「くッ・・・!」
地を這い顔面を狙う狂刃を上体を反らして躱す。
右の剣を上方へ振って斬りつけるが、逆関節ならではの敏捷性で無人機は頭の上を通り過ぎる。
続け様にもう1機の無人機が前方からさらに爪を振り下ろす。振り上げた右の剣を更に構えて爪を受け止めて、左の剣を突き出す。
しかし、無人機は総身を捩ってそれを躱しきり頭上を取ると、スラスターを吹かして爪を地へ振り下ろす。
それを前方へ飛び込む事で潜り抜け、素早く身を翻して無人機を正面に見据える。
視界の中には無人機が1機。もう1機は目の前の奴で隠れている様だ。
直後、目前の無人機が左方向へ跳んだ。
「ちィ!」
遅れて俺も上に飛ぶ。もう1機の影に隠れていた1機がビームを乱射したのだ。
大きなバク宙でビル間を跨いで回避しつつ、空中で〝アイアス〟を合体させ一つの巨剣となす。
短距離用のビームマシンガンは10m前後で霧消する。それならばこの程度の距離で十分だ。
射程外に逃げ延び隣のビルに着地すると同時に、大剣を左へ大上段で振り下ろす。
その剣は着地の瞬間を狙っていた無人機の左腕にクリーンヒットし、エネルギーシールドごと腕部装甲を斬り裂いた。
「シールドバリヤーの破壊は白式だけの特権じゃねえぜ!!」
アイアスのエネルギー拡散フィールドは、質量以外であればほぼ全てのエネルギーに作用し、エネルギーの疎を作り上げる。
シールドバリヤーのそれでさえ例外ではない。
用は強制的にシールドバリヤーを押し退け、直接的に相手の装甲を斬り裂けると言う訳だ。
実を言うと鈴音の時に本気でやればあのまま鈴音の胴体を真っ二つにしかねなかったので、打突の瞬間にフィールドを切っていたりしていた訳で。
だが今は状況が違う。真っ二つにしても問題はまるで無い。
そもそも手加減してやる義理も無いし、あった所で無人機相手に手加減してやるつもりはさらさら無い。
一歩引き下がった無人機に対して、更に距離を詰める。
無人機はこちらが詰め寄るのを確認すると、逆関節を活かし瞬時にブレーキをかけると同時に、腰を捻って右の爪を繰り出して来た。
だが、銀影の目を前にその動きは遅すぎる。
急停止が原因で無人機との距離が急激に縮まった今、身の丈程あるアイアスを振り抜ける時間は無い、だがそれは無人機がブレーキをかけた時点で織り込み済みだ。
頭を狙った突きを身を屈めて躱して、慣性のままに無人機の胴体に肩をぶつける。
肩の〝眼〟が光学情報を鮮明に捉え、銀影が高精度の事象予測を行い、それを元に俺自身が行動を決定する。
今はその事象予測に対して反射的に行動を起こしているだけだが、いずれはリアルタイムでその予測に合わせた戦術を組む事さえ出来る様になるだろう。
『へぇ・・・?前より上手くなってるじゃない。コソ練した?」
「うっせぇ、集中出来ん」
頭に響く銀影の声を黙らせて背後から斬りかかる無人機を跳び上がって躱す。
円花をぶん投げた後、どう言う訳だか知らないが無人機は遠距離戦を仕掛けて来ず、2機での連携攻撃で攻めて来た。
こちらにとっては好都合なのだが、それでも手強い。これで無人機のOSが連携専門に調整されていたらどうなっていた事やら。
今のところ拮抗はしているが、それも集中が切れれば脆く崩れ去るだろう。
ただ、集中力にも限界は存在するし、二対一の数的不利は変わらない。
「せめて前回みたく一人でも応援が来てくれりゃ良いんだがな」
空中で呟き、軽い足取りで着地する。
騒ぎに気づいた通行人が通報するか、円花がIS学園に到着して事態を知らせるか。どちらにせよ増援がやって来るまで時間が掛かるのは間違いない。
「フン!」
切り込んで来た無人機の爪をアイアスで受け止めて、弾かれる形で距離を取る。
後退しつつライフルモードのアイアスでもう1機の無人機を狙い、ビームを撃ち続ける。
命中数は少ないが、それでも牽制としての意味合いはあった、一方の動きが止まる。
先にこちらに襲い掛かって来た方はこちらに飛びかかって来る。一旦射撃を止めてその爪を防ぐ。
水平に構えた状態でそのまま受け切り、
「オラァッ!」
片手に持ち換えて左手で相手で殴り付ける。
その左手は無人機の左手で防がれる。それは想定していた、腕部のビームバルカンを発射して───
バガァアアアンッ!!!
