蒼き雷霆ガンヴォルト~のび太のヒーローアカデミア~   作:じゃすてぃすり~ぐ

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 勝己と出久、かつては虐め、虐められていた関係の二人。
 そして今は、自分の罪に囚われ続ける者と、罪を償う為に『憧れ(ヒーロー)』を目指す者。
 『謡精(モルフォ)』の本音が長年隔てていた二人の溝を埋めていく。


チャプター4「和解」

―のび太SIDE

 

「落ち着いたかい、のび太少年」

「ええ、まぁ・・・」

 

 ひとしきり泣いた後、俊典さんに僕は涙を拭いながらそう返した。あの涙は長年積もっていた僕の迷いを洗い流してくれたようだ。

 罪悪感や後悔は無いといえば嘘になる。でも、俊典さんは言ってくれた『君はヒーローになれる』って。そして、出久も言ってくれていた『GVは私にとってヒーローなんだ』と。

 ならば、僕はヒーローの道を往こう・・・。胸をはってヒーローだと言える様に。それがパパやママ、ドラえもんに対する僕の償いなのだから。

 

「大丈夫、GV」

「ああ」

 

 僕を気遣う出久に、そう言って微笑むと僕は彼女に自分の決意を告げた。

 

「出久・・・、僕決めたよ。僕はヒーローになる。・・・なりたいんだ、ヒーローに。

 後押ししてくれた俊典さんや、出久に恥じないように・・・胸を張ってヒーローだって言えるように・・・ね」

「GV・・・。GVならなれるよ、凄いヒーローに!」

『アタシ達も負けてられないわね』

 

 目を輝かせながら言う出久とモルフォを見つつ、来週、ライチ先生に進路先を普通科からヒーロー科に変更する事を言わなきゃなぁ。と思っていると、俊典さんが口を開いた。

 

「うんうん、のび太少年がヒーローになる決意をした事だし私から一つ提案があるんだ」

「提案?何ですか?」

 

 俊典さんの言葉に、コテンと首をかしげる出久。

 

「あの爆豪と言う少年を助けるためにその身を張った君と、君を助ける為に『ガンヴォルト』だという事がばれることも厭わず助け出したのび太少年。どちらも、私の『力』を受け継ぐに値する・・・そこでだ!」

 

 そう言って、俊典さんは僕らにある提案をする。

 

「君達のどちらかが、私の『力』を受け継いで見ないか!?」

 

 俊典さんの言う『力』と言うのは、恐らく『アレ』の事だろう。でもまぁ、僕の心は決まってる。

 

「俊典さん、悪いけど僕はその提案を断らせてもらうよ。

 過去の事もあると言えばあるけれど、『蒼き雷霆』だけで目指したいんだ、俊典さんみたいなNo.1ヒーローに。だから、出久に継がせてあげてよ」

「成る程な、その心がけ・・・Goodだぜ、のび太少年。それで、のび太少年から推薦が来たけど、君はどうするんだい?緑谷少女!」

「ええ!?私ですか!?私は・・・」

 

 ズビシっと指を指しながら問いかける俊典さんに、出久は目を瞬かせながらも、答えようとして・・・、ふと何かに気づいた。

 

「・・・あれ?かっちゃん?」

「・・・え”」

 

 その一言に、俊典さんは大量の冷汗を流しながら固まりギギギ・・・と錆びた機械のように後ろを振り向く。僕も俊典さん同様、出久の視線の先を追ってみると・・・。

 

「な・・・あ・・・!?」

 

 居た。アングリと口を開け、目を白黒させている爆豪君の姿が。嫌な予感が頭をよぎる、何気に彼の反応が、初めて俊典さんがマッスルフォームからトゥルーフォームへと戻った所を見てしまった出久とそっくりだったからだ。・・・杞憂であって欲しいが。

 

―BOOOM!!!

 

 あ、頭が爆発した。そして、倒れた。多分、突然の出来事にショックやその他もろもろで頭の処理が追いつかずオーバーヒートを起こしてしまったのだろう・・・。これ、見ちゃってるな。

 

「わぁーッ!かっちゃーん!どうしよ、モルフォ!救急車呼んだほうがいいかな?それとも霊柩車!?」

『イズク、落ち着いて!前者は兎も角後者は違うわよ!』

 

 突然、目の前で倒れた事により出久は慌てふためいて、モルフォにツッコミをいれられる。

 

「モ、モモモモモモモモルフォ少女の言うとおりだ、緑谷少女。まずはリラックスするんだ」

 

 ガクガクブルブルと、めちゃくちゃ震えながら出久をさとそうとする俊典さん。いや、出久よりも貴方の方が落ち着くべきだとおもうんですが・・・。

 

