IS/ガンダム00 crossing exceptioners   作:A.Tom

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更なる一人

 (かつ)ての世界最強(ブリュンヒルデ)織斑千冬(おりむらちふゆ)は、職員寮の自室で密室投書された手紙を前に苦笑いをしていた。

 「・・・さて、(たばね)の奴、連絡を寄越(よこ)すのはいいんだが、二十四世紀にもなって手紙を使うとはな、前時代にも程があるんじゃないか?」

 精緻を尽くした封蝋が押された手紙を見て、簡潔に感想を述べた後椅子に座り、折り目の部分を破いて本文を取り出す。

『はろはろー、ちーちゃん元気?私はね~、よくわかんないや』

 すると束の立体映像が流れ始めた。

手紙を送っておきながら、こんなテクノロジックな物を入れ込むとは、余程のひねくれ者だろう。

 相も変わらず、珍妙な事をする奴だ。と、ため息を吐く。

『最近ね~、面白そうな事が起きそうな気がするんだよ~』

 と、束の映像がそう言った時、千冬の目付きが僅かながら鋭くなる。

(こいつの『面白い』はまともじゃないからな・・・一体なにが起こる?)

『具体的に言うと~』

 大きく溜める束、そこから紡がれるであろう台詞に身構える千冬。

 

『━━━流れ星が降ってくる予感かな?』

 

 その台詞が千冬に届いた時、外で大きな爆発音が響いた。

「ッ・・・!?」

 ガタリ、と椅子をはね飛ばし立ち上がる。

『ちーちゃんなら解ると思うけど、墜ちてきたのはもちろん、隕石なんかじゃない、じゃあ何かって言うのなら、『ISみたいな物』かな?』

「・・・どういう、意味だ・・・!?」

 恐らく、目の前に居る束は、録画されたものなのだろう。だが、問わずにはいられなかった。

『さーって見に行ってみなよちーちゃん、きっと面白いから』

 当然の様に、ただの立体映像が応えてくれる訳もなく、促されるまま落下して来た物の確認に向かった。

 

 

 

・・・・・・・・・

 

 

 

 千冬が向かった先、IS実習用のアリーナには、確かに束が言った様な『ISの様なもの』があった。

「・・・これは、IS?乗っているのは・・・男?」

 白と灰色、主にロールアウト前に使われるカラーリング、全身を覆う人形の鎧の様な機体。

その人形(ひとがた)の中には13、ないし14歳程の男子が居た。

「織斑先生!これは一体!?」

 公私共々後輩の教員の一人が問う。

しかし千冬にしてみれば、私に聞くな!!と言いたい所だろうが、そんな事を言ってる場合ではない。

「訓練機を!私が運ぶ、ハンガー(格納庫)に向かうから、山田先生はこれの監視を!決して無茶をしないよう!!」

「は、はい!」

 テキパキと指示を飛ばし、一人IS格納庫へ走り出した。

(あの機体は何だ?・・・束が『ISの様な物』と言っていた以上、あれはI()S()()()()()、だが、あれはどうみてもISにしか・・・)

 そこで(かぶり)を振る、そんな事を気にしている場合ではない。

 他の教員とすれ違う、どうやら一足遅くやって来たクチらしい、そんな教員に、山田先生の元に向かってくれ、と頼み込み、そのまま走って格納庫にたどり着く。

(何にせよ、本人に聞いてみれば良いだけの話だ)

 スーツのズボンにワイシャツというラフな格好のままISに乗り込んだ。

 

・・・・・・・・・

 

 ハンガーにまで運ばれた(のち)、意識が回復した少年が運び込まれたのは、保健室もとい救護室だった。

「・・・それで、お前は何者なんだ?」

「━━━・・・」

 千冬の前でベッドに横たわる少年は、彼女の眼力に(おび)える事無く応える。

「オレは・・・オレの名前は、刹那(せつな)・F・聖永(せいえい)だ」

 頭に包帯を巻かれてはいる物の、特にこれと言った外傷の無い彼は、己の名を名乗った。

 何処(どこ)か意識がフワフワとしている様だが、それでも質疑応答が出来るのなら、()したる問題ではない。

「お前は何者だ?あのISを何処(どこ)で手に入れた?」

 これが本題だ。彼の持つISは現在解析中だが、束の発言を真に受けるのであれば、『ISではない』と言う結果が出るだろう。

ISでもないのにあの衝撃に耐えうるアレは何なのか、彼が何処(どこ)の人間なのかを知る為にも、あのISの様な物について知らなければならない。

「・・・アレは、あの機体は・・・!?」

 あの機体について話をしようとした刹那だが、急に頭を抱え苦悶(くもん)の表情を浮かべる。

如何(どう)した」

「アレは・・・何だ・・・!?何なんだ!?オレはアレを忘れる訳には行かない筈なのに!?何故(なぜ)忘れていて・・・何故思い出せない・・・!?」

「・・・何だと?」

 あり得ては成らない、起きてはいけない事が起きた、そんな焦燥(しょうそう)に駆られ、刹那は誰にでもなく只声を()らす。

「オレは・・・オレは・・・!!!」

「おい、落ち着け」

 心配する千冬の問い掛けに耳を傾ける事もなく、泣きそうな顔で刹那は思いだそうとしている。

「チッ、仕方無い・・・」

 絶望に染まった顔で呟く刹那に溜め息を吐き、立ち上がる。

「おい!」

「・・・?」

「フッ!!」

「ガッ・・・!?」

 刹那の鳩尾に千冬の拳が突き立つ。

「すまないが、もうしばらく寝てもらうぞ」

 耳元でそう告げ、刹那から身を離す。

すると気絶した彼の身体が倒れ千冬の腕に寄り掛かる。

「ふう・・・こうしていれば、眠り姫の様だと言うのにな」

 

 

 

・・・・・・・・・

 

 

 

 布団を被せて千冬は呟き、立ち上がる。

「あ、織斑先生。彼、まだ寝てたんですか?」

「いや、先程()()()()。一応聞いてみたではあるが、如何(どう)やら記憶喪失らしい・・・嘘を()いているかどうかは(わか)らんがな」

「そ、そうですか」

 やっぱり手荒いなぁ、と報告に来た教員は内心で思いながらも、次に進める。

「え、えーっと。あのISですが、解析不能でした。一応国連の情報バンクからも一致する物が無いか(さが)してみましたが、こちらも駄目でした」

「そう、か」

 そう言って扉に向かい歩く千冬。

「あの、織斑先生、どこに?」

「事態の報告を()ねて学長に掛け合いに行く・・・まぁ結果は見えているがな」

 その背中はとても頼もしく見えた。

 

 

 

・・・・・・・・・

 

 

 

「そんな訳でお前には、新学期からのIS学園への登校が決まった・・・質問は?」

「━━━異存は無い・・・だが、待て。そんな事が許されるのか?」

 翌日、救護室で改めて顔を会わせた千冬と刹那は、そんな会話をしていた。

「許されているからこそこの結論が出ている、何か不安な事が有るのか?」

「あぁ、オレはこれから学校生活を送るんだろう。だがオレの過去は如何(どう)する、先日から言っているが、オレは記憶喪失だ」

「そこについては問題無い。お前の存在は、あのIS以外は全て真実を公表するつもりだ、お前が記憶喪失だと言う事も伝えて置く」

 淡々と対策を述べて行く千冬に、無表情なままの刹那は頷く。

「解った、オレは学園生活に従事すれば良いんだな」

「・・・まぁ、その通りだが・・・。まぁ、解ったならそれで良い。下手に演技をする必要も無いから、存分に楽しむと良い」

「・・・了解した」

 






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