皇女戦記   作:ナレーさんの中の人

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展開

統一歴1927年12月1日

東部戦線 セバスチャン・ト・ホリ基地司令部

 

 

「つまり、連合王国への報復攻撃は…?」

「間違いなく実行されるだろう。(戦務)が東部に送られたのもその一環だな」

「ただの査閲ではない、と?」

 

ターニャの問いかけに、ゼートゥーアは然りと頷く。

 

「強硬派の不満のガス抜き、というのも勿論あったろうがな。大佐、貴官は今の西部戦線にまともな戦力があると思うかね?」

「ハッ、いいえ。帝国は海軍を除き、その戦力の大半を東部戦線に投じております。西方にあるのは再編中の部隊程度でしょう」

 

 

…あるいはドードーバード海峡を隔てて連合王国と対峙している『安全保障地域』、つまりはパ・ドゥ・カレー周辺ならばある程度の部隊が配置されているだろうが、それ以外は警備部隊と再編制中の部隊くらいのものだろう。

これでは合州国をベトナム(泥沼)に引きずり込むには、あまりにも心もとない。

 

 

「…なるほど、そういうことでありますか」

「ほう、察しがついたかね」

 

流石だな、とゼートゥーアは呟く。

203編成のときもそうだったが、この少女は恐ろしく早熟で、頭の回転が早い。

これで男子であったなら、あるいは自分の孫娘が孫であったなら…、と心中で独り言ちるのも宜なるかな。

 

「無いものは、あるところから持ってくるほかありますまい」

「然り。一線級の部隊ともなれば尚のこと」

 

 

 

――つまり、東部戦線からの引き抜き。

 

 

 

「そして幸いなことに、貴官らの働きで連邦軍の活動は大幅に低下している」

 

ご自慢の大油田を爆破された連邦軍の活動は極端に低下している。

帝国軍を悩ませた連中の戦車もまた、ガソリン無しでは鉄の塊に過ぎないのだから。

 

――だが、しかし。

 

「畏れながら閣下、そうは言っても、元々東部では根本的に兵が不足しております。そもそもの戦域が広すぎるのです」

「無論、知っているとも」

 

なにせ、広大なルーシー連邦の広大極まる戦域にどう戦力をばらまき、いかに効率的に武器弾薬を送り届けるのか、日夜苦心惨憺しているのは戦務局なのだ。

この点、作戦局は敵兵力撃滅の一手を練り上げることにかけては超一流だが、戦力の手配と準備に関しては「寄越せ」の一言で解決すると思っている節がある。

 

 

「――しかし、他に引き抜く当てもなし、だ」

 

 

それほどまでに、帝国は東部の泥沼にどっぷりと浸かっており、使える兵士、武器弾薬は全て、東部戦線のどこかに割り当てられるといって過言ではない。

例外は海軍と空軍の防空部門くらいだろう。戦艦を陸上で使える訳もないし、航空脅威の少ない東部に戦闘機を大量配備するほど、帝国に無駄遣いをする余裕はなかった。

 

 

よって――

 

 

「東部戦線を整理し、予備戦力を西方へ送る。これは既定事項だ」

 

ふぅ、とそこで査閲官殿はため息を一つ。

 

「ここまで押し込んだ戦線を下げ、ただでさえ足りないと嘆かれる戦力を引き抜き、それでいて東部戦線を盤石ならしめ、以て可能な限りの戦力を西方に配置する…。

大佐、これほどの難事、貴官にできるかね?」

「……平にご容赦を、と願いたいところです」

「フム。仮に命令だといわれれば?」

「…小官は軍人です。である以上、二階級特進を覚悟するほかありますまい」

「ハッハッハッ、実に貴官らしい回答だな、大変結構」

 

遠回しに、いやほぼ直接的に『無理です』と言われたにもかかわらず、ハンス・フォン・ゼートゥーア大将は上機嫌に笑う。なぜならば…。

 

 

 

「ま、佐官ではまず無理だろう。将官でもある程度の階級と伝手、戦略次元の見識、作戦に必要な最小限の予備兵力の見通し、それらを持ち合わせてなければ務まるまい」

 

