喰種喰   作:リョー

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閑話。

 雛実が仙と付き合い始めてから未だに進展は無い。

寧ろ距離が遠くなったように感じれて少し寂しい。

お互いの好意を認識し、受け入れ合ったのならもう思うことは無い筈なのだが仙と話していると会話が途切れてしまい、そのまま離れてしまうことがよくある。

 少し悲しい顔をして歩く雛実を店から出てきた懐かしい声が呼んだ。

 

「ヒナミ。どうした?暗い顔して?」

 

「あっ。お姉ちゃん。うんとね、少し悩んでて」

 

雛実がそう言うとトーカは雛実を店の中に招いた。特に用事も無い雛実は店の中に入っていく。

 

「ゆっくり聞くから座って」

 

頷いた雛実は店の中のスペースを見つけて座った。

今日は休みのようで店の中には清掃をしている古間さんや入見さん、そしてトーカお姉ちゃんしか居ない。

暫くするとトーカはコーヒーを二つ持ってきて座った。

 

「で、どうしたの?」

 

「う、うん。えっと、誰にも言わないでよ?」

 

「うん。言わない」

 

雛実は若干俯きながら話し始める。

 

「私、最近センさっ、、、ある人と、、その、、、」

 

「いや、聞こえてる。で、どうしたの?はっきり言いなさい」

 

トーカお姉ちゃんは嬉しそうに笑う。

どういう話題か想像出来てるのに直接言わすなんて。意地悪だ。

 

「、、トーカお姉ちゃんの意地悪」

 

「ははっ」

 

雛実は仕方なく話す。

 

「私、、最近センさんとその付き合い始めたんだけど」

 

トーカは楽しそうに雛実を茶化す。

 

「ん?何て言ったの?」

 

「最近センさんと付き合い始めたんだけど!」

 

声を大きくして言う。

それが古間さんや入見さんに聞こえたようで向こうでも笑っている。

そして二人が寄ってくる。

 

「古間さん、入見さん、、誰にも言わないで」

 

二人はトーカと同じく嬉しそうに返事をする。

 

「まぁ僕はもう分かっていたんだけどね」

 

「えっ!?」

 

古間さんも心底嬉しそうに話し出す。

 

「いや、何日か前から仙くんの雛実ちゃんとの話し方とかが変わったからもしかしてかな、って思って聞いたんだよね」

 

「なんて聞いたのよ?」

 

入見さんまでもが食い付いている事態に頭を押さえたくなる。

 

「いや、雛実ちゃんと何かあったの?って。そしたら仙くん顔真っ赤にしながらコーヒー吹き出して」

 

「その後は心行くまでからかわせてもらったよ」

 

親指を立てる古間さん。

そして古間さんはポケットを漁って携帯電話を取り出して画像を見せた。

そこには顔を真っ赤にして撮るなと掌をこちらに向ける仙が居た。

 

「その時に撮った画像だよ」

 

「アイツ可愛いとこあるじゃん」

 

トーカが反応するとそれに同調した古間が他にも有る仙の画像を次々と公開していく。

雛実は赤い顔を覆った。

 一通り画像を見せ終わり、トーカ達もひたすら爆笑し終えたた後にトーカは聞いた。

 

「で、そんなセンと何が有ったのよ?」

 

「その、最近話せてないなって。付き合い始めてからなんか逆に距離が遠くなったなぁって。やっぱり私なんて、、、」

 

本気で悩む雛実にトーカ達はハッとする。

それだけ雛実は仙のことが好きなんだろう。

三人はからかうような笑みでは無く、優しい微笑みを浮かべる。

 

「仙くんも照れてるんじゃないかな」

 

「そうね。あの子恥ずかしがりやだしね」

 

古間さんと入見さんが言う。

続いてトーカお姉ちゃんも微笑みながら言う。 

 

「アイツは分かんないじゃない?付き合い始めてどう関われば良いかとか」

 

「でもそれって雛実が大事だからだと思うけど?」

 

雛実は仙を思い浮かべた。

すると喫茶店の扉が勢い良く開いた。

入って来たのは息を切らした仙だった。

そして雛実に向けて言う。

 

「ヒナミ。見つけた、、、」

 

「僕、分からないだけなんだ。誰か他の人を好きになったことも、誰かと付き合ったことも無いから」

 

「だから、素っ気ない態度を取ってしまうし、貴女を見ると照れてしまう」

 

「でも本当はヒナミのことが、、、好き、、、なの、、、、!」

 

その場に居た三人は勿論。

ヒナミはそれよりも驚いた。そして嬉しくなった。

 

「センさん、私も分からない。けど、それなら二人で一緒に探っていこうよ。私もセンさんのことが好きだから」

 

仙と雛実は見つめ合ったが、お互いに顔を赤くして目を逸らした。

 

「あっ!仙くん照れてるな~」

 

「ほら。雛実も照れんな~」

 

古間さんとトーカが二人を茶化した。

 

「照れてない!!」

 

仙の声が響いた。

 

「エンジ。あの写真、見せてないよね」

 

「どうかなー?」

 

未だに赤い仙をヒナミは見る。

いや、自然と目が仙を追うのだ。

そして思うのだった。

 

「やっぱり大好きなんだ。私は」

 

そして仙は雛実の元へと近づく。

 

「一緒に帰りたい」

 

「うんっ!ねぇセン()()手、繋ごうよ」

 

「う、うん」

 

二人が並んで進む姿を夕日が照らした。

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