蒼き雷霆ガンヴォルト~のび太のヒーローアカデミア~ 作:じゃすてぃすり~ぐ
SIDE のび太
一体どうして、出久が!?・・・そんな考えが頭の中を埋め尽くす。
ヒーローである『デステゴロ』がモルフォの歌の衝撃波によってヘドロの拘束が緩んだ隙を狙って、ヘドロヴィランへと駆け出すが・・・、
「残念でしたァ~」
手を掴もうとした瞬間、再び出久がヘドロヴィランに取り込まれてしまう。
「クソッ!ダメだ、やはり奴とは相性が悪すぎる!
ここは、彼女には申し訳ないが相性のいい奴が応援に来るまで待つしかない!」
ヘドロヴィランの攻撃をかわしながらデステゴロはそんな事を言った。
確かに、それは合理的かもしれないが・・・、出久はそれまでどうすればいいんだ?歌で引き剥がせると言っても、モルフォの喉は出久の喉とシンクロしている。
先ほど、ヘドロを引き剥がした時の歌も若干声が掠れていた。いつ、喉が潰れて歌えなくなるか分からない。そうなれば・・・、言わなくても分かるだろう。
頼みの綱であるオールマイトこと俊典さんは、活動限界でマッスルフォームになれない。
僕が出ればいいのだが、僕もまた動けずにいた。・・・助けなければならないのは分かっている。だけれど、身体が動けずにいた。
大勢の前でガンヴォルトとしての姿を見せればどうなるのか?
ヴィジランテは世間ではヴィランと同類に思われている。つまりは、ヒーローに追われる立場となってしまうのだ。そうなれば、翼の家に迷惑をかけてしまい、いられなくなってしまう。・・・雄英のヒーロー科に入るというのであれば話は別だが、生憎僕が入ろうとしているのは普通科だ。
出久を取るか、翼の家の皆を取るか?その二つを天秤にかけてしまい、動けなくなっていた。
(-情けない・・・!)
いざと言う時に尻込みしてしまう意気地なしの自分に僕はそう、胸中で呟いた。
「離せっつってんだろうが!!!」
その時、叫び声が響く。そこを見やると、金髪の凶暴そうな男の子がマウントレディによって羽交い絞めにされた。
「ダメに決まってるでしょ!?ここはヒーローに任せて、じっとしてなさい!」
「だったら、何で助けやがらねぇ!テメェらヒーローなんだろうが!
だったら助けろや!!助けを求めてる奴を助けんのがヒーローだろうが!!!応援来るまで、デクが死んだらどうすんだ!?ア”ァ!?」
「大丈夫よ、すぐに有利な個性を持ったヒーローが・・・キャアッ!?」
男の子が個性-恐らく爆破だろう-を使って、マウントレディから無理矢理自身を引き剥がすと乱暴に吐き捨てた。
「それまで待てるか、ボケ!もういい、誰も助けねぇんなら俺がデクを助ける!!!」
「あたたた・・・ちょっと!待ちなさい!こらぁぁぁぁぁぁ!!!」
マウントレディの制止を振り切り、走り出す男の子。その姿を見た僕の頭の中で、ある言葉がリフレインしていた。
『助けを求めてる奴を助けんのがヒーローだろうが!』
その言葉と共に、僕はあることを思い出す。・・・そう、僕が『この世界に来よう』と思った切欠だ。
-4年前、もしもボックスで『個性のある世界』へ向かう前の事・・・。
「う~ん、面白かった。やっぱりヒーロー映画は最高だよ」
僕はその時、あるヒーロー映画を見てヒーローに憧れを持っていた。
「のび太君はヒーローが好きだねぇ」
「そりゃあね、ヒーローってどんな時でも諦めないし、最後はかっこよく悪をやっつけて困ってる人を助けるんだ。憧れない訳がないよ」
そして、そんな会話をドラえもんとしていたっけ。
「いつか僕も、ヒーローになりたいなぁ・・・。そして、困ってる人や助けを求めてる人を助けるんだ。・・・だからさ、ヒーローになれる道具出してよ~、ドラえも~ん」
「全く、のび太君ってばそんな都合のいい道具ある訳ないだろ?」
「ええ~、ドラえもんのケチ!」
ああ、そうだ。思い出した、僕は『困ってる人や助けを求めてる人を助ける為』にヒーローを目指したんだ。
そして、この世界に来て、フェザーに入って・・・色んな事があったな。・・・そして出久を助ける時に僕はこう言った。
「そう自分の命を、簡単に投げ出すな!君が自由を望むなら僕が
僕は君を助けたい・・・、だから教えてくれ!君の本当の願いは何?」
今までずっと、忘れていた僕の
家族の命を踏み台にして
「俊典さん、これを・・・預かってもらえませんか?」
「のび太少年、どうし・・・っ!?」
僕は、カツラと眼鏡を外し俊典さんに渡し、自分の想いを俊典さんに告げた。
「一寸、あの男の子の言葉で思い出しました。自分の
あの日、家族を死なせてしまった僕にはヒーローになる資格はないかもしれない・・・。だけど、家族と引き換えに得た
そう言って、僕は金のお下げをなびかせヘドロヴィランの元へ走り出した。
・・・助けを求めている
-SIDE 出久
どれほど、モルフォの力でヘドロのヴィランを引き剥がそうとしたのだろう。隙をついて逃げ出そうにも、すぐに纏わりつかれてしまう。
この場を何とか出来るヒーローもいない。デステゴロは相性のいいヒーローが来るまで待つしかないと言っているが、それまで喉が持つだろうか・・・?
