ガールズバンドの子たちに甘やかされる日常【完結】   作:薮椿

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 年内に上がれぇええええええええええええええ!!
 お久しぶりです()


狂乱!羽丘女子学園

「ねぇねぇボク、どこから来たの?」

「この子とっても可愛い~♪ お持ち帰りした~い♪」

「誰かの弟かな? こんな可愛い弟がいるなんて羨ましいなぁ~」

「く、苦しい……!!」

 

 

 僕は何故か羽丘の女の子たちに揉みくちゃにされていた。

 友希那ちゃんとリサちゃんの誘惑から逃れるために必死で校内を走り回っていたんだけど、その勢いで教室の近くにまでやって来てしまいさぁ大変。案の定ここの生徒さんたちに見つかってしまった。最初は女子高に男が侵入しているってことで通報すると思っていたけど、女の子たちはまるで赤ちゃんをあやすような雰囲気で僕を抱きしめてきたんだ。どうしてそうなったのかはよく分からないけど、このまま騒ぎ続ければ学校の先生にバレて今度こそ通報されてしまう。

 

 でも、女の子たちは僕を離してはくれない。むしろ友達を呼んでいるのか、次から次へと女の子がこの場に集まってくる始末。年頃の女の子に囲まれるシチュエーションは嫌いではないけど、校内でこんなことをされるとあまりにも目立ちすぎる。あぁ、やっぱりヒキオタニートはおとなしく家で引き籠ってた方が良かったな……。

 

 

「みなさーーん! もうすぐ授業ですから早く教室に戻ってくださーーい!」

「みんなとっても楽しそうだね。るんっ♪ ってきた!」

「いやいや、どうして日菜先輩まで混じろうとしているんですか!?」

 

「そ、その声は……」

 

 

 聞こえてきたのは僕の耳に馴染む声。さっきまでお祭り騒ぎ状態だったけど、その2人の登場で場が一気に沈静化した。1人は普通of普通、真面目of真面目、もう1人は変人of変人、超人of超人の相反するコンビが僕の前に現れる。

 

 

「つぐみちゃん、日菜ちゃん! いいところに……」

「なんか秋人くんげっそりしてるね。女の子に囲まれてるのにそんな顔をするなんて、やっぱり普段から女の子たちを侍らせていたらそうなるかぁ~♪」

「ちょっ、それは流石に語弊があるって! そんなことをみんなの前で言ったら――――」

 

 

「えっ、もしかして意外と肉食系なの? こんなに小っちゃいのに……」

「肉食系ショタ……うん、いいかも!」

「やっぱり男の子だもんね。こんな小さい子に攻められるとか……ゾクゾクしちゃう!」

 

 

 あ、あれ? てっきりドン引きされるかと思っていたんだけど、僕の想像に反して女の子たちは大盛り上がりだ。しかも僕が女の子を食い散らかすヤリチン野郎と勘違いまでされて……。

 女子高は世の男性が理想を描くようなお嬢様学校ではなく、生々しく性に飢えた子が多いと噂で聞いていたけど、まさか本当だとは思わなかったよ。見た目は遊んでそうな子たちには見えないのに、僕の姿を見た途端にみんなの目に野生の光が宿った。なるほど、処女ビッチとはまさにこの子たちのような人のことか……。

 

 

「そんなことよりも、どうして秋人くんがここに? ここ女子高だよ?」

「それには色々用事がありまして……」

 

 

 つぐみちゃんに最もらしい疑問を投げつけられるが、女の子のスク水を持ってきたとはこれだけたくさんの女の子がいる前では言えない。ただでさえ思春期特有のピンク脳を持つ子たちなのに、ここで弱みを見せたら今度はどれだけ弄られるのか分かったものじゃないからね。

 でも、何の用事もないのに女子高にいる方がヤバい気が……。

 

 

「分かった、あたしに会いに来てくれたんでしょ? も~う、秋人くんってば寂しがり屋さんなんだから~♪」

「えっ、ち、違うって――――むぐぅ!?」

「あたしの胸に飛び込んでくるなんて、甘えん坊さんだね♪」

「そ、それは日菜ちゃんが勝手に――――うっ、ぐぅ……!!」

 

 

 女の子のおっぱいってどうしてこんなに柔らかいんだろう。これは赤ちゃんが本能的に求めちゃうわけだよ。それにさっきから僕、女の子の胸の中にいる時間の方が長いような……。

