投稿日時:統一歴2015年2月19日
某軍事系解説ブログより
ナレーさん:さぁ今日も「帝国印のヤバイ奴」を始めるぞ!
ヤマモト/レイ:ジー……
ナレーさん:さぁ今日も「帝国印のヤバイ奴」を始めるぞ!
ヤマモト/レイ:ジトォ……
ナレーさん:…書くと言って7年近く放置してごめんなさい!!
ヤマモト:正確には6年6ヶ月ですね
レイ:ボリンピックが2回ありましたね
ナレーさん:うぅ…
ヤマモト:もうナレーさんなんて尊称も勿体ない。おいナレー、さっさと始めろ
レイ:おうあくするんだよ、馬車馬のようにキリキリ働け
ナレー:ひどっ!?…って待って!?名前が変わってる!?
ヤマモト:遅刻野郎は放っておいて、さっさと始めるど
レイ:オーイエーッ!
ナレー:…え、マジでこのまま?
ヤマモト:テーマは予告通り、Ta262シュワルベです
レイ:ここからは解説しか能のない遅漏のナレーにやってもらいましょう!
ナレー:扱い酷くね!?……ええぃ!こうなりゃヤケだ!!まずは三面図をドンッ!!
ヤマモト:もうこの時点で大草原不可避
ナレー:さすがどこを切り取ってもネタと言われるだけはある
レイ:この見た目で「
ナレー:それについては従来から「欺瞞名称」と言われてきた。連合軍を混乱させた超重戦車計画「マウス」に「ラーテ」――こいつらは混乱させる程度に具体的な設計図
ヤマモト:ああ、実態と逆の名前を付ける奴
ナレー:そう、それ。ただ最近では
レイ:それにしても名前と見た目の乖離が酷すぎる……。ところで性能は?
ナレー:おっと失敬。諸元を載せてなかったね。――はいコレ
【諸元】
機体名:Ta262
全 長: 9.55m(機首ピトー管含む)
全 幅:10.40m(プロペラ除く)
11.20m(プロペラ含む)
全 高: 4.50m(飛行時)4.72m(駐機時)
空虚重量:6,715kg
総重量:8,785kg
最大離陸重量:9,800kg
機内搭載燃料:1,500ℓ
プロペラ:ブレード4枚(直径4.50m)×2
エンジン:Wespe037-2(2段3速機械式過給機・離昇2,800Hp)×2
※B型は037-3(1段2速機械式過給機)
最高速度:775km/h(高度9,500m)
巡航速度:330km/h
着陸速度:85km/h(実測値)
航続距離:約1,000km(巡航2h+最大速力30m)
実用上昇限度:13,000m
上昇能力:23.50m/s(海面高度)、高度6,000mまで5分20秒
武 装:MGK20―2(3,000発/分)×2
爆装ほか:規定最大搭載量2,000kg
ヤマモト:…見た目からは信じられない高性能!?
レイ:当時の連合国側からは「恐怖の円盤」「恐るべき
ナレー:ちなみに射撃兵装については、射撃速度変更機能を廃し、発射速度そのものを下げた代わりに量産性と信頼性を上げたMGK20―2を採用している。
ヤマモト:…発射速度下げたところで、2つ積んでいるせいで毎分6,000発と言うバケモノなんですがそれは(困惑
ナレー:ちなみに投射重量(弾頭重量×発射速度)でグラフにするとこんな感じだ
レイ:うわぁ…(ドン引き
ヤマモト:なんか一つ、ぶっ飛んでいるんですがそれは…
ナレー:重爆を一機たりとも生きて帰さんと言う殺意に満ち満ちているな(遠い目
ナレー:なお運用していた当の帝国人からの評価はと言うと…
『度し難い外見から許しがたい性能を発揮するゲテモノ』
――アドルフ・ガーランデ回顧録より
『作ってしまってから思わず首を傾げた。『どうしてこうなった?』と』
――設計主任、クル
『美しさのかけらもない、帝国技術廠の恥さらし』
――帝国技術廠主任技師、アーデルハイト・フォン・シューゲルの手記より
ヤマモト: えぇ…(困惑
レイ:散々すぎて草
ナレー:むしろ我々の言いたいことを全部言ってくれているというね。
ナレー:ちなみにこいつの実戦投入直後、各地の帝国軍部隊に発出された警報もなかなか酷い。
ヤマモト:と、言うと?
