喰種喰   作:リョー

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 仙は今までの訓練を整理する。

この戦闘は避けては通れぬ通過点。

最初の砦だ。

 ここでの最後の相手は陣。

自分は実際の所陣という喰種をあまり良く知らない。

 自分が陣といた6年をもってしても陣のことはあまり良く分からなかった。

それほどまでに陣という喰種の底は深い。

 

「もう来ていたか」

 

 足音も無く陣は大広場に入って来た。

眼を閉じていれば良く分かる陣から漏れ出す殺気と覇気。

 

「お前の好きな時に始めるぞ。その時が来たら言え」

 

陣はそう言う。

 仙の整理は既に終了している。

 

「もう。始めたい」

 

「そうか。良いだろう」

 

 仙の片眼は赤くなる。

 

「良い眼をするな」

 

「格上を喰らうものの眼だ」

 

「それではいくぞ」

 

「陣、参る」

 

 陣から赫子が飛び出すと同時に殺気が解放される。

自分より大きな彼はまるで鬼だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 陣は眼にも追えない速さで駆けてくる。

陣の赫子は鱗赫。

仙も鱗赫を出し、赫子を防ぐ。

 しかし重い攻撃に弾き飛ばされる。

そして弾き飛ばされた仙を追撃するが、それは全て防ぎ切る。

 負けじと仙も攻め込む。

赫子だけでは無く、体術も使い陣に攻め込むが陣は難なく防ぎ切る。

 そして全てを攻撃し終わった仙の腹を突く。

仙は飛びかけた意識を瞬時に戻し、陣の顔を膝で蹴った。

 

「中々にやるじゃないか」

 

 仙は鱗赫を仕舞い、代わりに尾赫を展開する。

そして調和の取れた攻撃で陣に攻める。

 景がしたように調和を大事にしながら一撃一撃を重く。

そして隙はなく。

 陣は鱗赫で守り続けるが防ぎきれずに傷を負う。

少し仙が優勢のこの状況。

しかし陣の鱗赫は仙の調和を無理矢理崩し、割り込んで攻撃をする。

 攻撃を受け、仙の身体には穴が開くが直ぐに再生した。

 

 

 

 次に仙は羽赫を出した。

そして駆け回り、陣の攻撃を回避しながら弾丸を浴びせる。

 暦がしたように素早く、相手に行動の隙は与えない。

 陣は弾丸を掻き消そうとするが速く重い結晶は中々防ぎ切れずに陣の身体に更に傷を増やす。

 しかし仙の身体を陣の鱗赫が貫いた。 

 

「目が慣れた」

 

 完全に勢いを無くした仙に陣が攻撃する。

攻めと守りは入れ替わった。

 完全にペースを持っていかれた。

陣は何も出来ない仙を何度も切り刻む。

 傷を受けた仙は倒れたが立ち上がった。

 

 

 

 そして素早く甲赫を展開して、次なる攻撃を防いだ。

 甲赫で防ぎながら相手の攻撃を読んで重い一撃を叩き込む。 

燐がしたように硬く、相手の攻撃は全て防ぎ切る。

 陣の鱗赫は仙の甲赫を傷付けていく。

しかし仙の一撃を喰らって深い傷が出来た。

 陣は楽しそうに笑う。

この笑みは陣が相手を強者だと認めた証だ。

 次の瞬間、仙の甲赫は割れた。

その隙を陣は突こうとするが、それを仙の鱗赫が防いだ。

 

 

 

 

 仙の鱗赫と陣の鱗赫がぶつかり合う。

陣の赫子は強大で、たまに負けそうになる。

 しかし折れない心と燃える復讐心と連れ出さなければ成らない少女の存在が仙を支えた。

 

「路地裏で拾った子供が」

 

「これほどに成るとはな!」

 

 攻撃しながら陣は言う。

 もう仙は満身創痍。

だけど身体を必死に動かす。

 

「もう終わりにするか」

 

「悪いな。仙。また来てくれ」

 

 陣は満身創痍の仙に連撃を振るう。

 だが、この満身創痍という状況の中で仙の頭は異常に冴えていた。

 攻撃に目が追い付く。

最初の攻撃を弾き、二発目の攻撃もそのまま弾く。

大きく縦に振った三発目は横に移動すれば当たらない。

 最後は大きく斜めに振る。

この部分、胴体に守りは無い。

自分の赫子が仙を貫くのが速いか、陣の赫子が自分の身体を斬るのが速いか。

 仙は全ての力を込めて鱗赫を放った。

そしてそれは光の速さで陣の胴体を穿ち、陣を飛ばした。

 壁に打ち付けられた陣に仙は飛びかかる。

そして陣のした連撃を返す。

 最初の横振り、二発目の横振りは陣の胴体を更に刻み、大きく縦に振った三発目は防御の為に出てきた鱗赫と陣の身体を切り裂く。

 最後は渾身の力を赫子に乗せて斜めに斬る。

赫子は陣に直撃した。

 

「見事」

 

 陣はその場に倒れる。

そして身体の傷は徐々に再生している。

 

「本当に見事だ。良くやった」

 

「仙。行くんだな?」

 

仙は何時ものように無言で頷く。

 明日の夜、ここを出てコクリアを破る。

 

「少し前までは泣き虫だった奴がな」

 

「これだけ生きていれば面白いこともあるもんだな」

 

「仙、そうだ。渡すものが有った」

 

そう言い、陣は広場のすみに置いてあった箱から仙の手くらいの包みを4つ差し出した。

 

「これは?」

 

「俺達の赫包だ」

 

「強者の赫包は喰種を強くする」

 

「ありがとう」

 

感謝を伝え仙は赫包を一つずつ取り込んだ。

仙の身体は再生して最早戦う前と同じだった。

 明日はコクリア。

確実に雛実を助け出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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