 

 

――そんな都合の良い人間、いる訳が…

 

いるじゃないか、目の前に! ターニャは思わず苦笑した。

 

 

「――つまり査閲官(左遷)というのは表向き。その実は東部戦線の整理と?」

「いや、両方とも事実だろう。私は政治家連中の受けが良くないからな」

「…失礼を致しました」

「構わんよ、私もあの方々の非論理的思考と激情型論法には辟易していたところだ。

いい機会だ、この広大な東部の平原で、荒んだ心を癒すとしようじゃないか」

 

無論、仕事もきっちりこなすがね、とニヤリと笑う査閲官殿。

 

「フム…。となるとこの葉巻、餞別ではなく手間賃と言うわけか。ルーデルドルフめ、割に合わんぞ」

 

そう言って、つい先ほど『時局に相応しくない贅沢品』と断じたそれを一服。

 

「今度会ったら利子をつけて請求せねばなるまい。そうは思わんかね、大佐?」

「ハッ、労働には正当な報酬が用意されてしかるべきと愚考いたします」

「よく分かっているじゃないか。よろしい、貴官の分も奴から何か徴発してくるとしよう」

「よろしいのですか?」

「なに、たった今、貴官が言ったことだよ」

「…は?」

 

首を傾げるデグレチャフ大佐の肩に手をかけて、親愛なる()()()()()、ハンス・フォン・ゼートゥーア大将閣下はほほ笑みながら頷きを一つ。

 

 

 

「『労働には正当な報酬』、全くもってそのとおり」

 

 

 

上官の満面の笑みに、ターニャは自らの失策を悟る。

 

「後退となれば、連邦軍は意地でも追撃をかけてくるだろう。ガソリンが無くとも、歩兵は歩けるのだからな」

「…ハッ、仰るとおりであります」

 

で、あるからには『火消し』が必要だ。

それも出火地点に迅速に駆けつける機動性と、少々の火勢でも一気呵成に鎮火しうる能力を有する、()()()()()()火消しが。

そう言って、『()()()()()()部下』に、ゼートゥーア大将はにこやかに語り掛ける。

 

「そして本官の『戦務』の肩書(戦闘団への命令権)は健在だ。

つまるところ、ルーデルドルフをして一個師団に相当すると言わしめた貴官らの戦闘団。その本髄と勇名を体現することを期待するや、大である。

――そう、私が口にしても差し支えない。違うかね?」

「相違ございません」

「結構、大いに結構」

 

満足げに頷いて、ハンス・フォン・ゼートゥーア大将は朗らかに笑う。

 

 

 

 

「では、早速だが戦争の話をしようじゃないか」

 

 

 

 

◇◇◇

 

同刻 帝都ベルン

 

 

 

「参謀本部、そは叡智のましますところ」

 

 

 

そう、高らかに謳っていたのはいつのことだっただろう。

イルドア帰りのレルゲン大佐が、ふとそんなことを思ってしまうほど、今の参謀本部は様変わりしていた。

 

 

まず、人が増えた。

 

当然といえば当然ではある。

戦時となれば業務量は加算、否、乗算されるものであるし、そもそも『内線戦略』を前提としていたところが、連合王国と連邦を両方相手にして、特に連邦に関してはその領内に踏み込んでの戦争である。

ハッキリ言おう、戦前作成された「戦時における参謀本部の必要人員及び配置」など、いまやただの雑紙に過ぎぬ。

結果、今の参謀本部は「満員御礼」。

増築の話が真剣に検討されるどころか、特に多忙を極める鉄道部に至っては帝都中央駅前の物件を一棟丸々借り上げて移転済み。

 

 

そして、騒がしくなった。

無論、前線に比べれば静かなものだろう。

だが、『静謐』と評された戦前の参謀本部を知る身からすれば、騒がしいことこの上ない。

規則正しい将校の闊歩は、書類の束を抱えて駆けずり回る従兵らに置換され、調和が整った空間と評された作戦室もまた、山積みの資料と口角泡を飛ばす参謀将校らで埋没して久しい。