モルフォの喉は、私の喉と連動している。モルフォが何度も叫び続ければ、それだけ私の喉も掠れていってしまうのだ。
(モルフォ、『
(少し、喉が掠れて来たからもって後1,2回ほどね)
1,2回・・・か、それまでヒーローは助けてくれるのだろうか・・・。
「だぁ~れも来ねぇよ。俺様にビビッて近寄りもしねぇ、見捨てられたんだお前は」
そんな事を考えていると勝ち誇ったヘドロヴィランの声が聞こえる。
「だから、諦めて俺に乗っ取られちm「デクから離れろや!クソヘドロが!!!」うげぇっ!?」
だが、最後まで言う前にBOOOOM!!!と言う爆音と共に、ヘドロヴィランが吹き飛ばされた。ヘドロに覆われた視界が晴れ、目に映ったのは泣きそうな顔をして、こっちを見るかっちゃんの姿。
「掴まれ!デクッ!!!」
そう言って手を差し出すかっちゃん。
どうやら、先ほどの爆発で上半身がヘドロの拘束から解放されたらしい。私は必死に掴む。
掴んだのを確認し、かっちゃんは私を引っ張り出そうと力を入れた。
「かっちゃん・・・どうして?」
「別にお前の為じゃねぇわ!頼んでもいねぇのに、俺を庇いやがって・・・。
まだ、俺はお前に謝ってもいねぇ!それなのに勝手に庇って死に掛けてんじゃねぇよ!このクソナードが!」
私の問いに、泣きそうな顔でかっちゃんはそう叫んだ。あと少しで、全身が抜ける。そう思った次の瞬間・・・、
「おっとぉ、この嬢ちゃんは渡さねぇぜ?なんせ大切な隠れ蓑だからなぁ」
復活したヘドロヴィランが、私の足を掴む。
「死ィ「おっとォ・・・」ッ!?」
かっちゃんがもう一度引き剥がそうと爆破の個性を使おうとするが、先にヘドロの触手によって腕を封じられる。
「そう何度も爆破させると思うかよ。・・・しかし、いい個性だなァ。この際だから、お前も取り込んでやろうか・・・?」
「く、クソがァ!」
そう言って、ヘドロヴィランがかっちゃんごと私を取り込もうとその身体を広げようとした、その時だ。
―BLAM!
「痛ッ!?何だ、目に・・・」
銃声と共に、ヘドロヴィランが目に違和感を感じ、取り込むのを中断し擦ろうとした。そして、
―CLAP!
「ギャアアアアアアアッ!?目が!?俺の目がァ!?」
蒼い雷光がヘドロヴィランの目に向かって迸り、直撃した。目を押さえヘドロヴィランはもがき苦しむ。
「安心して、ちょっとバチってしただけだよ。失明した訳じゃないから大丈夫さ。・・・多分ね」
そう言って、声の主は私達の元にやって来る。長く伸ばし、お下げにした金髪。そして、蒼い瞳の少年。
「おい、アレって・・・!?」
「本当に居たんだ・・・」
「都市伝説じゃなかったのかよ・・・」
多くの人が都市伝説だと思っている幻のヴィジランテ。そして、あの時、私を助けてくれた蒼き翼・・・。
「蒼き雷霆・・・ガンヴォルト!!!」
周りがざわめき立つ中、GVは私とかっちゃんを見て優しく微笑んでこういった。
「お待たせ、よく頑張ったね出久も、そっちの子も」
「『そっちの子』じゃあねぇ、俺には『爆豪 勝己』って名前があんだよ。覚えとけ」
吐き捨てるようにいうかっちゃんに、GVは苦笑いで返した。
「分かった、覚えておくよ。兎に角、ここは僕に任せて」
そう言って、ヘドロヴィランの方に向き直る。
「ここからは、僕のステージだ!