「お、オールマイトも落ち着いてください!」

「出久、今ここでその名前で呼んだら拙い」

「え?・・・あっ!?」

 

 俊典さんを落ち着けようと言う出久にツッコミを入れる。ここで、オールマイトの名前を出せば大騒ぎだ。その事に出久が気づいた時にはもう遅かった。

 

「えっ、何々!?オールマイト来てるの!?」

「うっそぉ!マジで!」

 

 ざわざわと遠くから声が聞こえる。

 俊典さん・・・つまりオールマイトが居ると思い、こっちに来てる様だ。・・・言わんこっちゃない。

 

「み、緑谷少女、リピートアフターミー!『人違いでした!』さんはい!」

「人違いでした!」

 

 それと同時に、『なーんだ』と残念そうな声と共に遠ざかっていく。・・・ひとまずはコレで安心だが、問題は爆豪君をどうするかだ。

 

『とりあえず、翼の家とかはどうかしら?

 あそこなら、アシモフさんやモニカさん・・・オールマイトの事情を知ってる人が多いから、カツキに事情を説明するのにうってつけじゃない?』

「それもそうだな。元々、今回の事件がなければ俊典さんを翼の家に連れて行く予定だったし」

 

 モルフォの提案に僕は頷く。それを聞き、うっ。と俊典さんが青ざめた。

 もし、今の状況で僕、俊典さん、出久・・・それに気絶している爆豪君を連れて来れば何事かと蒼一郎さんに問われるからだ。

 

「の、のび太少年。くれぐれも、ヘドロの件やこの件等は兄さんにはご内密に・・・」

「蒼一郎さんには包み隠さず話しますよ。キッチリ怒られちゃってください」

 

 顔面蒼白で、頼み込む俊典さんの申し出を決断的に切り捨てる。

 慈悲?無いよそんなもの。

 

「Holy Shit!君には血も涙もないのかい、のび太少年!?」

 

 血涙を流し、俊典さんが抗議するが気にしない。それよりも早く、爆豪君を連れて行かなければ・・・。

 

Side Out・・・。

 

 

Side 勝己

 

 夢を見る、デクの奴が戻ってきてからここの所ずっと見ている夢だ。

 俺の足元には何十人・・・いや、何百人もの死体が転がっている。それが何なのか、俺にはわかっている。

 デクの『個性』、『電子の謡精(サイバーディーヴァ)』の歌によっておびき出されつれてこられた挙句、実験により死んだ『無個性』の奴らだ。

 そしてそいつらは、ゆっくりと起き上がり、俺を睨みつけて言う。

 

「何故、私達は死ななければならなかった・・・?」

「やりたい事がいっぱいあったのに・・・」

「俺達が一体何をしたんだ・・・?」

「僕達が『無個性』だからいけないのか・・・?」

「あ・・・あああ・・・」

 

 俺に向けられる怨嗟の声、声、声・・・。その声に俺は、言い返す事も出来ず後ずさるしかない。

 

「お前の所為だ」

「お前があの子を追い詰めたから」

「あの子をあそこまで追い詰めなければ、あの子は『謡精』にならず俺達は死ななくて良かったんだ・・・」

「知らなかったんだよ!デクの奴があそこまで思いつめてたなんて!」

 

 苦し紛れの言い訳が口をついて出る。我ながら情けないと思う。

 

「そんなものは言い訳だ」

「返せ・・・」

「返せ、僕達の未来を・・・」

 

 そんな言い訳を奴らはあっさりと切捨て、俺を責め苛む。それはまるで呪詛の津波のようだった。

 

「呪ってやる」

「呪ってやる」

「呪ってやる」

「「「「呪ってやる」」」」

 

 そして、そのままそいつらは俺に押し寄せてきた。俺にありったけの呪いを吐きながら・・・。

 

「うわああああああああああああっ!!?」

 

 叫びと共に、目覚める。あの悪夢は何度見てもなれない。・・・自分が悪いのだと分かっててもだ。

 

「かっちゃん!?大丈夫、うなされてたみたいだけど・・・」

 

 聞きなれた声、聞こえた方に視線を向けるとデクがいた。

 

「デク・・・?お前何で・・・あ」

 

 言いかけて、意識を失う前の事を思い出す。あのガンヴォルトと言うビリビリ野郎に一言言おうと思い、追いかけていったら、丁度オールマイトが居た。

 そして、オールマイトが目の前で急に萎んだものだから何が何だか分からなくなって・・・。

 

「我ながら情けねぇや・・・」

「その様子だと、見ちゃったみたいだね。オールマイトがあの姿になった事・・・」

 

