ガールズバンドの子たちに甘やかされる日常【完結】   作:薮椿

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 ただ座っているだけで女の子たちが群がってきて、肌を擦り付けられたり抱きしめられたり膝枕される男。


ビーチサイドで甘やかされる

 

 僕の目の前に広がるのは、たくさんの女体。

 と言ってしまうと淫猥な響きに聞こえるが、実際にそうだから目のやり場に困る。だって、彼女たちはみんな水着姿なんだから。もちろん肌の露出も多いし、太陽の光に照らされた綺麗な肢体はやはり女子高校生と言わんばかりの張りの良さ。発展途上から熟した身体まで選り取り見取りの光景だ。こんな美少女たちの楽園を眺めようと思ったら、何十、何百、何千万払っても足りないくらいだし、実際にそれくらい払ってでも見たい人はいるだろう。そんな楽園を僕が独り占めできていると思うと、ちょっぴり優越感に浸れたり。

 

 今日はガールズバンドのみんなと海に来ている。普段は別々で練習しているバンド同士が一緒に練習をすることにより、新たな刺激や発想を得るために考案された合宿だ。25人もの休日を調整するのは至難であったため、偶然にもみんなの休みが一致した日を見つけた時は奇跡かと思ったよ。それでその合宿に僕も誘われて現在に至る。

まぁ合宿と言いながら早速海で遊んでいる訳だけど、日菜ちゃんを始めとしたワガママ組が遊ばないとやる気が出ないと言い張るばかりなので、仕方なく練習は後回しになった。とは言っても、みんな楽しそうだけどね。

 

 ちなみに僕の外出の件について、氷川姉妹がガールズバンドのみんなを説得して外出の許可を貰ってくれた。どうやらみんなは氷川姉妹が僕とデートをしたことが羨ましかったらしく、許可が降りたのも多分そのせいだろう。そのおかげで自由に外出できるようにはなったんだけど、ずっとニート生活をしていたせいかやはり外の光は刺激が強い。慣れるまでは誰かと一緒に出掛けないと、途中で倒れちゃいそうだな……。

 

 そんな訳で、僕はビーチパラソルの下から遊び回っているみんなを眺めている。一緒に遊びたいのは山々だけど、男としては海で遊んでいる女の子を視姦している方が有意義なんだよね。ここは弦巻家所有のビーチであり、僕たちの貸切ってところがみんなを解放的にしている。そうやってハメを外していつもより元気にはしゃいでいる女の子たち、うん、いい。

 

 

「秋人くん! そんなところに座ってないで、こっちで一緒に遊ぼうよ!」

「香澄ちゃん。僕は遠慮しとくよ、体力ないからすぐ疲れちゃうし……」

「えぇ~せっかく来たのに休んでるだけなんて勿体ないよぉ~」

「僕もみんなと遊びたいのは山々なんだけどね。こうしている方がほら、そのぉ……」

「ん? 顔が赤いよ?」

「わわっ、香澄ちゃん顔近いって!」

「あはは、ゴメンゴメン。もしかしたら熱中症になってるんじゃないかって心配したんだよ。でも元気そうで良かった」

「う、うん、全然元気だよ全然!」

 

 

 香澄ちゃんって無自覚にこういうことをするから侮れないんだよね。もし彼女の通っている高校が共学だったら、このあどけない行動に惚れてしまう男がたくさんいただろう。本人は全く自覚していないと思うけど、相当罪作りな子だと思うよ……。

 

 それはそれとして、幸いにも僕の目が犯罪者の眼光を放っていることに彼女に気づかれていないようだ。僕がガールズバンドのみんなに欲情の籠った目線を送っていることがバレたら、後でどんな仕打ちが待っているか想像するのも怖い。恐らく女の子たちの玩具にされるのは確定で、もはやあらゆる意味で絞り尽くされる可能性が高い。でも仕方ないじゃん、目の前に肌を曝け出した女の子がたくさんいるんだから! これで欲求を抑えろという方が無理難題だよね……。

 

 

「香澄、あまり秋人を困らせたらダメだよ」

「沙綾ちゃん?」

「もうっ、それは言い掛かりだよさーや。秋人くんが私を見つめたまま顔を赤くしてたから、どうしたのかなぁって思っただけだよ」

「へぇ、香澄の身体をねぇ~?」

「か、身体を見たとは言ってないでしょ……」

「間違ってるの?」

「う゛っ、ノ、ノーコメントで……」

 

 

