IS/ガンダム00 crossing exceptioners   作:A.Tom

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何をした!?(What's happening!?) 2/2

・・・正直、止めて欲しい。

 

別に痛む腹はないが、かと言ってこそばゆい程度には構う部分もある。面倒臭(めんどうくさ)さも手伝ってこれ以上情報を取得される事には抵抗を覚えてしまう。

 

「小鳥くんって、多分『良い人』ね」

 

「は?何言ってんだ?」

 

 自分が『悪い人』だと言う気は無いが『良い人』だなどと言われる覚えは無い。

 

「どんな理由でそんな事を言っているのか知らんが、それはどうとも言えんぞ」

 

「いやいや。それは小鳥くんに自覚が無いだけで、本当にそうとは限らないわ」

 

 他人(ひと)にしか解らない事もあるからね。と続け、楯無はまた口を開いた。

 

「さっきだって『返せる物だけ返すから返さない』って言ったけど。それって私を(だま)(つも)りは無いってことでしょう?」

 

「騙す積りが無い・・・と言うよりは、嘘を言った所で意味が無いだけだ。仮に言ったとして、嘘で隠した事実(隠したいモノ)はいずれ(あば)かれる。()()()。特にお前は洞察力(どうさつりょく)が高い。即座(そくざ)に暴かれるくらいなら、言わない方が建設的(けんせつてき)だろう?『沈黙は金だ』と言うしな」

 

 そう言ってドライバーをホルスターに戻し、楯無に向けて皮肉気に笑う。

パーツを取ろうと、その方へ振り返って見てみると、(まゆずみ)が見当たらない。どうやら自分の立ち入る場所が無いと悟り、格納庫(ハンガー)から退出していたらしい。

 とは言え(たの)まれていた仕事はキッチリとこなしていたようだ、床には各部位(かくぶい)()けられた装甲(そうこう)パーツが転がっていた。

 

「で?お前が知りたい事は以上か?なら俺からの質問に答えて貰うぞ」

 

 言って足場の柵に手を掛けると、一足で柵を飛び()え、硬質(こうしつ)の床に勢い良く着地(ちゃくち)する。

 

「構わないけど、おねーさんの秘密は高くつくわよ」

 

「はんッ、その為の対価は(すで)に払った。お前は俺の『IS学園に来た理由』『俺の人柄』少なくとも二つの情報を入手している」

 

 転がっているパーツを手に取り、それを組み合わせながら、自らの論拠(ろんきょ)(しめ)す。

 

等価交換(とうかこうかん)だ、俺は二個以下の情報をお前から取得する権利がある」

 

「なるほど、それなら理屈(りくつ)も通るわね」

 

 ふんふんと(うなづ)いて微笑(ほほえ)んだ楯無は、にこやかな表情をになり質問を(うなが)す。

 

「じゃあ、小鳥くんの質問をどうぞ?」

 

「━━━」

 

 ()(ほど)、それがお前のポーカーフェイスか。俺には出来そうにもない芸当(げいとう)だな。

口に出さず、心の内で独白(どくはく)する。

元より真似(まね)する気は毛頭無(もうとうな)いが、ポーカーフェイスをここまで綺麗に使いこなす奴は初めて見る。

・・・それにしても

 

(本当に高校生なのかコイツ)

 

 小鳥自身、これまでの二十年近い人生で何の波乱(はらん)も無かった訳でも無かったが、それでも無表情(スカーフェイス)を通すのが精一杯(せいいっぱい)である。

 

・・・それはさておき

 

「どうして俺に構う?確かに俺は世界に三人の男性IS乗りだが、だから言って俺に構った所で然程(さほど)旨味(うまみ)はあるまい」

 

「あら、私があなたに一目惚(ひとめぼ)れしてるかも知れないわよ」

 

「一目惚れしてる奴はそんな台詞を吐かん。・・・と、そんな事はどうでも良い。俺の質問に答えろ」

 

 楯無に話のペースを(にぎ)らせてはいけない。再三(さいさん)心に(きざ)んだ文言(もんごん)心中(しんちゅう)(つぶや)き、マイペースを貫く。

 と、釘を刺された楯無は大人しく小鳥の問いかけに応える

 

