IS/ガンダム00 crossing exceptioners   作:A.Tom

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同室者は一体・・・ Y side/ I side

 その日の放課後(ほうかご)相部屋(あいべや)ながら(りょう)に入れられる事を知らされた一夏(いちか)小鳥(おどり)は、雑談(ざつだん)をしながら自室に向かっていた。

「まったく・・・急(ごしら)えとは言え、見ず知らずの他人との相部屋(あいべや)とは。笑いしか()きん」

 そう言って(かわ)いた笑みを浮かべる小鳥に、一夏が同意(どうい)する。

「まったくだ、今までに受けた質問の数からしたら同居人(どうきょにん)から(なに)聞かれるかわかったもんじゃない」

 ゲンナリした様子の二人は、廊下(ろうか)を歩き、各々(おのおの)の部屋へと()(すす)めている。

「とは言え、俺達の部屋が(となり)だってのは唯一(ゆいいつ)の救いだな」

 二十四世紀にも(かか)わらず、アナログな(かぎ)に付けられたキーホルダーを見る、そこに(きざ)まれた部屋の番号は、一夏と一つしか変わらない。

一夏の部屋に着いた二人はそこで別れるが、小鳥がその前に話を切り出した。

晩飯(ばんめし)食堂(しょくどう)だよな、一緒に行こうぜ」

「あぁ、良いぜ」

「じゃあ用意(ようい)出来(でき)たら呼んでくれ」

 食事の約束(やくそく)了承(りょえしょう)した小鳥は、一夏が部屋のドアを開け、その中に入って行くの見送りながら、自らの部屋に入るべく鍵を回した。

 

 

 

・・・・・・・・・

 

 

 

「さ、て・・・。(だれ)()ないのか?」

 自室のベッドに荷物(にもつ)(ほう)()げた小鳥は、もう(ひと)つのベッドに目を向ける。

その上には綺麗(きれい)(まと)められた荷物が()るので、どうやらこの部屋を使っている人間は居るらしい。

「━━━いや待て、可笑(おか)しくないか?」

 (いぶか)()に声を出す。

「・・・()()()()()()()()()()()()()()()()?」

その荷物は、まるで『今日初めてここに来ました』と言うように、衣服(いふく)は綺麗に(たた)まれ、その上に携帯端末(けいたいたんまつ)が置かれていて、まるで支給品(しきゅうひん)の様に(あたら)しい。

「一体、誰だ?」

 (あま)りに(ととの)い過ぎている。

同室になった人間がとんでもない綺麗(きれい)好き、と言う可能性は捨てきれない、が、最低限(さいていげん)()ぎる。

 ベッド以外の場所を見回してみても、荷物は先程(さきほど)()べた物()()無いのだ。

小鳥自身、自分の荷物がそこまで少なくないのは解っているつもりだが、これは誰が見ても異常だろう。

恐る恐るその荷物に近付いた時、猛烈(もうれつ)破壊音(はかいおん)()(ひび)いた。

「ッ!?」

 驚いて(とびら)に眼をやるが、特に異常は無い。

とすると、外で何かが有ったのだろう。

「━━━何があった?」

 スタスタと玄関(げんかん)(おもむ)き、ドアノブを回し、外の様子(ようす)(うかが)う。

「・・・・・・どした?」

「いや、その、(たす)けてくれ小鳥、(ころ)されそう」

 そこには、何か鋭い木製のオブジェクトが生えたドアと、それに(もた)()かる一夏がいた。

これだけでは流石に状況が解らない、「何があった」と声を掛けようとした時、木製のオブジェクトが小さくなり見えなくなる。

(いや真逆(まさか)あれは・・・!!)