 

 

「もう日菜先輩! そんな羨ま――生徒会長なんですから、不純異性交遊は慎んでください!」

「そうだよ、あたしは生徒会長なんだよね。だからいつでもどこでも秋人くんを抱きしめていいって校則を作るよ、今ここで!」

「えぇっ!? そんな最高――い、いくら生徒会長だからって、そんな横暴は認められませんって!」

「えぇ~? でもみんなも賛成って言ってるよ? ねぇみんな?」

「す、凄い同調圧力……!? 皆さん落ち着いてください! そりゃ私も秋人くんを抱きしめ――――えぇっと、とにかく皆さん教室に戻ってください!」

 

 

 つぐみちゃん、さっきからちょくちょく本音が漏れているような気がするんだけど……。あんなにド真面目なのに、自分の中の欲望を抑えられていないのが可愛いな。いつも自らの欲望を丸出しにしている日菜ちゃんとは大違いだけど、だからこそこのコンビで生徒会が成り立っているのかもしれない。気が合う仲間っていうのは波長が完全に合う人よりも、多少ズレていた方がいいっていうからね。

 

 まぁ今はそんなことよりも、日菜ちゃんの謎校則によって大盛り上がりしているこの場を静めるのが先決かな……。日菜ちゃんの唐突な一言で女の子たちのテンションは爆上がり。さっきから女の子たちの目付きに背筋が凍るというか、このままだとみんなに食べられてしまいそうだ。なんか舌舐めずりしている子もいるし、女子高の子たちって男に飢えてるのかな……? それとも子犬が学校に迷い込んできたみたいな感覚で可愛がられているだけなのか。

 

 

「おや? どうしたんだい子猫ちゃんたち? なるほど、私のお出迎えをしてくれているんだね。あぁ、子猫ちゃんたちの眼差しが熱すぎて、今にも火傷してしまいそうだよ」

「えぇっと、薫さん? 誰1人として薫さんに注目していませんけど……」

「そんな、私よりもこの学校で輝いている子は――――えっ、秋人?」

「秋人さん!? どうしてここに!?」

「薫ちゃん、麻弥ちゃんも」

 

 

 羽丘ってそこそこ生徒がいるはずなのに、どうしてこうも知り合いとエンカウントするんだろう……。未だに日菜ちゃんに抱きしめられ、女の子たちに囲まれているこの状況をあまり見られたくはない。いや、いつも自分の家でこうされているんだけど、野外でこうも迫られると恥ずかしすぎて死んじゃいそうなんだよ。

 

 

「これほどまでに大衆の注目を集めるとはね。秋人、やはり君には人を惹きつける才能があるようだ。現にこれほどまでの女の子たちを手玉にしているんだからね」

「そうなんだよね~。さっきから秋人くんにおっぱいを攻められて、気持ち良すぎて困ってるんだよ♪」

「ちょっ、何言ってるの日菜ちゃん! 手玉にもしてないし攻めてもいないから!!」

「秋人は見た目は幼いけど、いざという時に男らしくなるその野獣さが魅力的だね。私は女の子に対してそこまで尖ることはできないから、とても憧れるよ」

「そんなに肉食系じゃないからね僕!? むしろ草食系の要素しかないような……」

 

 

 僕がそう言った瞬間、日菜ちゃん、つぐみちゃん、薫ちゃん、麻弥ちゃんの4人は黙り込む。もしかして何かデリカシーのない発言をしてしまったのではないかと記憶の糸を手繰り寄せてみるが、特に不祥事発言はしていない。でもみんなの顔が少し赤くなってるし、一体僕が何をしたの……!?

 

 

「秋人くん、私とお風呂に入っている時にたまに手や腕が私の胸に当たってたんだよね。求められているかと思って、ちょっと興奮しちゃった……」

「つぐみちゃん!? そんなこともあったかもしれないけど、僕の家のお風呂は狭いから事故だよきっと!!」

「ジブンは秋人さんと一緒に寝ている時に、何度も何度も胸に頭を擦り付けられて新手のプレイを希望しているのかと思いました……」

「そ、そんな完全にセクハラじゃん……」

「私が『秋人と一緒にステージに上がりたい』と言った時、君はこう言ったね。『お姫様役の薫ちゃんと一緒だなんて、僕には釣り合わないよ』って。君が初めてだったんだよ、舞台の私を女性として見てくれたのは。いつも男性役ばかりやってるから、自分でも自分が麗しき乙女だということを忘れていたよ。そういうところが男らしいね」