「小鳥くんに構いに来たのはね。確かめる為よ、小鳥くんがどれ程の人間なのか」

 

 よいしょ、と楯無も足場から跳び降りる。

小鳥の着地とは違い、その足取りは軽く、音は小さい。

 

「ほぉ?上から目線で『査定(さてい)しに来た』とは恐れ入った。で?今の所俺は合格か?」

 

弁舌戦(べんぜつせん)なら及第点(きゅうだいてん)って所かしら。人間性は良い感じだと思うわよ?」

 

 そんな似合わない台詞を言われれば、苦々しい顔を浮かべるしかない。

 

「・・・そりゃどうも。と言うことは俺の査定はまだ終わっていないと言う事で良いんだな」

 

「もちろん」

 

「なら、次は何を図る?」

 

 当たり前のように発せられた問い掛けに、当たり前のように返答が続く。

少しの間の後、楯無が口を開いた。

 

「次は、小鳥くん自身の戦闘力、かな?」

 

「ッ・・・!?」

 

 咄嗟(とっさ)に身を(かが)める。

その直後頭の上を楯無の掌底が飛んだ。

 

「ふッ!」

 

反射的に(つか)んでいたパーツを床に置くと、一息に跳び退く。

悪態を吐きたいところだが、そんな事を言っている暇は無い。

低い姿勢のまま楯無の居る場所を睨むと、目に写るのは眼前に迫る楯無の膝。

 

「くッ!」

 

 必死に首を右に振って顔面への一撃を回避するが左の頬骨(ほおぼね)(かす)め、その勢いで身体全体が格納庫(ハンガー)の硬い床を転がる。

 

「だっ・・・はッ!」

 

 勢いを殺さず、楯無に正体(せいたい)する形で立ち上がる。

相対(あいたい)する楯無は、なんの事も無かったように立っていた。

 

(クソッ・・・!いきなり殴りかかって来やがって・・・!)

 

 『戦闘能力を(はか)る』と言うのは、小鳥自身が狙われる想定の元、襲撃を受けた際の事を考えてるのだろうが・・・。

 

「メチャクチャだな・・・」

 

 剰りに唐突な話の流れに悪態(あくたい)をつきたくなる。

 右手で左の口元(くちもと)(ぬぐ)い、吐き捨てる様に呟く。

 それが聞こえていたのか、開いた扇で口元を隠しながら楯無が笑う。

 

「あら、今頃気付いたの?」

 

「うっせぇ。再確認だっての」

 

 値踏(ねぶ)みどうこうは本当にどうでも良いのだが、一方的(いっぽうてき)()られて黙っていられる程、大人(おとな)しくはない。

ドライバーガンとバッテリーのホルスターを兼ねたベルトを外し、頭のタオルを左手に巻き付けて、両手を握り、臨戦態勢(りんせいんたいせい)に入る。

 

「大人しく一発くらい殴らせろよ?」

 

 右手を前に、左手を脇に溜める。

その構えに何か引っ掛かったのか、楯無が問い掛ける。

 

「ふーん、何か格闘技やってたの?」

 

「それに答える義務は無い」

 

 先の3コンボは不意打ちが起点(きてん)だったが、3手分(てぶん)を受けっぱなしだったのは間違いない。

 楯無に一手取られれば、それは三手取られたのと同じ意味になる。

 

((すき)を作ればそこを突かれる・・・。不用意(ふようい)(しゃべ)る訳には行かんな)

 

 緊張の糸を切らさず、楯無の動向を(うかが)う。

こちらから攻めるような()は犯さない。

『攻撃は最大の防御だ』と世の昔誰かが言ったらしいが、それは敵との力量に開きが無いか、もしくは敵より優位にある場合のみである。

こちらは確かに殴り合いに慣れてはいるが、恐らく楯無の方が格上だろう。

(くわ)えてこのアドバンテージの取り(よう)のないMAPだ。こちらから動けばまず間違いなく先手を取られる。

先述(せんじゅつ)したように楯無の一手は三手に等しい。

そしてふざけた事に1=1×3=3×3=9×3=27×3=81×3=243×・・・と、無限に楯無のターンが続いてしまいかねない。

 

「やる気になったみたいね?さあ、遠慮なく来なさい」

 

「断る」

 

「あらそう」

 

 小鳥が動かない意図を理解した楯無、

とすれば普通は注意しながら攻め掛かって来るだろうが、この破天荒女(はてんこうおんな)なら・・・

 

「じゃあ遠慮(えんりょ)なく♪」

 

(だろうなッ!)

