5年前、当時たったの10歳にしてレベル3に達した少年。
その少年も前に広がる景色は果てしない赤、そして死体の山。
その死体の山を映している少年、クロス・キースの目は死んでいた。
クロス「…終わった」
その一言が静かに空気に消えていった
それから5年
ギルド
冒険者A「なぁエイナさん、今日こそ飯行こうぜ?飯代全部俺出すからよ~」
エイナ「申し訳ありません。家に帰っても仕事しんきゃいけないので…」
ごつい30代後半であろう冒険者がエイナを口説いてた。会話を聞く限りでは何度か断られてるらしい。
それでも男が諦めないのはハーフエルフであるエイナの美貌ゆえだろう。
断り続けるエイナ、苛立ち始めた男、そのままだと分かっているが男はそこそこ有名なレベル3、下手に手を出したら返り討ちにされるため、誰も止めに入れない。
冒険者A「いいじゃんか、な?悪いようにはしねえって」
エイナ「こ、困ります、他の方のご迷惑になるので…」
冒険者A「あぁ?それならさっさとOKだせよ!何回誘ってるドァッ!!」
エイナ「!?!?」
そんな時、いきなり男がエイナと周りの人間の視界から消えた。
その代わりに1人の黒髪のヒューマンの姿に目を向けていた。
そしてエイナは先ほどとは打って変わって、嬉しそうな表情をしていた。
??「ただいまエイナさん」
落ち着いた雰囲気で話しかける。
そうするとエイナは満面の笑みで
エイナ「おかえりなさい!クロくん!」
豊穣の女主人 エイナSide
酒を一気飲みしている私と、正面に座りぶどう酒をちびちび飲みながら私を心配そうに見るクロス・キース改めクロくん。あんなことがあったんじゃ飲まなきゃやってられない。
エイナ「ぷはぁぁ!なんなのあいつ!今日で何回目よ!あんな周りの事考えない人なんて絶対無理!!」
クロス「酔ってますねエイナさん。もう10杯目ですよ。」
エイナ「いいじゃない今日くらい。久々にクロくんとのご飯なんだから!それより今回の遠征はどうだった?何か収穫はあった?」
クロス「特に何もなかったですよ。いつも通りレベル1の人たちが3人くらいレベルアップした程度です。」
そう言いながらクロくんはぶどう酒に口を付ける。その顔の瞳が虚ろで少しキュンっときた。
まったく本人が自覚してないのが気に食わない。
エイナ「年下のくせに…」ボソ
クロス「??何か言いました?」
ああ!そういうキョトンとした顔もしてくる!ほんとに無自覚なんだよね?この子といると心臓がもたない
エイナ「ふーんだ、クロくんになんて教えないもんね~」
クロス「何を言ったのか気になりますけど、エイナさんの機嫌が直ってよかった」
普段笑わないクロくんが、優しいて柔らかい笑顔で言ってきた。
やばい、にやけちゃう。こんな顔クロくんに見せられないなぁ
そう思ってジョッキの中に半分以上あるお酒を一気に飲み干し、そこから記憶が無くなった