「別に普通のことを言っただけだけど……」

「ほらね! これだけ肉食系なのに、まだ自分でも草食系だって思うの? さっきだって私のおっぱいをこねくり回してきたのに」

「どれもこれも狙ってやったわけじゃないからセーフ!!」

 

 

 みんなが話をどんどん誇張させているけど、薫ちゃんの話以外は完全に不可抗力だ。あぁ、痴漢冤罪っていうのもこうやって生まれるんだね……。どこからどう聞いても僕が悪いようにしか聞こえないから、そりゃ痴漢冤罪から逃れる術がないわけだよ。でも女の子たちにお世話されている情けない人生を歩んでいる時点で、みんなに反論することすらおこがましいのかもしれない。

 

 そんなこんなでもうすぐ授業の時間らしいけど、女の子たちは一向に教室に戻ろうとしない。迷子の子犬のように教室棟を彷徨っている僕や、カリスマ生徒会長の日菜ちゃん、羽丘のスターである薫ちゃんと濃いメンバーが勢揃いしているから、むしろ噂を聞き付けた子たちがこの場に集まってくる始末。早く用事を済ませてここから立ち去らないと、騒ぎが大きくなってもっと大変になりそうだ。

 

 

「そういえば、どうして秋人がここにいるんだい? まさか私に会いたくなって、居ても立てもいられず学校に忍び込んだ……というところかな? 女子高に忍び込むその勇敢さは見習いたいものがあるよ」

「いや見習わなくていいですから……。でも、三度の飯より自宅が好きな秋人さんがここにいるって確かに珍しいですよね」

「そりゃ出掛けるのは今でも怖いけど……」

「さっき用事があるって言ってたけど、誰に用事があるの? その手に持ってる手提げ袋と何か関係があるの?」

「それならそうと早く言ってくれればいいのに! 中に何が入ってるの?」

「ちょっ、日菜ちゃん勝手に見ないで!?」

「えぇ~? もしかして、何か見られちゃいけないものが入ってるのかなぁ~?」

「ひ、日菜ちゃんそんなに押さないで――――あっ!?」

 

 

 日菜ちゃんにスク水が入った手提げ袋をひったくられそうになったので、僕は慌てて彼女から離れようとした。

 

 しかし、その行動が命取りだった。

 彼女のハグから抜け出した際に、その反動で手提げ袋が手から離れて女の子たちの集団の方に飛んで行く。そして、それはたった今人混みを掻き分けてきた1人の女子生徒の足元へと落下した。

 

 

「あっ、ホントに秋兄いた! やっほーっ! こんなところで何してるの?」

「あ、あこちゃん!?」

「ん……? なんだろこれ……」

「あっ、み、見ちゃダメだ!!」

 

 

 あこちゃんは足元に落ちてきた手提げ袋を拾い上げると、何の躊躇いもなく中身を除く。僕の叫びも虚しく、この世で一番見られたくないモノをこの世で一番見られたくない子に見られてしまった。

 あぁ、これで僕の人生も終わりか……。こんな大勢の女の子の前でスク水を所持していたことがバレるんだから。間もなく僕は女の子たちに罵詈雑言を浴びせられ、ドMに調教されてしまうんだ。そして僕はこの女子高の生徒の玩具として、これから一生奴隷として生きていくことになる。あまりにも恐ろしい……。

 

 あこちゃんが手提げ袋に突っ込んだ手を引き抜こうとしている。あぁもうダメだおしまいだ……!!

 

 

「あれ~? 中に何も入ってないよ?」

「えっ、そんなことは……」

 

 

 僕はあこちゃんから手提げ袋を受け取り、袋の中に手を突っ込んでみる。

 あ、あれ……? 確かに何もない。一応中を覗き込んでみるけど、袋の中には何1つ入っていなかった。

 

 もしかして、どこかに落としちゃった?? 思い返してみると、友希那ちゃんとリサちゃんの誘惑から逃げるので精一杯で、袋の口がどうなっていたのかまでは確認してない。袋の口が空いており、逃げる過程で校内のどこかに落とした可能性は十分にある。となると、スク水が剥き出しのままこの辺のどこかに……。

