IS/ガンダム00 crossing exceptioners 作:A.Tom
パタタタタッ!パタタタタッ!
「そう、射線を明確にイメージして。あ、脇開いてる」
「お、おう」
『一夏兄ー!このままじゃ一発も当たりませんよー!』
シャルルの提案でリヴァイヴのアサルトライフルを借りた俺は、円花を的に射撃訓練をしていた。
確かにシャルルが言うように、銃の速度は
ISの方が速い時があるけど、考えてみればそんなのはごく一瞬だし、銃弾に比べて圧倒的に大きなISに当たるのなんて当然な気がしてくる。
が、まぁ当たらない。
円花が言うように訓練開始から10数分経っても、俺の
「うーん・・・まさか射撃用のOSが無いなんてね」
「いや・・・これはどっちかって言うと俺が下手なんじゃないか?」
シャルルが言うように、白式には射撃標準用のOSが搭載されていなくて、目視で狙いを付ける必要があるけど、ここまで当たらないと自信が無くなってくる。
「どうだろう。僕もオートロック機能無しで動く的に当てるのはすごく難しいし」
「当てられはするんだな・・・すごいなぁ」
「い、いやいや!それでも10~20発に一回ってくらいだし!それもやっぱり訓練あってのことだからね!?」
「うーん・・・でもやっぱり凄ぇよシャルル」
「も〜、そんな誉めても何も出ないよ~っ!」
ばしばしと俺の背中を
そんな中、アリーナがにわかにざわつきはじめた。
「え、あれって・・・」
「嘘、ドイツの第三世代機よね・・・」
「もうロールアウトしてたの?」
「うん?」
そんなざわめきの中心には、銀影のそれとはまた違う、漆黒のISに身を包むラウラ・ヴォーデヴィッヒが居た。
PICを展開してふわりと飛ぶラウラは、周りの注目なんてどこ吹く風で俺に話しかける。
「おい」
初対面の時と変わらない、冷たい声音。
明確な敵意に裏打ちされたそれに、自然と身構えていた。
「・・・なんだよ」
「私と戦え」
「───断る」
分かりきっていた文言に、NOを叩き付ける。
「ふん、逃げる気か?」
「戦う理由が無いだけだ。お前に理由があったって戦ってなんてやるもんか」
見え透いた挑発をかわして、もう一度拒否を示す。
しかし、ラウラは止まらない。
「なら、戦わざるを・・・!」
ガキャッ!と音を立ててラウラの肩にリボルバーの形をしたキャノン砲がかけられた。
「得なくしてやる!」
照準をつける必要すらない距離。反応の追い付かない距離。
まずい、
「えぇあッ!!!」
「っ!?」
瞬間、声と共に白と灰色の影が俺達間に割り込み、そしてその右腕の剣を振るっていた。
跳び退さるラウラ。
「貴様は!?」
「刹那!?」
着地したラウラと驚いた俺が声を上げ、制服の刹那は剣を折り畳み、まっすぐにラウラと向き合った。
(───なんて速さだよ、ピットからここまでの距離を、ラウラが構えてから間に合ったってのか)
心のなかで呟く。
刹那がこれまで来たことのない第三アリーナの事を説明するためピットまでつれてきていたのだが、そこからここまでの距離はざっと100m前後。
「なに!?何が起きてるの!?」
「ドイツの子と男子が戦うみたいよ!」
周りの女子達は、突然な爆発に騒然としつつ、蜘蛛の子を散らすように外側によっていく。
数秒間ためらったような顔をして刹那はたずねた。
「何をしていた」
「・・・貴様には関係ない」
簡潔な問いかけに、ラウラは冷たい言葉を投げかける。
「・・・だがそうだな・・・貴様が織斑一夏を庇い立てすると言うのなら、貴様諸共打ち砕くだけだ」
そこまで言って、ラウラは不敵に笑った。
「なに、男など影討ちしか出来ないゴミと、教官の足を引きずるクズ、口先だけのカスしかいないんだ、丁度良いだろう」
「っ、てめぇッ!」
俺が千冬姉の足を引っ張ったのはどうしようもない事実だけど、刹那が影討ちしか出来ないと言うのは聞き逃せなかった。・・・あ〜小鳥は否定できないな!