迸れ、
GVの身体に蒼き雷光が迸らせ、ヘドロヴィランに向かって駆け出した。
―SIDE のび太
「ガンヴォルトォォォォ・・・殺すゥ、殺してやるゥ!」
ヘドロヴィランが、憎しみを募らせて僕を刺し貫こうと触手を伸ばして攻撃する。だけれど・・・遅い。
「はっ!」
「なっ!?」
飛び上がって回避、そのままヘドロヴィランに接近し、右手に『
「僕の友達を人質に取ろうとしたんだ、少し痛い目にあってもらうよ!」
天体の如く揺蕩え雷
是に至る総てを打ち払わん
「ライトニングスフィア!!!」
―CLAAAAAAAAAAAAAAP!!!
「あんぎゃああああああああああっっっ!!!?」
僕の身体を包み込めるほどの雷球を発生させ、それをヘドロヴィランに叩きつける。
本来『ライトニングスフィア』は、僕の周りを3つの雷球が回るだけで、敵に囲まれたとき等に使う技なのだが、その3つを右手に収束させ先ほど僕がやったように相手にたたきつける事も出来るのだ。
それをマトモに喰らったヘドロヴィランはライトニングスフィアが収まった時には、見る影もなくその身体をしぼませて気を失った。
―その後・・・。
「・・・君がガンヴォルトだったとはな、まだ子供じゃないか」
ヘドロヴィランが逮捕された後、僕はデステゴロと面と向かい合っていた。
出久はと言うと、周りのヒーローからやれ「凄い個性だ!」など、「是非、ウチのサイドキックに!」と引っ張りだこ。対する爆豪君は、「君が危険を冒す必要は無かった!」と説教を喰らっている。
「本来ならヴィジランテ活動は、法に違反する行為だ。それは分かるな?」
「はい」
デステゴロの言葉に、僕は頷く。
「それは君の様な未成年でも、決して軽い罪じゃない。
本来なら君も逮捕しなければならないが・・・、今回だけは大目に見てやるよ」
「・・・?」
何故?
デステゴロにそう言われて、僕はそう思った。そんな僕の心情を察してか、デステゴロは僕に語る。
「あの時、嬢ちゃんを人質に取られ、その上誰もヴィランとの相性が悪いからと応援を待つって言う最悪の判断をしちまった。その所為で、あの坊主や君に危険を冒させる羽目になった」
「でも、それはしょうがない事じゃないですか。現時点であのヘドロヴィランに対抗できる『個性』を持ったヒーローはいなかったし・・・」
「だけれど、だ。ヒーローとしてはあんな判断をするべきじゃなかった。この件については俺が責任を取って「ちょっと待ってくれないか?」オールマイト!?」
デステゴロの言葉を遮って、マッスルフォームになった俊典さんが現われる。
『限界時間』を過ぎているのに、マッスルフォームになった為か、若干脂汗をかき、プルプルと震えている。
「その件に関しては私にも責任がある。あのヘドロヴィランは、私の不手際で取り逃がしてしまったものだ。
その所為であの事態を引き起こした。この際、責任を負うべきなのは私だよ」
そう言って、僕とデステゴロに頭を下げて謝罪した。
そんなこんなで、僕と爆豪君はお咎め無しとなり、帰路へつく事となった。
「GV!」
その帰り道、出久とバッタリ出くわした。
出久は僕を見るなり涙を浮かべて僕に抱きついた。
「GV・・・、良かったぁ。警察に連れて行かれたのかって思ったよ」
「大丈夫、お咎め無しになったみたいだし」
「そっか・・・。ああ、でもこの一件で、GVの正体が知られちゃったってことだし、卒業まで色々と面倒な事になりそうだよね。マスコミもそうだけど、クラスメート・・・特に真琴とかが騒ぎそうだよなぁ。GVって今まで都市伝説のような存在だったし、それが実在していたって知ったら誰だって驚くから(以下略」
僕から離れ、出久はブツブツブツブツと、呟き始める。彼女のこうやって考えている事をブツブツと呟く癖は昔かららしい。
『ごめんなさいねGV、またイズクの悪い癖が出たみたいで』
「アー、ウン。大丈夫だよ」
出久から具現化したモルフォが申し訳なさそうに苦笑いしながら僕に言う。