 

 いや、でもこれは僥倖かもしれない。このままスク水が放置されれば、僕が持ってきたという証拠はなくなる。友希那ちゃんやリサちゃんが意図的にバラさない限り、僕の安寧は保たれるんだ。スク水を忘れた子には申し訳ないし、日頃お世話になっておきながらこんな裏切りをするなんて心苦しいけど、今日だけはクズ野郎の僕を許して欲しい。スク水を女子高に届けるミッションは、ニートの僕にはあまりにもハードルが高すぎたんだ。

 

 

「秋兄、何も入ってない手提げ袋を持ってたの? 変なの」

「そ、それは……」

 

 

 まぁ、そりゃそうなりますよねぇ……。スク水騒動を回避できたのはいいんだけど、だったらお前は何をしにやって来たんだって話になる。スク水を持ち込んだってだけでも犯罪級なのは分かってる。でも何の目的もなく女子高に来たってのも、それはそれでマズいような……いや、ただの変質者じゃん。どちらにせよ僕の立場が危ういのは変わりなく、気が動転してそれに対する言い訳すら考えつかない。あれ、これ詰んだのでは……?

 

 みんなの目が一斉に僕へ向く。これだけ注目されてしまったら、もう逃げることは許されない。ここにいる女の子たちの納得のいく理由を説明しなければ、この場を離れることはできないだろう。

 どうする? このまま豚箱行きになるのを待つ……? そうなれば毎日のオナニーライフも、エロ同人もエロ動画もエロゲーも嗜むことができなくなってしまう。それだけは絶対にダメだ!! そのためには、ここにいるみんなが満場一致で納得するような素晴らしい言い訳を考えないといけない。この崖っぷちから一発逆伝できるような最強の言い訳を――――――

 

 

「きょ、今日はみんなに会いに来たんだ。みんなが帰ってくるのが待ちきれなくて寂しくて、気付いたら羽丘に……。この手提げ袋は何かお土産を入れようと思ってたんだけど、みんなに早く会いたい気持ちが先行して忘れちゃって……」

 

 

 く、苦しい!! 咄嗟に出た言い訳だけど、女の子に会いたいから女子高に侵入するって、それそこらの変質者でも到底やらないような所業だ。少なくとも日菜ちゃんや薫ちゃんといった学校のカリスマたちの心を揺さぶれれば、その雰囲気に同調して周りの子たちも納得させられると思ったけど、流石にこの言い訳はマヌケ過ぎる。極端に言い方を変えれば、自分の欲求、いや性欲を満たそうとしているようなものだから。

 

 すぐさま周りから罵倒されたり冷たい目で見られる――――と思っていたけど、そんなことはなかった。

 むしろ何故か女の子たちは頬を赤くして、微笑みながら僕を見つめていた。予想外の反応に僕は唖然としてしまう。

 

 

「もう秋人くんったら、可愛いね~♪」

「うわっぷっ、日菜ちゃん!? く、苦しいって!!」

「秋兄、あこたちに会いに来てくれたの! 嬉しいな~♪ あこもぎゅってしてあげるね!」

「そ、そんなくっついたら色んなところが色んなところに……!!」

 

 

 左右から日菜ちゃんとあこちゃんに抱き着かれ、またしても僕の身体は女の子によって包み込まれた。アイドルバンドとして活躍してる日菜ちゃんのおっぱい、小さいけど密着すればその成長が程よく感じられるあこちゃんのちっぱい。どうしてこうなったのかは分からないけど、天国に昇ることに理由はいらなかった。

 

 

「わざわざ学校にまで来てジブンたちに会いたいだなんて、なんだか気恥ずかしいですね……」

「君の中には常に私たちがいるようだね。私たちの中にも常に君がいるから、これはその……両想いってやつかな」

「そこまで私たちと一緒にいたいだなんて……だったら、学校がある時間以外はずっと一緒にいるね♪」

 

 

 麻弥ちゃんも薫ちゃんもつぐみちゃんも同じく、僕の苦しい言い訳に対して咎めるどころか寛容な雰囲気を醸し出している。それは周りの女の子たちも同様であり、『私も秋人くんに会いに来てもらいた~い♪』とか、『秋人くんに求められるなんて羨まし~い♪』とか、黄色い声があちこちから聞こえてきた。何度も言ってるけど、本当にこの学校の女の子たちの思考回路はどうなってるんだか……。この状況に浸っている僕が言うのもおかしいけどさ。