一歩前に出た俺は、刹那の隣に立つ。
「ふん・・・
切られたキャノン砲を
「行くぞ、刹那!」
「了解、エクシア、刹那・F・セイエイ、目標を鎮圧する!」
「ちょ、ちょっと待って二人とも!」
シャルルの声を無視して俺たちは駆け出す。
「ほう・・・こい!」
さらに予備のキャノン砲を構えたラウラ、そっちがそうくるなら!
「
銃器の感覚を思い出しながら、加速をつけたまま大きく左に旋回しつつ距離を詰める。
刹那は一直線にラウラへ飛んでいく。
「先ずは貴様だ」
瞬間。両肩、両脚からワイヤーが上方向に打ち出された。
「刹那!」
「──!」
雨のように降り注ぐそれに、一度足を止めた刹那は両肩のサーベルを抜き放った。
迎え打つつもりなのか!?だとしたら俺は・・・!
「うぉおおッ!」
全速力でラウラに攻撃を仕掛ける!
「そんな連携など・・・!」
射出したワイヤーをそのままに、ラウラがキャノン砲を向けた。
この距離、撃たれてからじゃ避けられない。
(砲口を見ろ、相手を見て、
砲口の先に射線はある、引き金のその先に砲撃がある、ラウラの呼吸の先に俺への攻撃があるんだ!
どがァンッ!
「っ!」
放たれた一射を身をよじってなんとか躱す。二撃目は引き金に合わせて回避行動を取る。
避けた先で起きる着弾の爆発を背中に刹那を見やる。
「ふッ!えぁッ!」
刹那はワイヤーを叩き落とし、弾きながら少しずつ前に進んでいた。
4本のワイヤーは、弾かれてもまた蛇のように刹那へ鋭く迫る。
(すげぇ・・・)
ビームサーベルを振り回しながらステップを踏み、四方八方へと斬撃を放ち続けるその姿は、どこか刀剣の演舞と重なって見えた。
感心するのも束の間、刹那の足が止まった。
「チッ、囮か!」
見れば、日本のワイヤーが刹那の脚に絡みついていた。あのワイヤー6本あったのか!?
俺はさらに二発ラウラの砲撃を躱し、さらに接近する。
刹那はすぐさま脚に絡みついたワイヤーを横薙ぎに切り払うと、真上に飛び上がり正面から刹那を追うワイヤーを
「はぁッ!!」
「すげぇ・・・ッ!あっぶねぇ!!」
意識がそれていた俺にも砲弾が撃ち込まれたのだが、姿勢を崩しながらもなんとか避ける。
刹那のことも気なるけど、今はラウラだ!
ラウラまであと80m、この距離なら・・・!
力をためて、一気に
ビシューッ!