とりあえず、出久に話しかけるのは落ち着いてからにするか・・・。そう思っていると・・・、
「私が来たァ!」
ひょっこりと、マッスルフォームのまま俊典さんが顔を出す。僕らが帰るまで、凄くマスコミいたような気がしたけど・・・。
「よく抜け出せましたね、俊典さん」
「HAHAHA、あの程度のマスコミを抜け出すのはわけないさ。なぜなら私はオールm・・・ゲフゥ!?」
僕の問いに答え終わる前に、トゥルーフォームに戻り吐血する俊典さん。ホント無茶するよなぁ・・・。
「ひゃあっ!?オールマイト、いつの間に!?」
先ほどの吐血に驚いてブツブツモードから復活し、出久が俊典さんを見やる。
「ついさっきだよ、緑谷少女。のび太少年いなきゃ、私翼の家に帰れないし・・・」
出久の問いに、俊典さんは口元の血を拭いながら答えた。
そう言えば、説明していなかったね。何故、トゥルーフォーム状態でも出久が俊典さんをオールマイトだとわかったのかと言うと、以前、俊典さんが翼の家に帰って来たとき、出久が遊びに来たことがあった。
その際に、マッスルフォームの『活動限界』を迎えてしまい、出久の目の前でトゥルーフォームに戻ってしまったのである。突然、ムキムキマッチョマンだった憧れのヒーローが、目の前でガリガリのゾンビモドキになったのだ。その時の出久のショックっぷりはハンパなかった。
まぁ、そんなこんなあって、出久もまた俊典さんの秘密を知る一人となったのである。
「それと、すまなかった。のび太少年、緑谷少女・・・私の不手際で君達に迷惑をかけてしまった!」
そう言って、俊典さんは僕達に頭を下げて謝罪した。
「い、いえいえ・・・そんな事ないですよ!」
「頭を挙げてください、俊典さん。
そもそも、僕があの任務であのヘドロヴィランを逃がしてしまったからこの事件が起きたんですし・・・、謝るべきなのは僕です」
出久は慌てながら、僕は頭を下げながら俊典さんに言う。だが、俊典さんはいいや。とかぶりをふって返す。
「私が、あの時ヘドロヴィランの入ったペットボトルを落とさなければこんな事にはならなかったんだ。
その結果、『限界』が来た挙句後始末を君に任せてしまった。だから、謝るべきなのは私の方さ」
「俊典さん・・・」
「それと、もう一つ言いたい事がある。
あの時、君は言ったね、『家族を死なせてしまった僕にはヒーローになる資格はないかもしれない』と」
頷く。
「それは違うぞ、のび太少年」
「えっ?」
俊典さんの言葉に、僕は眼を丸くした。
「トップヒーローの数多くは学生時代から多くの逸話を残している。そして、彼らの多くがこう言っていたんだ。
『考えるよりも先に身体が動いていた』ってね。君もそうだったんだろう?
あの時、あの少年が言っていた事を聞いて、自分の
「・・・はい。でも、僕に資格なんて・・・」
震える声で、僕は俊典さんに返す。だけれど、
「そんな事はない」
俊典さんは、優しい言葉でそう言った。
じわり。と僕の視界が涙で滲む。
「あの時、緑谷少女とあの少年を守る為に立ち向かった君は、誰よりもヒーローだった」
その言葉で、僕の眼から涙が溢れ出し、罪と後悔に塗れた心を洗い流していく。
「のび太少年、世界の全てが君の事を『ヒーローになる資格はない』と言っても、私は君にこう言おう。
―君は、ヒーローになれる。その資格があるんだ君には」
その言葉を聞いて、僕は感情が抑えきれなくなり、泣き崩れた。
こんな僕でも、ヒーローになれる事が嬉しくて、泣いて、泣いて泣き続けた・・・。
―これが、僕の
僕が、仲間達と共に目指す最高のヒーローになるまでの物語だ。
続く・・・。
年号が令和となって一発目の投稿!…つ、疲れた…。
今回あまりデクちゃんとモルフォちゃんが喋ってないなぁ・・・と反省。
かっちゃんの凸は、次回になるかもです。まぁ、原作と違って多少丸くはなってるので罵詈雑言の嵐ではありませんが・・・。
あ・・・でも、ワンフォーオール誰に継がせようか・・・。ちょっとそれが悩みどころです。
次回もお楽しみにそれでは~。