(くる)し紛(まぎ)れに剣を返す小鳥だが、その度(たび)に大剣は弾(はじ)かれ首(くび)の皮一枚(かわいちまい)を繋(つな)げるのが精一杯(せいいっぱい)だ。

弾かれる度に開く距離、得意気な鈴音の表情、苦しさを隠さない小鳥の表情、そのそれぞれが鈴音にとっては好ましく、小鳥にとって好ましくない状況を表していた・・・・・・。

 

 

 

・・・・数分後(すうふんご)・・・・

 

 

 

 

「━━━あのヤロウほぼゼロ距離で衝撃砲バカスカうちよってからに・・・」

 

 戦闘開始から数十分後、ピットに戻った小鳥がいの一番に口にした言葉は、そんな悪態(あくたい)の台詞(せりふ)だった。

一時(いちじ)は鈴音の衝撃砲を攻略せしめた小鳥だが、結局はエネルギーの拡散が出来るのは楯(アイアス)だけだ。それを見抜(みぬ)いた鈴音が小鳥に対し付かず離れずの距離を保ち続け、インファイトを仕掛(しか)けてきたのだ。

 

結局(けっきょく)、結末(けつまつ)としては二振りに戻された双天牙月(そうてんがげつ)によってアイアスが取り上げれられ。後はほぼゼロ距離で衝撃砲を乱射(らんしゃ)され、小鳥の敗北(はいぼく)で決着(けつちゃく)がついた。

お陰様(かげさま)、銀影のアーマーは所々(ところどころ)がヘコみ、小鳥自身(じしん)にも軽い痣(あざ)が散見(さんけん)される。

 

「はぁ、『直す』つっても、タダじゃねえしな・・・」

 

 肩アーマーに目をやり、ため息を吐く小鳥。

奇跡的に『眼』ような光学センサーに被害は無いが、その装甲(そうこう)には少なくないヘコミがあり、戦闘の激しさをもの語(がた)っていた。

小鳥自身、鈴音の、甲龍(シェンロン)のスペックを見定めるにあたって機体ダメージは必要経費(ひつようけいひ)だと思っていたが、この手のヘコミ傷は考えていなかった。

 

「斬(き)られた撃(う)たれたの傷だったら余計(よけい)なの削(けず)って補修材(ほしゅうざい)吹(ふ)きかけりゃ済(す)むがヘコミ傷はなぁ・・・」

 

 斬り傷や弾痕(だんこん)等の傷は装甲の一部が無くなっている為、補修材で傷を埋めても相殺される為、重量やらに違いは出ないが。ヘコミと言うのは質(たち)が悪く、本来の装甲(そうこう)が沈み込んでいる為、補修材で傷を埋めた場合、補修材の重量が丸々プラスされる他。材質的な強度、硬度の差によって受けたダメージが歪(いびつ)に拡散(かくさん)して、最悪パーツが丸々一(まるまるひと)つオシャカになってしまう。

 と、なってくると。ISの自己修復(じこしゅうふく)でヘコミが埋まるのを待つか、ヘコんだパーツを入れ換える必要がある。

 

「・・・パーツ換装(かんそう)は手間(てま)もカネもかかるしなぁ」

 

 小鳥は専用機持ちではあるが、どこかの支援(しえん)を受けている訳ではない。一応(いちおう)は持倉技研(もちくらぎけん)に予備(よび)パーツはあるだろうしIS学園側でいくらか支払ってくれるだろうが、それでも小鳥に何の出費(しゅっぴ)も無いとは考えられない。

その上、手続(てつづ)きの手間(てま)も考えるとパーツの入れ換えは正直(しょうじき)やりたくない。

 

「仕方無(しかたな)い」

 

 そう言った小鳥は、ピットの固定機(ハンガー)に銀影(ぎんえい)を固定(こてい)させると、一人銀影から跳(と)び降り、こう続けた。

 

「作るか、予備パーツ」

 

 肩のセンサーカバーや、スラスターノズルのような精密(せいみつ)なパーツの方は自己修復に任せるとして。腕部アーマーや胸部の可動パーツは自分でも作れる。

面倒臭(めんどうくさ)い事になったと言いたげな声音とは裏腹に、久方ぶりに機械弄(きかいいじ)りが出来(でき)ると晴れやかな表情(ひょうじょう)だった。






  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。