ガールズバンドの子たちに甘やかされる日常【完結】   作:薮椿

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 もはや甘やかされるの定義が分からなくなってきた……


母性溢れる淫乱っ娘に甘やかされる

 

「秋人! 今日はこれで遊びましょう!」

「わっ、こころちゃん!? いつも言ってるけど、ノックしてね……」

 

 

 僕の部屋を出入り自由にしているのが悪いんだけど、たびたび女の子たちがいきなり突撃してくるから心臓に悪い。特に性欲を高めている途中や、性欲を発散している途中に乱入してくることもあるので油断できない。今日はただゲームをしていただけなので助かったが、こころちゃんみたいな好奇心旺盛で穢れた知識を知らない純粋な子に見られたら……うん、想像するのはやめよう。なんか僕が恥ずかしくなってくるから。

 

 それはそれとして、こころちゃんはお高そうな装飾が施された小さいビンを持っている。ラベルを見るとアロマオイルのようだけど、どう見ても遊び道具ではない気が……。

 

 

「えぇ~と、それでどうやって遊ぶの……? そもそも、どうしてこころちゃんがアロマオイルなんか……」

「秋人の家に遊びに行こうとしたら、黒服の人たちが渡してきたのよ。これがあれば秋人を喜ばせることができるって」

「僕が喜ぶ……?」

 

 

 清涼剤は陽キャの御用達。つまり、陰キャの僕には不要の産物って訳だ。黒服の人たちが何を考えているのかは分からないけど、身長が女の子サイズでカッコ良くもない僕にアロマオイルなんて、絶対に似合わないと思う。それとも、僕ではなくてこころちゃんに使うものだったり……? 海水浴場でよくある光景で、女の子にオイルを塗ってあげる展開とか……??

 

 

「早速開けてみましょう! ずっと気になって仕方なかったのよ」

 

 

 こころちゃんはウキウキしながらアロマオイルのビンの蓋を開ける。

 その瞬間だった。何やら甘い香りが僕の部屋中に広がる。アロマって、ここまで分かりやすく匂いが充満するものだっけ? こんな匂いを身体に振り撒いたら、匂いがキツすぎて外歩けないよ……。

 

 そして、こころちゃんの様子がおかしいと気付いたのはその直後だった。

 頬が赤くなっており、目がとろんとしている。いつも元気いっぱいの彼女と今の彼女は別人みたいで、僕を見つめたままぼぉ~っとしていた。それになにより、今の彼女はなんか色っぽい。元々身体付きはエロいんだけど、それ以上に彼女から漂う雰囲気に見惚れちゃいそうだ。

 

 でも、どうしていきなりおとなしくなったんだろう……。

 

 

「秋人ぉ~♪」

「ちょっ!? こ、こころちゃん!?」

 

 

 これまた突然、こころちゃんが僕を包み込むように抱きしめてきた。彼女の小さな身体に見合わない大きな胸に顔を押し潰され、もう幾度となく経験したシチュエーションだけど未だに慣れない。だけどそんな僕の意志とは無関係に性欲は高まるって、節操なしとはこのことか……。

 

 いや、そんなことを言っている場合ではない。

 アロマのビンの蓋を開けた瞬間から、こころちゃんはまるで酔っているかのような舌足らずな言動になっている。声色もいつも以上の脳トロボイスになってるし、体温もとても暖かい。大胆な行動を取るところは彼女っぽいけど、それ以外は何もかもが異常だ。黒服の人、一体彼女に何を渡したんだ……!?

 

 

「秋人様」

「うわぁ!? えっ、ガスマスク!?」

「黒服の人でございます」

「あっ、ホントだ――って、自分でもその呼び方なんだ……」

 

 

 もう次から次へと展開が移り変わり過ぎて追いつくのがやっとだけど、今度はガスマスクを被った黒服の人が現れた。一瞬僕の家がテロの現場になったのかと思ったけど、確かにいつもの黒服さんの声で安心したよ。でも、どうしてそんな物騒な格好を……? それにいつの間に僕の部屋にいたんだろうか……? もう本格的に僕のプライベートがないような気がするよ……。

 

 

「お嬢様は今、発情しております」

「はぁ!? どうして!?」

「このアロマには女性の理性を煽り、恋焦がれる男性に対する母性と性欲を同時に高める代物なのです」

「危険すぎるでしょそれ! どうしてそんなものをこころちゃんに持たせたの!?」

「お嬢様と秋人様の仲を接近させるためです。お嬢様が猛アピールしているのにも関わらず、秋人様は未だに童貞でいらっしゃる。この世界的な問題を解決するため、弦巻家が巨額の資産をつぎ込んで完成させたのが、そのアロマでございます」