 バレてる! 香澄ちゃんの言動にドキドキしていただけでなく、水着姿に思わず興奮を抱きそうになったことも……。こうやって察しが良すぎるのが沙綾ちゃんのいいところでもあり、今の僕にとっては脅威でもあるんだよ。なんか、何もかも見透かされている感じがしてならない。さすが、お姉ちゃんにしたい女の子のトップクラスに位置するだけのことはあるよ。

 

 

「沙綾ちゃんも、あまり秋人くんを困らせないようにね……?」

「りみちゃん。そう言ってくれるのは嬉しいけど、別に困ってないから平気だよ」

「あはは、ゴメンゴメン。それより秋人、私たちから誘っておいてこう言うのもアレだけど、今日は無理しないでね。今朝ウチで作ったパンを持ってきたから、これを食べながらくつろいでて」

「わぁ~チョココロネがいっぱいだぁ♪ 沙綾ちゃん、私も貰っていいかな?」

「もちろん、みんなにもおすそ分けしようと思ってたくさん作ってきたからね」

「よ~しっ、それじゃあさーや印のパンでお昼にしようよ! 秋人くん、私が食べさせてあげるね! はい、あ~ん」

「あっ、香澄ズルい。私のパンなんだから、最初は私にやらせてよ」

「そ、それなら私も……!! 秋人くん、ダメかな……?」

「ちょ、ちょっと落ち着いてねみんな。さっき朝ごはん食べたばかりだし、流石に入らない……かな」

 

 

 水着姿の女の子たちに手ずから食べさせてもらえるなんて、王級貴族並のシチュエーションで嬉しくはあるんだけど、如何せん僕の胃は思春期の女の子以下レベル。ニート生活で身体を動かさない日々を送っていたためか、一般の思春期男性は愚か、女性よりも食べる量が少ない。別に食欲が湧かないという訳ではなく、ただ単に少食なだけだ。そのせいで、僕の家にみんなが来るときはお手製のお菓子やパンを貰うことが多いんだけど、それが溜まりに溜まって食べきれないことが良くあるんだよね。流石に残すのは申し訳ないから2、3日かけて食べてはいるけど、男としてももう少し胃拡張したいところだ。

 

 それにしても、みんなが近すぎて肌と肌が触れ合ってしまっている。ただでさえ水着姿のみんなを眺めているだけでも興奮しそうなのに、ここまで密着されると欲求が爆発してしまいそうだ。しかも今日1日はずっとみんなと一緒にいるため、1人で自家発電する暇もない。つまり、性欲はずっと溜まりっぱなしになるんだ。毎日1回は発散しないと生きていけない身体なのに、禁欲に耐えられるかな……?

 

 

「みんな、いくら貸切で誰もいないからって、はしたない真似はやめなさい」

「千聖ちゃん!? リサちゃんも」

「今日は秋人と一緒にいられるから、はしゃぎたくなる気持ちは分からなくもないけどね」

「そうですよ! せっかくのバカンスなんですから、千聖先輩もリサさんも楽しみましょうよ~」

「香澄ちゃん。仮にも私たちは弦巻家のご厚意でここに遊びに来ているのだから、不純異性交遊で問題を起こすと先方に迷惑がかかってしまうわ」

「うぅ、そう言われると……」

「う~ん、相変わらず千聖は手厳しいなぁ~」

「リサちゃんも、周りが知っている人ばかりだからって、あまり際どい格好をしないように。さっきあまりに露出が多い水着を着ようとして、紗夜ちゃんに注意されていたでしょう?」

「み、見てたんだ……。まぁほどほどに我慢するよ、ほどほどにね」

「せっかくのバカンスだからこそ、しっかりと節度を守って楽しみましょう」

 

 

 よく言うよ。僕の家だと所構わず婚姻届を押し付けてくるくせに。千聖ちゃんって、家の中と外では全然キャラが違うんだなぁ。外にいる時の彼女はあまり見たことがないけど、幼い頃から芸能界にいた影響か、精神年齢がとても大人だ。これには同じ姉キャラとしてのリサちゃんや沙綾ちゃんもたじたじのようだ。

 

 それにしても、際どい水着ってどんな感じだったんだろうか……? リサちゃんが今着ている水着も相当イマドキ女子っぽくて、本人のスタイルの良さや胸の大きさ込みであまりにも男の欲情を湧き立たせる。これ以上の水着となると、もう僕のか弱い性欲では1分も持たなかったかもしれない。そう考えると、止めてくれた紗夜ちゃんナイスだね。

 

 

「仕方ない。香澄、りみりん、私たちも遊びに行こっか。ほら、おたえが手を振ってるし」

「あっ、ホントだ。おたえ~っ! すぐ行くから~!」

「そうだね。秋人くんも良かったら、後でもいいから一緒に遊ぼう?」

「うん。ありがとう、りみちゃん。ちょっと休んだら行ってみるよ」

 