目の前が爆発した。
「ガッ・・・!?」
受け止めた左手のビームマシンガンでこちらの拳を諸共に吹き飛ばしたのだ。
(自分の左手を犠牲にして・・・!?クソッ!前の奴より成長していやがる・・・!)
自動制御で躊躇いが無いとは言え、その行動の速さは想定を超えていた。
「・・・!クソ!」
アイアスを引き剥がそうにも無人機に抑え込まれ、すぐには離れられない。
─── 後ろから迫る無人機。このタイミングは躱せない!
「づぅ・・・ッ!」
背面に爪が直撃する。
シールドバリヤーである程度の衝撃を殺せるとは言え、モロに喰らったのは痛い、エネルギーをかなり削られた。
拘っていても仕方が無いとアイアスを手放し、追撃を警戒して跳び退って今の銀影の状態を確認する。
(左腕部マニュピレータはエネルギーパスがオシャカ、バルカンも半壊、無理して連射すりゃこっちも壊れるだろうな)
幸い指そのものに損傷は無く、正常に動作してくれる。
『ヘタクソ』
「悪かったって・・・」
これには銀影も酷評である。
完全に油断していた。アイアスは手放してしまったし本体装備は半分持ってかれている。これを油断と言わずしてなんと言う。
ガラン!とアイアスが地面に転がる音がしてその方を見ると、無人機2機がこちらに歩を進めていた。
こっちの武器は右のバルカンとビームサーベル2本(左腕が壊れているので1本みたいなものだが)。
・・・後は銀影本体の装甲くらいか、
『止めて、痛くはないけど装甲削られるの嫌なの!』
「・・・あいよ」
注文の多いISである。
口では了承するが、まともな武器が殆ど無い状況でまともな戦闘等出来る訳が無い。
取り敢えず一応の武器である腰部のビームサーベルに手を延ばすが・・・。
「ッ・・・!やっぱそう来るよな!」
武器を取ると認識したか、無人機の1機が瞬間加速を使ってこちらに接近し突きを繰り出す。
間一髪身体を捻ってそれを躱す、目の前を通り過ぎる鋭い刃に胆を冷すが、まだ危険が終わった訳ではない。
手刀を突き出した無人機の首が、僅かな時間の中でこちらを向いた。
一瞬、ISの中に収まった機械と眼が合った奇妙な錯覚を覚えるが、そんな事を気にしている余裕は無い。
「ッラァ!」
後ろから襲い掛かるもう1機に向けて左足で変形の横蹴りをかます。
全力で蹴り飛ばした無人機は後方へ退がってこちらへ掌を向けた。
「─── チッ」
最初にこちらへ突きを仕掛けた無人機は右手だけで俺の左肩を掴んでいた。
軽いデジャヴを感じるが、茶化している場合でもない。このまま身動きを取れなければビーム砲の必中は不可避である。
「同じ手は喰わねえよッ!」
左手は使えないが何も左腕が使えない訳ではない。
乱雑に左手を振り上げて無人機の腕を弾き、右手で弾いた腕を掴んで引っ張り、無理矢理前後を入れ換え無人機の体を盾にして、
掌を向けていた無人機が幾条もの光線で撃ち抜かれた。
「は・・・?」
余りにもいきなり過ぎる展開に、無人機の腕を掴む手が緩む。
突然の展開に呆けている俺を他所目に、俺の正面で対峙している無人機が更に4本のビームに晒された。
一瞬唖然としていたが、目前の衝撃波に意識を戻さずにはいられなかった。
ビームによって吹き飛ばされた無人機を視界に収めつつ、現状把握に努める。
(応援・・・!?でもIS学園で遠距離系のビーム兵器を保有しているのは〝ブルーティアーズ〟だけの筈、だが)