 

 間違い無く、予測を超える動きをしてくるだろう。

案の定、楯無はこちらへ向けて突っ込んで来る。

 

「く・・・ッ」

 

  楯無の左手による三連の牽制(けんせい)を右手で払い、開いたガードを()う様に()り出される右のストレートを返す手で(はた)き落とす。

左足のローキックをジャンプで(かわ)し、右足を振り上げてキックを放ち距離を開けさせる。

 

「思ったよりやるわね」

 

「・・・━━」

 

楯無が何か言っている。もう声は聞こえない。

口は開かない。そんな(いとま)は無い。

握り拳を更に強く握る。息を吐くな。

相手の一挙足(いっきょそく)注視(ちゅうし)する。集中を切らすな。

 

裏返るカクテルは、音の聞こえなくなるのさえ聞こえさせない。

 

(・・・驚いた。極限(きょくげん)まで集中してる・・・“拍子(ひょうし)”の()が見当たらない)

 

 人には呼吸(こきゅう)鼓動(こどう)、様々な生体(せいたい)リズムからなる“拍子”と言うものが存在する。

緊張や集中を常に張り続ける事は難しく、息を吐き出す際にどうしても切れる、もしくは(ゆる)んでしまう。その弛みが訪れる時間間隔を“拍子”と呼ぶのだ

中華拳法の太極拳(たいきょくけん)などは、呼吸法や『型』を用いて“拍子”を制御する事を可能としているが。

しかし、小鳥のそれは制御されているのではなく、()()()()()()()

意図的にか、それとも極限の集中の副産物か。呼吸が止まって拍子が見えなくなってるのだ。

 

(意図的にならとんでもないし、天然だったらもっととんでもないわよ)

 

 だからと言って攻め手を弛める積もりは無い。

何故なら。

 

「ねぇ、小鳥くん。IS学園の生徒会長ってどうやって決められるか知ってる?」

 

「━━━━」

 

 例によって小鳥は答えないが、楯無は続ける。

 

勿論(もちろん)、最終決定は生徒一人一人の民意で決定されるんだけどね?その前段階、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 そう、それは

 

「IS学園の生徒会長は、生徒の長であり、その存在は()()()()()━」

 

 一足飛(いっそくと)びで小鳥の懐に飛び込む楯無。

 

「━とね!」

 

「フン!」

 

 胴に向けて繰り出される掌底(しょうてい)を左手を使って手首から(はじ)き返す。

続けざまに繰り出される右の回し蹴りを(かが)んで(かわ)す、しかし、楯無は勢いを殺さず左足で蹴りを入れる。

 

(掌底(しょうてい)からの回し蹴りによる接続技(せつぞくわざ)・・・!?コイツ、ボクシングスタイルだけじゃなく東洋武術にも心得があるのかッ!)

 

 右腕を蹴りの射線に構え直撃は防ぐものの衝撃は殺せない。その勢いで更に後方に押されてしまう。

だが、先と違い楯無は体勢を立て直す(ひま)すら(あた)えない。

跳び退がった小鳥に一足(ひとあし)で追い付き、跳び回し蹴りを放つ。

 

「グ・・・っ!」

 

 左腕で防ぐが、ガード諸共(もろとも)吹き飛ばされそうな重さに苦悶(くもん)の声が()れる。

右足で踏ん張り、何とか蹴り飛ばされる事は無かったがまだ終わりではない。

 跳び回し蹴りから着地した楯無は回転をそのままに小鳥の足を(はら)う。

右足は踏ん張っていた事が(さいわ)いし転倒(てんとう)(まぬが)れたが、それでも体勢は崩れる。

 しかも楯無の回転はまだ止まらない。

もう一度右の回し蹴りが飛ぶ。

 

「あぁ・・・っ、がァッ!」

 

体勢が崩れた状態では防御が追い着かない。中段蹴(ちゅうだんげ)りを腹に()らい肺の空気が一挙(いっきょ)()ける。

 蹴り飛ばされ床をゴロゴロと転がり、2m程の所で仰向(あおむ)けに停止する。

 