 

「総力戦においては、ありえないことがあり得ない、か…」

 

そう呟くレルゲンとて、その混沌に呑み込まれた一人に過ぎぬ。

イルドアで、陽気と快活さに満ち満ちたイルドア軍人達を見て、「なんと騒がしい、これが参謀本部ならば…」と思ったところで気づいてしまったのだ。

 

 

今の参謀本部に、昔日の趣はない、と。

 

 

しかし、例外もある。

その『例外』、すなわち参謀本部の内奥、作戦参謀次長室に向かうレルゲンの足は酷く重い。

なんとなれば――

 

 

 

 

 

 

「やはり、成果はなし、か…」

「申し訳ございません」

「構わん、予想はついていたことだ」

 

そう言って、ルーデルドルフ次長は鷹揚に葉巻を勧めた。

 

「ちなみにイルドア王国自体はどうなのだ、介入してくる気配は?」

「それらしい兆候は特には。むしろ彼らは恐れおののいています」

「ほぅ?」

 

首を傾げるルーデルドルフに、レルゲンは続ける。

 

「戦略爆撃思想は、元々はかの国が起源です」

「ウム、確かかの国の軍人が提唱したのだったな」

「はい、しかしそんな彼らにとっても『ハンブルガー』は想像を絶するものがあったようです」

「…だろうな」

 

実際、あの爆撃は酷かった。

そう首を振る上官にレルゲンは続ける。

 

「彼らは気付いたのです。どちらについても自分たちの頭上に『ハンブルガー』が再現されうることに」

「なるほど、それならば中立を堅持すると?」

「ハッ、少なくともガスマン大将が健在な限り、かの国はその方針を維持するかと」

「同盟国が聞いて呆れるな」

「敵に回るよりは上等でしょう」

「ふん」

 

鼻息も荒く葉巻を灰皿に押し付けて、ルーデルドルフはすっくと立ちあがる。

 

「イルドア帰りで疲れているだろうが、作戦局の現状を伝えておこう」

「恐縮であります」

「構わん、何も知らずにイルドアに行かれても困るからな」

「…と、仰いますと?」

 

 

 

「連合王国への反撃が決まった」

 

 

 

ルーデルドルフの発言に、レルゲン大佐は知らず生唾を呑み込んだ。

 

「…合州国の介入も厭わず、と?」

「むしろ願ったり叶ったりだ。合州国がある限り、連中は和平交渉のテーブルに見向きもせん。違うかね?」

「ハッ、仰るとおりかと」

「である以上、合州国を引きずり出して叩く必要がある」

「そのように判断されたと…」

「然り。もっとも、政治家連中のほうが前のめりでな。すんなり決まるどころか、急かされておる始末だ」

「急かされている?」

 

妙な言い回しに疑問詞を浮かべたレルゲンに、ルーデルドルフは告げる。

 

「実のところ、具体案は決まっておらん。少なくとも陸軍では」

「…は?」

「反撃するという方針は決まった。だが無い袖は振れん」

 

 

 

 

 

『西部戦線異状なし。付け加えれば兵もなし』

 

 

 

 

それは、参謀本部の人間なら誰もが一度は口ずさんだことのある言葉。

連合王国がまともな陸上戦力を有していたならば許されなかったであろうそれが、今の西部の実情なのだった。

 

「東部から引き抜くのでは?」

「左様。今頃ゼートゥーアの奴が辣腕を振るっているだろうよ」

「…そのための『査閲官』ですか」

「なんだ、聞いていたのか」

「鉄道部のウーガ中佐から聞きました。…恨み言とセットで」

「だろうな」

 