それにしては剰りにも早すぎる。
一般人に見られて騒ぎになったのほんの2、3分前だ。最速で通報があったとしても、精々今頃出撃準備をしている程度の話だろう。
無人機を攻撃した何者かを、ハイパーセンサーの感知を頼りに辿る。
そして、千冬と瓜二つの少女を見た。
「な、円花ぁ!?」
柄にも無く素っ頓狂な声を上げてしまうのは、それ程までに衝撃的な絵面だったからだ。
ハイレグのISスーツ、蝶の羽の様なカスタム・ウィング、右手に持つロングレンジライフル、何より目を惹く彼女の従えている複数のビット。IS『サイレントゼフィルス』を纏う織斑円花の姿があった。
何故ここに・・・と思ったのだが、それもそうだ。数分前に円花をビルから投げたのは俺自身だった。
多分にアレが原因で操縦者保護機能だけでなくIS全体の機能が開帳されてしまったのだろう。そうして展開したISを用いて俺が戦っている所までトンボ帰りして来た・・・そんな所か。
と、円花の経緯を推測していると、銀影が鼻で笑う様に、
『あら、増援来たじゃない』
「お前本気で言ってる?」
確かに増援を欲しがっていたが、円花は来て欲しくなかった。 と言うか護衛対象がノコノコとやって来るなどあり得てはならない事態である。
『それでも増援に代わりは無いでしょ』
「それもそうだがな・・・」
確かに銀影の言う通り、護衛対象だろうと何だろうと数は数である、見てくれから考えても円花が装着しているISが遠距離からの援護向けの機体だろうし、戦術を立てるには申し分無い。
「ったく・・・」
右のマニュピレータで頭を掻いて、状況を分析する。
(俺の戦力、敵戦力は依然変わらず。ただし、円花が加わった事で俺の陣営はある程度マシになった)
今の射撃から考えて見ても、止まっている物に当てるくらいは出来るらしい。
(流石にズブの素人だろうし、セシリア並みを求めるのは酷だろうな)
ビットは単純な数を揃えられる兵装だ。その練度一つで戦術の幅は大きく広がるだろう。
・・・それはさて置き、
「何で来たんだ円花」
オープンチャンネルで円花に呼びかける。
理由は分かっているが、体裁上は聞いて置かなければならないだろう。後々千冬に何言われるか分かったもんじゃ無いから。
『助けられてその言い草ですか!?』
それに対して円花も返してくる。IS初心者の筈だろうに良く淀み無く答えられるものだ。
と、そんな事に感心している場合ではない。
「うっせぇ。確かに助けられたが、奴らの狙いがお前の可能性が高い以上お前にここに居てもらっちゃ困るんだよ」
『じゃあそのままやられてて良いんですか!?』
「良い良くないの問題じゃないんだよ」
批判に批判を返すのはマナー違反な気もしなくないが、状況が状況である。水掛け論を回避する為話題を転換する。
「ああ・・・もう良い、そうやってISを着けて来たからには手伝ってもらうぞ」
気乗りはしないがかと言って円花に帰れと言って事態が好転する訳でもなし、そもそも言う事を聞くかさえも定かではない。
「そうこなくっちゃ!」
まぁ、こうやってノリノリな時点でそう言う事なんだろうが。
無人機も突然の乱入に戸惑っているらしい、こちらを注視してはいるが、動けないでいる。
これは好機だ。
右手でビームサーベルを引き抜き、頭上の円花に指示を飛ばす。
「取り敢えず、俺が相手をしてない奴に対して撃ちまくれ!俺が突っ込む!」