「っ、は!」

 

 空気不足の肺が膨らみ、体内に酸素を取り込む。

しかし、悠長に呼吸をしている暇は無い。

 楯無が顔面に向けて足を振り下ろしているから。

 

「ッ!」

 

 遮二無二(しゃにむに)身体を回して踏み潰す足から逃れ、必死に立ち上がる。

足を振り下ろした楯無は、スカートを押さえて一言。

 

「やぁん、下着見えちゃった?」

 

「ああ、眼福(がんぷく)だったよ」

 

「えっち~」

 

「ミニスカで、そんな事、する奴が悪い」

 

ヒューヒューと切れた荒い息を繰り返す。

それでも軽口を絶やさないのは、本人の才能かあるいは元々の性格からか。

しかし、

 

「それもそうね・・・」

 

 そう言って()()()姿()()()()()

 

(すき)あり♪」

 

(しま・・・ッ)

 

 気付けば、楯無の姿が目と鼻の先、掌底を構えてそこにあった。

 これが、拍子の間を縫う行動。『無拍子』である。

(あわ)てて防御しようと、腕を動かし、

 

「!」

 

 腕が、動かない、

 

(さっきの二撃で・・・ッ!)

 

 (しび)れに近い違和感(いわかん)が走り、両腕が動かなくなっている事に気付く。

 先の蹴り二発をモロに腕で受けてしまった為か、両腕が動かないのだ。

 

(ク、ソ・・・がぁぁああ!)

 

心中で呪詛を叫ぶが、両腕の動きでは最早防げない、この一撃を喰らえば、今度こそ意識を失いかねない。

 

自分一人ではこう言った対処出来ないと言う事実にしたくない。と言うのもあるが、何よりこんな奴に負けたくない

 そんな心象など知らないとばかりに、楯無の(てのひら)が腹に届く

 

(はず)だった

 

「は?」

 

「━?」

 

 確かに、楯無の掌は小鳥の腹に接触し、その力を小鳥の腹部に伝えていた。

ただしその力のほとんどが銀影の胸部装甲に(さえぎ)られていたのを除けばの話だが。

 

「銀影・・・!?呼んでないぞ!!」

 

 展開の命令はおろか、待機状態(スタンバイ)にすらしていなかった銀影の装甲が小鳥の胸部を覆っていた。

銀影の方を見てみると、胸部装甲だけが無くなっていた。

 目の前の楯無の顔を見てみると、さしもの彼女も(おどろ)いているらしい。(がら)にも無く(ほう)けた顔をしている。

 

「・・・ふ、フン!」

 

 動きづらい右腕を無造作に振るい、楯無の肩口辺りに素人の手刀(しゅとう)を叩きつける。

ゴン!と、人間の筋肉由来(きんにくゆらい)(やわ)らかい感触(かんしょく)の奥から(かた)く、(にぶ)い音が手を通して伝わる。

 

「きゃあっ!」

 

「・・・あれ?」

 

 まさか当たるとは思っておらず、今度はこっちが豆鉄砲(まめでっぽう)を喰らったような顔をしてしまう。

その上あまりに軽い感触で楯無が飛んだので、『もしかしてISのパワーアシスト入ってる?』と思ってしまう。(残念ながらヘッドギアが無い為確認のしようも無いが)

 

「だ、大丈夫か楯無!?」

 

 倒れこむ楯無。

バイザーが無いからハイパーセンサーからの情報は無いし、銀影はウンともスンとも言わないので、楯無に直接聞かなければ安否(あんぴ)が解らない。

 胸部の装甲だけはっ()けたまま、急ぎ楯無に歩み()ると、すっくと楯無が自分の手で上体(じょうたい)を起こした。

その表情は先と同じ様に驚きに呆然(ぼうぜん)とした物で、その視線は小鳥の胸の(あた)りに(そそ)がれていた。

 

「・・・何をしたの?」

 

「へ?」

 

 唐突(とうとつ)な問いかけに、思わず間の抜けた返答をしてしまう。

 

「だから、何をしたのって聞いたのよ」

 

「何と言ってもな・・・手刀?」

 