 私も始めてみた時は、頭が真っ白になっちゃったし。と苦笑いを浮かべるデク。

 

「お前、アレについて何か知っとるんか?」

「まぁ、知ってるといえば知ってるけどコレばかりは私の口からは言えない。オールマイトがかっちゃんに話すよ」

「そうかよ。・・・ところでここ、何処だ?お前の家でもなさそうだが・・・」

 

 今更気づいたが辺りを見廻しながらデクに問いかける。知らない部屋だ。

 

「ここはGVが住んでる『翼の家』、その空き部屋だよ」

「GV・・・?ああ、あのビリビリ野郎の呼び名か」

「う、うん」

「んで、ビリビリ野郎とオールマイトは何処にいんだ?」

「僕はここにいるよ」

 

 ガチャリとドアを開け、金髪のオサゲにをしたあのビリビリ野郎が姿を現す。

 

「GV、オールマイトは?」

「蒼一郎さんから説教受けてる。うっかり、ヴィランの入ったペットボトルを落として被害を出した上にトゥルーフォームを爆豪君に見られてるからね・・・」

『ご愁傷様ね、オールマイト』

 

 デクの問いに、ビリビリ野郎は答える。・・・何か、オールマイトには悪い事しちまったな。そう思っていると、蝶々女がジッと俺のほうを見てきた。

 

「モルフォ?」

『ごめんね、イズク。アタシ、どうしてもカツキに言いたいことがあるの』

 

 不思議そうに見るデクに、蝶々女はそう言った。そして、再び俺のほうを見る。

 

「ンだよ」

『カツキ、貴方あのヘドロが現われる前、言ったわよね。「俺がデクを追い詰めたから、俺の所為でデクは辛い目にあったんだ」って、確かにその通りよ』

「ッ!?」

「も、モルフォ!?」

 

 至極当然な、それでいて残酷な事を言われ俺の顔は歪む。デクは慌てて、蝶々女を止めようとするが、黙ってて!と一蹴された。

 

『アンタが、イズクを追い詰めた所為でこの子は辛い目にあってきた。歌いたくもない、皆を苦しめるだけの歌を歌わされ続けた。全部アンタの所為よ、カツキ』

「・・・ハハ、そうか。・・・そうだよな」

 

 分かってはいた。だけれど、実際に言われると少々キツイのはある。だけどね。と蝶々女は表情を和らげて俺に言った。

 

『そのお陰で「電子の謡精(アタシ)」はこの世に存在する事が出来たし、イズクはGVにも出逢う事ができた。悪い事ばかりじゃないのよ、カツキ。だから、ありがとうね』

「ハハ・・・何だよ、それ。訳わかんねぇよ・・・」

 

 視界が滲む。気がついたら、俺は泣き崩れていた。

 

「デクぅ・・・ごめんなぁ・・・ごめんなぁ・・・」

 

 口をついて出るのはデクへの謝罪。デクは俺の手を握ってうん、うん。と目に涙を浮かべながらただただ頷いていた。

 

―それから数十分後。

 

「お、お待たせ・・・。わ、私が少々やつれながら来た・・・」

 

 大分落ち着いてきた頃、ドアを開けてオールマイトがやって来た。気を失う前にみた萎んだ姿ではなく、いつもの姿だ。

 

「気を使わなくてもいいぜ、オールマイト。見ちまったんだからよ」

「うん、まぁそうだね・・・っと」

 

 BON!と言う音と共に、オールマイトがあの萎んだ姿になった。やはり、見間違いじゃあなかったんだな。

 

「爆豪少年、何故私がこうなったのか?知りたいようだね」

「ああ一体どうしてそうなっちまったんだ?もしかして、前からこうだった・・・とか?」

 

 俺の問いに、オールマイトはいや。とかぶりをふった。

 

「爆豪少年、これから話す事は決して誰にも言ってはいけない。勿論、親にもだ。いいね?」

「ああ」

 

 オールマイトの言葉に俺は頷く。それを見て、オールマイトは口を開いた。

 

「それじゃあ、爆豪少年にも話そう。何故、私がこうなってしまったのかを」

 

 

続く・・・。




 一応、サブタイは『和解』ってなってますけどあまりサブタイが仕事をしてない感がハンパないなぁこれ・・・(汗)
 まぁ、何はともあれ早い段階で出久と和解した上にオールマイトの秘密を知る事になったかっちゃん(後者は、次回本格的に知る事になりますが・・・)、GVとはいいライバルにしていきたい予定です。
 さて、次回はいよいよオールマイトの『個性』についての説明と、それの継承となります!一体、誰が継ぐのか・・・?
次回もお楽しみに!
それでは~。
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