「了解です!」
そう言って片腕を損傷した無人機へ突撃する。無人機もそれに腕を構えるが、
「フンッ!」
あえて剣は振らずに、その胴体に直接前蹴りを叩きつける。
無人機は腕を下ろしてその蹴りを防ぐが、大きく後退する。
そのまま更に接近し、内向きにビームサーベルを振り抜く。
ビームサーベルはビームと言う特性上、質量が極端に少なく、クリーンヒットした所で相手を弾き飛ばす事は無い。しかし、この状況ではその方が好ましい。
「円花頼むッ!」
「はい!」
指示に従い、円花がもう一体の方にビットでの迫撃を仕掛ける。
後方の無人機の動きが止まると同時にビルの屋上が貫かれ、1m近い穴が穿たれる。
建造物に穴だらけにしてしまうのは申し訳無いがそんな事も言ってられないので、直下に誰も居ない事を祈るだけ祈ってインファイトを続ける。
内向きに振り抜いて脇の下に来たビームサーベルをそのまま垂直に振り上げ、無人機の腕を斬りつける。
その一撃は確かに当たったが、無人機は大振りな一撃の隙にカウンターを仕掛ける。
確かに小鳥の胸を突く筈の手刀は小鳥自身の左脚が蹴り飛ばす。
構えをすっ飛ばした前蹴りはダメージにもならない。だが防御としては申し分無かった。
「んのォラッ!!」
無理矢理右足で跳躍、胴回し蹴りの容量で右の踵を無人機の顔面に叩き込む。
着地と同時に、円花が足止めしている後方の無人機へと飛び込んだ。
「ちょっ!?」
しかしそこは弾幕の嵐、円花は誤射を恐れて素早くビットの掃射を止めてくれる。
「ナイスだ!」
止んだビームの雨を潜り抜け、無人機の腹に飛び蹴りをかます。
直前まで防御に使われていた両腕をすり抜けて腹に突き立った脚を更に脹脛のスラスターで更に加速させるが、無人機はその加速にも耐え、小鳥の動きを止めた。
「のォラッ!」
一旦スラスターによる加速を止めて重力に従い上体が地面に近付くのを感知すると同時、両手を地面につけ、倒立の要領で相手の両腕を弾く。
無人機は弾かれた腕を俊敏に振り下ろして俺の腹を裂こうとするが、スラスターを吹かして前方に振り下ろした足がそれよりも先に首の付け根に突き立つ。
無人機は思いがけないカウンターを食らってやや後退する、その間に姿勢を戻し両足で立つ。
と、銀影が頭の中で俺に情報を伝える。
『サイレントゼフィルスの武装、大体解ったわよ』
「サンキュ、インストールで構わん、開示を」
『はいはい』
言うが早いか脳内に存在しない筈の〝サイレントゼフィルス〟の武装類、スペックの類が意識に溢れ出した。
膨大な情報量に軽い目眩を覚え、顔を顰めながらも、しっかりその情報を参照する。
(っ・・・コイツは普通に凄いな)
ブルーティアーズの稼働データがある程度反映されているとは言え、思ったより全体のスペックが高い。
ティアーズに比べ総合火力は低いが、その変わりビットの変形として〝エネルギーアンブレラ〟なる遠隔防御兵装が装備されており、防御力が高く、更に機動力はティアーズのそれに比べ20%向上している。
特に眼を惹いたのは、スターブレイカー〟の名を持った携行遠距離兵装。
カタログスペック上では大出力BTビームライフルとしての使用が可能であり、その最大出力は衝撃砲のそれに匹敵する。火力として直した場合、学園にある全てのISのそれを凌駕しかねない。
(コイツは使えるか?)
