IS/ガンダム00 crossing exceptioners 作:A.Tom
スターブレイカーの一撃、二人の敵を巻き込んだ光柱は、
「
自分のやった事に軽く恐怖を覚えながらも、必殺の感覚に笑みを浮かべる。
天井が崩れ落ち、最早屋内である事さえ定かでないビルの屋内を
だが、そこで見たのは自分の感覚を裏切る物だった。
「うそ・・・まだ動くの・・・!?」
あれだけの威力の攻撃であれば、普通はどんなISでも動けなくなる。細かい事はよくわからないけれどこのISがそんな確信があった。
だというにも関わらず、目の前のISは動いている。
どうして、と思ったが、その答えはすぐ目の前にあった。
陽炎と
その装甲は黒焦げで、一部は溶けかかってすらいる。
「まさか、仲間を盾にしたっていうの!?」
信じられない、仲間を盾にして自分だけでも生き残るだなんて。
確かに、IS一機分のシールドバリヤーがあれば、あの一撃は避けられた。
だが、そんな行為はまともな人間なら思いついたとしてもやろうとはしないだろう。
敵はただこちらを見ているだけだが、円花の切れかけの
「アンタ・・・今何をしたの?」
『──────』
敵は答えない。
「何をしたか分かっているの!?」
『──────』
何も言わない敵の存在が、怒りを
「良いわ、そんなに死にたいんだったらお望み通り消してあげる・・・!!」
「!?」
だがその直後、ISの
反射的に敵が切っ先を
「な・・・に・・・?」
と、状況を掴みきれていない円花に、敵の背後から聞いた事のある声が響いた。
「いい加減・・・
低く、よく通る声。
小鳥遊が
引き抜かれる事も無く振り上げられたアイアスは敵の腹から首へと移動し、上半身を
ガリガリという音が近づくのに気付いて、ビルの屋上に降り立ち恐る恐る小鳥に
「お、小鳥・・・さん?あなた、今、何を、」
「トドメを刺した・・・あぁ、安心しろ、コイツは無人機だ」
そう言って先程背中を刺し貫いたISの腕を持ち上げる。
言われて見れば、確かにその断面は機械で埋め尽くされ、
思わず
「び、ビックリした・・・。殺したのかと」
「
肩を
オレンジのバイザー越しに見る目はどことなく
どうかしたの、と声をかけようとした時、小鳥が先んじて言葉を投げた。
「それで、お前は大丈夫か?」
「え?あ、ああ!はい!どこも痛く無いです」
「ISに乗ってて違和感とかは無いか?」
「それも・・・問題無いです」
特に異常は無いと思う。むしろこの機体は調子が良く、なんなら中学の実習で乗った機体よりもずっとフィット感がする。
「って、何この格好!?」
服がどこかに消えて、代わりに競泳水着の様なハイレグのISを
それに気付いた円花は、顔を真っ赤にしてしゃがみこむ。
「い、いやっそ、その、これは」
「解ってるよ、
「ソレとコレとは話が別!・・・その、こう言う服は初めてで・・・」
そう言って真っ赤な顔を
やれやれ、学園の女子連中もこれくらい
最近は改善されてきたようだが、ほんの一ヶ月前まで下着にパーカーと言う
何と言うかあそこまで恥じらいが無いと、この世の
・・・気を取り直して。
「まぁ兎に角異常が無いのなら何だって良い。千冬先生の妹に何かあったら事だからな」
主に
と、皮肉った笑顔で円花に告げると、急に彼女の顔が怒りに曇った。
「・・・やっぱりそうだよね」
「あん?」
「何でも無いです。聞き流して下さい」
「お、おう」
何かは分からないが、急に円花の機嫌が悪くなっている。