ナレー:簡単に言うと――
【帝国軍中央】明日より友軍新型戦闘機(シュワルベ)を投入する。誤射に注意されたし。
【帝国軍高射砲部隊】その友軍機の特徴を通知されたし(誤射するなっつっても、モノが分からんと…)。
【帝国軍中央】見れば分かる
【高射砲部隊】…通信装置の不調かな?…友軍機の特徴を通知されたし
【帝国軍中央】見れば分かる!!
【高射砲部隊】…通信装置の不調じゃない、だと……!?
レイ:酷すぎる上に間違って無くて草www
ヤマモト:まぁ、見れば分かるよねえ…
ナレー:なお、後日談もなかなか酷い
『本当に見れば分かった。そして一発で覚えた』
ヤマモト/レイ:でしょうねぇ!
ナレー:なお統一歴2015年現在でも『実戦投入された唯一の円盤翼機』というタイトルを保持しているから、識別は容易だ
ヤマモト/レイ:他にいてたまるか!
【異形の翼】
ナレー:先ほど触れたとおり、こいつは「円盤翼機」という…まぁ、見ての通りの形状をしている
ヤマモト:どこをどう見てもゲテモノなんだよなぁ…
レイ:これを考え付くヤツの気が知れない
ナレー:ところがどっこい、じつはこの「円盤翼機」。シュワルベ以外にも複数の国と地域で考えられていたりする。…まぁ、実用化されたのは一種のみだが
ヤマモト:えぇ…(困惑
レイ:どういうことだってばよ…
ナレー:V/STOL機になるくらい揚力発生に有利で、速度性能的には翼端渦の発生を抑えられるという利点があるらしい。本当かなぁと思うんだが…
ヤマモト:まじで?
レイ:実機の性能を見る限り、あながち間違ってなさそう…
ナレー:まぁ、先に言ってしまうと『こんな大馬力エンジン積んでるなら、通常の翼形状でも十分に――むしろもっと簡単に――達成できた性能』なのだがね!
ヤマモト/レイ:おい!?
【着想】
ナレー:さて、こいつを着想したのは例によって例の如く、ツェツィーリエ・フォン・プロイツフェルンだ
ヤマモト:ま た お 前 か
レイ:もう突っ込むのも飽きたよ
ナレー:『スケッチ』によれば、彼女はこいつを秋津洲の『ハタ』から着想したという
ヤマモト:…え、秋津洲の?
レイ:なんで『旗』からアレを…?
ナレー:ああ、違う違う。秋津洲西部の『
まぁ、凧の一種だな。日記に「金毘羅、風頭でハタ揚げしたい」「ハタ合戦やりたい」とはっきり書いているから確実だ
ヤマモト:なんでそんなピンポイントでローカルなところから着想するんですかねぇ…(困惑
ナレー:別のところで「カステラの最小単位は一号、異論は認めない」とも書いているな
ヤマモト:コイツ中身秋津洲人だろ!?
ナレー:駐ベルンの秋津洲大使、職員の記録、報告に「――皇女殿下は公式な謁見の場を除き、全て秋津洲語で我らと相対した」とか「冬の晩餐会で『簾が無いので風流に欠けるが、我が国の冬も楽しんでほしい』と言われた」とあるからな。あながち否定できない…
ヤマモト:古典まで網羅してますやん…
レイ: それに桜が好きで、自分の紋章替えた逸話がありませんでしたっけ
ナレー:それもある。ついでに駐秋津洲の帝国大使館に命じて、あの「●屋の羊羹」をベルンまで取り寄せていたらしい
ヤマモト:…なるほど、甘党か
レイ:……あんた、とうとうツッコミを諦めたわね
ナレー:話を戻すと、形状も「凧」よりも「ハタ」の方が近いから、スケッチにある通り「ハタ」から着想を得た、と言うのが現在の定説だ。…なんでそこからなのかは、未だ誰も説明できていないんだが
ヤマモト:またかよ…
レイ:この人、説明出来ない事象が多すぎるよ…
ナレー:そうそう、だから私もなかなか書けなくて――
レイ:それ以上言い訳したら…その口を縫い合わすぞ
ナレー:ハイッ!(正座
【開発経緯】
ナレー:と、とまぁ着想自体は謎だらけだが、開発経緯については過去の研究の積み重ねでかなり詳細まで分かってきている。それによれば、こいつの
ヤマモト:意外と早かった
レイ:…ん?待ってくださいよ。1914年ってもしかしなくても――
ナレー:帝国空軍が発足した年だな!
