IS/ガンダム00 crossing exceptioners 作:A.Tom
・・・正直、止めて欲しい。
別に痛む腹はないが、かと言ってこそばゆい程度には構う部分もある。
「小鳥くんって、多分『良い人』ね」
「は?何言ってんだ?」
自分が『悪い人』だと言う気は無いが『良い人』だなどと言われる覚えは無い。
「どんな理由でそんな事を言っているのか知らんが、それはどうとも言えんぞ」
「いやいや。それは小鳥くんに自覚が無いだけで、本当にそうとは限らないわ」
「さっきだって『返せる物だけ返すから返さない』って言ったけど。それって私を
「騙す積りが無い・・・と言うよりは、嘘を言った所で意味が無いだけだ。仮に言ったとして、嘘で
そう言ってドライバーをホルスターに戻し、楯無に向けて皮肉気に笑う。
パーツを取ろうと、その方へ振り返って見てみると、
とは言え
「で?お前が知りたい事は以上か?なら俺からの質問に答えて貰うぞ」
言って足場の柵に手を掛けると、一足で柵を飛び
「構わないけど、おねーさんの秘密は高くつくわよ」
「はんッ、その為の対価は
転がっているパーツを手に取り、それを組み合わせながら、自らの
「
「なるほど、それなら
ふんふんと
「じゃあ、小鳥くんの質問をどうぞ?」
「━━━」
口に出さず、心の内で
元より
・・・それにしても
(本当に高校生なのかコイツ)
小鳥自身、これまでの二十年近い人生で何の
・・・それはさておき
「どうして俺に構う?確かに俺は世界に三人の男性IS乗りだが、だから言って俺に構った所で
「あら、私があなたに
「一目惚れしてる奴はそんな台詞を吐かん。・・・と、そんな事はどうでも良い。俺の質問に答えろ」
楯無に話のペースを
と、釘を刺された楯無は大人しく小鳥の問いかけに応える
「小鳥くんに構いに来たのはね。確かめる為よ、小鳥くんがどれ程の人間なのか」
よいしょ、と楯無も足場から跳び降りる。
小鳥の着地とは違い、その足取りは軽く、音は小さい。
「ほぉ?上から目線で『
「
そんな似合わない台詞を言われれば、苦々しい顔を浮かべるしかない。
「・・・そりゃどうも。と言うことは俺の査定はまだ終わっていないと言う事で良いんだな」
「もちろん」
「なら、次は何を図る?」
当たり前のように発せられた問い掛けに、当たり前のように返答が続く。
少しの間の後、楯無が口を開いた。
「次は、小鳥くん自身の戦闘力、かな?」
「ッ・・・!?」
その直後頭の上を楯無の掌底が飛んだ。
「ふッ!」
反射的に
悪態を吐きたいところだが、そんな事を言っている暇は無い。
低い姿勢のまま楯無の居る場所を睨むと、目に写るのは眼前に迫る楯無の膝。
「くッ!」
必死に首を右に振って顔面への一撃を回避するが左の
「だっ・・・はッ!」
勢いを殺さず、楯無に
(クソッ・・・!いきなり殴りかかって来やがって・・・!)
『戦闘能力を
「メチャクチャだな・・・」
剰りに唐突な話の流れに
右手で左の
それが聞こえていたのか、開いた扇で口元を隠しながら楯無が笑う。
「あら、今頃気付いたの?」
「うっせぇ。再確認だっての」
ドライバーガンとバッテリーのホルスターを兼ねたベルトを外し、頭のタオルを左手に巻き付けて、両手を握り、
「大人しく一発くらい殴らせろよ?」
右手を前に、左手を脇に溜める。
その構えに何か引っ掛かったのか、楯無が問い掛ける。
「ふーん、何か格闘技やってたの?」
「それに答える義務は無い」
先の3コンボは不意打ちが
楯無に一手取られれば、それは三手取られたのと同じ意味になる。
(
緊張の糸を切らさず、楯無の動向を
こちらから攻めるような
『攻撃は最大の防御だ』と世の昔誰かが言ったらしいが、それは敵との力量に開きが無いか、もしくは敵より優位にある場合のみである。
こちらは確かに殴り合いに慣れてはいるが、恐らく楯無の方が格上だろう。
そしてふざけた事に1=1×3=3×3=9×3=27×3=81×3=243×・・・と、無限に楯無のターンが続いてしまいかねない。
「やる気になったみたいね?さあ、遠慮なく来なさい」
「断る」
「あらそう」
小鳥が動かない意図を理解した楯無、
とすれば普通は注意しながら攻め掛かって来るだろうが、この
「じゃあ
(だろうなッ!)