「そんなどうでもいいことのために弦巻家を動かしたの!? ていうか、童貞はほっといてよ!」

 

 

 もはや何から突っ込んでいいのか……。はっきりしているのは、僕の童貞を卒業させるという無駄なことに世界規模である弦巻財閥が労力を割いてるってことだ。確かにこころちゃんから猛烈なアピールは受けてるけど、その場のノリで彼女に流されてしまったら、それこそ何をされるのか分かったものじゃない。性知識がない彼女のことだ、僕がレクチャーしながら性行為を指導するハメになることは目に見えている。あぁ、想像するだけでも恥ずかしい……。

 

 そんなことを考えている間にも、僕はこころちゃんの胸に押し潰されている。ここまで冷静だと賢者モードだと思われるかもしれないが、これでも我慢してる方だからね? 気を抜いたら僕まで彼女のように欲に溺れてしまいそうだ。

 

 

「お嬢様と秋人様のお時間を邪魔しないよう、私はそろそろ退散します。それに、アロマが充満しているこの部屋にいると私まで……」

「えっ、そうならないためのガスマスクじゃなかったの??」

「想像以上に効果が強すぎて、私まで秋人様のことを……」

「ちょっ、黒服さんまで!?」

「ですが今はお嬢様のターン。私はこれにて失礼!」

「い、いやちょっと待って――――消えた……」

 

 

 黒服さんはそう言い残すと、まるで忍者のように目の前から消えてしまった。黒服さんの語る事実の何もかもが衝撃的で、これからどんな展開が待ち受けているのか覚悟する必要があるかもしれない。現にこころちゃんの顔はかなり蕩けており、今にも僕を美味しく召し上がろうとしている。そんな物惜しそうな目で見つめられたら、抵抗したくてもできないよ……。

 

 

「秋人、相変わらず可愛いわね。食べちゃいたいくらい」

「本当の意味で食べちゃうの!? それはマズいって!」

「不味くはないわ。秋人のことだもの、きっとどこを舐めても美味しいに決まってるわ。んっ……」

「わっ!? い、いきなり頬舐めないで!?」

 

 

 頬に水気と体温を感じたと思ったら、こころちゃんに舌で軽く舐められていた件について。彼女から猛烈なアピールを受けるのはほぼ毎回のことだけど、今回は明らかにスキンシップが激しすぎる。童貞の僕にとっては女の子とほぼ毎日一緒にいることすら緊張するのに、ここまで身体接触が多いともう気絶してしまいそうだ。それになにより、女の子に舐められるこのシチュエーション、ちょっといいかも……。いや、マゾじゃないけどね?

 

 

「あら、秋人のここ、随分と大きくなってるわね?」

「あっ、そ、そこは気にしなくてもいいから!」

 

 

 遂にバレてしまった……。こころちゃんの胸に抱きしめられた時からずっと性欲が滾らないように我慢していたんだけど、僕の下半身だけは正直だった。大きくしているところを彼女に見られたら、こうなることは予測できたからだ。純粋な彼女は、僕が自分に興奮してこうなっていることにすら気付いてないだろう。彼女のことだから下半身の膨らみを見ても知的好奇心以上の感情はないと思うけど、それはそれでタチが悪いんだよね……。

 

 

「こんなにも腫れちゃって、私が治してあげるわね!」

「触っちゃダメだって! 今は絶対にダメ!!」

「もうっ、ワガママ言わないの! ママの言うことを聞きなさい!」

「誰がママ!?」

 

 

 そういえば黒服さんが、このアロマは母性と性欲を刺激するとか何とか言っていた気がする。なるほど、それが原因でこころちゃんはそんなこと……って、凄く迷惑な話なんですけど!? でも彼女に抱きしめられているこの状況は、傍から見たらお母さんと子供に見えなくもない。しかも僕の身長が並の女の子以下のせいで余計にそう見えてしまう。

 

 こころちゃんが騒がしいのは日常茶飯事だけど、今日はアロマのせいでいつにも増してテンションが高い。このままでは弦巻旋風に飲み込まれてしまうので、どこかで手を打ってここから脱出しないと僕の貞操が……。

 

 

「さぁ秋人、服を脱ぎ脱ぎしましょ!」

「脱がないよ!?」

「どうして? 脱がないと治療ができないわ」

「だから、これは自然に治るから問題ないって……」

「ダメよ! 変な病気だったらどうするの?」

「ちょっ、そこ触らないで!? うっ……」

 

 

 大丈夫、まだ果ててはいない。でもこころちゃんはズボンの上から僕の下半身を優しく弄ってくる。彼女からしてみれば善意なんだろうが、僕にとっては生き地獄すぎる。しかも、優しい顔をしながら下半身を撫で回してくる彼女を見ていると、どこからか彼女に母性を感じてしまう僕がいた。これ、黒服さんの策略にまんまとハマっているのでは……?