ヤマモト/レイ:そんな時から!?
ナレー:その通り。そして帝国空軍発足と同時、ツェツィーリエ・フォン・プロイツフェルンが絡むもう一つのイベントがあったのを覚えているかな?空軍関係で
ヤマモト:やっぱり『レヒリン航空技術センター』ですかねぇ
レイ:たしか御料牧場だったのを、皇太女だった彼女が空軍に下賜したんですよね
ナレー:正解!それ以前の陸軍航空部が組織的にも、そしてテスト場も飽和状態だったのを両方解決したと言える。今日彼女が『ライヒ空軍の母』と評価される所以だな
ナレー:そして、そんな彼女は『レヒリン航空技術センター』の発足式、あるいはその後の懇談会で、技術者たちに宿題を出した。「こいつを研究してくれ」と
ヤマモト:オチが読めた
レイ:奇遇ですね。私もです
ナレー:彼女は2種類のスケッチを提示したという。
――「前翼機」と「円盤翼」だ
ヤマモト:よりによってその二種類かよぉ!?
レイ:最初に出す宿題がそれとか、たまげたなぁ…
ナレー:だが、彼らからすればツェツィーリエは皇太女であると同時に大恩人。
ヤマモト:空軍独立によって予算も増えただろうし、実験場も数倍の広さになってますものねぇ…
ナレー:加えて数年後、予算の問題で危ぶまれていた当時世界最高性能の巨大風洞実験設備の導入が「帝室からの寄付」と言う形で実現している
レイ:あかん、絶対に断れない奴やコレ…
ナレー:その通り。結果1918年には両方ともグライダー試験を実施するまでに進捗した。
ヤマモト:…技術者さんたち、頑張ったんやな
レイ:あるいは元のスケッチが優秀だった可能性が…
ナレー:察しが良いな。円盤翼機の『スケッチ』はこんなだったらしい
ヤマモト:ほ ぼ 実 機
レイ:い つ も の
ナレー:本 当 に そ れ な
ともあれ、残っている資料には「最初は嫌嫌だったが、進めてみると予想外に面白い機体特性を有することが分かった」とか「最初は苦痛だったが、一月立つ頃には慣れ、半年過ぎるころには美しく見え、一年がたつ頃には三日も開発から離れると手が震えるようになった」とある
ヤマモト:それ危ないブツ決めてません?
レイ:特に最後、禁断症状なんですがそれは
ナレー:禁断症状はさておき――
ヤマモト:さておくの!?
レイ:話が進みませんからね、シカタナイ
ナレー:――意外と高性能を発揮することが分かってきた。当時の報告書の要点をまとめると――
【円盤翼】
「メリット」
・揚力発生に有利=V/STOL性能
・胴体と翼と言う概念がないため、接続部(フィレット)不要=空気抵抗の減
・翼端渦を低減できる=空気抵抗の減
「デメリット」
・着陸時の前下方視界が悪い
・プロペラトルクの影響を強く受けるため、双発以上が必須
【前翼機】
「メリット」
・エンジンが前方に無いため、武装の機首集中配備が単発機にもかかわらず可能
・従来、単なる空間(デッドスペース)となっていた胴体後部を前方に持ってくる形となるため、この部分に武装を搭載可能となる=機内レイアウトの効率が良い
・前翼(従来機では尾翼)も揚力を発生するため、主翼を小型化できる=空気抵抗の減
・以上の事から機体を全体的に小型化でき、従来型より高速を発揮可能となる
「デメリット」
・プロペラが後部にあるため、従来の「尾輪式」が採用できず、「前輪式」の研究が必要
【当初の本命は『前翼機』】
ナレー:そしてこの時期の報告書をつぶさに読むと、本命は「円盤翼」ではなく「前翼機」だったことが分かる
ヤマモト:えっ
レイ:そうなんですか?
ナレー:どうもそうらしい。実際、皇女ツェツィーリエが「後ろにプロペラのある珍妙な飛行機模型」を手に「400ノット、400ノット」と呟いている「奇怪な姿」が複数名から目撃されている
ヤマモト:…形的に前翼機だなぁ
レイ:それ以前に同時代の人から奇怪認定されてるんですがそれは
ナレー:それだけじゃない。その模型の名前を尋ねられた彼女が、『
レイ:えっ!?