 自分でも的外れな事を言っているのは十分承知(じゅうぶんしょうち)しているが。今、小鳥自身が明瞭(めいりょう)に説明できる行動はそれくらいだ。

 

「そっちじゃなくて、そのアーマーの事よ」

 

 ピッと楯無が()すのは小鳥の胴体、銀影の胸部装甲だ。

その意図(いと)を理解した小鳥は、頭を()きながら答える。

 

「俺にも解らん。楯無の攻撃を防ごうとしてたら、いつの間にかこんなんなってた」

 

 解らない事には素直に『解らない』と答えるしかない。

状況証拠的(じょうきょうしょうこてき)に、銀影がこちらの求めに応じて防御の手段を寄越してくれたらしいが。

 

「聞いたこと無いわこんな事例・・・」

 

「だろうな。俺も聞いた事が無い」

 

 だが、仮説(かせつ)は成り立つ。

 かねてよりISには疑似的な『意識に近い物』が存在していると言われている。

操縦者の個性や特性に応じて内部構造やソフトウェアを少しずつ変形させて行く機能などは、その『意識に近い物』の作用だとされている。

 それが待機状態(スタンバイ)でも機動状態(アクティブ)と同じ様に作動しているのなら、操縦者(小鳥)の求めに応じてISの一部展開(いちぶてんかい)を行ったとしても、何ら可笑(おか)しくはない。

 

(・・・・・・。)

 

・・・・・・それはさて置き。

 

()(かく)。どんな理由であれ、()()がある事に変わりはねぇし、余計な装備があるんじゃまともに戦闘能力の評価も出来まい」

 

 これは楯無に丁度良(ちょうどい)い理由を付けて帰ってもらう(また)と無い好機(こうき)である。多分(たぶん)これを逃せばいつまでも付き(まと)って来かねない。

 

「う~ん・・・」

 

「お前の目的が俺の品定めならもう終わっただろう?さっさと帰れ」

 

 嫌気がさしているのを露骨(ろこつ)に顔に出し、帰るよう(うなが)す。

 

「え~、でも折角来(せっかくき)たんだし。ただ査定(さてい)しましたー、ってドライな事しただけじゃ面白くないでしょ?」

 

「・・・俺はお前と交流(こうりゅう)するのに(たの)しさを求めてない」

 

 えぇ~。とゲンナリした声を上げる楯無。

 さっさと帰れ。と重ねて続ける小鳥。

 声に出してはいないが、そもそも交流したくないとすら思っている。しかし、このままでは天丼(てんどん)延々(えんえん)と付き(まと)われそうだ。

 

「・・・付き纏うんなら、手伝え。お前に付き合ったせいで時間を食ったし、何より両腕が思うように動かん。半分以上はお前のせいなんだから、少しくらい責任を取れ」

 

 ああも戦闘技能が高いのなら、整備課でなく一般科だろう。出来ない事を押し付ければあちらも退()かざるを得ないだろう。

だが、むしろノリノリで楯無はその条件に応じた。

 

「あら、そんなので良いの?」

 

「あ?()()()()だと?お前まさかISの整備も出来んのか?」

 

「ええ、私専用機持ちなんだけど、私が組んだ物だし。もう出来てるアーマーを組み付けるくらいなら私にもできるわよ?」

 

(━━Oh shit・・・)

 

これは(まい)った。これでは整備を理由に楯無を遠ざけられない。

頭を抱えたくなる衝動を抑え、対処(たいしょ)一考(いっこう)する。

 

(・・・まあ、でもいいか)

 

 が、考えてみれば遠ざかるか早く終わるかの二択だ。楯無がどちらを選んだとしても役得(やくとく)である。

正直な(ところ)、楯無とこのままと言うのはかなり面倒な事だが、銀影の補修(ほしゅう)が終わらない事に比べればまだマシだ。

 

「・・・ハァ、解ったよ。銀影の整備が終わるまではお前に構ってやる。だが、その代わりに整備は手伝えよ?」

 

 これからのストレスを考えると溜め息が自然と(こぼ)れるが、楯無がその気なら了承(りょうしょう)しよう。

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

 

━━━━━━ちなみに、恐ろしく(しゃく)な事だが、楯無のお陰で整備は予定よりも早く済んだ。







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