喰種喰   作:リョー

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天宮仙
18歳
re type:不明
size186cm/59kg




邂逅

 「君は弱い」

 

「何も持っていないのではなく何も得ることができなかった敗北者だ」

 

「妹が死んだのだって君の力不足」

 

「目の前で死ぬ妹を守れなかった君のせい」

 

「そう。全て君のせい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アオギリの樹に所属してから数日が経った。

仕事は自分が目覚めた日の午後から与えられ、捜査官、敵対喰種の排除から偵察まで多岐に渡った。

 自分は他の構成員がアヤトと呼ぶ、自分と同い年若しくは少し下くらいの青年の下につき活動をはじめた。

 そして今日もアヤトとの仕事を終え、暗いアジトに帰った自分を可憐な少女の声が呼んだ。

 

「えっと、アマミヤさんですか?」

 

「そう。なに?」

 

 少女の眼に映るアマミヤ。

光が当たって白く見える灰色の髪と片方だけ光る紅に、どうしても自分のよく知る少年と重ねてしまうが、その目は虚ろで暗く淀んだ雰囲気を纏っていた。

 

「えっと、私新人教育でアマミヤさんの担当に「アヤトから聞いた」」

 

「天宮仙。好きに呼んで」

 

 冷えきった声、纏う雰囲気、喰種喰らいという異名、少女はこの青年に対して怖れを抱いていた。

そして早速の冷たい態度に心が折れかけた時、仙から言葉が聞こえてきた。

 

「それと、その、よろしく」

 

気恥ずかしそうに発せられた言葉。

口数は少ない、どこまでも冷たい。けど少し温かいところが有って、もしかしたら本当は優しいのかも知れない。

どちらにせよこの青年からは悪い気はしない。

 自然と笑みが溢れてきた。

 

「はい。よろしくお願いします!私は笛口雛実といいます。ヒナミと呼んでください!じゃあ、センさんで」

 

喧嘩したらどうしよう、話なんて聞いてくれないかもしれない、怒らせたら殺されるかもしれない、そんな考えは吹き飛んだ。

この人なら案外上手くやっていけそうだと、そう思うのだ。

 少しの間、そんなことを考えていると目の前にいる仙が無言で首を傾げた。

 

「あっ、ごめんなさい」

 

「うん。それで何を教えてくれるの?」

 

ヒナミは説明を始めた。

ヒナミの説明を聞いて仙は頷く。

 

「先ずはアオギリの樹でのルールです」

 

「了解」

 

そうしてアオギリの樹でのルールを一通り話終えて、口頭で説明することは無くなった。

明日からは一緒に仕事に行き、新人教育を行うのだ。

 仙の分かりが良かったからか時間が余った。

相変わらずの眼で部屋を眺める仙にヒナミは話しかけた。

 

「仙さんはどうしてアオギリに来たんですか?」

 

「それは今必要?」

 

「いえ。必要ではないですね。少し知りたかったんですけど言いたくないならいいですよ」

 

「、、、。力が欲しかったから。奴を倒すための。そして、、何かを得るための」

 

「それと、敬語はいい。普通に接してくれて構わない」

 

「分かりまっ!、、、うん。分かった」

 

クスリと笑うヒナミに妹を感じた仙。

仙の脳裏には笑顔を浮かべた妹が居た。

しかしその笑顔は燃えるように消え、次に浮かぶのは苦しそうに顔を歪めながらも無理に笑う妹だった。

仙は唐突な吐き気と頭痛に見舞われ、胸の奥がズキズキと痛んだ。

感覚が優れているヒナミは急に呼吸が荒くなった様子を感じとり、声を掛けた。

 

「大丈夫!?」

 

「気に、しない、で。今は一人にして欲しい」

 

言われた通り、ヒナミは部屋から出ていったが心配になり、少しだけ開いた扉の隙間から仙の様子を覗き見た。

血のように赤い涙を虚ろな目から溢す仙。

きっと彼はずっと悲鳴を上げているのだろう。

それが何なのかは知らない。

だから助けることも出来ない。

けど、色んな感情の入り混じったその血の涙はヒナミに焼き付いては消えなかった。

この日、自分が覗き見たものは仙の様子などではなく天宮仙が唯一持つものの一部だとヒナミが気付くのは随分と後になってからであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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