何か機嫌をそこねる事をした覚えは無いのだが・・・
・・・気にしてる場合でもないか。IS学園に連絡して事後処理をしてもらうとしよう。
円花に背を向けて銀影の耳当て部分に触れたその時、円花が声を上げた。
「きゃあっ!?」
「っ、どうした!」
振り返って見ると、円花の体を覆っていたサイレントゼフィルスの装甲がドロドロに溶けていた。
慌てて駆け寄り、銀影の肩の『眼』からある程度の情報を確認して
「ああ何だ、
どうやらサイレントゼフィルスの
「えっと、これ大丈夫なんですか!?」
「ああ大丈夫だ・・・・・・多分」
「おーい!?」
「問題ねえよ、一夏もそれを経験してる。変な事しなけりゃ変な事にはならん」
軽く冗談を飛ばしながら、その様を眺める。
実際自分の目前で
と、円花が胸元を隠し、慌てた様子で問う。
「ちょ、何見てるんですか!?」
「ISの
「布一枚の女の子を
「おっとこれは失礼」
半ギレの円花から顔を離し、
その顔付きは本当に千冬そっくりで、しかし本人にには無い可愛げが、こちらのささやかな
「おいおい、そんな恐い顔すんなよ。
「やめて下さい」
クツクツと噛み殺し切れない笑を浮かべている内に
「っと・・・終わったか。どうだ、何か変わりはあるか?」
「えっと・・・。フィット感が上がりました!」
「そりゃ当たり前だ」
そうい言った直後、俺達以外の声が会話に割り込んだ。
「じゃあ目的達成だね。うんうん、途中はどうなるかと思ったけど、やっぱり束さんは天才だね」
「・・・!」
声は後方、少し高い場所からした。
振り返って見てみれば、階段に
「束さん・・・!?どうしてここに!」
「ふふふ、そんな質問は
屋上に降り立ちビシィッ!とポーズを決める束。
白の
「なるほど・・・無人機が居るからもしやと思ってたが、円花にサイレントゼフィルスを与えたのもお前だな」
「うん。で、どう?
「えっと・・・まあ、良い感じです」
「それは何より♪」
ご機嫌に笑い続ける束。
その中に底知れない
「一つ聞きたい・・・。無人機はお前が作ったのか?」
「ん?そうだよ。あれ?解ってなかったの?」
「三日前に大体のアタりはつけてたさ。まぁ、確証が欲しかっただけだよ」
これは確認ついでの質問だ、本題はここから。
「で?何で今回は円花に
それ以上に、彼女のバックアップに付いている仮称『組織』の事もある。今しがた束の発した台詞を信じるなら、サイレントゼフィルスは貰い物だそうだ。
自分で
大体の目星はついてるが、それもまた推測でしかないのだ。
正直に答えてくれるとは思わないが、
それがもし円花にサイレントゼフィルスを
「ふぅ〜ん。そんな事に興味を持つんだね、もうちょっと聞きたい事あるんじゃないの?」
「無論両の手では足りない程あるさ。だが、ここに居る人間として俺には
肩を
その一方で、小鳥の細長い目は、鋭い眼差しで束を見据えた。
「むぅ~。じゃあかわいそうなオドくんに事のあらましを伝えまSHOW!」
束は謎の球体を放り投げる。
何かと思ってそれを見ると、それから
そこには気を失った円花の指に指輪を
「いっくんやオドくんにISをあげてたから、前々からまーちゃんには何かISをプレゼントしようと思っててね?それでまーちゃんの事ずーっと見てたんだけど、なんか
円花に攻撃を仕掛けなかったのはそう言う事だったらしい。詰まる所、奴等の目的は確かに円花だったが、標的は俺だけだった、と言う訳だ。
・・・何と言うか、お互い同じ人間を護衛対象にしていたと言うのはおかしな事態である。