ヤマモト:元々は前翼機が本命で、「シュワルベ」だったってこと!?
ナレー:どうもそうらしい。まぁ、『前翼機』と『円盤翼』。両者を並べて「どっちが燕ですか?」と聞いたら…ねぇ?
レイ:それはそう
ヤマモト:だとすると、どうして名前と実態が入れ替わったんだろう?
ナレー:それについては近年、シュワルベ主任設計技師、クルク・タント氏の手記の解析が進んだことでだんだんと分かってきた
ヤマモト:『Ta』の語源となった人ですね
レイ:何が書いてあったんだろう
【「シュワルベ」の真相】
ナレー:そもそもクルク・タント氏は帝国空軍生え抜きの技術者ではない。
ヤマモト:そうなんですか!?
レイ:ブリッツの開発でも名前が出ているから、てっきりそうかと思っていました
ナレー:彼がもともと属していたのは民間の航空機メーカ、『ウルフ・フォッケ社』。社長は数々の回転翼機で有名な、あのフォッケ博士だ
ヤマモト:あの世界初の実用型ヘリコプターを開発したという…
レイ:意外な繋がりですね。…あれ?でもフォッケ博士も帝国空軍航空技術省にいたような…?
ナレー:
ヤマモト:…と、言うと?
レイ:嫌な予感がする…。
ナレー:要するに『回転翼機が作りたくて会社を作ったは良いが、固定翼機の注文しか入らない会社社長と、そうとは知らず入社してしまった有能なエンジニア』…。何が起こるか、分かるな?
ヤマモト:あっ(察し
レイ:――受注も設計も丸投げして、社長は自分の研究室にこもりきりですね、分かります
ヤマモト:――で、気付けば資金繰りが苦しくなって、そこに目を付けた空軍航空本部に会社丸ごと買収されるまでがワンセットですね、分かります
ナレー:……あれ、台詞が無くなった…?
ナレー:こ、コホン。そう言う経緯でタント技師がレヒリンにやってきたのが1917年。で、来てみたら――
ヤマモト:――回転翼機も真っ青なゲテモノ開発に邁進する先輩たちの姿が!……こ れ は 酷 い
ナレー:そして彼が優秀なエンジニアだったことが災いした。彼が何度異動希望を出しても、帝国空軍は絶対彼を逃がさなかったんだ……
レイ:おいたわしやタント…
ナレー:そんなタント技師の苦労の甲斐あってか、揃いも揃って異形の機体だったというのに、前翼機と円盤翼機、両者のエンジン付き試作機が1920年に完成。
ヤマモト:開発スピード、上がってますねえ…
ナレー:そしてこの段階で、前翼機の欠点が次々と露わになった
ヤマモト:えぇ…
レイ:ゲテモノと言う時点で欠点だらけと気付きそうなものだが…
ナレー:まぁそう言わずに見て欲しい。当時の記録を抜粋すると――
(1)前翼機は無理な機首上げをするとプロペラが地面に接触する。このため離陸滑走距離が長くならざるをえない
(2)構造上、主脚が長くならざるを得ず、強度上の不安がある
(3)着陸速度が速いこともあり、着陸時に前脚が折れたことがある
(4)前輪で跳ねた小石がプロペラを傷つけるため、舗装された飛行場でしか運用不能
総論:運用には舗装された長大な滑走路が不可欠。野戦飛行場では運用不可能
ヤマモト:これはもうどうしようもないのでは?
レイ:推進式プロペラ機の宿命と言うべきでしょう
ナレー:そうだな。しかしこの点円盤翼機はと言うと――
(1)従来機と隔絶した短距離離陸が可能。条件によるが、向かい風に恵まれたときはフル装備にもかかわらず50m程度で離陸に成功
(2)尾輪式なため、少々手荒な運用、不整地での運用に耐える
(3)失速速度が恐ろしく低いため、視界の問題はあるがかなりの低速での着陸が可能
総論:野戦飛行場はおろか、多少の凹凸ならば許容可能
ナレー:円盤翼機の強みがここぞとばかりに発揮されているな
ヤマモト:そう言えば「シュワルベ」の着陸速度、この時代の戦闘機と思えない数値でしたねえ…
レイ:物凄い迎え角になってそうですが。視界はどうしたんでしょう?