ルーデルドルフは何のこともないように頷くが、当のウーガ中佐らからすれば堪ったものではないだろう。

『作戦』のため、膨大な兵力と弾薬を持ってこいと簡単に言ってくれる作戦屋。

彼らの文章ではたった一言、「東部から西部へ一個師団を移動」と記されるに過ぎないだろう。

だが、それを実現するには、大きなところでもダイヤの調整に車両の手配――歩兵だけならまだしも、戦車や自走砲などは客車以外も用意する必要がある――、細かいところでは機関車の石炭と水をどこで調達し、どこで積み込むか――東部には良質な水源が乏しいエリアがあり、『復水器』を使っているところさえあるのだ!――の差配も必要になる。

それらの膨大な作業を捌くため、鉄道部とライヒ国鉄が日夜どれほど苦労しているか、作戦局はご存じない!!と、彼らは白みがかってきた執務室の窓に嘆くのだ。

 

その点において、作戦局、もっと言ってしまえばルーデルドルフ大将に向かって「ナイン(いいえ)」を突き付けることの出来るゼートゥーア大将は、十個、いや百個師団の増援に等しい存在だったのだ。

それが表向き左遷され、しかも東部からの大移動がほぼ既定路線と来れば、いかに温厚篤実なウーガ中佐とて恨み言を言わずには居られまい。

 

 

 

「しかし閣下、決まっていないとはいえ、検討は進んでいるのでしょう?」

「無論だとも、これを見ろ」

 

そう言うルーデルドルフの示す先には、作戦局で起草されたと思しき幾つかの作戦案。

 

「『先制上陸』『水際防御』『遅滞防御』…これはまた、より取り見取りですな」

「阿諛追従は要らん、端的な感想を言え」

「つまるところ、結論は出ていない訳でありますね」

「そのとおりだ」

 

憮然とした表情で認めるルーデルドルフ。

 

「兵力もない、制海権もない、大陸側の制空権だけはあるが、肝心の爆撃機(打撃力)がない」

「そして砲兵も舟艇も不足していると」

「全くもってそのとおり。…貴官はパ・ドゥ・カレー守備隊の使っている砲を知っているか?」

「いえ、個々の部隊装備まで知悉している訳ではありませんので」

「ならば教えてやろう。…連邦から鹵獲した76.2ミリ対戦車砲が最大だ」

「…まさか」

「そのまさかだ、迫撃砲に限っては120ミリまであるがな」

 

製造が追いついておらん、とルーデルドルフ。

いや、書類上では全部隊に行き渡るに足る数の砲が製造済みなのだ。

問題は、「機械というのは壊れるものであり、戦場の兵器ともなれば更にひどい」と言うことにある。

 

「特にパ・ドゥ・カレーはこれまでに数度、連合王国からの襲撃を受けている。移動に手間のかかる重砲の類はどうしても損失しがちでな」

 

結果、陸軍上層部は苦渋の決断を下した。

 

「当面、連合王国本土上陸は不可能。かかる状況下において、貴重な重砲をあたら損失する訳にもいかぬ。迅速な退避、再転換が可能な迫撃砲以外は鹵獲装備で十分であろう」

「…それで、重砲がないと」

「どれだけの重砲を揃えたところで、艦砲には口径で劣るからな」

「しかし、カレーにはトーチカ型重砲があると聞いた覚えがあるのですが?」

「あれは海軍所管の沿岸砲(203ミリ)だ。がっちり固定されているうえ、陸軍の砲とは造りが違って野戦運用は不可能と回答が来ている」

 

――回答が来たと言うことは、つまりは照会をかけたと言うこと。

 

「…となると、連合王国上陸など夢のまた夢ですな」

「そのとおり。と、いう訳でこれは却下だ」

 

そう言って、ルーデルドルフは『先制上陸』と書かれた作戦案を仕舞う。

 

「残りはすべて受け身の策となるわけだ。『連合王国への反撃』とは言えんな」

「では、どうなさるので?」

「それが目下の懸案事項だ。言っただろう、『陸軍では具体策がない』と」

 

ない、ではなく、出来ない、と言うべきだろうなとルーデルドルフ。

 

「空軍、海軍の方はどうなのです?」

「先に海軍の方から言っておこう。間もなく『通商破壊』が再開される」

「やはり、そうなりますか」

「残念だが、戦艦、空母、その他水上戦力ではロイヤルネイビーに手も足も出んらしい」

 