本人は右手に持ったままビットの操作に集中しているが、ビットよりはるかに右手の武器を使った方が効化的なようだ。
円花は素人だろうが、それでも止まっている物に当てられない訳じゃない。こちらで動きを止めてしまえばそれも使い用はある。
「円花!右手の兵装使えそうか!?」
個人回線が戦闘中に使える程器用でもないので共有回線で円花に問いかける。
『使えると思うけど、当てる自信は無いかな!』
円花の返答を聞きながら正面の無人機が振り下ろす爪を躱す。
状況を鑑みるに、この状況に終止符を打てるとしたらあの武装くらいだろう。
右に左に振り下ろされる爪を、左へ右へと身を動かして躱し続けながら、円花の方を見遣る。
(どうも、無人機が円花に応戦しないのが気になるな)
先程から見ていても、無人機は俺に対しては盛んに攻撃を繰り返しているが、円花相手には防御や回避しかしていない。
・・・いや、そんな事を気にしている場合でもないだろう。
一旦距離を取って銀影に確認を取る。
「銀影!周囲の生体反応は!?」
『もう騒ぎになって、みんな逃げてる。少なくともこの一区画に生体反応は無いわよ!』
距離を詰めた無人機の右の手刀を左手で逸らしてそのまま腕の腹で無人機の胸を撃つ。
周囲に人が居ない事を確認して、円花に言葉を投げる。
「円花!俺が合図を出すから、ライフルを全力で射て!」
『今じゃダメ!?』
「構わんが焦って期を逃した時の責任はお前が取れよ!?」
『うっ、』
脅し文句を言われて押し黙る円花。どうあれ指示には従ってくれるようだ。
ビームサーベルを突き出す。無人機はスレスレでそれを躱すとこちらの顔を掻き切ろうとする。
バックステップで爪を避けて距離を取るが、無人機は更に距離を詰めて来る。
「よッ!」
円花の弾幕で出来た頭大のコンクリートを無人機の顔に目掛けて蹴りとばす。
瓦礫の速度はだいたい時速20km、それ自体の速度はISにとって脅威となり得る物ではないが、対する無人機は約時速40kmでこちらに突っ込んできている、つまり、相対的に60km相当の速度が出ている事になるだろう。
無人機は反射的に右手で石を弾く。
瞬間的に視界から外れた隙に、こちらから距離を詰める。
両腕が自由になった無人機が胴に向かって手刀を繰り出すが、
「ふッ!」
その動きを見切って左回りに躱し、無人機の背中を取る。
無人機はその動きに対応して右の爪を突き出してくる。
だがやはりその動きは銀影の『眼』には遅く、右足だけの跳躍で易々と躱せる。
(右脚部スラスター出力最大!)
スラスターを吹かした右足の胴回し蹴りを無人機の顔面めがけて放つ。
さらに、
「瞬時加速ッ!!!」
右足だけでの瞬時加速で勢いをつける。
「ぬ゛ッぁあああ!」
その蹴りを無人機に叩き込んだ瞬間、ISのアーマーの境目に強烈な鈍い痛みが走るが、そんな事はお構い無しにその足を振り抜いた。
「ブッ飛べぇええ!」
みしり、と、脚からそんな音が聞こえた気がした。
全身全霊で放った一撃は、思惑通りに無人機を弾き飛ばす。
蹴り飛ばされた無人機は、円花の抑えていた無人機に激突した。
条件は揃った!
上手く着地が出来ず、不恰好にビルの屋上に倒れ込むが、すぐさま上体を跳ね上げて円花に叫ぶ。
「今だ!」
「待ってました!!!」
意気揚々に返す円花。同時に右手の得物の砲身が3つにばかりと開いた。
「スターブレイカー最大出力、放射!!!」
その台詞と共に、スターブレイカーの砲口から途轍もない勢いで放出された。
照射系ビームの奔流は光柱と見紛う程強く、無人機を2機共々その渦中に呑み込む。
剰りの威力に小鳥も息を飲みつつ、一つの懸念を心中で呟く。
(って、この威力まさか制限かかってないのか!?)
学園のISには、パイロットの暴走を止められるよう制限がかけられている。
ところがスペックの最大値はリミッターがかけられていようともそうでなくとも変わらない。
ティアーズと同じ感覚で威力を考えていた小鳥の予想に対し、実際のスターブレイカーの威力が乖離していたのだ。
それはある意味では嬉しい誤算でもあったが。
「流石にやったでしょ・・・!」
円花、それはやってないフラグだ。
言葉にはしないが、それでも注意深く無人機を睨んだ。