密林を歩く紫色の影があった。
怪しな黒い光沢を持った紫色のズラリと並んだ
それは黒狼鳥・“イャンガルルガ”。戦闘を好むという生物として異質な特性を有する、狩人達の間でもとりわけ危険なモンスターとして恐れられているものであった。
……そして、その鳥竜が潜む森を歩く4人
◇の形の隊列を組んだ彼らは上から時計回りで順に、リオソウル装備の太刀使い、ハプルS装備の
今回彼らが受けたクエストは
……そして、“それ”は狩人達の前に姿を現わす。
イャンガルルガは自分を発見した狩人達を一人一人、その黄色い
狩人達は一瞬反応に遅れてしまい、鼓膜を強引に破壊する音の嵐を避けまいと、血が出るほどの力で耳を押さえつけた。
____直後、それはやってきた。
グォォォォォォォォォォッッ!!と言う暗闇の森を引き裂く、最早爆弾とも形容してもいい音波の嵐。対策をしていたリオソウル以外は全員その場で耳を塞いでうずくまってしまう。だが、その驚異の音波は凌さえすれば狩人にとっての大きな攻撃チャンスとなる。
勿論リオソウルはその隙を見逃さず、紫色の翼に太刀を叩きつける。
「グォォッ……!」
黒狼鳥はその一撃にふらつきはするが、しっかりと大地を踏みしめている。……まだ、その一撃は浅い。
「ならば、もう一度……!」
リオソウルは太刀を自分の右肩の上へめいいっぱい持ち上げて、斜めに斬り下ろす。それは、ここから繋がる太刀と言う武器の大技、『気刃斬り』と言うものに繋がるアクションではあったが、間一髪黒狼鳥に飛翔されて
「くっ……!」
リオソウルはその禍々しい尻尾の一撃を受ける為、受け身の準備をした。……が、その必要が無いことにすぐに気づく。
それは、黒狼鳥の羽音がもう既に、遥か上空から聞こえているためだった。
「っ、すいません!対応が遅れました!」
「……いや、大丈夫だ。ヤツはもう消えた。」
ハプルSがリオソウルに駆け寄るが、もう黒狼鳥の姿は無い。
モンスターに激烈な匂いを付け、追尾するためにあるペイントボールを当てていないため、もう追うことは困難だろう。
「……仕方ない。せめて痕跡を集めて帰るぞ!」
「「「了解!」」」
リオソウルの声に合わせて一斉に散開するハンター達。それは狩るだけでは無い、研究者としての姿もあった。
「……やはり噂は本当だったのだな。」
そして痕跡集めの最中に、リオソウルはポツリと一言零す。
「“全く好戦的では無いイャンガルルガ”の噂は。」
◆◆◆
紫色の鳥竜はしばらく闇夜を滑空した後、高い岩山に降り立つ。
そして、ピンと立てた耳をたたみ、しゃがみ込む。
そして一言零した。
「こ、怖かったぁ!死ぬかと思った!
何だよあの人間!何いきなり斬りかかってきてるの!?馬鹿なの!?死ぬの!?」
……そう。このイャンガルルガ、とてつもなく臆病であった。
彼にとって、翼や咆哮は逃げる手段であり、戦う手段では無い。
「ふざけんな!ふざけんな!ガルルガ一族が戦闘狂だけだと思うなよ!俺は父さんや兄貴と違って平和に暮らしたいんだ!」
彼は怒りを地団駄によって発散する。……だが、地団駄とは言っても大型モンスターの地団駄だ。地面が
具体的には肉球を模した武器を持つ黒い猫が被害を受けてるのを見て。
「ハァ……。お前らはいいよな。毎日気ままで。
俺もハンターから追われる生活を辞めてお前らみたいになりたいよ。」
疲れ切った目で(勿論ハンターには疲労=チャンスと思われるだけだが)彼は
「……俺は決めたんだ、何としてでも平穏な暮らしをするって。
……その為に、お前らハンターに狩られてやるわけにはいかないんだ!」
彼は先程自分に襲いかかってきたハンター達を遠くから睨みつけてそう叫……ばずに呟く。居場所がバレたら怖いと言うチキンな精神だからだ。
「待ってろユートピア!もういなくなれ血生臭い毎日!
俺は!平穏な暮らしを手に入れるまで世界を駆け巡るぞ!」
彼はその紫色の翼をもう一度広げて飛び立つ。日が昇ってきた空へ向かって……!
……さて、彼に平和は訪れるのだろうか?それが分かるのは、もう少し先のお話。
初投稿です。
イャンガルルガの言葉は人間からしたら、『グォォ』などにしか聞こえません。