 そこで気付いた、あのオブジェクトは生えているのではなく『刺さっている』のだと。

 

━━━━━━あれは、木刀だ。

 

そして、それが奥に引っ込んだと認識(にんしき)した時、(いや)な予感がした。

「離れろ一夏!!」

 その言葉は遅く、もう(すで)事態(じたい)は起こっていた。

ズガンッ!バガンッ!!ドズッ!!!と三連続(さんれんぞく)して一夏を(ねら)った木刀(ぼくとう)がドアを突き破った。

「って殺す気か!?」

 すんでの所で牙突(がとつ)(かわ)した一夏がドアの向こうの人間に叫ぶ。

恐らく一夏の同室になった人間が攻撃しているのだろう。

しかし本当に何があったのだ、どんな経緯(けいい)があればこんな事態になると言うのだ。

「あ、一夏くんと小鳥くんの部屋って隣なんだ!」

「良い情報ゲットしたわ・・・!!」

 と、小鳥の困惑(こんわく)他所(よそ)に、近場の女子が集まり始めていた。

「・・・(ほうき)、中に入れてくれ、このままだと色々と不味(まず)い」

 同室の人間の名は箒と言うらしい、一夏が必死(ひっし)説得(せつとく)(こころ)みる。

ズッ・・・ズズッ、と木刀がドアの向こう(がわ)へと(しず)()む、どうやら攻撃を()めてくれるらしい。

『・・・良いぞ』

 ドア()しのくぐもった声がした。

何はともあれ入室の許可が出た以上、外でもたもたしてられない。

いそいそと部屋に戻る一夏、その背中をどうしたら良いのか解らない小鳥が見つめていた。

 

 

 

・・・・・・・・・

 

 

 

 ドアを開けた先には剣道着(けんどうぎ)を身に着けた(ほうき)が待っていた。すぐに着けられる服がこれだったのだろう、大急ぎで着けたのか(おび)()まりが緩かったり(えり)()れている。

それに何より、まだ水気のある長い髪が流れているのは中々新鮮な光景だ。

(って、洋服よりも和服の方が着け(やす)いって考えたのか・・・。なんだか相変わらずだな)

 IS学園に入学する前に一夏が彼女を見たのは六年前、小学三年生頃だろうか。

地元の神社と剣道道場の生まれで、一夏の幼馴染(おさななじ)みの彼女は、昔から『侍女(さむらいおんな)』と悪口を言われていたりする(ほど)(するど)印象(いんしょう)を放っていた。

それは今も変わらず、否、その鋭さは六年をかけて研鑽(けんさん)されている。

「・・・何だ」

 ギロリ、とその鋭い目付きで一睨(ひとにら)みする箒は、そのままどすっと奥側のベッドに腰掛ける。しかし、自分は座れるような雰囲気(ふんいき)でないのを察した一夏は立ちっぱなしでその姿を見続ける。

「な、何を見ている!」

「あ、ああイヤ何でも無い」

 箒が口を開くが、それに対する一夏の返答に更に不機嫌そうな顔になり、そのムスッとした表情のまま髪を(まと)める。

 ポニーテールとなったその髪型を見て、何だか落ち着いた一夏に、またもや箒が口を開いた。

「お、お前が私の同室者だと言うのか?」

「あぁ、まぁ、そうらしいな」

 素っ気無い一夏の反応に対して、更なる抗議(こうぎ)文言(もんごん)が箒の口から飛び出す。

「お、お前が希望したのか!?」

「は・・・・・・?」

 何言ってるんだお前、と言ってしまいそうになったが、すんでのところで(のど)の下にまで押し込む。

そして代わりにこんな台詞を発した。

「そんな馬鹿な」

「━━━ッ!!」

 その台詞はどうやら彼女にしてみれば不正解のようだ。

「あ、あぶねぇ!!木刀は止めろって!!」

 そうでなければ一夏に木刀が振り下ろされる事など無かっただろう。

「馬鹿・・・『そんな馬鹿な』だと・・・?ああそうか、そうかそうか・・・・・・」

 奇跡的(きせきてき)にも木刀を白刃取りしてみせた一夏の両手(りょうて)諸共(もろとも)押し切ってしまおうかと、箒が体重をかけてくる。

(やばいやばい、これ木刀だから死なないとは思うけど、この勢いなら頭蓋骨(ずがいこつ)陥没(かんぼつ)してもおかしくないぞ!!)

「━━━━━━!!!!」

(いや前言撤回(ぜんげんてっかい)、間違ったら殺される・・・!!)

