IS/ガンダム00 crossing exceptioners 作:A.Tom
「・・・さて、
精緻を尽くした封蝋が押された手紙を見て、簡潔に感想を述べた後椅子に座り、折り目の部分を破いて本文を取り出す。
『はろはろー、ちーちゃん元気?私はね~、よくわかんないや』
すると束の立体映像が流れ始めた。
手紙を送っておきながら、こんなテクノロジックな物を入れ込むとは、余程のひねくれ者だろう。
相も変わらず、珍妙な事をする奴だ。と、ため息を吐く。
『最近ね~、面白そうな事が起きそうな気がするんだよ~』
と、束の映像がそう言った時、千冬の目付きが僅かながら鋭くなる。
(こいつの『面白い』はまともじゃないからな・・・一体なにが起こる?)
『具体的に言うと~』
大きく溜める束、そこから紡がれるであろう台詞に身構える千冬。
『━━━流れ星が降ってくる予感かな?』
その台詞が千冬に届いた時、外で大きな爆発音が響いた。
「ッ・・・!?」
ガタリ、と椅子をはね飛ばし立ち上がる。
『ちーちゃんなら解ると思うけど、墜ちてきたのはもちろん、隕石なんかじゃない、じゃあ何かって言うのなら、『ISみたいな物』かな?』
「・・・どういう、意味だ・・・!?」
恐らく、目の前に居る束は、録画されたものなのだろう。だが、問わずにはいられなかった。
『さーって見に行ってみなよちーちゃん、きっと面白いから』
当然の様に、ただの立体映像が応えてくれる訳もなく、促されるまま落下して来た物の確認に向かった。
千冬が向かった先、IS実習用のアリーナには、確かに束が言った様な『ISの様なもの』があった。
「・・・これは、IS?乗っているのは・・・男?」
白と灰色、主にロールアウト前に使われるカラーリング、全身を覆う人形の鎧の様な機体。
その
「織斑先生!これは一体!?」
公私共々後輩の教員の一人が問う。
しかし千冬にしてみれば、私に聞くな!!と言いたい所だろうが、そんな事を言ってる場合ではない。
「訓練機を!私が運ぶ、
「は、はい!」
テキパキと指示を飛ばし、一人IS格納庫へ走り出した。
(あの機体は何だ?・・・束が『ISの様な物』と言っていた以上、あれは
そこで
他の教員とすれ違う、どうやら一足遅くやって来たクチらしい、そんな教員に、山田先生の元に向かってくれ、と頼み込み、そのまま走って格納庫にたどり着く。
(何にせよ、本人に聞いてみれば良いだけの話だ)
スーツのズボンにワイシャツというラフな格好のままISに乗り込んだ。
ハンガーにまで運ばれた
「・・・それで、お前は何者なんだ?」
「━━━・・・」
千冬の前でベッドに横たわる少年は、彼女の眼力に
「オレは・・・オレの名前は、
頭に包帯を巻かれてはいる物の、特にこれと言った外傷の無い彼は、己の名を名乗った。
「お前は何者だ?あのISを
これが本題だ。彼の持つISは現在解析中だが、束の発言を真に受けるのであれば、『ISではない』と言う結果が出るだろう。
ISでもないのにあの衝撃に耐えうるアレは何なのか、彼が
「・・・アレは、あの機体は・・・!?」
あの機体について話をしようとした刹那だが、急に頭を抱え
「
「アレは・・・何だ・・・!?何なんだ!?オレはアレを忘れる訳には行かない筈なのに!?
「・・・何だと?」
あり得ては成らない、起きてはいけない事が起きた、そんな
「オレは・・・オレは・・・!!!」
「おい、落ち着け」
心配する千冬の問い掛けに耳を傾ける事もなく、泣きそうな顔で刹那は思いだそうとしている。
「チッ、仕方無い・・・」
絶望に染まった顔で呟く刹那に溜め息を吐き、立ち上がる。
「おい!」
「・・・?」
「フッ!!」
「ガッ・・・!?」
刹那の鳩尾に千冬の拳が突き立つ。
「すまないが、もうしばらく寝てもらうぞ」
耳元でそう告げ、刹那から身を離す。
すると気絶した彼の身体が倒れ千冬の腕に寄り掛かる。
「ふう・・・こうしていれば、眠り姫の様だと言うのにな」
布団を被せて千冬は呟き、立ち上がる。
「あ、織斑先生。彼、まだ寝てたんですか?」
「いや、先程
「そ、そうですか」
やっぱり手荒いなぁ、と報告に来た教員は内心で思いながらも、次に進める。
「え、えーっと。あのISですが、解析不能でした。一応国連の情報バンクからも一致する物が無いか
「そう、か」
そう言って扉に向かい歩く千冬。
「あの、織斑先生、どこに?」
「事態の報告を
その背中はとても頼もしく見えた。
「そんな訳でお前には、新学期からのIS学園への登校が決まった・・・質問は?」
「━━━異存は無い・・・だが、待て。そんな事が許されるのか?」
翌日、救護室で改めて顔を会わせた千冬と刹那は、そんな会話をしていた。
「許されているからこそこの結論が出ている、何か不安な事が有るのか?」
「あぁ、オレはこれから学校生活を送るんだろう。だがオレの過去は
「そこについては問題無い。お前の存在は、あのIS以外は全て真実を公表するつもりだ、お前が記憶喪失だと言う事も伝えて置く」
淡々と対策を述べて行く千冬に、無表情なままの刹那は頷く。
「解った、オレは学園生活に従事すれば良いんだな」
「・・・まぁ、その通りだが・・・。まぁ、解ったならそれで良い。下手に演技をする必要も無いから、存分に楽しむと良い」
「・・・了解した」