 

 こころちゃんから与えられる刺激に、僕の性欲は更に滾っていた。下半身の膨張具合も最高潮に達し、このままではズボンがびしょ濡れになるのは時間の問題だ。そしてこうして欲と戦っている間にも、彼女は僕の下半身を興味津々に弄ってくる。このまま快楽に溺れてしまうのも1つの選択肢かもしれないが、僕としては純粋な彼女を穢したくない思いの方が強い。だから耐えてみせる!

 

 それにしても、これは母性というよりかは風俗嬢に思えるんだけど……どうかな? でも純粋無垢な財閥令嬢に抱きしめられながら局部を弄ってもらえるとか、一部の界隈の人たちには需要ありそうな……。現に、僕もこのシチュエーションは悪くはないと思い始めてるし。そう、シチュエーションだけはね。

 

 

「もう、秋人ったら文句ばっかり。どうしてこんなにもワガママに育っちゃったのかしら?」

「そりゃ抵抗するでしょ……」

「でも秋人、心なしか喜んでいるようにも見えるわ。さっきから顔が蕩けているもの」

「う゛っ……」

「それに私も、身体中がムズムズしてきたわ……。私の身体がもっと気持ちよさを求めてる」

「そ、それ発情し過ぎじゃ……」

「ねぇ秋人、触って……」

「ふぇっ!?」

 

 

 こんな色っぽい声、艶やかな表情、妖艶な雰囲気。いつもの無邪気なこころちゃんじゃないみたいだけど、普段とのギャップを感じられるのが逆にいい。これが俗に言われるギャップ萌えってやつか……。

 そんなことよりも、僕は今、男を試されている。女の子たちから誘惑されることは数あれど、ここまで発情されて攻められたのはこれが初めてだ。ここは男として、彼女を満足させてあげるべきなのか?? でも、彼女に穢れて欲しくないと思っている自分もいる。

 

 どうする……? どうする??

 

 

「秋人ぉ~私、切ないわ……。さっきからずっと身体が疼いて疼いて仕方がないの」

「そんなことを言われても……」

「秋人も辛いわよね? だって、こんなにも膨らんでいるんだもの」

「ふぇぁ!? だ、だから触るのはやめて……」

「もう我慢できないわ。秋人から来てくれないんだったら、私から行くわね」

「へ? ダ、ダメだって!! 流れに身を任せたら、こころちゃん絶対に後悔しちゃうよ!?」

「しないわ。だって相手が秋人だもの。私、秋人以外とはこういうことをしたくないわ」

「こころちゃん……」

 

 

 こ、これって、もしかしてもしかしなくても……告白!? そりゃ僕だって、こころちゃんみたいな美人で可愛い子と添い遂げたい気持ちはある。いいところの令嬢なんて肩書はどうでもよく、弦巻こころという1人の女性に惹かれていることも間違いない。そんな彼女に手籠めにされるのなら、それはそれで1つの幸せだとは思う。

 それにこころちゃんの告白。アロマの影響で母性と性欲が増幅しているにしても、そんな告白は相手のことを本気で想っていなければ言葉に出さないだろう。

 

 そして、今気づいたのだが、いつの間にか僕はこころちゃんに抱きしめられながら押し倒されていた。もはや抵抗することも声を発することもできず、ただただ彼女の顔を見つめるばかりだった。

 

 

「もし私と1つになってくれたら、今まで以上に秋人の望むことは何でもしてあげる。どれだけ私に甘えてもいいの。もうこの先ずっと、何1つ不自由のない生活があなたを待っているわ」

 

 

 あまりにも魅力的な提案すぎる。今でも相当こころちゃんや弦巻家には頼っているけど、彼女と1つになれば将来が安泰なんて誰の目から見ても分かる。男なら女性の権力に甘えるなと言われそうだけど、そりゃ弦巻家の富を考えたら甘えたくもなるよ。それに彼女が伴侶になれば、笑顔が絶えない夢のような幸福が待っていることも容易に想像できる。