 一夏に体重を掛け続ける箒からは、人を殺しかねないオーラとも呼べるような何かが(あふ)れていた。

 と、外から

「わぁ、篠ノ之さん大胆・・・!!」

「抜け駆けは良くないよー」

「織斑君が総受けってのも言いわね・・・!」

そんな声が聞こえてきた。

(いや待て、最後のは何だ最後のは!?)

 と、一夏は場違いなツッコミを入れるが、箒はそうでもなかったらしい。

「なっ、なななぁ・・・!?」

 勢い良く一夏から飛び離れる、どうやら止めてくれるらしい。

(でも何で女子達はあんな事を言ってたんだ・・・?)

 ぼんやりとその理由を考えるが、すぐに(こたえ)に行き着いた。

 木刀()しで押し潰そうとしていた姿勢では、箒が一夏を押し倒している様にも見えなくもない。

「・・・・・・!!!」

 ドアに張り付く女子達を無言の圧力で()(ぱら)った箒は、一夏に向き直る。

「とりあえず、この状況についてだが・・・。って、聞いているのか、一夏」

「お、おう聞いてないぞ!?」

「聞いてないのを報告する奴が居るか馬鹿・・・」

 真剣に話を始めようとした箒だが、一夏あの顔から『絶対に話聞いてないな』と、確信を得た為一夏に詰め寄る。

ちなみに、当の一夏はと言うと。

(ああ、俺をどう始末するか、だな。いいか箒、殺人で最も重要なのは犯行のタイミングじゃない、犯行後の後始末だ。人間の身体は50キロを軽く超えるタンパク質、脂質の(かたまり)だ。その上5リットルより多い血液が内包されている。そして一番厄介(やっかい)なのが骨だ、骨ってのは実はかなり早い段階で(くさ)っちまう、ドラマなんかじゃ白骨化した状態でしか出てこないからそう言うイメージないだろ?だから、骨は解体の時点で処理しなきゃいけないんだが、そんな時間はない。だからここで冷蔵庫を使う、冷蔵庫の低温下でなら骨の腐食も━━━

 

・・・箒の殺気にあてられおかしな事を心の中で口走っていた。

 

「えーっと、なんだったっけ。もう一回話してくれ」

 悪いなと感じて頭を下げる一夏、それに応じて箒も話し始める。

「ま、まぁ、その・・・何だ、この部屋で暮らす上での線引き、と言うより、ルールは設けるべきだと言う話でな・・・」

 が、後半に行くに従ってごにょごにょと言葉が潰れて行く。

(何でそんなバツの悪い顔してんだ?それに顔も心無しか赤いし・・・。風邪か?)

 そんな一夏の検討違いな心配を他所に箒は話を続ける。

「まずは、風呂の時間だ。私は七時から八時。お前は八時から九時だ」

「え、俺早い方が良いんだが・・・」

「部活で汗まみれの私にそのままでいろと言うのか!」

「ん?部活入ってるのか?」

「あ、ああ。剣道部だ」

 成る程なぁ・・・。と納得する。確かにそれでは箒を後に回す訳にはいかない。

「ん?・・・いやでも待て、確か武道場にもシャワーは在ったよな・・・?」

「わ、私は自室のシャワーの方が落ち着くんだ!!」

「あー、まぁそうだな」

 言われてみれば確かにそうだ。と納得する一夏。

(トイレなんかも自分家(じぶんち)の方が落ち着くしなぁ・・・ん?)

 泥縄式に考えを広げていると、一つ疑問にぶつかった。

「そういやさ、IS学園(ココ)に男子トイレっていくつあるんだ?」

「確か・・・各階の両端に一つずつの筈だ」

「まってじゃあどうすんだよ俺のトイレ事情!?ここの両端って相当な距離だぞ、ダッシュしなきゃ休み時間に間に合わねぇじゃん!!」

「そんな事私が知るか!!」

一人そんな不安を抱えた一夏は、箒の叫びを横に置いて考えた。

 

(もし、もしも間に合わないなんて事になってしまったら・・・俺は、俺は・・・)

 

「━━━女子トイレを使うしか無いのか・・・?」

 

 バァッシィィインッ!!!と、痛烈(つうれつ)な一撃が一夏の頭にクリーンヒットしたのはそれから三秒も無いほどの直後だった。







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