 

 しかし、これはこれで結果オーライかもしれない。これでスク水騒動に悩む必要もなくなったので、あとは授業の時間になってみんなが教室に帰ったところで僕も家に帰ればいいだけだ。スク水を忘れてしまった子には申し訳ないけど、ここは僕の立場と名誉の保身のために許して欲しい。ド底辺のクズニートに名誉も尊厳もあったものじゃないけど、プライドだけはいっちょ前に高いのがニートの特徴だからね。

 

 これでとりあえず一安心。友希那ちゃんとリサちゃんが口を滑らせなければ、僕の犯罪行為がバレることもない。そのためには1日だけ2人の性奴隷になれって要求が来るかもしれないけど、それはそれでまぁ……いいかな。決してドMじゃないよ? ただ自分の立場を守りたいだけだから!

 

 

「ん? 秋兄、ポケットから何か出てるよ? ハンカチ?」

「えっ、持ってきた記憶が――――――あ゛っ……!!」

 

 

 あこちゃんにそう指摘され、僕は後ろポケットからはみ出ていた紺色のポリエステル物体を手に取った。

 これは見たことがあるどころか、今まで僕を惑わしてきた忌まわしき物体。この世の男が憧れる神秘の服――――スク水だった。

 

 

 ここで全てを思い出す。

 そうだ、友希那ちゃんとリサちゃんから逃げる時、スク水を袋に入れる時間を惜しんでズボンのポケットに入れたんだった。後から入れ直そうと思っていたけど、逃げるのに必死でそのことをすっかり忘れてしまっていた。

 

 今、僕の手にはスク水。誰がどう見てもスクール水着。学校指定されていて全国で流通しているはずなのに、とっても卑猥に見えるスクール水着。それが僕の手にある。

 そして、みんなの目線の向きもスクール水着。さっきまで異様なまでに騒がしかったが、今は異様なまでに静かだ。

 

 

「あ、それあこの水着だ! そういえば、今朝秋兄の家に行った時に置いてきちゃったんだよね。まさか、届けに来てくれたの?」

「あ、う、うん、そうだけど、そうなんだけど……」

「わぁ~い! ありがとう!」

 

 

 どうやらあこちゃんのモノだったらしいので、これで僕の本来の目的は達成された。

 達成されたのはいいんだけど、みんなが静まり返っているこの状況。冷汗が止まらない。

 

 

 もう言い訳は通用しない。今度こそ本当に人生の終わり……!?!?

 

 

「なるほど、秋人くんがあこちゃんの水着をねぇ……」

「なんでニヤニヤしてるの日菜ちゃん……??」

「いやぁ、溜まった性欲を処理したスク水をわざわざ持ち主に返しに来るなんて、秋人くんへんた~い♪」

「ちょっ、何言ってるの!?」

「秋人くん、そんなに溜まってたんだね。ゴメンね、気付いてあげられなくて……」

「つぐみちゃん、ち、違うんだ!!」

「言ってくだされば、いくら忙しい朝と言えどもお相手しましたのに……」

「ま、まぁ思春期の男の子なら健全だと思うよ。う、うん……」

「だ、だから誤解だって!!」

 

 

 ガールズバンドのみんながまたしても斜め上の反応をする中で、周りの女の子たちも『秋人くんのエキスが詰まった水着なら、喜んで着ちゃう!』とか、『どんな匂いがするのかな? お持ち帰りしたい!』とか、もう手が付けられないくらいに阿鼻叫喚の現場となっていた。もし手が付けられても触れたくないけどね……。

 

 

「秋兄の想いがたっぷりつまったこの水着、大切に着させてもらうね!」

「どんな想い!? 絶対に卑猥なこと考えてるよね!?」

「秋兄が使ってくれた水着だぁ……♪」

「うっ……」

 

 

 もうダメだ、この学校。早く何とかしないと……。

 




 投稿にかなり間が空きましたが、新年からアニメ3期も始まるってことで投稿もコンスタントに再開するつもりです。
 アニメ3期ではRASのメンバーもクローズアップされると思うので、この小説でも登場させられたらいいなぁと思っています。個人的には六花ちゃんが好きなので、信念一発目のメインは六花ちゃんになるかも……

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