やっぱり言葉って大事だな。
どうやら、ここまで面倒臭くなったのはコミュニケーション能力の
「成る程な・・・大体分かった」
「うんうん、物分かりの良い子は束さん大好きだよ?」
そりゃどうも、と適当に言葉だけの返事を返して、頭を回転させる。
・・・
束の事だ、まさかそれだけの事の為に
しかし、今の情報だけではその目的を
それに、そこを深掘りしても剰り意味は無いだろう、これを考えるのは後に回して、また別の事を考える。束のスポンサーの事だ。
円花を襲ったのは十中八九アメリカ、ないしアメリカの息がかかった連中だろう。
そう
ならそれらの任務を邪魔した束はアメリカ以外のどこかにスポンサーを持っている可能性が浮上する。三日前のプロファイリングから意見を
「それはそうとお前、円花を
ある程度の状況整理を後に、改めて
可能な限りその真意を悟られぬよう、最大限皮肉かつ性根の悪そうな笑顔で。
(知っていたらほぼ束は黒・・・知らなかったら・・・振り出しに戻るだけだ)
アメリカとのパイプを持っているのなら、アメリカの最新鋭機を持つ組織を知っていてもおかしくはない。
そして束の性格だ。ストレートに言うか
まして、こちらが教えを
「ふっふ~ん、教えなーい」
(だろうな)
予想通り、だと言うなら
ちょっとだけ間を置いて。
「“は、はは・・・オイオイ、俺は束も知らない組織にケンカ売ったってのかよ”」
“束が知らない、と言う事は。相当隠密に特化した、
“そうなると俺や学園の調査ではその素性を洗い出すことは
“まさかまさかと思っていたが、ここまで世界が広いとは。”
「あの・・・小鳥さん?」
恐る恐る円花がこちらに尋ねる、“それにハッとして”、俺は円花の方を向く。
“どうにも『敵』
「“・・・状況提供ありがとう。じゃあこれで”」
「え?ちょちょちょ、まった!本気で言ってる
「“当たり前だ。
“ほら円花、行くぞ。”と円花に付いてくるよう指示する。
“束は
円花が着いて来ている事を確認して、スタスタスタと壊れたビルの上を歩いていく。
と、今までに無い程の慌てっぷりでこちらがを引き留めた。
「待って待って、束さんはその組織について知ってるよ〜!?」
「“大丈夫大丈夫、
“
と、束が大声でこちらを呼び止めた。
「組織は君にも縁がある!」
ピタリ、足を止める。
─── かかった。
思わず上がりそうになる口角を
「“・・・
“
その反応に気を良くしたのか、束は
「ふふ~ん、でもこれはとっておきの秘密だしぃー、教えるかどうかは別だけどねぇ?」
“・・・!そう言う訳にも行かない”。“正体不明の”組織の正体を知るためにも情報を
「“・・・てめぇ、人を
円花の身辺が掛かって来る以上早い事束から情報を引き出さなければならない。
“はぐらかされた事に対する怒りと、そんな焦りから、
「へえ?珍しいね、オドくんがそんなに
「当然だ。分かりきった災厄を見過ごせる程俺はロクでなしじゃない“・・・!”」
睨み付けた視線はそのままに、“
「それに俺に縁がある組織なら
もう既に
「ふぅ〜ん?どんな手段を使っても・・・ねぇ?」
「・・・“出来る事だけだぞ”」
“
“
(これまでの発言は多分本当・・・。束とアメリカには何らかの繋がりがあると見て間違い無い・・・
上手く行けば束のバックにいる組織を複数リストアップ出来るかも知れない。──もし勘づかれて黙られても最低限の
「じゃあどうしよっかな・・・」
たわわな胸を左腕に
(円花!)