 

 香澄ちゃんたちは既に海で大はしゃぎしているおたえちゃんやこころちゃんたちに合流した。後で行くとは言ったけど、あの集団に巻き込まれると一気に体力持っていかれそうだな……。有咲ちゃんと美咲ちゃんもいるみたいだけど、いくら2人がかりでも暴走特急たちには付き合いきれないだろう。ツッコミが追い付かないという意味でも……。

 

 

「さてと、ここからが本題ね」

「えっ、ち、千聖ちゃん……? 近いんだけど……!?」

「日焼け止めを塗ってくれるかしら。背中の方は1人で塗り切れないから」

「ぼ、僕が!? それなら男の僕じゃなくて、そこにいるリサちゃんに頼めばいいんじゃ……」

「ねぇ秋人、アタシもお願いするよ」

「ぶっ、ど、どうして上脱いで寝そべってるの!?」

「秋人くん、外なんだからあまり大声を出すものではないわ」

「な゛ぁ!? 千聖ちゃんまで脱いでる!?」

 

 

 リサちゃんは水着の上を脱いで、ビーチパラソルの下でうつ伏せになっている。彼女の身体とレジャーシートで胸が押し潰され、身体から横乳がはみ出ている様が何とも淫猥だ。それに妙に水着が食い込んでいるおしりも卑猥で、引き締まっていながらも水着から少し飛び出ているおしり肉は見ているだけで柔らかそう。ただでさえエッチなボディをしているのに、そんな格好をされたら健全な男なら今すぐにでもトイレに行って性欲を発散しているだろう。僕だって今同じ気持ちだ。

 

 そして、リサちゃんと同じくらい際どい格好で僕の隣に座っている千聖ちゃん。水着の上を脱いで、左腕で胸を隠し、右手で髪をかき上げてこちらに背中を曝け出している。透き通るような白い肌は、流石芸能人と言わんばかりの手入れっぷり。あまりにも艶めかしすぎて、むしゃぶりつきたい衝動に駆られそうだ。普段では絶対に見られないうなじや肩甲骨も……。今の言葉で言えば、えちえちってやつだ。

 

 とても高校生とは思えない美女2人のこんな姿、どれだけの大金を積めば見られるのだろうか……。いや、ガードが固い2人にはどれほどの金をチラつかせようが靡かないだろう。その身体に触れられる権利を今、僕だけが持っている。据え膳食わぬは男の恥とはよく言ったものだが、ここは男を見せるべきなのか……!?

 

 

「ふえぇ!? 2人共、何してるの!?」

「花音ちゃん!? いやこれは僕が疚しいことをしようとしてた訳じゃなくて、2人が勝手に脱ぎだしたというか……。とにかく変なことをしようとしてる訳じゃないから!」

「ん~? 変なことって何かなぁ~? アタシたちはただ、日焼け止めを塗って欲しいとしか言ってないけど?」

「ウフフ、秋人くんってば、私たちで一体何を考えていたのかしら?」

「な、何も考えていないって!!」

「えぇっと、秋人くん、もしかして……」

「違うんだ花音ちゃん! これは男なら誰にでも湧く感情欲求で、決して変なことを考えてた訳じゃ……」

 

 

 毎回思うけど、花音ちゃんの困り果てた表情を見ていると申し訳なさが半端ない。子供っぽい言動で可愛らしいと思う反面、幼さしか見えないからこそ罪悪感も抱いてしまう。特に彼女は思い込みが非常に激しいので、今回のようにあらぬ誤解を妄想してしまうことも多い。このままでは、彼女の中で僕が野外で千聖ちゃんとリサちゃんを脱がした鬼畜野郎と思われたままだ。ここは何としてでも誤解を解かないと……!!

 

 そんなことを考えている間にも、花音ちゃんはぷるぷると震えて今にも感情が爆発しそうになっている。誤解された挙句に失望されるなんて、それは何としてでも避けなければ……!!

 

 

「もう2人共ズルいよ……」

「へ?」

「そ、それなら私だって……私だって脱ぐもん!!」

「え゛ぇ゛ぇ゛ぇえええええええええええええ!? どこからその発想に――――ちょっ、本当に脱がないで!? 千聖ちゃんもリサちゃんも、黙ってないで助けてよ――――って、いないし!? どこ行ったの!?」

 

 

 今にも水着のヒモを外そうとする花音ちゃん。彼女を止めるためにも2人に力を貸してもらおうと思ったが、既に形も影もさっぱり消えていた。これは面倒事に巻き込まれまいと逃げ出したな……。脱いでいた水着はこの場に残っていないので、あの短時間のうちに着け直して逃げたのか。ってことは、暴走する花音ちゃんを僕1人で止めないといけないの!?