一方は七つの海を制覇せし、歴史ある海洋国家。

もう一方は遅れてきた大陸国家。

 

これで帝国海軍に勝ち目がある方がおかしいのだ。

なるほどライプツィヒ級のような新鋭艦の「1対1」ならば、帝国に有利かもしれない。

だが、戦艦だけでも都合50隻以上も有している連合王国である。

 

『まともに正面からぶつかれば、呑み込まれるのがオチ』

 

それこそ帝国海軍自身が認めざるを得ない残酷な現実であり、であればこそ水上遊撃艦隊、潜水艦部隊による通商破壊という「非正規戦」染みた方法で戦っているのが海軍の偽らざる実情なのだった。

 

「幸いにして、年頭からの『自粛』の間に潜水艦戦力は相当増えているようだ。…あるいはジョンブル共を干上がらせることも可能やもしれん」

「そう、上手く行くのでしょうか?」

「上手く行ってもらわねば困る。仮にそれが実現すれば、合州国とて連合王国が餓死するのを防ぐので手一杯になるだろう」

 

ルーデルドルフとて、合州国を上陸させて迎え撃つ方針に否やはない。実際問題、帝国に合州国本土を叩く手段がないのだから。

しかし、(あた)うことならば敵戦力は上陸前に削いでおくことが望ましい。

その意味でも、彼らが海軍の通商破壊戦に期待するや切であった。

 

「そして空軍だが…妙なことになっている」

「妙なこと?主力がほぼ東部に出払っているとは聞いておりますが?」

「戦闘機部隊は3分の2以上を西部に集中しているがな」

 

実際、この時期には東部戦線における帝国空軍の優位はほぼ完全なものとなっていた。

開戦以来、帝国空軍との空戦を強いられ続けた連邦空軍の損耗はすさまじく、機体はともかくパイロットの補充は「畑から人間が取れる」彼らとて容易なことではなかった。

なにしろ、歩兵一人とパイロット一人では、その錬成にかかる経費も時間も桁違い。

銃を握らせ集団行動を覚えさせれば()にはなる歩兵と違い、飛行機は飛ばし方、着陸のさせ方に始まる各種飛行訓練を百時間単位で実施しなければ、戦力になるどころか着陸失敗であたら損失を増大させるだけである。

 

だが、バクー油田破壊で状況は一気に悪化した。

 

損耗を補填するためにはパイロットの養成が必須不可欠だが、迎撃にあたる戦闘機部隊を最優先するため、訓練部隊へのガソリン配給は一気に絞られる。

確かに、迎撃機にガソリンを優先する必要があるのは理解できる。

だが、結果として迎撃部隊は損耗を補填できずにやせ細り、更に制空権劣勢に陥り、そして被撃墜が増えるという悪循環を生んだ。

かくて西暦世界の末期第三帝国空軍と同じ状況が連邦空軍に発生し、帝国空軍は制空戦力を西方、即ち本土防空部隊に回す余裕を有するに至った。

 

 

――まぁ、そのせいで連合王国空軍が『道は夜間爆撃しかない』と決心してしまったという一面もあるのだが。

 

 

「ところが、爆撃隊は皆無だ」

「この状況下で、でありますか?」

「実際問題、東部戦線は広大だ。空軍の助力無くしてはあれだけの領域をカバーすることは出来ん。とは言え…」

「閣下、その情報は確かなのですか?」

「うむ、空軍が陸軍航空隊だった時代からの知り合い(リハクホーフェン)が言っていたから間違いないだろう。戦闘機のほかは()()()()()が幾つか展開する以外、現状からの変更なし、と」

「…妙ですな」

「全くだ。奴自身が首を傾げていたよ」

 

 

 

 

 

 

――首を傾げる両名に、答えが齎されるのは約一月後のことになる。

 




>では、早速だが戦争の話をしようじゃないか

このとき、ターニャさんはゼートゥーア閣下に肩を掴まれているので逃げようがありません。どうしてこうなった!

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