ナレー:ネタ晴らしになるが、『下方覗き窓』、つまりパイロットから見て前下方の床に防弾ガラスを装備していた。見えづらいと不評ではあったが
――ちなみに『もっとも速度域の広い航空機』のレコードも持っているぞ
ヤマモト:知 っ て た
ナレー:……で、この時期前翼式極めつけの問題が発覚する
レイ:これ以上何かあるの?
ナレー:グスト式機関砲との相性が悪い
ヤマモト:…あっ
レイ:まあ、真後ろにプロペラが来ますものね…
ナレー:実際、最初から通常の排莢方式は不可能と判断されており、「薬莢受け」、つまり薬莢を排出せずに持ち帰ることになっていたんだ――グスト式が現れるまでは
ヤマモト:グスト式の発射速度で薬莢持ち帰るとか…かなり厳しいですよね
レイ:…あれ?そう言えば以前*1で、『リンクレス給弾方式も試作した』って言ってましたよね?…まさか
ナレー:――前翼式の旗色が悪いと見て取ったツェツィーリエ・フォン・プロイツフェルンがグスト技師に囁いたらしい。
――「排莢口の事を考えなくて済む、リンク不要の給弾機構のアイデアがあるんだが、聞かないかい?」と
ヤマモト:完全に私利私欲やんけ!?
レイ:どんだけ前翼式にしたかったんだこの人…
ナレー:このほかにも空冷エンジン搭載の前翼機で問題となるであろう冷却空気取入口のヒント――胴体との間に3センチ程度の隙間を設ける――とか、かなりテコ入れしていた節がある
ヤマモト:えぇ…
レイ:じゃぁなんで円盤翼とか提案したのさ…
ナレー:どうも当て馬だったらしい。「円盤翼よりは前翼機の方がまともに見えるから、採用のハードルが下がるだろう」とでも思っていたんじゃないかな
ヤマモト:草
レイ: ところが作ってみたら円盤翼機の方が良い結果になってしまったと
ナレー:そう言うこと。だが、彼女の執念も叶わず、1920年夏の技術局中央会議で、『円盤翼に優る点無し』と判定を下されてしまったぞ
ヤマモト:まぁ、そうなるよなぁ
レイ:そう言えば、速度性能は?
ナレー:前翼式も750kmは出るという計算は出ていたが、同じ会議の資料で『円盤翼は790kmも狙える』との報告がなされている
ヤマモト:無慈悲で草
レイ:円盤翼…地味に性能が良いんですね……
ナレー:うむ。タント技師の手記を借りれば、従来翼に比べ、以下の点で優れていたそうだ
(1)翼面積が広いため高い揚力を得られ失速しにくく、広い速度範囲で飛行できる
(2)翼端がないため、速力向上の妨げとなる『翼端渦』がほぼ発生しない。
(3)翼端に大型プロペラを配置し、左右逆回転・外回りとすることで、プロペラ後流で翼端の気流を翼下に“抱え込み”、翼端渦を打ち消しつつ揚力を稼ぐことが可能
(4)高揚力から、従来の機体とは比べ物にならないほど短距離で離陸可能
(5)失速速度が低いため、超低速でも安定して着陸可能。これにより着陸難易度が下がるほか、短距離での着陸、制動が可能
(6)上記(4)、(5)、及び不整地に強い尾輪式の特性から、整備不十分な野戦飛行場はもちろん、障害物さえなければ不整地でも運用可能
(7)円盤翼は「翼兼胴体」としての性格を持つことから、コックピット、エンジン、燃料タンクを比較的短い前後幅、左右幅で収めることが出来る(機体の小型化)
(8)従来の翼とは比較にならない厚み、強度を持たせることが出来、抗堪性に優れる
レイ:…ほんと、見た目からは信じられない高性能(白目
ナレー:ただまぁ、それでも彼女は諦めていなかった
ヤマモト:マジかよ
レイ:前翼式の何が彼女をそこまでさせるんだ……
ナレー:未だによく分からんが、彼女が『J7W2ならあるいは…』とか『
ヤマモト:『J7W2』って?