 

 でもよく見てみると、花音ちゃんの身体って至るところが柔らかそうで、抱き枕にしたら気持ちよさそう。普段は裸を見る機会なんてないけど、今は水着の上もほぼほぼ脱いでいる状態で、半裸どころか9割裸の状態。もちろん健康的な身体に淫らさを感じるけど、それ以上に抱きしめたいと思う衝動が強い。彼女を止めないといけないのに、思っていることとやろうとしていることが一致しなくてもどかしいよ……。

 

 

「いやいや~。秋人がしっかりと健全な男の子で、モカちゃん安心しましたよ~」

「わっ、モカちゃんいたの!? って、勝手に沙綾ちゃんのパン食べてるし……」

「いやぁ慣れ親しんだ香りがするなぁ~と思ったら、まさかのまさか、山吹ベーカリーの出張店があったからビックリしたよ~」

「沙綾ちゃんがみんなの分にって持ってきたモノだけどね……」

「それにしても秋人、野外で花音先輩を脱がすとはお主も中々やりますな~。全然あたしたちに靡かないから、もしかして女の子に興味ないのかと思ってたよ~」

「脱がしてないし、男同士に興味もない!」

 

 

 いつの間にか僕の隣にモカちゃんが座り込んでおり、パンを頬張りながら僕たちを観察していた。しかも出会い頭にまた根も葉もない嘘を……。このままでは、また花音ちゃんに誤解されてしまう。僕が性の対象として見ているのは、今も昔も未来も女の子だけだ。それもガールズバンドのみんなのような美女美少女――――って、相当気持ち悪い発言してるな僕……。

 

 そうだ、今はそんなことよりも――――

 

 

「花音ちゃん、いつまでその格好なの!? 早く水着を着て!」

「ふぇ? 千聖ちゃんやリサちゃんみたいに、私の相手はしてくれないの……?」

「だからあれは日焼け止めを塗ろうとしてただけで、欲情してたとかじゃないから……」

「ポロっと本音が漏れてるよ~? 花音先輩、秋人に性的な目で見られてますよ~♪ 男の性欲は発散しないと獣になると言いますし、これは先輩が責任を取るしかないですなぁ~」

「責任……うん、そうだよね。秋人くんはこれからずっと私が面倒を見てあげるから!」

「うわぁあっ!? 上半身裸で迫って来ないで!?」

「おっと、秋人の頭が急に膝の上に……。そこまでして膝枕をして欲しかったの~?」

「ち、ちがっ、これは不可抗力で……!!」

 

 

 花音ちゃんの勢いに圧倒され、僕の身体が後ろに倒れ込んでしまう。その時、僕の頭が偶然にもモカちゃんの膝の上に乗ってしまうという美味しい(?)展開に。女の子に膝枕されながら、別の女の子の迫られるこの構図。状況が状況じゃなかったら最高なんだけどなぁ……。

 

 花音ちゃんは腕で胸は隠しているものの、見せていないのが逆にエロスを感じられる。ただでさえさっきから女の子たちに惑わされっぱなしなのに、その格好で迫って来られると理性の糸が切れちゃいそう……。まぁ切れたところで女の子たちの手玉にされるのは目に見えているので、ここは何とか耐え凌がないと。しかし、モカちゃんが花音ちゃんを暴走させているせいで、このままだと僕の理性が崩壊する時も近い。自分1人ではこの状況をどうしようもできないため、誰か、誰かに助力を……!!

 

 

「な、なにをしているんだお前ら……?」

「えっ、えっ? これどういう状況!?」

「巴ちゃん、つぐみちゃん!? 良かった、ちょうどいいところに! ちょっと助けてくれない??」

「膝枕をされながら上半身裸の先輩に抱き着かれようとしているなんて、両手に花だな。いいご身分じゃないか。2人の相手、頑張れよ」

「違うんだよ!! 僕は被害者なの!!」

「巴ちゃん、秋人くん困ってるみたいだし、助けてあげよう?」

「分かってるって。秋人の反応が可愛くてさ、ついつい弄りたくなってくるんだよ」

「やっぱりトモちんもこっち側だったかぁ~。愛らしすぎて、一家に1人秋人が欲しいくらいだよねぇ~」

「それ、僕をサンドバッグにしようとしてない……?」

 

 

 僕を家に連れ込んだところで働くことも家事もできないし、ただただ家計を圧迫するだけで何1ついいことはないと思うんだけどね……。それでもみんなはよく僕を家にお持ち帰りしたいとか言ってるんだよなぁ、なんでだろうね……?

