喰種喰   作:リョー

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訓練

 「戦闘できる捜査官は急行して下さい」

 

「コクリアへの護送車が正体不明の喰種の襲撃を受けました!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ヒンヤリとした空気が漂う静かな空間で仙は目覚めた。

目の前にあるのはアジトの天井じゃない。

 この光景アジトよりも見慣れた物だった。

 

「起きたか。仙」

 

 近くで響く男の声。

この声にも聞き覚えがある。

 

「うん。陣、だよね」

 

「ああ」

 

「何故、僕はここに」

 

「コクリアに護送されている所を助けた」

 

「そう。一緒に、女の子が居なかった?」

 

「助けだそうとしたが、死神に阻まれた」

 

「そう」

 

この男、陣は言うなれば仙の義父だ。

両方の親を喪い、妹と東京を彷徨いていた仙に力と居場所を与えたのがこの男だ。

 

「そう言えば霞はどうした」

 

「、、、。」

 

仙の顔で察したのか、陣は済まないとだけ言ってその話を続けることはしなかった。

 

「お前、また俺の所にくるか?」

 

「お前の眼は力を求めている」

 

そうだ。

今は力が欲しい。

あの捜査官を殺せるくらいの、そして雛実をコクリアから連れ出せる位の。

仙が知っている喰種の中で一番強いのは陣だ。

数年前、逃げるようにしてこの場所を出てきた為か、再び戻るのを躊躇っていたがそんなことは今は言っていられない。

 

「陣。僕をもっと強くして」

 

「陣の持っている力の全てを僕に頂戴」

 

そう言うと陣は静かに笑う。

 

「折れない、か」

 

「良いだろう。お前を強くしてやる。行くんだろう?コクリアに」

 

無言で頷く。

 

「先ずはお前を運んだ姉達に挨拶をしてこい」

 

 そう言われ、仙はベッドから降りた。

約10年の時を経て帰ってきたこの場所は変わっていず、それが仙を安心させる。

 長い石造りの廊下を歩き、最奥の扉を開ける。

 

「あっ!センだ!」

 

「、、、おはよう」

 

「久しぶりー!」

 

駆け寄ってくる喰種達。

彼らは血は繋がっていないが皆姉だ。

 

「ちょっと見ない間に格好よくなっちゃって!」

 

「ちょっとじゃない。大体10年間」

 

「ねぇねぇ彼女出来たのー?」

 

賑やかな雰囲気。

久々のこの雰囲気は中々悪くない。

 

「そう言えば運んでくれてありがと」

 

「凄い傷だった。治った?」

 

 既に再生は終わっていた。

姉達と話していると、陣がやって来た。

 

「挨拶は済ませたようだな」

 

「暫くは此処で過ごすのだろう」

 

「ここはお前の家だから好きな様に過ごしてくれて構わない」

 

「部屋は昔の部屋を使え」

 

「訓練の時は呼ぶ。一応朝から晩までずっと訓練を行うつもりだがな」

 

陣に頷く。

早速訓練だと、言われ仙は大広場へ向かう。

 そして訓練が始まった。

 

「先ずは眼を閉じ、一切の思考を捨てろ」

 

言われた通りに眼を閉じる。

隻腕のこと、雛実のこと、アオギリのこと。

それらを一番置き、眼を開ける。

すると焦っていた気持ちも落ち着き、身体が軽くなった。

 

「ああ。それで良い」

 

「次にお前に付いた癖を取るぞ」

 

「我流の戦い方も良い。だがそれでは俺の教える技も取り込めないだろう。我流に戦うのは全てを教えてからだ」

 

そう言い、基礎の基礎から訓練は始まった。

 出来るだけ早く、だけど丁寧に仕上がるような訓練を陣は施す。

出来ないなら出来るように成るまで。

必死で体得して、全ての基礎を学び終えるころには無駄を一切省いた流麗な動きをしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「良い動きだ。ここまで来るのに二週間。だがまだ終わりじゃないのは分かっているだろう」

 

仙と長女の燐が闘う様子を見て陣は言う。

 

「燐。戦っていて何か思ったか?」

 

「隙と癖が無いと思った。案外やりにくいかも」

 

燐の言葉に陣は笑みを浮かべる。

 

「よし。仙。合格だ」

 

「だが、次からが長いだろう」

 

「俺と戦ってどんどん俺の技を盗んでいってもらう」

 

「分からない技は俺に聞け。どんどん教えてやる」

 

「そして本気の俺と姉達を倒せれば合格だ」

 

仙は気合いを入れながら頷く。

 この二週間、1日16時間の訓練で得たものを更に昇華させるのが次の訓練。

そして実戦に一番近いのも次の訓練。

 

 

 

 

 

 

 

 

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