「えっ、あっハイ!」
驚いてこちらを向く円花。その肩を押さえ、
(プライベートチャンネルだ。返事はしなくて良い)
目を束に向ける。どうやら気づかれてはいないらしいので、心の言葉を円花に送り続ける。
(色々とあって俺はもうちょっと束から話を聞き出したい。でだ、もしそれがアイツにバレたら面倒な事になる)
『だから?』
返事はしなくて良いと言ったつもりなのだが、円花は言葉を返して来た。しかもちゃんとプライベートチャンネルで。
(お前・・・凄いな)
『え、何が?』
(・・・今は良いや。話を続けるぞ)
俺はプライベートチャンネルを使うのに5日かかった上
基本ISの操縦は感覚に
一般に何を以ってしてIS適正が測られるかは
この分だと円花もまたIS適正において高い数値を叩き出しそうだ。
気を取り直して円花に説明を続ける。
(俺が『逃げさせてもらう』と言ったら俺について来い、IS学園までひとっ飛びだ)
『追い付かれる可能性は?』
(無い、周囲に俺達以外のIS反応は無いし。人の足でISに追い付くのはまず無理だろ。いかに束と言えども人間だ、ISの機動力に付いてこれる訳が・・・無い・・・筈だ)
『大丈夫ですか・・・?』
いかん、根拠は無いが束ならやれそうな気がしてきた。
急激に自信が減速し始めるのを
「うーん、残念。お話しの時間はおしまいみたい」
あらぬ方を見つめた束は、そう言って俺達に向けて微笑む。
「オドくんへの無茶振りはお預けになるけど、またその時まで期待して待っててね?」
「おい待て、どう言う・・・ッ!?」
一方的な言葉に詰め寄ろうとした直後、束の姿が
しかもそれはただの光学迷彩ではなく、銀影のレーダーからも束の生体反応が
「──チッ、これじゃ終えねえか」
追跡もしようにも見え無い上に足掛かりも無いのでは仕方がない。諦めて
しかし、束が
ふと気になって束が見ていた方の空を見上げる。
「・・・成る程な」
「おーい、小鳥ー!」
視線の先、IS学園方向の空から
おそらく市民からの通報でやってきたのだろう。
そしてどうやら、束は一夏の接近に気がついて撤退したらしい。
しかし何故一夏の接近が撤退に繋がるのか。そもそもどうやってそれを
色々と気にはなる事は多いが、それは後回しだ。
「・・・・・・。」
ちらり、と、円花の方を見やる。
ノリで
映像記録から盗難に関しての罪の
どうしたものか。刑罰に問われる事は避けられそうだが、それでも厄介な事になるのは間違い無い。
刹那の様にひた隠しにする・・・のは無理だろう。彼と違って使っている物の由緒が明らかな上、どうもキナ臭い。サイレントゼフィルスを使った以上AEU、特にイギリスから利権だの国家代表候補だのと吹っ掛けられるのは間違いないし、
「面倒極まりないなホント・・・」
あの国は中国に並ぶレベルの
これからの事に頭を抱えていると降り立った一夏が話しかけてきた。
「どうしたんだ小鳥・・・って円花!どうしたんだそのIS!?」
「今頃ぉ・・・?ホント一夏兄は鈍いわね」
鈍い
「・・・で?お前は何しに来たんだ?」
「ああ、そうだった。街中でIS2機が暴れてるって通報があったから、なんとかしてこいって事で来させられたんだった」
だろうな、それ以外の理由が考え付かん。
事情聴取は学園で出来るだろうし、警察にも通報が行っている筈だ。さっさと無人機を回収してトンズラするべきか。
「と言う事は、お前に課された目標は『暴れてるISの
「そうそう・・・で、コレはどう言う状況なんだ?」
「色々あった・・・死ぬ程色々あった。ここで端的に伝えられるとしたら、襲われた、撃退した、襲われた、破壊した、逃げられたって事だ」
投げやりに乱暴な説明をして、肩を
「詳しい話は後だ。この機体どもを一般人に見せる訳にはいかん」
そう言って足元に転がる一機の無人機を担ぎ上げた。
一夏はまだ知らない事だが、現在最も
早いとこ撤収せねば、面倒な事になるのは間違いない。
もう一機、
「円花、もう一機の方任せて良いか?」
「あ、はい」
途方もない嫌な予感と、後処理の事に頭を抱えながら、織斑兄妹と共に学園への帰路についた。