 

 それにしても、助けを求める人を間違えちゃったかな? つぐみちゃんはいいにしても、巴ちゃんまでモカちゃんとノリノリだし、そのノリに乗じて花音ちゃんがどんな行動を起こすかも分からない。おとなしく風紀委員である紗夜ちゃんを呼べばよかったけど、あの子もあの子でちょっと斜め上の思考回路を持ってるからなぁ……。

 

 

「とりあえず、花音さんもモカちゃんも秋人くんから離れてね。このままだと今日1日どころか、お昼までに秋人くんが疲れちゃうから」

「そ、それはダメだよね……ゴメン、秋人くん」

「あはは、別にいいよ。花音ちゃんって割といい身体をしてるんだなぁって分かったし……」

「ん? なんか言った?」

「う、うぅん! 何でもないよ何でも!」

「仕方ないから、あたしもひーちゃんたちのビーチバレーに合流しようかな~。だからこれ、秋人にあげる~」

「こ、これ、食べかけのパン……?」

 

 

 モカちゃんはさっきまで自分が口にしていたチョココロネを僕に渡して、みんなのところへ向かった。花音ちゃんも水着を着け直すと、こころちゃんやはぐみちゃんたちに呼ばれて遊びに行ってしまう。残ったのは、間接キスしろと言わんばかりのチョココロネのみ……。僕は思わず唾を飲み込んだ。

 

 そして、さっきまで女の子の温もりを身体で感じていたせいか、少し涼しくなったことに違和感を覚える。でもまぁ、嵐が過ぎ去ったのは良かったかな。巴ちゃんとつぐみちゃんのおかげで、何とか性欲を爆破させずに済んだ。普段はニートで引き籠ってるから無害なのに、外に出た瞬間にセクハラで逮捕なんて畜生過ぎるもんね……。

 

 

「秋人くん大丈夫だった? また何かあったらすぐに言ってね。授業中でも家のお手伝い中でも、連絡をくれればすぐに飛んでいくから」

「ふえぁっ!? どうして抱きしめるの!?」

「あっ、ズルいぞつぐ。私だって、何があってもお前を守ってあげるからな。なんなら、ずっと一緒に暮らしてもいいんだぞ?」

「ひゃっ!? だからどうして頭を撫でるの!?」

「秋人くんの反応が可愛いから、衝動的に抱きしめたくなっちゃうんだよね」

「分かる、分かるぞその気持ち。モカがいつも『一家に1人秋人』って言ってるけど、全くその通りだよ」

 

 

 あ、あれ……? これってさっきの状況とあまり変わってないような……? 騒がしくはなくなったけど、結局女の子の肌と触れ合っている状況は変わっていない。つぐみちゃんのほんわかとした包容力と、巴ちゃんの心から安心できる姉力に、今にも僕は堕ちてしまいそうだ。この物凄く甘えたくなってくる気持ちは、単にこの2人の甘やかし性能が高すぎるせいかも。まるでゆるふわ系のお母さんと、頼れるカッコいい姉に抱きしめられているみたいだ。もしこの2人に甘やかされたら、確実に己の日常は堕落していくだろう。まぁ、それはそれで幸せか……。

 

 

「つぐみママ、巴お姉ちゃん……」

「えっ、あ、秋人くん、流石にその呼び方は恥ずかしいかな……」

「えっ、もしかして声に出てた!? い、いや別に変なことは考えてないから!!」

「あこ以外にお姉ちゃんって呼ばれるのは新鮮だな。でも秋人が弟か……いいかも」

「いいかもじゃなくて、空耳だよ空耳!」

「つぐみママかぁ……えへへ♪」

「ちょっ、なんかトリップしてるよつぐみちゃん!?」

「あぁ~これは秋人が責任を取るしかないな」

「僕、今日だけでどれだけ責任を取らされるの……?」

 

 

 なんだろう、誰と一緒でもこうして騒がしくなっている気がする。

 今日はずっとみんなと一緒だけど、朝からこれだと今日が終わる頃には僕の体力がすっからかんになってそう……。

 

 

 

 

To Be Continued……

 




 どの話でもそうですが、1話中に秋人くんが一歩も動いていない回が多すぎる気がする。それでも女の子側から集まってくれるので、話のネタに困らないのが助かりますね(笑) まぁそれが作者の私からしても羨ましいシチュエーションだったりするのですが……

 次回は今回の続きで、出てきていないキャラは次で全員登場する予定です。



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