 

 いやいや、そんな打算的な考えで流れに乗ってはいけない。今ならまだ引き返せる。あと少しでも僕の性欲を刺激されたら、もう取り返しのつかないことになるだろう。だったら手遅れになる前に、彼女をこのアロマの支配から解き放たないと。

 

 

「いよいよお嬢様と秋人様のクライマックス。栄光なる弦巻家の子孫の種が誕生する瞬間、しかと記録させていただきます」

「黒服さんいたの!? ていうか、そのカメラなに!?」

「輝かしい弦巻家の生命の誕生を、伝記として残そうと思いまして」

「完全にハメ撮りだよね!? しかもそんな映像を記録して、どこに需要があるの!?」

「それはもちろん、私たち黒服部隊のオカズ――――いえ、性教育の参考として世界中に発布を」

「言い直す前も後もアウトだよ!!」

 

 

 やっぱり、これって黒服さんの罠だったんじゃ……。

 黒服さんとやり取りをしている間にも、こころちゃんは切なそうな表情で僕を見つめるのをやめない。そんな目をされると、手をこまねいているのが申し訳なくなってくる。男としては彼女の想いに答えてあげるのがベストなんだろうけど――――――

 

 

「秋人、もう、いいわよね……?」

「…………ダメだよ」

「えっ、どうして……?」

「やっぱり、僕は今のこころちゃんと1つにはなれない。もし1つになったら今は満足できるかもしれないけど、冷静になったらお互いに絶対に後悔するよ。大好きな人と、勢いだけであんなことをしちゃったんだって。それに、今の君はいつもの君じゃない。どんな君でも魅力的だけど、僕はいつも猪突猛進で、でもみんなの笑顔のためにひたむきに努力する。そんな君が大好きなんだ。だからこんな形じゃなくて、お互いに笑顔で想いを伝えられたらって思う。こ、これじゃあダメかな……?」

「秋人……」

「こころちゃん……?」

 

 

 これは僕のワガママだけど、本心でもある。これが彼女に受け入れてもらえなかったらどうしようだけど、どうやら、その心配はいらないみたいだ。

 何故かって? さっきまで蕩けに蕩けていた彼女の表情に、明るさが戻ってきたから。

 

 

「秋人! 秋人ぉ~♪」

「元に戻ってる!? ぐっ、く、苦しいって!」

「私も大好きよ、秋人!」

「僕も大好きだけど、そんなに強く……うぐぐ」

 

 

 突然笑顔の戻ったこころちゃんにまたしても抱きしめられる僕。

 何が原因で元に戻ったのかは分からないけど、さっきみたいに下半身を弄ってこないのは僕としても大助かりだ。クサいセリフを吐いておきながら、性欲の高鳴りだけはもう最高潮だったからね……。キザに決めている間に果ててしまわなくて本当に良かったよ……。

 

 その後、元に戻った彼女に手料理を振舞ってもらったり、その料理を食べさせてもらったり、お風呂に入れてもらったり、添い寝してもらったりした。

 なんかもう、一般的に添い遂げている夫婦よりも親密なことをしてないかな……? 肉体的に1つになろうがなるまいが、僕が彼女に甘やかされる日々はこの先ずっと続きそうだ。

 

 

 

 

~※~

 

 

 

 

「秋人様、まさかお嬢様の心をあのアロマから解放するとは。実験段階ではどんな女であろうとも性の虜となり、丸1日は発情状態から元に戻らなかったというのに……。やはり、お嬢様やガールズバンドの皆様への想いは、あの頃から健在のようですね」

 

 




 性格改変ネタはギャグ小説の王道なのですが、中には原作レイプするなと怒る方もいると思ったので、敢えて話数が積み重なってきた今このネタを解禁してみました。私からしてみればこの手のネタは大好きなので、これからもちょいちょい描いてみようと思います。

 それにしても、どこかのラブライブ小説に作風が似てきた気がする……。どことは言いませんが()



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新たに☆9以上をくださった


やさぐれショウさん、カール・クラフトさん、やみかぜさん、ネインさん、Forestさん、エロ本さん、小バッタさん、 鬼灯摩利支天さん、インレさん

ありがとうございました!
中には何度も☆10評価を付けてくださっている方もいますが、何度付けてくださっても1人1回カウントなのでご注意ください。


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