間違い無く、予測を超える動きをしてくるだろう。
案の定、楯無はこちらへ向けて突っ込んで来る。
「く・・・ッ」
楯無の左手による三連の
左足のローキックをジャンプで
「思ったよりやるわね」
「・・・━━」
楯無が何か言っている。もう声は聞こえない。
口は開かない。そんな
握り拳を更に強く握る。息を吐くな。
相手の
裏返るカクテルは、音の聞こえなくなるのさえ聞こえさせない。
(・・・驚いた。
人には
緊張や集中を常に張り続ける事は難しく、息を吐き出す際にどうしても切れる、もしくは
中華拳法の
しかし、小鳥のそれは制御されているのではなく、
意図的にか、それとも極限の集中の副産物か。呼吸が止まって拍子が見えなくなってるのだ。
(意図的にならとんでもないし、天然だったらもっととんでもないわよ)
だからと言って攻め手を弛める積もりは無い。
何故なら。
「ねぇ、小鳥くん。IS学園の生徒会長ってどうやって決められるか知ってる?」
「━━━━」
例によって小鳥は答えないが、楯無は続ける。
「
そう、それは
「IS学園の生徒会長は、生徒の長であり、その存在は
「━とね!」
「フン!」
胴に向けて繰り出される
続けざまに繰り出される右の回し蹴りを
(
右腕を蹴りの射線に構え直撃は防ぐものの衝撃は殺せない。その勢いで更に後方に押されてしまう。
だが、先と違い楯無は体勢を立て直す
跳び退がった小鳥に
「グ・・・っ!」
左腕で防ぐが、ガード
右足で踏ん張り、何とか蹴り飛ばされる事は無かったがまだ終わりではない。
跳び回し蹴りから着地した楯無は回転をそのままに小鳥の足を
右足は踏ん張っていた事が
しかも楯無の回転はまだ止まらない。
もう一度右の回し蹴りが飛ぶ。
「あぁ・・・っ、がァッ!」
体勢が崩れた状態では防御が追い着かない。
蹴り飛ばされ床をゴロゴロと転がり、2m程の所で
「っ、は!」
空気不足の肺が膨らみ、体内に酸素を取り込む。
しかし、悠長に呼吸をしている暇は無い。
楯無が顔面に向けて足を振り下ろしているから。
「ッ!」
足を振り下ろした楯無は、スカートを押さえて一言。
「やぁん、下着見えちゃった?」
「ああ、
「えっち~」
「ミニスカで、そんな事、する奴が悪い」
ヒューヒューと切れた荒い息を繰り返す。
それでも軽口を絶やさないのは、本人の才能かあるいは元々の性格からか。
しかし、
「それもそうね・・・」
そう言って
「
(しま・・・ッ)
気付けば、楯無の姿が目と鼻の先、掌底を構えてそこにあった。
これが、拍子の間を縫う行動。『無拍子』である。
「!」
腕が、動かない、
(さっきの二撃で・・・ッ!)
先の蹴り二発をモロに腕で受けてしまった為か、両腕が動かないのだ。
(ク、ソ・・・がぁぁああ!)
心中で呪詛を叫ぶが、両腕の動きでは最早防げない、この一撃を喰らえば、今度こそ意識を失いかねない。
自分一人ではこう言った対処出来ないと言う事実にしたくない。と言うのもあるが、何よりこんな奴に負けたくない。
そんな心象など知らないとばかりに、楯無の
━
「は?」
「━?」
確かに、楯無の掌は小鳥の腹に接触し、その力を小鳥の腹部に伝えていた。
ただしその力のほとんどが銀影の胸部装甲に
「銀影・・・!?呼んでないぞ!!」
展開の命令はおろか、
銀影の方を見てみると、胸部装甲だけが無くなっていた。
目の前の楯無の顔を見てみると、さしもの彼女も
「・・・ふ、フン!」
動きづらい右腕を無造作に振るい、楯無の肩口辺りに素人の
ゴン!と、人間の
「きゃあっ!」
「・・・あれ?」
まさか当たるとは思っておらず、今度はこっちが
その上あまりに軽い感触で楯無が飛んだので、『もしかしてISのパワーアシスト入ってる?』と思ってしまう。(残念ながらヘッドギアが無い為確認のしようも無いが)
「だ、大丈夫か楯無!?」
倒れこむ楯無。
バイザーが無いからハイパーセンサーからの情報は無いし、銀影はウンともスンとも言わないので、楯無に直接聞かなければ
胸部の装甲だけはっ
その表情は先と同じ様に驚きに
「・・・何をしたの?」
「へ?」
「だから、何をしたのって聞いたのよ」
「何と言ってもな・・・手刀?」
自分でも的外れな事を言っているのは
「そっちじゃなくて、そのアーマーの事よ」
ピッと楯無が
その
「俺にも解らん。楯無の攻撃を防ごうとしてたら、いつの間にかこんなんなってた」
解らない事には素直に『解らない』と答えるしかない。
「聞いたこと無いわこんな事例・・・」
「だろうな。俺も聞いた事が無い」
だが、
かねてよりISには疑似的な『意識に近い物』が存在していると言われている。
操縦者の個性や特性に応じて内部構造やソフトウェアを少しずつ変形させて行く機能などは、その『意識に近い物』の作用だとされている。
それが
(・・・・・・。)
・・・・・・それはさて置き。
「
これは楯無に
「う~ん・・・」
「お前の目的が俺の品定めならもう終わっただろう?さっさと帰れ」
嫌気がさしているのを
「え~、でも
「・・・俺はお前と
えぇ~。とゲンナリした声を上げる楯無。
さっさと帰れ。と重ねて続ける小鳥。
声に出してはいないが、そもそも交流したくないとすら思っている。しかし、このままでは
「・・・付き纏うんなら、手伝え。お前に付き合ったせいで時間を食ったし、何より両腕が思うように動かん。半分以上はお前のせいなんだから、少しくらい責任を取れ」
ああも戦闘技能が高いのなら、整備課でなく一般科だろう。出来ない事を押し付ければあちらも
だが、むしろノリノリで楯無はその条件に応じた。
「あら、そんなので良いの?」
「あ?
「ええ、私専用機持ちなんだけど、私が組んだ物だし。もう出来てるアーマーを組み付けるくらいなら私にもできるわよ?」
(━━Oh shit・・・)
これは
頭を抱えたくなる衝動を抑え、
(・・・まあ、でもいいか)
が、考えてみれば遠ざかるか早く終わるかの二択だ。楯無がどちらを選んだとしても
正直な
「・・・ハァ、解ったよ。銀影の整備が終わるまではお前に構ってやる。だが、その代わりに整備は手伝えよ?」
これからのストレスを考えると溜め息が自然と
━━━━━━ちなみに、恐ろしく