喰種喰   作:リョー

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黒山羊

 仙は金木に案内され、大きな広場へと出向いた。

そこには沢山の喰種が居て、沢山の喰種の視線は金木、そして仙へと注がれた。

 元アオギリ所属の喰種も沢山居る。

しかしマスクを付けていたり、長い髪で顔を隠していることが多かった仙は余り素顔を知られていなかった。

 

「センくんはここで待っていて。何処にいても良いよ」

 

「分かった」

 

 了解した仙は広場の隅に座り込んで眼を閉じる。

ここに来る前に有った出来事を考えると、一度眼を閉じて頭を整理する必要が有りそうだった。

 雛実に思いを伝えられ、雛実に思いを伝え、付き合うことと成ったが何をすれば良いのかが分からない。

これまで約20年生きてきたがこうゆう出来事は無かった。

自分は何をして上げれば良いのか、どう関われば良いのか、頭の中はぐるぐると回る。

 そんな仙をアヤトが呼び戻した。

 

「よう。セン」

 

「アヤト」

 

 アヤトは仙の横に座った。

アオギリの頃からお世話に成ってきたアヤト。

戦闘での相性は雛実と同じくらい良く、それも有ってかアヤトと仙はいつの間にか親しく成っていた。

 

「センはこれからどうするんだ?」

 

「ケンについていくことにする」

 

「そうか、、、」

 

「アヤトは?」

 

そう聞くとアヤトは少し間を置いて答えた。

 

「俺は姉貴を守りたい」

 

「とても、良いと思うよ」

 

そう会話をしていると怒号が響いた。

 

「こいつがセキガンオウ?聞いてねぇぞ!!その顔面忘れねぇぞ!!神アニキを殺ったやろう!ぶっ殺してやる!!」

 

「よせナキ!そう言うことじゃねぇーだろ!」

 

アヤトが止めに入るのを仙は遠い眼をして見る。

喰種同士ならよく有ることだ。

そしてこう言うことには関わらないのが一番だ。

 

「大兄貴を殺った野郎だけじゃねぇ。なんで白鳩がいやがるんだよ」

 

「噂の隻眼の王ってのは人間に媚びるクソヤローか?」

 

ややこしく成ってきた。

仙は立ち上がってその場を去ろうとした。

しかしミザの声が仙を止めた。

 

「どこへ行くんだ?アマミヤ」

 

「別に貴方に言う必要はない。けど一つ言うなら余計なことで時間が潰されてくのは納得出来ない」

 

「そうか」

 

そう言うと次にミザは金木に向けて言った。

 

「カネキケン。私はアオギリの樹の元幹部、刃の首領のミザだ。私は島でお前の仲間に命を救われた。お前達の目指す物には興味がある。だからお前の考えを聞いてから決めたい。去るか。残るか」

 

仙は足を止めて振り返った。

これなら聞く価値はある。

仙は一度此方を見たミザに向かって軽く礼をした。

そして金木の方向を向く。

 

「僕は、、、、先代の隻眼の王の意志を継ぎ喰種と人が分かり合える世界を作ります。喰種は駆逐すべき、生きるためには人を殺して喰らうしかない。いつまでもも殺し合う関係が変わらないにはお互いに歩み寄ろうとしないからだ。人と喰種は分かり合える。人であった僕がここにいることがその証拠だ。大事なのは話し合うこと。でも彼らはそんなこと受け入れもしないだろう。だから強制的に話し合いのテーブルについてもらう」

 

「ここに隻眼の王を筆頭とする対人間の組織を発足します」

 

金木がそう言うと大勢の喰種が列を成して歩いてきた。

そして先頭にいた喰種の合図で金木に向かって伏せた。

 

「先ずはCCGと話し合うこと。組織の名前は黒山羊(ゴート)とする」

 

金木の話を聞き終えた仙は振り返って歩き出した。

 

「そこにいる隻眼は何も思わないのか?喰種と人間が話し合うなど!」

 

仙に向かって一人の喰種が言った。

 

「僕は僕を必要とする人に力を貸すだけ」

 

「だからケンに従う」

 

「でも、ケンが言う喰種と人が分かり合える世界。僕は気になる」

 

 そう言うと仙は本当に歩き出した。

仙は知っている。

人間と喰種が分かり合えることを。

仙がそこに存在していることが何よりの理由だからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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