また1000文字前後に逆戻りかも、、、
大広場の真ん中で、二人の男が正座をして向き合っていた。
しかし二人の感覚は遠く、どちらとも眼を瞑っている。
そして一人が一気に立ち上がると、もう一人も立ち上がり戦いを始めた。
「なかなか良い感覚だな」
「それを活かして戦え」
陣は戦いながら指摘する。
「はい」
仙の白い赫子は陣の赫子とぶつかり合う。
どちらの動きも流麗で無駄が無い。
「やはり良い動きをする。学んだことは無駄に成っていないようだな」
寝る時間を削ってでも1日で学んだことをもう一度復習する。
毎日そうしていた仙の当然の結果だ。
「しかしもう少し柔軟に動かすことも必要だな」
そう言って仕掛けてきた陣の攻撃を仙は取り込む。
そうして取り込んだ技を攻撃に組みこんで食らわす。
「そうだ!良いな」
陣の声が響く。
「それなら、これはどうだ?」
うねる赫子は軌道を左右に変えながら迫ってくる。
そして赫子は仙を貫いた。
仙は空かさず立ち上がり、更なる追撃を赫子で防ぐ。
「そうだ。守れ」
「敵の攻撃を絶対に受けないようにあるものは全て使え」
「よし。これはどうだ」
陣の赫子は細くなり、仙に真っ直ぐ飛んでくる。
当然の様にそれは防いだが、反動を利用して陣は間合いを詰める。
「成る程。こう言う攻撃には馴れていないか」
そうして1日の訓練は終了した。
第二の訓練が始まって既に1週間。
陣に勝てる自信は未だに無い。
場所は変わって東京の中にある喰種の収容所、コクリアの中。
その一室に一人の少女が何をするでもなく、ただ座っていた。
アヤトのこと、アオギリのこと、記憶を失った彼のこと。
色んなことを考えるが何より考えるのは灰色の髪が特徴的で、虚ろな眼をした仙のことだ。
捕まってから暫くの時間が経った。
そして時間が経つに連れて想いは大きくなる。
あの冷たい手に触れたい。
あの冷たく聞こえて温かい声を聞きたい。
あのどこか寂しそうな顔を見たい。
あの隠れた控えめな優しさを感じたい。
自分にとっての彼がここまで大きなものだとは思わなかった。
一緒にいた時間はアヤトの方が大きい筈。
だけど頭を占めるのは仙だ。
無愛想で、不器用で、いつも冷たいくて怖い。
だけど優しくて、少し天然で、そんなところが可愛い。
そんな仙のことを自分は、、、、。
今頃彼はどうしているんだろうか。
多分苦しんでいるに違いない。
そして必死に足掻いているに違いない。
小さい頃から居場所を奪われ、唯一の支えの妹が殺され、暗い過去を一人で背負って歩いてきた彼にどうか明るい未来を。
彼が悲しむことはもう有りませんように。
小さく冷たいこの部屋でそう祈るのだった。