IS/ガンダム00 crossing exceptioners   作:A.Tom

8 / 41






カミングスーンな二つ

「━━━なぁ、箒」

 

「なんだ、一夏」

 

 それとなく声を掛ける一夏、

無愛想(ぶあいそう)ながらもちゃんと(こた)えてくれる箒。

 

「・・・俺さ、気のせいじゃなければ、お前からISの事何一つ教わってない気がするんだけど?」

 

「・・・━━━(フイッ」

 

「 こ っ ち を 見 ろ !」

 

 顔を(そむ)けた箒に向かって声を掛け続ける一夏を他所(よそ)に、小鳥は溜め息と共に苦言(くげん)(てい)す。

 

「━━━そんな事よりも、だ。俺達のISはどうなっている。専用機が来るって話じゃなかったのか?このままだと、初期最適化(フィッティング・パーソナライズ)も出来ないぞ・・・?」

 

 IS操縦のレクチャーよりも、むしろこっちの方が問題である。

ちなみに、『初期最適化(フィッティング・パーソナライズ)』とは、

搭乗(とうじょう)するISの内部データを初期化する『初期化(フィッティング)

更に、初期化ISに操縦者自身の持つ身体(からだ)()きや臓器の形と位置、対G性能など、身体能力(ボディスペック)を測定し、ISに入力する『最適化(フパーソナライズ)

この二つを総じた俗称(ぞくしょう)である。

 これを行う事で、ISは真に操縦者の物となり、本当の能力を発揮(はっき)出来る。

だが、その意味を返せば、たとえISを乗り回す事が出来てもその実力を出す事は出来ないのだ。

 

(まぁそれも、ISが届けば、の話だがな)

 

 ISが届かなければフィッティングも何も操縦も出来ない。

詰まる所小鳥と一夏の命運(めいうん)は未だ見ぬ専用機と、それがちゃんと(とど)くかに()かっているのだ。

 

(まぁでも、このまま届かなければ不戦敗になるからそれでも良いかもな)

 

 とは言えそもそも小鳥はそんなに乗り気ではなかったし、これで不戦敗となれば、それこそクラス代表になりたくない小鳥からしてみれば願ったり叶ったりである。

早く届いてくれと切に願う一夏とは対照的に、小鳥は明日に届いてくれと切に願っていた。

 

「━━━織斑くーん!小鳥くーん!」

 

 それぞれの思惑が交錯(こうさく)する中、副担任・山田教師が息を切らしてやってきた。

 

「はあっ、はぁっ・・・」

 

 のだが、全力疾走(しっそう)の結果、息を切らし、(しゃべ)る事もままならなくなっていた。

 

「ど、どうした?」

 

「あ、あのっ、えっと・・・!」

 

 何があったのか聞いてみるが、途端(とたん)にどもる真耶先生。

息切れも(あい)まって、とてもじゃないが喋れる状態ではない。

 

「山田先生、落ち着いて。ほら深呼吸、すってー」

 

「すーーはーすーはー」

 

「はい止めてー」

 

 一夏の勧めに(したが)い、掛け声に合わせて深呼吸(しんこきゅう)を始める真耶先生。一体何を見せられているのだろうか。

しかも意地(いじ)(わる)な事に一夏が掛け声を()めたせいでどんどん顔が真っ赤になって行く。

 

「年上をからかうのはよせ。それと、なんで律儀(りちぎ)にこのバカの()(ごと)に付き合ってんすか麻耶(まや)先生」

 

 やれやれと言った様子でそのやり取りに待ったをかける。

 

「え、いや、あの、そのっ・・・」

 

・・・かけたのだが、山田先生のテンパりは止まらない。

そんな訳で、困り顔を浮かべるしかない小鳥。と、その後ろから、

 

「あだぁっ!?」

 

「お前こそ教師を困らせるな」

 

 スパンと千冬が出席簿アタックを決めた。

 

「何をするんですか千冬先生・・・!?」

 

「何、教師(きょうし)いじめに制裁(せいさい)(くだ)したまでだ」

 

 どうだ、嬉しかろう?と、いやらしい笑みを浮かべる千冬。

 

「そんな遊戯(いたずら)に精を出す暇があれば、さっさとスーツを着けて準備しろ」

 

「はい?」

 

 スーツ、と言うのは恐らくISを操縦する際に着用するISスーツの事だろう。ちなみに、一夏はツーピース型のヘソ出しスタイルのを、小鳥にはダイバースーツみたいな全身すっぽり覆う、二つの異なるタイプのスーツが支給(しきゅう)されている。

 それを着けろと言うのであれば、それ(すなわ)ちISに乗れ、と言うことになる。

 

「まさか千冬先生・・・。届いた?」

 

「あぁ、だから今すぐ乗れ」

 

「えっ、えっ?」

 

 小鳥はそれに勘づいているようだが、一夏はなんの事やらさっぱりである。

 

「小鳥、お前は三番ピットだ・・・。それと、もし変態と出くわしても手は出すな、返り()ちに()うぞ」

 

「は、はぁ・・・」

 

「えっ、ちょっと待ってどう言う事だよ!?」

 

 未だに状況を理解しきれていない一夏は、周囲にその困惑をぶちまける。

 

「どう、ってなぁ・・・(よう)は今すぐISに乗って戦えって話だろ?」

 

「いや、そこがどう言う事だよ!」

 

「や、そのままだろ」

 

 小鳥は素のテンションで返す、当然だと言わんばかりのその表情に、一夏は苛立(いらだ)ちを募らせる。

だが、苛立っていたのは一夏一人だけではなかった。

 

「ええい!男であるお前がそんな弱腰でどうする!?」

 

 それは箒だった。

後ろから一夏に怒鳴(どな)り付けた彼女は、怒りに肩を震わせていた。

 それを見かねた小鳥が、一夏にフォローを入れる。

 

「いきなりだって言っても、この決闘だっていきなりだろ?」

 

 にやりと笑って肩を叩く。確かに、この決闘は元々セシリアとの言い争いが原因で始まった物だ。それに(まえ)()れなど無く、説明も準備する時間も無かった。

そこから考えてみれば、いきなりISに乗って戦うと言うのも、そんなに不自然な流れではないのかもしれない。

 

「でも」

 

「でもじゃねぇよ、このままグダグダゴネり続けた所で状況が好転するわけでもなし、むしろ悪化する一方だ」

 

 不戦敗で負けりゃ元も子も無いしな。とセシリアの時とは違う、(やわ)らかい口調で一夏を(さと)す。

 

「それに、お前は『負ける事を念頭(ねんとう)に置いているような、カッコ悪い奴』じゃねぇんだろ?じゃあ気張(きば)ってこうや」

 

 それは、負ければクラス代表にならなくて済むと言っていた小鳥に一夏が言った台詞だった。

 

「・・・あぁ!」

 

 己の言葉に発破(はっぱ)をかけられた一夏は自信を取り戻していた。

 

「山田先生、俺のISはどこですか」

 

「え、えと、第二ピットです。こっちに来て下さい」

 

 山田先生に促され、その方向へ歩き出す一夏。

小鳥も自分のISの元へ向かうべく歩き始めた。







  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。