「ッ──!?なんだ!?」
真上から放たれたビームが目の前に着弾して、足を止めさせた。
新手かと思って真上を見上げると、そこには黒いISをまとう小鳥の姿があった。
「小鳥・・・!?」
『そこまでだ3人共。気が合わんのは俺もそうだが、周囲に人がいる以上勝手な喧嘩は
ゆっくりと降り立った小鳥は、合体状態だった『アイアス』を分離して俺とラウラの両方に向けた。
かなり急いでいたのか、刹那と同じように制服のままISを展開していた。
「っ、でも!」
「でも、じゃねえ。刹那の機体を大っぴらに見せる訳には行かない、刹那を巻き込まない形でやってくれ」
「・・・いや、オレがこの戦いに割り込んだんだ」
「オーケー二人とも
刹那が退かないと察するやいなや、小鳥は喧嘩を止めるように言う。
「フッ、死ぬのは貴様だ。セツナとやらの技量の底は知れた。3対1でかかってきても良いのだぞ」
「5対1、だ。今度は俺だけじゃない、円花やシャルルも参戦する。加えて、俺達3人には絶対防御を破る手段がある。手加減が出来ない状況なら、命の保証も出来ない」
ラウラは上空の円花と、逃げていなかったシャルルを見た。
「・・・・・・」
「それを終えたとして、他にも代表候補生は居る。アイツらを相手できるか?」
小鳥の後ろ側、観客席にはセシリア、鈴、箒の3人が居た。
「それを成そう、と言うのなら仕方が無い。お前の
真剣な顔でラウラを睨みつつ、それでも俺に剣を向け続ける。
「──ここは退くとしよう。貴様が言う通り、ここでは勝算がつかない」
「感謝する、一夏は言っても聞かないからな」
「いや、聞くけど・・・」
いやまぁ、血が昇りやすいってのは認めるけどさ。
小鳥は俺に向けた剣を背中のラックに戻しながらため息を
ラウラに向けた剣はそのままだ。
「小鳥」
「黙っといてくれ、この場で下手に
煮え切らない感覚を覚えながら、ピットへと戻っていくラウラの背を俺達は見送った。
「───」
見送って・・・えっと・・・。小鳥がこっちを・・・向いた。
「あ・・・えーっと・・・」
「───いや、お前の事だ。
「小鳥・・・怒ってないのか?」
「ああいう
そう言えば、小鳥にはラウラとの因縁を話してたっけ。
多分、そういうのもあって小鳥はあんまり怒ってないみたいだ。
「と・は・い・え、だ。喧嘩をするならもう少し勝算を計れ。周囲にはお前らだけじゃない、シャルルや円花も居たんだ」
「う・・・だって、これは俺と刹那だけのケンカだ。シャルルを巻き込むのは気が引けるし、円花を危険にさらすのは兄貴としてもってのほかだろ」
「──、ま、そこまで考えてるなら文句は言わん」
あっさりと引き下がる割にはどこかしっくりしない顔をしている小鳥。俺なんかしたかな。
「俺は調整に戻る。また
「うん?刹那を頼るなって・・・あんなに強そうなのに?」
「強すぎるんだよ。少々
ゾッとした。
もし最初の一発をラウラが躱していなかったら、想像するだけで悪寒がする。
それなら刹那の機体を外に見せたくない、と言うのも頷ける。だってISを見るってことは、そのISが戦うって事だもんな。
「ん?あれ?小鳥お前、さっき絶対防御を破る手段を持っている人が3人いるって言ってたけど、あと一人って?」
「俺。当たり前だろ。絶対防御のエネルギーが都合よく拡散フィールドの例外だとでも?」
「ああ、なる程」
確かに、それなら絶対防御も突破できるな。
っていうか、束さんハンドメイドのIS、一々殺意高くないか。
そう考えていると、シャルルがこっちに飛んできた。
「えっと、一夏、大丈夫?」
「ああうん、大丈夫。ゴメンな、心配かけて」
「ううん、こっちこそゴメン。一夏があんなに怒ってたのに、何も出来なくて」
「いやいや、あれは俺の勝手なケンカなんだから」
「それでもだよ。一夏は刹那くんや、小鳥くんの為に闘ったんだ。助太刀しない理由は無かったよ」
うーん、そこまで言われると何も言えなくなる。
りーんごーんがーんごーん
「ん?あ、もう4時か」
アリーナの全館は4時までしか解放されてない。
アリーナの縁に掃けていた他の面々も、ぞろぞろとピットへ帰っていっている。
今度は円花が降りてきた。
「んー。上からみてましたけど、急に
「ああいや、色々とな」
多分円花がラウラの事を聞いたらフツーにケンカ売りそうだし、ここは黙っとこう。
「ああそれと的役ありがとな」
「いやいや、お安い御用!」
えっへんと胸を張る円花。どうしよう、なおの事当てたくないな。
そう思っていると、遠くから小鳥が「もう帰る時間だろ」と呼んでいた。
・・・帰るの早いな?