ナレー:分からん。いまだに解明できた奴のいない謎のコードだ
レイ:えぇ…
ナレー:しかし彼女が執念深く前翼式の研究を進めていたのは事実だ。その執念は戦後、ジェットエンジン搭載前翼式戦闘機『Ta383』、あるいはカナード付きデルタ翼戦闘機に引き継がれたとも言われている。…特に前者は『スケッチ』のまんまだからな
ヤマモト:執念こわっ
レイ:本当になんでそこまでしたんだろうか…
ナレー:そこについては多くの学者が匙を投げてこう結論付けている。
――奴を理解しようとするな。汝深淵を覗き込んだが最後、帰って来られなくなる
ヤマモト:酷い言われようで草なんですが
【そして名前が乗っ取られた】
ナレー:話を戻そう。1920年夏の技術局中央会議で軍配は円盤翼に挙がった。この時点で開発開始から6年が経過しており、流石に皇女の道楽を二種類同時並行するのは厳しい状況になっていた
ヤマモト:道楽ってwww
レイ:まぁ、少なくとも見込みのない方の研究を続行するなら、それは道楽ですよねぇ…
ナレー:そう言うこと。このため、中央会議の結果を受けた『第81回特殊翼機検討委員会』において、正式に前翼形式の開発終了、円盤翼機の実用化計画の開始が決定されたんだが、ここで「開発秘匿呼称」が議題になった
ヤマモト:ほぅ…?
ナレー:これまでの実験から、帝国空軍技術者たちは円盤翼が予想以上に高性能を出しうる可能性に気付いた。…故に、他国に漏れて模倣されると不味いと思ったのだ
ヤマモト:なるほど、それで秘匿呼称を
レイ:「円盤翼」だとすぐにばれる…と言うかまんまですものね
ナレー:――そして、タント技師が以下のように発言した。『秘匿名称はシュワルベにしましょう』と
ヤマモト:えぇ…
レイ:名付け親アンタかい…
ナレー:議事録には「秘匿目的で提案した」とあるが、他の列席者の残した以下の記録から、真意は別にあるとみて良いだろう。
――肝いりの
――つられてタント技師の顔を見たとき、私は気が付いてしまった。
――氏の表情は、まさに愉悦
レイ: 完全に煽りやんけ!?
ヤマモト:うわぁ…(ドン引き
ナレー:実際その後しばらくの期間、『シュワルベ』の名前が出るたびに「頬を痙攣させる皇女殿下」と「その横で満面の笑みを浮かべるタント技師」という組み合わせが見られたという…
ヤマモト:うわぁ…(ドン引き
レイ:これは酷い
【「シュワルベ」に踊らされる王国】
ナレー:だが実際、欺瞞情報として作用したのも事実だったりする
レイ:と、言うと?
ナレー:1926年頃、連合王国情報部は帝国の新型戦闘機に関する情報をキャッチした
ヤマモト:流石連合王国だ。――でもなんか嫌な予感がする。
ナレー:このとき連合王国が手に入れたのは「円盤翼」と「前翼機」の大まかなデザイン、そして帝国が開発中の新型戦闘機の名称が「シュワルベ」と言うことだった。
ヤマモト:あっ(察し
レイ:連合王国に同情してしまいますね、これは
ナレー:そう、お察しの通り連合王国情報部は「シュワルベ」と言う名称、そして自国の空軍技術者の意見もあり、それが「前翼機」のことだと思い込んでしまった
ヤマモト:まぁ、普通「シュワルベ」と言う名前から円盤翼は連想しませんよねぇ…
ナレー:と、言うより円盤翼について『こんな奇天烈な形状がまともに空を飛ぶとは考えられない』と評価していた
ヤマモト:連合王国人にそこまで言われた…だと…(戦慄
レイ:可能性に気付きそうなものだが…紅茶を切らしていたのかな?
ナレー:現代でも多くのニキがそう指摘しているな。
ちなみに1927年末ごろには円盤翼に関する追加情報も届けられたんだが、このときも『欺瞞情報である』と判断してしまったんだ
ヤマモト:連合王国らしくないミスですね
レイ:ただまぁ、形状が形状だ。誰も責められませんよ
ナレー:とまぁ、詳細設計までの流れはこんな感じだ。ここからは機体各部について解説していこうと思う
ヤマモト:ここまでであっさり一万文字超えなんですが…
レイ:これちゃんと終わるんだろうか…?
カステラの最小単位
今は「号」って言うけれど、私的には「斤」。
それより小さいのはお試しサイズ。一斤が丁度食べきりサイズ。異論は言う奴は雲仙地獄に落ちるがよい(過激派
0:15に続きアップするよ~